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○食品衛生法施行規則並びに乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正について

(平成一〇年三月三〇日)

(生衛発第五四六号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生省生活衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号)並びに乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二六年厚生省令第五二号。以下「乳等省令」という。)の一部が、それぞれ平成一〇年三月二六日厚生省令第三〇号及び平成一〇年三月三〇日厚生省令第四五号をもって改正されたので、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の趣旨

近年における乳、乳製品等の製造方法の多様化や流通実態の変化、タール色素の製造技術の進歩等を踏まえ、「規制緩和推進計画の再改定について」(平成九年三月二八日閣議決定)において、食肉製品及び原料用魚肉すり身に係る表示事項の簡素化、タール色素の製品検査におけるロットを形成する最大量の見直し、乳、乳製品等に係る分類の見直し、表示事項の簡素化、多様な殺菌方法の容認、容器包装の材質制限の緩和等を行うこととされたことから、食品衛生法施行規則及び乳等省令の一部を改正し、所要の措置を講じたものである。

第二 改正の内容

一 食品衛生法施行規則関係

(一) 食肉製品及び原料用魚肉すり身の表示について

ア 食肉製品を製造し、又は輸入した後加工したものについては、製造所(輸入品にあっては、輸入業者の営業所。以下同じ。)及び加工所の所在地並びに製造業者(輸入品にあっては、輸入業者。以下同じ。)及び加工者の氏名(法人の場合は、その名称。以下同じ。)を表示することとされていたが、他の食品と同様、加工所及び加工者に関する表示がある場合には、製造所及び製造業者に関する表示を不要としたこと。

イ 一回の授受につき一〇個以上の容器包装(一個当たりの容量が二〇kg以上のものに限る。)に収められた原料用魚肉すり身を魚肉ねり製品製造業又はそうざい製造業の許可を受けた者に販売する場合にあっては、名称、製造所の所在地及び製造業者の氏名を除く表示事項について、営業者が取引上使用する伝票等の送り状への記載をもって、容器包装への記載に代えることができることとしたこと。

この場合、食品と送り状との同一性を確認するため、名称、製造所の所在地、製造業者の氏名及びロット記号その他の当該食品を識別できる記号を送り状及び容器包装の双方に記載する必要があること。また、送り状には、これらに加えて、当該食品の購入者の氏名及び住所を記載する必要があること。

(二) タール色素の製品検査におけるロットを形成する最大量について

タール色素の製品検査におけるロットを形成する最大量については、これまで三〇〇kgとされていたが、この最大量を撤廃することとしたこと。

二 乳等省令関係

(一) 乳製品の定義について

ア 乳清から乳糖を除去することによりたんぱく質を濃縮し、粉末状にしたものを「たんぱく質濃縮ホエイパウダー」とし、新たに乳製品として定義したこと。

イ アイスクリーム類の原料として、生山羊乳、殺菌山羊乳及び生めん羊乳を使用できるようにしたこと。これにより、乳等省令第二条第一項に規定するすべての乳がアイスクリーム類の原料として使用できるようになったこと。

(二) 乳等の表示について

ア 乳処理場(特別牛乳にあっては、特別牛乳搾取処理場。以下同じ。)の所在地の表示について、乳処理業者(特別牛乳にあっては、特別牛乳搾取処理業者。以下同じ。)の住所及び乳処理業者がその所在地の都道府県知事等を経て厚生大臣に届け出た乳処理場の固有の記号の記載をもってこれに代えることができることとしたこと。

イ 一回の授受につき一〇個以上の容器包装に収められた乳製品又は乳若しくは乳製品を主要原料とする食品のうち原料用に使用されるものを菓子製造業、乳製品製造業等の許可を受けた者に販売する場合にあっては、種類別(乳酸菌飲料にあっては乳等省令第七条第二項第三号イ又は第四号イに規定する事項、その他の乳又は乳製品を主要原料とする食品にあっては名称又は商品名。以下同じ。)、製造所の所在地及び製造業者の氏名を除く表示事項について、営業者が取引上使用する伝票等の送り状への記載をもって、容器包装への記載に代えることができることとしたこと。

