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○食用油脂製造業における熱媒体の混入防止措置に関する関係業者への指導について

(昭和四九年九月一八日)

(環食第二〇一号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

標記については、かねてより格別のご配意を願つているところであるが、国立衛生試験所において検討を行つていた熱媒体に関する試験法が、今般、別添のとおりとりまとめられたため、とりあえず送付するので、これを関係者に周知させ、あわせて熱媒体の混入防止措置の一層の徹底を図られたい。なお、この場合の具体的措置としては、次のようなものが考えられるので、これらの事項の遵守につき、関係業者の指導に万全を期されたい。

1 指導対象関係業者

指導の対象となる関係業者は、製造又は加工工程中に脱臭工程を有する食用油脂製造業者であること。

2 熱媒体混入防止のために取るべき措置

(1) 熱媒体を使用する際の措置

イ 熱媒体の液面の高さを示す計測器を備えて、熱媒体の減損の量をつねに確認すること。

ロ 脱臭装置のホットウェル及び溜出スカムの臭気等の異常の有無をつねに確認すること。

ハ 脱臭工程を経た製品油については、熱媒体の混入の有無の試験を行うこと。この場合の試験法は、別添「食用油脂中の熱媒体の試験法」を参考とすること。

ニ 熱媒体コイルの変形、磨滅又は損傷について毎年二回以上、定期点検及び圧力テストを行うこと。

(2) 熱媒体を保管する場合の措置

熱媒体は、堅牢な容器に入れ、油脂中に混入するおそれのない隔離された場所に保管し、当該容器の見やすい場所に、当該熱媒体の名称及び取扱いの注意事項を表示すること。

(3) 保健所長への報告等

脱臭工程の機器の破損その他の理由により、熱媒体が油脂中に混入するおそれのある状態を発見したときは、ただちにこれに関連する部分の操業を停止するとともに、管轄保健所の長に報告し、当該保健所長の指示に従い、すみやかに必要な措置を講じること。

(4) 帳簿の備付

次に掲げる事項について記載した帳簿を備え、イ、ハ及びニにあつては五年間、ロにあつては二年間、これを保存すること。

イ 使用している熱媒体の名称及び使用の状況

ロ (1)のイ、ロ及びハの確認又は試験の結果

ハ (1)のニの点検の結果

ニ 熱媒体の購入の日付及び数量

(別添)

食用油脂中の熱媒体の試験法

1 ジフェニール・ジフェニールエーテル系熱媒体(ダウサムA、サームS300)の試験法

〔装置〕

1) 蒸留装置:精油定量器(第八改正日本薬局方規定品)又はこれと類似の装置

2) ガスクロマトグラフィー装置:水素炎イオン化検出器をつけたもの

〔試薬、試液〕

1) n―ヘプタン(特級)

2) ジフェニールメタン溶液:ジフェニールメタン(内部標準物質)100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この液1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする(1ml=10μgジフェニールメタン)。

3) 熱媒体標準液:ダウサムA(又はサームS300)100mg及びジフェニールメタン100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この液lmlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする。本液1mlはダウサムA(又はサームS300)10μgを含む。

〔操作〕

1) 試験溶液の調製 試料油脂10gを300mlナス型フラスコにはかりとり、これに蒸留水約100mlおよび沸石を加える。精油定量器の目盛管(捕集管)に適量の蒸留水を加え、その上にジフェニールメタン溶液1mlを積層させた後、これにフラスコおよび冷却管を接続する。ついでフラスコを加熱し、液が激しく沸騰する条件で90分間還流する。加熱をやめ、室温まで冷却し、コックを開いて注意して水層を除く。n―ヘプタン層を小試験管にとり、硫酸ナトリウム(無水)で脱水し、これを試験溶液とする。

