アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(平成一〇年一一月二五日)

(生衛発第一六七四号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省生活衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年厚生省告示第三七〇号)の一部が、それぞれ平成一〇年一一月二五日厚生省令第九〇号及び厚生省告示第二五九号をもって改正され、あわせて、「卵選別包装施設の衛生管理要領」及び「家庭における卵の衛生的な取扱いについて」を策定したので、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の趣旨

近年、サルモネラによる食中毒が増加傾向を示し、なかでも、サルモネラ・エンテリティディスによる食中毒が増加傾向にあること、また、原因食品については、「卵類及びその加工品」が増加していること等が指摘され、卵及び卵加工品によるサルモネラ食中毒の発生防止のための総合的な対策の推進が急務となっている。このため、食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正し、新たに鶏の卵についての表示基準、鶏の液卵についての規格基準を設ける等所要の措置を講じたものである。

第二 改正の内容

1 食品衛生法施行規則関係

(1) 食品衛生法(昭和二二年法律第二三三号)第一一条に基づき表示が必要とされる食品として、別表第三を改正し、第一〇号として、新たに鶏の卵を追加したこと。なお、ここでいう鶏の卵には、鶏の殻付き卵のほか、これまで第一〇号ロに包含されていた鶏の液卵を含むものであること。

(2) 鶏の殻付き卵の表示について

鶏の卵を別表第三に追加したことに伴い、食品衛生法施行規則第五条を改正し、新たに表示を義務付けることとなった事項の概略は以下のとおりであること。

ア 鶏の殻付き卵については、消費期限又は品質保持期限(賞味期限を含む。以下同じ。)である文字を冠したその年月日を表示することとしたこと。

イ 加熱加工用の鶏の殻付き卵については、消費期限又は品質保持期限の代わりに産卵日、採卵日、格付け日又は包装日を記載することができることとしたこと。

ウ 製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名については、採卵又は選別包装を行った施設の所在地(輸入品にあっては、輸入業者の営業所所在地)及び採卵又は選別包装を行った者(輸入品にあっては、輸入業者)の氏名を表示することとしたこと。

エ 生食用の鶏の殻付き卵については、生食用である旨を表示することとし、あわせて、品質保持期限経過後は飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨も記載することとしたこと。

オ 生食用の鶏の殻付き卵については、特に家庭又は飲食店営業者等直接消費者に生食用の卵を用いて客に料理等を提供する者に対して、卵の適正な取扱いを周知するため、一〇℃以下で保存することが望ましい旨の表示をすることとしたこと。

カ 加熱加工用の鶏の殻付き卵については、加熱加工用である旨及び飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨の表示をすることとしたこと。

キ 鶏の殻付き卵については、名称の表示を省略できることとしたこと。

(3) 鶏の液卵の表示について

ア 殺菌したものについては、その殺菌方法を表示することとしたこと。

イ 未殺菌のものについては、未殺菌である旨及び飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨の表示をすることとしたこと。

ウ 期限表示については、これまで省略できることとされていたが、表示しなければならないこととしたこと。

2 食品、添加物等の規格基準関係

(1) 食品一般の製造、加工及び調理基準について

ア 食品の一般の製造、加工及び調理基準に新たに鶏の殻付き卵の基準を設け、食品の製造、加工又は調理に使用する鶏の殻付き卵は、食用不適卵(腐敗している殻付き卵、カビの生えた殻付き卵、異物が混入している殻付き卵、血液が混入している殻付き卵、液漏れをしている殻付き卵、卵黄が潰れている殻付き卵(物理的な理由によるものを除く。)及びふ化させるために加温し、途中で加温を中止した殻付き卵をいう。以下同じ。)であってはならないこととしたこと。

イ 鶏の殻付き卵又は未殺菌液卵を使用して食品を製造、加工又は調理する場合は、その工程中において七〇℃で一分間以上加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならないこととしたこと。

ただし、品質保持期限内の生食用の正常卵を使用して割卵後速やかに調理し、その食品が調理後速やかに摂取される場合は除かれるものであること。なお、この場合において、正常卵とは食用不適卵、汚卵(ふん便、血液、卵内容物、羽毛等により汚染されている殻付き卵)、軟卵(卵殻膜が健全であり、かつ、卵殻が欠損し、又は希薄である殻付き卵)及び破卵(卵殻にひび割れが見える殻付き卵)以外の鶏の殻付き卵をいうこと。

