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○食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(平成八年九月二日)

(衛化第九五号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局食品化学課長通知)

食品、添加物等の規格基準(昭和三四年一二月厚生省告示第三七〇号)の一部が平成八年九月二日厚生省告示第二二一号をもって改正され、その運用については平成八年九月二日衛化第九三号をもって厚生省生活衛生局長より各都道府県知事、政令市市長及び特別区区長あて通知されたところであるが、さらに左記の点に留意の上、その取扱いに遺憾のないようにされたい。

第一 残留基準値

今回、イマゾスルフロン等三一農薬(別紙)に係る基準値を定めたところであるが、そのうち、カプタホールについては、食品衛生調査会において当該品目に係る一日摂取許容量(ADI)が取り消されたことから、既に設定されていただいこん類等五農産物に係る基準値をいずれも不検出に改正するとともに、その他の農産物についても基準値を不検出としたこと。

第二 試験法

一 改正の概要

(一) 基準策定農薬の試験法について

今回新たに、イマゾスルフロン及びベンスルフロンメチル試験法等一八試験法を追加するとともに、既存の五試験法について次のとおり改正したこと。

① 有機リン剤の多成分試験法の分析対象農薬として、カズサホス、ジメチルビンホス、ピラクロホス、ブタミホス、ホスチアゼートの五農薬を追加したこと。

② 含窒素農薬の多成分分析法については、分析対象農薬にテニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾールの三農薬を追加したほか、抽出法にセライトろ過の採用と茶の抽出法の追加を行い、精製法においてカラム溶出溶媒を変更することにより複数の分画を一つに集める操作をなくし、キャピラリーカラムの液相の変更その他操作条件の変更等を行ったこと。

③ トリアジメノール及びプロピコナゾール試験法について、分析対象農薬にジフェノコナゾールを追加したほか、熱伝導度検出器を廃止し、ジクロロメタンからn―ヘキサンに転溶溶媒を変更し、茶の抽出法の追加、精製法の追加、キャピラリーカラムの液相の変更等を行ったこと。

④ 塩素剤の試験法について、分析対象農薬からカプタホール、キャプタン及びクロルベンジレートを削除し、テフルトリン及びハルフェンプロックスを追加したほか、抽出法にセライトろ過の採用、抽出溶媒の変更、茶の抽出法の追加、キャピラリーカラムへの変更、定性試験の操作条件の削除、ガスクロマトグラフ・質量分析計を用いた確認試験への変更等を行ったこと。

⑤ カプタホール、キャプタン及びクロルベンジレート試験法を塩素剤試験法から独立させ、従来の試験法に比べ、カプタホール及びキャプタンが検体磨砕時に分解することがないようリン酸を用いた抽出法を新たに採用したほか、抽出溶媒の変更、セライトろ過の採用、キャピラリーカラムへの変更、検出器の変更等を行ったこと。

(二) 試薬・試液について

塩素剤の試験法の改正に伴い、試験法の目の「(一)検体」の次に「(二)試薬・試液」の項を起こし、各個別試験法中の「二 試薬・試液」に記載されている試薬・試液を原則としてこの項に移したこと。ただし、調製操作が規定されている試薬・試液等は、個別試験法の「二 試薬・試液」に記載したこと。

二 分析上の注意事項

(一) 一般的注意事項

残留農薬分析に際しては、植物成分による農薬の分解、吸着等を防止するために、検体を細切均一化した後は速やかにアセトン等の溶媒を添加し抽出操作に移る必要があること。また、水分を含有する抽出液を長時間放置しないよう注意する必要があること。特に、玄米等では粉砕後徐々に分析妨害物質が増加する可能性があるので留意すること。

(二) 個別試験法毎の注意事項

① カプタホール、キャプタン及びクロルベンジレート試験法

クロルベンジレートだけを試験対象とする場合はリン酸溶液を添加する必要はないこと。

② テクロフタラム試験法

電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフィーでテクロフタラムイミドを測定する場合、ガラスインサートへの吸着のため感度が変動しやすいので、試料液と標準液を交互に注入して再現性を確かめてから定量を行う必要があること。

③ フルオルイミド試験法

フルオルイミドは細切均一化試料中で不安定であり、中性から弱酸性で比較的安定であると報告されているため、リン酸酸性溶液中で細切均一化すること。試料を保存する場合は、細切均一化せずに、一cm角程度に切った状態で保存した方が分解による損失を少なくできること。

④ プロヘキサジオンカルシウム塩試験法

試料を粉砕するときは、農薬の分解及び試料成分の変化を防止するため、熱を生じない方式の粉砕機を使用する必要があること。粉砕からn―ヘキサン及び酢酸エチルの混液(七:三)による再抽出までの操作を速やかに行う必要があること。

⑤ ベンフレセート試験法

試料を粉砕するときは、農薬の分解及び試料成分の変化を防止するため、熱を生じない方式の粉砕機を使用する必要があること。粉砕からn―ヘキサンによる再抽出までの操作を速やかに行う必要があること。

三 検出限界

今回残留基準を設定した各農薬の検出限界を別紙に示すので、試験を行う際に留意すること。

第三 適用期日

平成九年三月一日から適用すること。

(別紙)

31品目の検出限界

農   薬   名       検出限界濃度[ppm]

1 イマゾスルフロン        0.01

2 イミベンコナゾール       0.01(抹茶0.05)

3 エトフェンプロックス      0.02(茶0.1)

4 カズサホス           0.01

5 カプタホール          0.01

6 キンクロラック         0.01

7 ジクロメジン          0.02

8 ジフェノコナゾール       0.01(抹茶0.05)

9 ジメチルビンホス        0.04

10 シロマジン           0.02

11 シンメチリン          0.005

12 テクロフタラム         0.01

13 テニルクロール         0.01

14 テブフェノジド         0.05(茶0.25)

15 テブフェンピラド        0.01

16 テフルトリン          0.01

17 トリシクラゾール        0.02

18 パクロブトラゾール       0.005

19 ハルフェンプロックス      0.02(茶0.1)

20 ピクロラム           0.005

21 ピラクロホス          豆類     0.1

                     果実・野菜  0.05

                     茶      0.2

22 ピリデート           0.01(なたね0.05)

23 ブタミホス           0.01

24 フルオルイミド         0.04(茶0.2)

25 フルシラゾール         0.01

26 フルスルファミド        0.005

27 プロヘキサジオンカルシウム塩  0.02

28 ペンシクロン          0.1

29 ベンスルフロンメチル      0.02

30 ベンフレセート         0.02

31 ホスチアゼート         0.02