この場合、食品と送り状の同一性を確認するため、種類別、製造所の所在地、製造業者の氏名及びロット記号その他の当該食品を識別できる記号を送り状及び容器包装の双方に記載する必要があること。また、送り状には、これらに加えて、当該食品の購入者の氏名及び住所を記載する必要があること。

(三) 成分規格並びに製造及び保存の方法の基準について

ア ジャージー種の牛から搾乳した生乳、ジャージー種の牛の乳のみを原料とする牛乳及び特別牛乳について、その比重を一・〇二八-一・〇三六に拡大したこと。

イ 新たに乳製品として定義するたんぱく質濃縮ホエイパウダーについて、乳固形分、乳たんぱく量、水分、細菌数及び大腸菌群の成分規格を規定し、乳たんぱく量については、乾燥重量において一五・〇%以上八〇・〇%以下としたこと。

ウ 加工乳、乳酸菌飲料及び乳飲料については、原料の混和後に加熱殺菌することとされていたが、混和前の原料の殺菌を認めるとともに、乳酸菌飲料及び乳飲料については、その殺菌方法として加熱以外の方法による殺菌を認めることとしたこと。また、乳飲料については、保存の基準として摂氏一二〇度で四分間加熱殺菌する方法またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法により加熱殺菌した場合には、一〇度以下での保存を要しないこととしたこと。

エ 牛乳、部分脱脂乳及び脱脂乳について認められている水蒸気を用いる超高温直接加熱殺菌をクリーム、濃縮乳及び脱脂濃縮乳についても認めることとしたこと。

オ 加工乳に使用できる原料として、添加物を使用していないバターミルク及びバターミルクパウダーを追加したこと。

(四) 容器包装について

ア 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳及びクリームの販売用の容器包装について、エチレン・一―アルケン共重合樹脂(いわゆる直鎖状低密度ポリエチレン)及びエチレン・一―アルケン共重合樹脂加工紙製容器包装の使用を認めるとともに、クリームについては、あわせて金属缶の使用も認めることとしたこと。また、組み合わせ容器包装についても、使用できる材質の拡大に合わせ、所要の改正を行ったこと。

また、内容物に直接接触する部分に使用する添加剤について、遮光性を高めることにより食品の劣化を防止するため、食品、添加物等の規格基準に規定する成分規格に適合する二酸化チタンの使用を認めることとしたこと。

なお、エチレン・一―アルケン共重合樹脂及びエチレン・一―アルケン共重合樹脂加工紙製容器包装についての重金属、蒸発残留物等の各試験法については従来のポリエチレン製容器包装及びポリエチレン加工紙製容器包装の試験法を適用することとし、金属缶についてははつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の販売用の金属缶の試験法に規定されている重金属、蒸発残留物等の各試験法を準用することとしたこと。

イ はつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の販売用の容器包装であって、合成樹脂製容器包装、合成樹脂加工紙製容器包装及び合成樹脂加工アルミニウム箔製容器包装の内容物に直接接触する部分について、エチレン・一―アルケン共重合樹脂の使用を認めることとしたこと。

ウ 調製粉乳の容器包装についても、金属缶の開口部の密閉に使用する合成樹脂及び合成樹脂ラミネート容器包装であって内容物に直接接触する部分について、エチレン・一―アルケン共重合樹脂の使用を認めることとしたこと。

第三 「食品衛生法に基づく表示指導要領」の一部改正〔略〕

第四 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令に基づく表示指導要領」の一部改正〔略〕

第五 運用上の注意

一 ホエイパウダー及びたんぱく質濃縮ホエイパウダーについては、それぞれ改正後の乳等省令第二条第三二号及び第三三号に規定する製造過程を経たものであれば、脱塩工程の有無に係わらないものであること。

二 乳処理業者の住所及び乳処理場の固有の記号の表示をもって乳処理場の所在地の表示に代える場合における当該固有の記号は、当該乳処理場と同一の施設についてすでに乳製品又は乳等を主要原料とする食品に係る製造所固有の記号を厚生大臣に届け出ている場合においては、これと同一の記号とすること。

三 タール色素の製品検査におけるロットとは、同一製造期間に一連の製造工程により、均質性を有するように製造されたものの一群であること。

第六 施行期日

食品衛生法施行規則の一部を改正する省令並びに乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令は、本年四月一日から施行すること。