(2) 鶏の液卵の規格基準について

ア 鶏の液卵の成分規格

鶏の液卵を「殺菌液卵」及び「未殺菌液卵」に分け、それぞれサルモネラ属菌、細菌数(生菌数)による成分規格を設けたこと。

この場合、サルモネラ属菌に係る試験については、平成五年三月一七日付け衛乳第五四号に示す試験法により、また、細菌数(生菌数)に係る試験については、食品、添加物等の規格基準の第一食品の部D各条の項の○氷雪の成分規格の目の(3)に示す試験法により行うこと。

イ 鶏の液卵の一般製造基準

(ア) 製造に使用する鶏の殻付き卵は、食用不適卵であってはならないこととしたこと。

(イ) 製造に使用する原料殻付き卵については、①正常卵、②汚卵、③軟卵及び破卵の三種類に選別することにより、規定された時間内での割卵や汚卵の洗浄を適切に行うこととしたこと。

ウ 鶏の液卵の個別製造基準

(ア) 機械を用いて割卵する場合は、遠心分離方式及び圧搾方式で行ってはならないこととしたこと。

(イ) 未殺菌液卵の製造に使用する汚卵、軟卵及び破卵については、殺菌液卵と異なり、施設に搬入した後は、速やかに割卵しなければならないこととしたこと。

(ウ) 未殺菌液卵については、割卵後は速やかに八℃以下に冷却することとしたが、割卵後の充てんについても速やかに行うこと。

エ 鶏の液卵の保存基準について

鶏の液卵は八℃以下(冷凍した鶏の液卵にあっては、マイナス一五℃以下)で保存しなければならないこととしたこと。

オ 鶏の殻付き卵の使用基準について

飲食店営業施設等において、鶏の殻付き卵をそのままの状態で客に飲食させる場合にあっては、品質保持期限を経過していない生食用の正常卵を使用しなければならないこととしたこと。

第三 運用上の注意

1 食品衛生法施行規則関係

(1) 生食用の鶏の殻付きの消費期限又は品質保持期限の表示に当たっては、生食しても食品衛生上の問題の生じることのない期限であって、かつ、卵の品質の保持が十分に可能であると認められる期限を表示すること。

(2) 鶏の卵の消費期限又は品質保持期限の設定については、科学的な根拠に基づき、設定する必要があること。

(3) 鶏の殻付き卵について、選別包装を行った施設の所在地を表示する場合にあっては、食品衛生上の問題が生じた場合の遡り調査を容易にするため、選別包装を行った者は採卵を行った施設が特定できるよう必要な記録を作成すること。

(4) 鶏の殻付き卵については使用の方法、生食用の鶏の殻付き卵にあっては生食用である旨等を表示することとしたが、これらの表示については、「生で食べる場合は品質保持期限内に使用し、品質保持期限経過後は、十分に加熱調理する必要がある」旨の表示でも差し支えないこと。なお、生食用としての品質保持期限経過後は、できる限り速やかに消費するよう指導されたいこと。

(5) 生食用の鶏の殻付き卵については、特に家庭や飲食店等において、一〇℃以下で保存することが望ましい旨の表示をすることとしたが、営業者が流通過程で卵を一時的に冷蔵し、その後、冷蔵状態から高温多湿の環境下で流通させる場合にあっては、卵殻表面に結露が生じる等卵の品質に悪い影響を及ぼすことが懸念されることから、卵を冷蔵する場合にあっては、できる限り流通から消費に至るまで一貫して冷蔵流通することが望ましいこと。

(6) 加熱加工用の鶏の殻付き卵については、加熱加工用である旨及び飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨の表示をすることとしたが、この場合、表示内容を枠で囲んだり、太字で記載する等加熱殺菌が必要であることが使用者に明確になるようにすること。

(7) 食品の表示については、容器包装(容器包装が小売のために包装されている場合は、当該包装。以下同じ。)の見やすい場所に記載することとされているが、透明な容器に包装されている鶏の殻付き卵については、当該容器包装に内封されている表示書により、必要な表示事項が外部から容易に確認できる場合にあっては、当該表示書により表示を行っても差し支えないこと。

(8) 鶏の殻付き卵の名称については、省略できることとしたが、ダンボール箱等外部から確認できない容器包装にあっては、名称を表示することが望ましいこと。

(9) 鶏の液卵には、割卵しただけの状態のいわゆる液全卵ホールも含まれるものであること。

(10) 鶏の液卵の名称については、(ア)殺菌、未殺菌の別、(イ)凍結しているものにあってはその旨、(ウ)全卵、卵黄、卵白の別が分かるように記載すること。

(11) 殺菌した鶏の液卵については、その殺菌方法である殺菌温度、時間を表示すること。

(12) 加糖し、又は加塩した鶏の液卵については、その糖分又は塩分の含有量により殺菌温度、時間が異なることから糖分又は塩分の重量百分率について表示すること。

(13) 未殺菌の鶏の液卵については、飲食に供する際に加熱殺菌を要する旨の表示をすることとしたが、この表示については、加熱加工用の鶏の殻付き卵と同様、枠で囲ったり、太字で記載する等加熱殺菌が必要であることが使用者に明確になるようにすること。