2) ガスクロマトグラフィー 検出器の感度をできるだけ高くし、記録紙上の基線が安定であることを確かめた後、つぎの条件で測定を行う。

a) ガスクロマトグラフィー条件

カラム充てん剤:177~250μ(60~80メッシュ)のクロモソルブWなどの担体に、担体に対して2~5%の割合にSE―30を含浸させたもの。

カラム温度:90~130°の一定温度

検出器:水素炎イオン化検出器

キャリヤーガス:窒素ガスまたはヘリウムガスを用いる。ジフェニールメタンが約11分後に現われるようにカラム温度及びキャリヤーガスの流速を調整する。

b) 予備測定 熱媒体標準液をカラムに注入し、ジフェニールメタンの示すピークに対するダウサムA(又はサームS300)の示す各ピークの相対保持時間を求める。

c) 本測定 予備測定と同じ条件で試験溶液をカラムに注入し、ジフェニールメタンの示すピークに対するダウサムA(又はサームS300)の示すピークに相当する各ピークの相対保持時間を求めて同定する。

2 メチルナフタリン系熱媒体(ネオSKオイル#240、サームS200)の試験法

〔装置〕

1) 蒸留装置:精油定量器(第八改正日本薬局方規定品)又はこれと類似の装置

2) ガスクロマトグラフィー装置:水素炎イオン化検出器をつけたもの

〔試薬、担捜〕

1) n―ヘプタン(特級)

2) ジフェニールメタン溶液:ジフェニールメタン(内部標準物質)100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この液1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする(1ml=10μgジフェニールメタン)。

3) 熱媒体標準液:ネオSKオイル#240(又はサームS200)100mg及びジフェニールメタン100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この液1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする。本液1mlはネオSKオイル#240(又はサームS200)10μgを含む。

〔操作〕

1) 試験溶液の調整 試料油脂10gを300mlナス型フラスコにはかりとり、これに蒸留水約100ml及び沸石を加える。精油定量器の目盛管(捕集管)に適量の蒸留水を加え、その上にジフェニールメタン溶液1mlを積層させた後、これにフラスコ及び冷却管を接続する。ついでフラスコを加熱し、液が激しく沸騰する条件で90分間還流する。加熱をやめ、室温まで冷却し、コックを開いて注意して水層を除く。n―ヘプタン層を小試験管にとり、硫酸ナトリウム(無水)で脱水し、これを試験溶液とする。

2) ガスクロマトグラフィー 検出器の感度をできるだけ高くし、記録紙上の基線が安定であることを確かめた後、つぎの条件で測定を行なう。

a) ガスクロマトグラフィー条件

カラム充てん剤:177~250μ(60~80メッシュ)のクロモソルブWなどの担体に、担体に対して2~5%の割合にOV―17を含浸させたもの。

カラム管:内径2~4mm、長さ1~2mのステンレス管またはガラス管

カラム温度:100~140°の一定温度

検出器:水素炎イオン化検出器

キャリヤーガス:窒素ガスまたはヘリウムガスを用いる。ジフェニールメタンが約15分後に現われるようにカラム温度及びキャリヤーガスの流速を調整する。

b)予備測定 熱媒体標準液をカラムに注入し、ジフェニールメタンの示すピークに対するネオSKオイル#240(又はサームS200)の示す各ピークの相対保持時間を求める。

c) 本測定 予備測定と同じ条件で試験溶液をカラムに注入し、ジフェニールメタンの示すピークに対するネオSKオイル#240(又はサームS200)の示すピークに相当する各ピークの相対保持時間を求めて同定する。

3 イソプロピルナフタリン系熱媒体(KSKオイル260)の試験法

〔装置〕

1) 蒸留装置:精油定量器(第八改正日本薬局方規定品)又はこれと類似の装置

2) ガスクロマトグラフィー装置:水素炎イオン化検出器をつけたもの

〔試薬、試液〕

1) n―ヘプタン(特級)

2) ジフェニールエタン溶液:ジフェニールエタン(内部標準物質)100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする(1ml=10μgジフェニールエタン)。

3) 熱媒体標準液:KSKオイル260、100mg及びジフェニールエタン100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この液1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする。本液1mlはKSKオイル260、10μgを含む。

〔操作〕

1) 試験溶液の調製 試料油脂10gを300mlナス型フラスコにはかりとり、これに蒸留水約100ml及び沸石を加える。精油定量器の目盛管(捕集管)に適量の蒸留水を加え、その上にジフェニールエタン溶液1mlを積層させた後、これにフラスコ及び冷却管を接続する。ついでフラスコを加熱し、液が激しく沸騰する条件で90分間還流する。加熱をやめ、室温まで冷却し、コックを開いて注意して水層を除く。n―ヘプタン層を小試験管にとり、硫酸ナトリウム(無水)で脱水し、これを試験溶液とする。

