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○カビ毒(アフラトキシン)を含有する食品の取扱いについて

(昭和四六年二月二三日)

(環食第九〇号)

(各都道府県・各指定都市衛生主管部(局)長あて厚生省食品衛生課長通知)

被カビ食品、カビ毒含有食品の有害性及びこれらの検査方法については、かねてより調査研究をつづけており、アフラトキシン等一部のカビ毒は強い発ガン性を有することは既に周知のとおりであり、被カビ食品の検査法等については特殊技術講習会等によりその徹底を期して来たところである。

さて、このたびガン研究助成金による発ガン因子に関する研究の一環として食品中のアフラトキシンの検査が行なわれた結果、左記1の食品から三~四一・六PPbのアフラトキシンが検出され、その存在が確認された。

ついては、これらカビ毒による汚染食品に対する食品衛生上の取扱いを、食品衛生調査会に諮問する等して至急対策を講ずべく準備中であるが、その性質にかんがみ、左記2のような暫定的な措置及び対策を講ずることとしたので御了知のうえ万全を期されたい。

なお、アフラトキシンの毒性等一部の関係資料を別紙のとおりとりまとめたので、これらの事情を勘案のうえ、消費者等に対する指導にあたつても遺憾なきよう期されたい。

1 アフラトキシンを検出した食品

(1) 品名 ソントンネオピーナツバター、ソントン加糖ピーナツバター、ピークル(パン用フラワーペースト)、ピーナツチョコレート

製造者名及び所在地

ソントン食品工業 東京都墨田区緑一―二―五

検査結果

3~41・6PPb

(2) 品名 全糖カセイのフラワーペースト

製造者名及び所在地

カセイ食品株式会社

東京都大田区多摩川二―一九―一○

検査結果

9PPb

2 措置及び対策

(1) 前記食品については販売停止の措置を講ずること。

(2) 同社の類似食品(ピーナツを原料とするものに限る。)についても同様の措置を講ずること。

(3) (1)及び(2)についてはその後の取扱いにつきおつて指示する。

(4) 類似の食品を製造する施設が存する場合は立入検査等により原料の仕入状況、処理状況、製造工程等につき調査を行ない、その結果を食品衛生課長あてすみやかに報告すること。

別紙

参考事項

1 アフラトキシンの毒性

米国におけるG.N.Wogan(マサチューセッツ工科大学)の動物実験では、ラットにアフラトキシンを15ppb(ppmの1/1,000)含んだ飼料を連日投与したところ、♀82週、♂68週で100%発がんする報告がある。これは、ラットを300gとし、飼料の1日摂取量を10~20gとすると0.2μg\day\ラットとなる。

2 アフラトキシンの急性毒性

広い範囲の動物に肝障害を起こすが、その感受性は動物の種類により異なり、幼若動物は成熟動物よりも、また、♂は♀よりも感受性が高い。

最も感受性の高いアヒルヒナにおける経口急性毒性を体重1kgあたりに換算して示すと、LD50=240μgであると報告されている。

特徴的病理所見としては、肝小葉周辺性壊死、胆管上皮細胞の異常増殖がみられる。(新思潮社発行「加工食品と食品衛生」)

3 アフラトキシンに対する各国の規制

FAO.WHOにおいて、勧告案として30ppb以下が検討されている模様である。

米国は業界に対するガイドラインとして20ppb以下を設けている。

その他の国におけるアフラトキシンに対する基準は、飼料については2~3あるが、食品については明確でない。

4 目下の調査研究状況

(1) 本件に関する調査をさらに継続中である。

(2) 国内産の食品のうち、アフラトキシンの汚染が懸念されるものについて、今年度より食品衛生調査研究費により調査を実施中である。