2 食品、添加物等の規格基準関係

(1) 食品の製造、加工又は調理に使用する鶏の殻付き卵は、食用不適卵であってはならないこととしたが、食用不適卵のうち異物混入卵等食品の製造者等では判別が困難なものもあることから、食品の製造者等は、食品衛生法第一九条の一八第二項に基づき、都道府県知事が定める管理運営の基準及び「卵選別包装施設の衛生管理要領」を適正に遵守している卵選別包装業者等から的確に検卵が実施された卵を購入すること。

(2) 鶏の殻付き卵(品質保持期限内の生食用の正常卵を除く。)又は未殺菌の鶏の液卵を使用して食品を製造する場合等にあっては、七〇℃で一分間以上加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならないこととしたが、加熱殺菌する場合であっても割卵したまま常温で長時間放置せず、割卵後できる限り速やかに加熱殺菌すること。

(3) 殺菌液卵及び未殺菌液卵のサルモネラ属菌又は細菌数の成分規格については、製造施設からの出荷段階のみならず、流通段階においても当該成分規格を適用するものであること。

また、液卵製造業者は定期的に自主的な検査を実施し、規格に適合していることを確認するとともに、検査結果を記録すること。

(4) 鶏の液卵の製造に当たっては、原料の受け入れから製造、出荷に至るまで同一施設内で行うこと。

(5) 鶏の液卵の製造に当たって、機械を用いて割卵する場合は、遠心分離方式及び圧搾方式で行ってはならないこととしたが、これは遠心分離方式等で卵殻と液卵を分離することによる液卵の微生物汚染を防止するための措置であること。

(6) 殺菌液卵については、自記温度計等により規定された温度、時間で殺菌されていることを確認し、記録すること。

(7) 規定された殺菌温度、時間以外の殺菌温度、時間で殺菌液卵を製造する場合にあっては、当該製造方法について、同等の殺菌効力を有する方法であることを科学的なデータに基づき確認した上で製造すること。

(8) 冷却後、鶏の液卵を容器包装に充てんする場合は、殺菌した容器包装に充てんすることとしたが、殺菌効果を有する方法で製造された容器包装であって、使用されるまで微生物に汚染されるおそれのないように取り扱われたものにあっては、充てん時において改めて殺菌する必要はないこと。

(9) 鶏の液卵を容器包装に充てんする場合は、充てん後、直ちに密封しなければならないこととしたが、この場合、合成樹脂フィルム製の容器包装にあっては、ヒートシールにより密封を行うこと。

(10) 鶏の液卵を使用する食品製造業者等に対して、より確実なサルモネラ対策の実施という観点から、可能な限り殺菌液卵を使用するよう指導するとともに、未殺菌液卵製造業者に対しても未殺菌液卵から殺菌液卵の製造に移行することが望ましい旨指導されたいこと。

3 その他

(1) 生産段階における衛生対策のより一層の推進について、当職から農林水産省畜産局長に要請したところであり、食品衛生担当部局と農政担当部局の連携を密にし、対応されたいこと。

(2) 二歳以下の乳幼児や高齢者等に対しては、十分に加熱調理された卵料理を提供するよう関係事業者等を指導されたいこと。

第四 施行期日

これらの改正規定は、平成一一年一一月一日から施行されるものであること。

第五 卵選別包装施設の衛生管理要領について

衛生的な鶏の殻付き卵の流通に当たっては、卵選別包装施設における卵の的確な検卵等が重要なことから、別添1のとおり卵選別包装施設の衛生管理要領を策定したので、この要領に基づき関係事業者を指導されたいこと。

第六 家庭における卵の衛生的な取扱いについて

サルモネラ菌等による食中毒を防止するためには、家庭における卵の適切な取扱いが重要なことから、別添2のとおり、「家庭における卵の衛生的な取扱いについて」を作成したので、各都道府県等においてこれに基づき、消費者への普及啓発活動を積極的に行うこと。

第七 「食品衛生法に基づく表示指導要領」の一部改正

「食品衛生法に基づく表示について」(昭和五四年一一月八日付環食第二九九号厚生省環境衛生局長通知)別添「食品衛生法に基づく表示指導要領」の一部を次のように改正することとしたこと。

次のよう 略

別添1 略

別添2 略