2) ガスクロマトグラフィー 検出器の感度をできるだけ高くし、記録紙上の基線が安定であることを確めた後、つぎの条件で測定を行う。

a) ガスクロマトグラフィー条件

カラム充てん剤:177~250μ(60~80メッシュ)のクロモソルブWなどの担体に、担体に対して2~5%の割合にSE―30を含浸させたもの。

カラム管:内径2~4mm、長さ1~2mのステンレス管又はガラス管

カラム温度:100~140°の一定温度

検出器:水素炎イオン化検出器

キャリヤーガス:窒素ガス又はヘリウムガスを用いる。ジフェニールエタンが約11分後に現われるようにカラム温度及びキャリヤーガスの流速を調整する。

b) 予備測定 熱媒体標準液をカラムに注入し、ジフェニールエタンの示すピークに対するKSKオイル260の示す各ピークの相対保持時間を求める。

c) 本測定 予備測定と同じ条件で試験溶液をカラムに注入し、ジフェニールエタンの示すピークに対するKSKオイル260の示すピークに相当する各ピークの相対保持時間を求めて同定する。

4 アルキルジフェニール系熱媒体(サームS600)の試験法

〔装置〕

1) 蒸留装置:精油定量器(第八改正日本薬局方規定品)又はこれと類似の装置

2) ガスクロマトグラフィー装置:水素炎イオン化検出器をつけたもの

〔試薬、試液〕

1) n―ヘプタン(特級)

2) ジフェニールエタン溶液:ジフェニールエタン(内部標準物質)100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする(1ml=10μgジフェニールエタン)。

3) 熱媒体標準液:サームS600、100mg及びジフェニールエタン100mgをはかりとり、n―ヘプタンに溶かして100mlとする。この1mlをとり、n―ヘプタンを加えて100mlとする。本液1mlはサームS600、10μgを含む。

〔操作〕

1) 試験溶液の調製 試料油脂10gを300mlナス型フラスコにはかりとり、これに蒸留水約100ml及び沸石を加える。精油定量器の目盛管(捕集管)に適量の蒸留水を加え、その上にジフェニールエタン溶液1mlを積層させた後、これにフラスコ及び冷却管を接続する。ついでフラスコを加熱し、液が激しく沸騰する条件で90分間還流する。加熱をやめ、室温まで冷却し、コックを開いて注意して水層を除く。n―ヘプタン層を小試験管にとり、硫酸ナトリウム(無水)で脱水し、これを試験溶液とする。

2) ガスクロマトグラフィー 検出器の感度をできるだけ高くし、記録紙上の基線が安定であることを確めた後、つぎの条件で測定を行う。

a) ガスクロマトグラフィー条件

カラム充てん剤:177~250μ(60~80メッシュ)のクロモソルブWなどの担体に、担体に対して2~5%の割合にSE―30を含浸させたもの。

カラム管:内径2~4mm、長さ1~2mのステンレス管又はガラス管

カラム温度:100~140°の一定温度

検出器:水素炎イオン化検出器

キャリヤーガス:窒素ガス又はヘリウムガスを用いる。ジフェニールエタンが約11分後に現われるように、カラム温度及びキャリヤーガスの流速を調整する。

b) 予備測定 熱媒体標準液をカラムに注入し、ジフェニールエタンの示すピークに対するサームS600の示す各ピークの相対保持時間を求める。

c) 本測定 予備測定と同じ条件で試験溶液をカラムに注入し、ジフェニールエタンの示すピークに対するサームS600の示すピークに相当する各ピークの相対保持時間を求めて同定する。

5 水素化トリフェニル系熱媒体の試験法(サントサーム66、サームS900など)

〔装置〕

1) 濃縮器:クデルナ、ダニッシュ(K.D.)濃縮器又は類似の装置

2) カラムクロマト用ガラス管:径約1cm、長さ約30cm、コック付

3) ガスクロマトグラフィー装置:水素炎イオン化検出器をつけたもの

〔試薬、試液〕

1) アセトニトリル(特級)

