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○深海性魚介類等にかかる水銀の暫定的規制値の取扱いについて
(昭和四八年一〇月一一日)
(環乳第一二一号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
魚介類の水銀の暫定的規制値については、昭和四八年七月二三日環乳第九九号をもつて通知したところであるが、今回水産庁当局から深海性魚介類等(メヌケ類、キンメダイ、ギンダラ、ベニズワイガニ、エッチュウバイガイ及びサメ類、以下同じ。)について暫定的規制値の適用除外方の要望があつた。
厚生省は、「魚介類の水銀に関する専門家会議」に対し、深海性魚介類等の取扱いについて意見を求めたところ、別添のとおりの意見が提出されたので、深海性魚介類等はまぐろ類と同様に暫定的規制値の適用対象から除外することとしたので、今後の運用に遺憾のないよう願いたい。
なお、深海性魚介類等の漁業従事者等これらの魚介類を常時多食するとみられる者については、まぐろ類と同様に食生活の適切な指導を行なわれたいが、これら多食者に対する今後の対策については、目下鋭意検討をすすめているところであるのでその成案を得次第通知する予定である。
別添
深海性魚介類等にかかる水銀の暫定的規制値の取扱いについて
(昭和四八年一○月一一日)
(魚介類の水銀に関する専門家会議)
本会議は、本年六月二四日「魚介類の水銀の暫定的基準についての意見」をとりきめたところであるが、今回、水産庁当局から厚生省当局に対し、深海性魚介類等(メヌケ類、キンメダイ、ギンダラ、ベニズワイガニ、エッチュウバイガイ及びサメ類)について暫定的規制値の適用除外方要望があり、厚生省から当会議に意見を求められたので、この問題について検討を行なつた。
水産庁の趣旨は、深海性魚介類等は漁獲量が僅少であり、またその含有している水銀は天然に由来するものであるとのことであつた。しかし当会議としては、魚介類全般の安全性を確保する見地から総合的に検討されなければならないものと考えた。
そこで最近の調査結果によつてこの問題を考察してみると、国民の通常の食生活におけるメチル水銀摂取量は厚生省がとりまとめた流通市場の魚介類検査成績によると○・○四ミリグラム~○・○六ミリグラム/週と試算され、暫定的摂取量限度である○・一七ミリグラム/週よりかなり下廻つており通常の食生活をつづける限りにおいては健康被害を生ずるおそれはないものと考える。
このような見地からみれば前記深海性魚介類等が暫定的規制値を上廻つているとしても、その摂取量の実態からみてまぐろ類と同じ取扱いとすることも許容できるものと考える。しかしながら、このことは、まぐろ類及び深海性魚介類等の消費量及び水銀濃度の現状に立脚したものであるから、今後ともこれらについて観察を続ける必要がある。
なお、漁業従事者等これらの魚介類を常時多量に摂取するとみられる者については、適切な食生活指導を行なうことが必要である。