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○食品衛生法第二〇条、第二一条及び第三六条の規定による営業許可の運営について
(昭和二四年二月三日)
(衛発第一二五号)
(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通知)
首題の件に関しては、既に昭和二三年八月五日厚生省発衛第六号通知「食品衛生法施行に関する件」第六「営業許可に関する事項」によつて指示されてあるが、なおその実際上の処理について遺憾の点が見受けられるから、今後は、前記通牒に併せ、左記により取り扱われたい。
記
1 規則第一九条に規定する許可営業の解釈について
(イ) 喫茶店営業中には削氷営業を含む。
(ロ) 食肉販売業にいう食肉とは獣鳥の生肉(骨及び臓器を含む。)をいい、魚介類(海獣を含む。)生肉はこれを含まない。
(ハ) 削除
2 許可営業の対象の範囲について
(イ) 食品衛生法の規定による営業許可制度の本旨よりして法第二〇条に規定する施設の基準は国民の保健衛生上必要な最低限度の要求であるはずだから、その営業が固定店舗たると否とを問わず、規則第一九条に規定する業種に該当するものである限り、許可の対象となるべきものである。従つて露店等で従来飲食物営業取締規則等により許可をうけて営業を営むべきものであるに拘らず許可を受けずにいたり、また、許可を受けていても今回設定の施設の基準に違反となる者が甚だ多いが、かかる場合施設の改善を援助指導して許可の基準に達せしめるよう努力されるとともに、これに達せないもので新たに許可を必要とするものに対しては営業許可を与えず、法第三六条により許可を受けた者とみなされた者に対しては改善命令を出し、又は必要により許可を取り消す等、行政処分を行うことは当然である。なお、季節的或は一時的店舗についても同様である。今後はかかる施設の基準に違反する許可営業の新たに増加することを絶対に禁圧するとともに、飲食営業は手軽に出来る営業であるとの観念の打破に努められたい。
(ロ) 昭和二三年八月一三日衛発第八八号別途通牒した通り、日本政府の行政法規は日本国内に居住する占領軍将兵及びこれに附属し若しくは随伴する連合国人を除いてはすべての外国人にも適用せられるものであるから、中国人、朝鮮人その他の外国人が規則第一九条に規定する営業を営む場合は本法の許可を受けなければならない。
(ハ) 他省の直轄地域内において営業する者についても本法は適用せられ、従つて規則第一九条の営業を営む場合はその許可を受けなければならない。
3 許可事務について
(イ) 法第二一条の営業許可の制度は食品衛生行政を適切に効率的に運営する為に設けられたものであつて、これは食品衛生行政の一つの手段にすぎないものであることに注意を要する。
(ロ) 従つて営業許可可否決定のためには食品衛生監視員による営業施設の実施検査は、必ず行わるべきものであり、その目的も前述の通りであるから、その「実務」は当然食品衛生行政担当課係にて行わるべきものである。
(ハ) 営業許可の指令には「食品衛生法第二一条による」ことを明記し他の法律による営業許可をも一括して与えたものでないことを明らかにすることを要する。なお、許可は知事名によるものであつて都道府県名ではない。
4 法第二一条第三項の規定による許可の条件について
(イ) 営業許可は営業者の申請に対してそれぞれ個々に行われる行政行為であり、また、これに附する条件はその個々の許可の内容の一部である。従つて法第二一条第三項の規定による「二年を下らない有効期間その他必要な条件」は許可の内容として、個々の許可指令毎に実情に即して出さるべきものであつて、例えば飲食店営業の許可期限は三年とするという如く、これを都道府県規則その他をもつて一般的に規定することは適当でない。
(ロ) 「二年を下らない有効期間」を附するのは営業施設が日時の経過とともに朽廃すること等を考慮して設けられた規定であるから、食品衛生監視員をして個々の営業施設を実地検査せしめた後、それぞれ決定すべきものである。ただし、施設基準の水準は逐次向上せしめられるべきものであり、この期間は一〇年以上とすることは一応避けられたい。
(ハ) 「その他の条件」には次の如きものが考慮されるべきである。
1 都道府県知事が規則第一九条の規定による許可営業について、それを更に細分した業種別に基準を制定する場合、例えば飲食店営業について外食券食堂、一般食堂等の基準と仕出し屋の基準とを一部又は全部区別して制定する場合等には許可の指令は規則第一九条各号の規定による営業名とし、細分した業種別名を条件として、許可範囲の制限とすること。
2 営業の許可を受けた後半年以上も特別な理由がなくて営業を開始しない場合とか、半年以上特別な理由がなくて休業した場合、営業許可を取り消しうる旨の条件を附すること。
3 その他個々の営業者に対してそれぞれ特に必要な遵守事項を附すること。
(ニ) 許可営業の廃業の届出は、法第二一条の都道府県知事の許可行為に伴う必要な処置であるから、都道府県規則を以つて制定しても差し支えない。
(ホ) 法第三六条の規定により許可を受けたとみなされる営業者にはそのままでは条件を附することは出来ない。新規許可営業者との不均衡は後述「五の(ハ)」の適用により別途調整すべきである。
5 法第三六条について
(イ) 本条にいう旧法とは法第三五条によつて廃止された法律即ち「飲食物その他の物品取締に関する法律」を指すのであつて、他省管轄下の法令や、現に効力を有する飲食営業緊急措置令(昭和二二年政令第一一八号)を意味しない。
(ロ) 本条の規定により「旧法に基いて発せられた命令の規定による営業の許可を受けて、当該営業をこの法律施行の際現に営んでいる者」を許可をうけた者とみなすのは既得権を尊重するのは勿論ながら、それらの命令が一定の衛生施設を要求しており、また、営業の施設がそれに合致しているものであることを前提として、一々許可を更新する煩を避けたものである。従つて法第二〇条により都道府県知事の新たに制定する施設の基準に合わないときには、当然法第二四条の規定により施設の改善を命じ、その他の処分をなすべきである。国民の保健衛生の立場よりしても、また、新規許可営業者との均衡の見地よりしてもこれ等の規定により許可を受けたものと見なされる営業者の再検討は至急実施せねばならない。
(ハ) 法第三六条の規定により許可を受けたものと看做される営業者でも法第二二条乃至法第二四条の規定により一旦その許可を取り消された場合、再びその営業を行うとするときは新たに許可を申請しなければならないのであつて、この際は当然新規の許可営業者として取り扱われるものである。
(ニ) 本年一月一日以降七月一三日迄の間に規則第一九条の規定する営業を開始した者は、七月一三日以後は許可なくて営業は出来ないから、これは当然新規に許可を要する営業者として取り扱われるべきである。
6 他の営業許可制度との関係について
(イ) 食品衛生関係の営業のうち一部のものは、飲食営業緊急措置令、風俗営業取締法等による許可をも要求せられている。これらの許可は、それぞれ別個の立場から独立に要求されているものであつて、個々の営業に必要とされるすべての許可を具備して初めて営業が出来るものであり、一つを欠いても営業は営めないのである。従つて規則第一九条に規定する営業を本法の許可を受けないで営んでいる者に対しては、たとえ他の法令による許可を受けていてもそれにかかわりなく、法第三一条第一号の規定により無許可営業として処理すべきものである。
(ロ) 食品衛生法による許可営業はその営業施設の良否が利用者の生命、健康に直接、かつ、多大の影響を及ぼし、公衆の利害に関与することが最も深いものであるから、独自の立場で厳正に制定しなければならないことは勿論であるが、なお、他の許可との関係についても十分連絡されたい。