2) n―ヘキサン(特級)

3) シリカゲル:カラムクロマト用シリカゲル、74~149μ(100~200メッシュ)、和光ゲルS―1

4) ピレン溶液:ピレン(内部標準物質)100mgをはかりとり、n―ヘキサンに溶かして100mlとし、原液とする。原液1mlをとり、n―ヘキサンを加えて50mlとする(1ml=20μgピレン)。

5) 熱媒体標準液:サントサーム66(又はサームS900)100mgをはかりとり、n―ヘキサンに溶かして100mlとする。この液10mlをとり、ピレン原液5mlを加え、本液は、サントサーム66(又はサームS900)100μgを含む。

〔操作〕

1) 抽出 試料油脂20gを小ビーカーにはかりとる。アセトニトリル50mlでビーカーを洗いながら200ml分液漏斗に移し、1分間激しく振り混ぜた後、静置する。分離した下層(油層)を100ml分液漏斗に移し、これにアセトニトリル20mlを加えて前と同様に振り混ぜた後、静置する。分離した下層(油層)を別の100ml分液漏斗に移し、同様にアセトニトリル20mlで抽出を行う。100ml分液漏斗中のアセトニトリル層を最初のアセトニトリル層に合わせ、これにn―ヘキサン50mlを加えて激しく振り混ぜた後、静置する。分離した下層(アセトニトリル)を濃縮フラスコに移す。上層(n―ヘキサン層)はさらにアセトニトリル20mlで洗い、分離後濃縮フラスコに加える。これを浴温60°以下でほとんど乾固するまで減圧濃縮する。冷後残留物にn―ヘキサン2mlを加えて溶かし、これをカラムクロマトグラフィー用検液とする。

2) カラムクロマトグラフィー 活性化しないシリカゲル2gをとり、適量のn―ヘキサンを加え、撹拌して気泡を除く。これをカラムクロマト用ガラス管に脱脂綿(又はガラス綿)をつめ、n―ヘキサンを用いて気泡を除いたものに注入し、常法に従つてカラムを調整する。シリカゲル層が安定した後その上に硫酸ナトリウム(無水)約1cm積層し、適量のn―ヘキサンで洗う。適量のn―ヘキサンを流出させた後、カラムクロマトグラフィー用検液を注入し、硫酸ナトリウム(無水)の面まで流下させる。ついで濃縮フラスコをn―ヘキサン2mlをよく洗い、洗液をカラムに加え、硫酸ナトリウム(無水)の面まで流下させる。次にn―ヘキサンで溶出し、溶出液40mlをとる。この溶出液にピレン溶液1mlを加えた後、浴温約40°でほとんど乾固するまで減圧濃縮する。ついで、フラスコをはずし、弱く送風して溶媒を揮散させた後、残留物をn―ヘキサン1mlで溶かし、これを試験溶液とする。

3) ガスクロマトグラフィー 検出器の感度をできるだけ高くし、記録紙上の基線が安定であることを確めた後、次の条件で測定を行う。

a) ガスクロマトグラフィー条件

カラム充てん剤:177~250μ(60~80メッシュ)のクロモソルブWなどの担体に、担体に対して2~5%の割合にOV―17を含浸させたもの。

カラム管:内径2~4mm、長さ1~2mのステンレス管又はガラス管

カラム温度:190~230°の一定温度

検出器:水素炎イオン化検出器

キャリヤーガス:窒素ガス又はヘリウムガスを用いる。ピレンが約14分後に現われるようにカラム温度及びキャリヤーガスの流速を調整する。

b) 予備測定

熱媒体標準液をカラムに注入し、ピレンの示すピークに対するサントサーム66(又はサームS900)の示す各ピークの相対保持時間を求める。

c) 本測定

予備測定と同じ条件で試験溶液をカラムに注入し、ピレンの示すピークに対するサントサーム66(又はサームS900)の示すピークに相当する各ピークの相対保持時間を求めて同定する。

6 トリアリルジメタン系熱媒体の試験法(マーロサームS)

