アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○自動車による食品の移動販売に関する取扱要領について

(昭和四二年三月三日)

(環乳第五〇一六号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

近年都市部への人口の集中及び生活形態の変化などにより、大規模な移動店舗ともいうべき食品の移動販売用自動車の利用が増加する傾向にある。

これらの特殊自動車に対して食品衛生法第二一条に基づいて許可を与えるに当たっては、当然従来定められている施設基準に準じ食品衛生上支障のないような施設につき許可しているものと思われるが、その許可条件が食品衛生法本来の目的からみて必ずしも適正であるとは言い難いものも見受けられる。この際その取扱いに遺憾なきを期するため、次のような取扱要領を定めたのでこれを参考として食品衛生の維持向上のために努力せられたい。

自動車による食品の移動販売に関する取扱要領

第一 目的

この要領は、自動車に販売施設を設けて食品を販売する形態の営業について、必要な取扱い方針を定めることによって食品衛生法(以下「法」という。)の円滑な運営をはかり、もって飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止することを目的とする。

第二 対象

この要領は、法上許可業種とされている食肉販売業、魚介類販売業及び乳類販売業のうち、自動車(道路運送車両法第二条第二項に定めるものをいう。以下同じ。)に販売施設を設けて出店予定地を巡回販売する形態のものを対象とする。

第三 取扱方針

自動車を利用した移動販売営業については、固定店舗と同程度の衛生水準が維持できるものであれば許可する方針であるが、固定店舗を主たる対象として設けられた現行の施設基準を適用するにあたっては、施設基準及びその運用方法について再検討を加え、その営業形態の特殊性を考慮して現実的な観点から所要の措置を講ずるものとする。その際、当該営業について営業場所の極端な制限を行なう等公衆衛生の見地を逸脱するような条件を付してはならない。

1 営業許可

(ア) 移動販売車(以下「営業車」という。)は一台ごとに、かつ、業種ごとに許可を要するものとすること。

(イ) 営業許可にあたっては、法第二一条第三項の規定にもとづき、飲食に起因する衛生上の危害を防止するために必要な限度において、品目の制限その他の条件を付することができること。なお、取扱品目に関する条件を付する場合には、次のようなものが考えられること。

食肉販売業にあっては、あらかじめ包装したものに限って取扱うこと。魚介類販売業にあっては、車内で調理加工を行なわず、取扱う生食用の魚介類はあらかじめ包装したものに限ること。

(ウ) 営業許可は、営業車の属する主たる固定施設の営業所またはこれに代る当該営業車を管理する事務所等(以下「営業所等」という。)の所在地を管轄する都道府県知事(政令市長を含む。以下同じ。)が行なうものとすること。営業所等の所在地以外の都道府県の管轄区域にも移動して営業を行なう場合には、改めて当該都道府県知事の許可を要するものとすること。

(エ) 法施行規則第二○条第一項第二号に規定する「営業所所在地」には、営業所等の所在地を記載させること。その他監視指導の必要に応じて常時当該営業車の営業場所、営業日及び時間並びに販売を行なう食品の積み込み場所等を届出させること。

2 施設について

営業車は固定店舗と販売形態を異にするので、その販売形態の特殊性を考慮して、特に次の事項に留意して施設基準の取扱要領等の整備を計ること。

(ア) 営業車は防塵、防虫、防そ設備を設けること。

(イ) 営業車内の設備を衛生的に管理するために、換気、採光に必要な設備を設けること。

(ウ) 営業車内で営業する業種が二以上である場合は、業種ごとに区分して販売食品の保存、陳列等ができること。

(エ) 営業車には、飲用に適する水を十分供給することのできる容積の貯水槽を有した流水式手洗設備を設け、かつその汚水が衛生的に処理できるようにされていること。

(オ) 営業車には、取扱食品を常に摂氏一○度以下に冷却保存できる能力のある冷蔵施設を設けること。この冷蔵施設には冷蔵温度を正確にはかることができる温度計を備えていること。

第四 監視指導

1 許可を与えた営業者に対しては、その施設の状況のみならずその運営管理について十分な監視指導を行なうことにより、食品衛生の万全を期すること。

(ア) 機動力を有するためにその営業の範囲が広域にわたるので、管内の保健所間はもちろん関係都道府県との連絡協調を密にして、その監視態勢を強化する措置を講ずること。

(イ) 営業車の移動の経路、営業を行なう場所及び日時食品の積み込み場所並びに仕入先、連絡場所または管理事務所等を常に把握し、監視指導に遺憾のないよう努めるとともに、事故発生時の処置が速かに講ぜられるよう措置しておくこと。

第五 その他

「昭和三五年一○月二○日衛乳第五二号

食品衛生課長

通知

乳肉衛生課長

食品衛生法第二○条の規定に基づく施設基準について」

及び「昭和三六年九月一四日環乳第二○号

乳肉衛生課長通知

魚介類行商の疑義について」は廃止する。