〔装置〕

1) 濃縮器:クデルナ・ダニッシュ(K.D.)濃縮器又は類似の装置

2) カラムクロマト用ガラス管:径約1cm、長さ約30cm、コック付

3) ガスクロマトグラフィー装置:水素炎イオン化検出器をつけたもの

〔試験、試薬〕

1) アセトニトリル(特級)

2) n―ヘキサン(特級)

3) シリカゲル:カラムクロマト用シリカゲル74~149μ(100~200メッシュ)、和光ゲルS―1

4) ジオクチルフタレート溶液:ジオクチルフタレート(DOP、内部標準物質)100mgをはかりとり、n―ヘキサンに溶かして100mlとし原液とする。原液2mlをとり、n―ヘキサンを加えて50mlとする(1ml=40μgDOP)。

5) 熱媒体標準液:マーロサームS100mgをはかりとり、n―ヘキサンに溶かして100mlとする。この液10mlをとり、DOP原液4mlを加え、さらにn―ヘキサンを加えて100mlとする。本液1mlはマーロサームS100μgを含む。

〔操作〕

1) 抽出 試料油脂20gを小ビーカーにはかりとる。アセトニトリル50mlでビーカーを洗いながら200ml分液漏斗に移し、1分間激しく振り混ぜた後静置する。分離した下層(油層)を100ml分液漏斗に移し、これにアセトニトリル20mlを加えて前と同様に振り混ぜた後静置する。分離した下層(油層)を別の100ml分液漏斗に移し、同様にアセトニトリル20mlで抽出を行う。100ml分液漏斗中のアセトニトリル層を最初のアセトニトリル層に合わせ、これにn―ヘキサン50mlを加えて激しく振り混ぜた後静置する。分離した下層(アセトニトリル)を濃縮フラスコに移す。上層(n―ヘキサン)はさらにアセトニトリル20mlで洗い、分離後濃縮フラスコに加える。これを浴温60°以下でほとんど乾固するまで減圧濃縮する。冷後残留物にn―ヘキサン2mlを加えて溶かし、これをカラムクロマトグラフィー用検液とする。

2) カラムクロマトグラフィー 活性化しないシリカゲル2gをとり、適量のn―ヘキサンを加え撹拌して気泡を除く。これをカラムクロマト用ガラス管に脱脂綿(またはガラス綿)をつめ、n―ヘキサンを用いて気泡を除いたものに注入し、常法に従つて調整する。シリガゲル層が安定した後その上に硫酸ナトリウム(無水)を約1cm積層し、適量のn―ヘキサンで洗う。適量のn―ヘキサンを流出させた後カラムクロマトグラフィー用検液を注入し、硫酸ナトリウム(無水)の面まで流下させる。つぎに濃縮フラスコをn―ヘキサン2mlでよく洗い、洗液をカラムに加え、硫酸ナトリウム(無水)の面まで流下させる。つぎにn―ヘキサン40mlでカラムを洗つた後、濃縮フラスコを受器として溶出液(n―ヘキサン:エーテル=95:5)10mlで溶出する。この溶出液にDOP溶液1mlを加え、浴温約40°でほとんど乾固するまで減圧濃縮する。ついでフラスコをはずし、弱く送風して溶媒を揮散させた後、残留物をn―ヘキサン1mlで溶かし、これを試験溶液とする。

3) ガスクロマトグラフィー 検出器の感度をできるだけ高くし、記録紙上の基線が安定であることを確かめた後つぎの条件で測定を行う。

a) ガスクロマトグラフィー条件

カラム充てん剤:177~250μ(60~80メッシュ)のクロモソルブWなどの担体に、担体に対して2~5%の割合にOV―17を含侵させたもの。

カラム管:内径2~4mm、長さ1~2mのステンレス管又はガラス管

カラム温度:210~240°の一定温度

検出器:水素炎イオン化検出器

キャリヤーガス:窒素ガス又はヘリウムガスを用いる。DOPが約20分で現われるようにカラム温度及びキャリヤーガスの流速を調整する。

b) 予備測定

熱媒体標準液をカラムに注入し、DOPの示すピークに対するマーロサームSの示す各ピークの相対保持時間を求める。

c) 本測定

予備測定と同じ条件で試験溶液をカラムに注入し、DOPの示すピークに対するマーロサームSの示すピークに相当する各ピークの相対保持時間を求めて同定する。