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○食品衛生法施行規則等の一部改正について

(平成七年二月一七日)

(衛食第三一号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省生活衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号)、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二六年厚生省令第五二号。以下「乳等省令」という。)及び栄養改善法施行規則(昭和二七年厚生省令第三七号)の一部が、別添のとおり、食品衛生法施行規則等の一部を改正する省令(平成六年一二月二七日厚生省令第七八号。以下「改正省令」という。)をもって改正され、食品衛生法施行規則第五条第一項第一号ロ及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令第七条第二項第二号ホの規定に基づき、厚生大臣が定める文字を定める件が平成七年二月一七日厚生省告示第一九号により告示(以下「告示」という。)されたので、左記の事項に十分留意の上、貴管下関係者に対する周知徹底をはじめ、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の趣旨

食品衛生法に基づく食品等の日付に係る表示の基準については、原則として、製造又は加工の年月日等を表示することとされてきたところであるが、近年の食品の製造・加工技術の進歩等を踏まえ、食品の安全衛生を確保する上で、品質保持に係る情報としては、製造年月日等を表示することよりも、品質保持が可能な期限の表示を行うことの方が有用となってきたため、現行の製造年月日等の表示に代えて、消費期限又は品質保持期限の期限表示を行うこととしたものである。

また、栄養改善法に基づく特殊栄養食品の標示事項のうち、日付標示についてもこれに準じた改正を行うとともに、食品衛生管理者の資格要件の改正を行ったものである。

第二 改正の要点

1 食品衛生法施行規則関係

(1) 食品等の表示基準の改正について

① 日付に関する表示の基準の改正について(第五条第一号ロ関係)

別表第三に定める食品又は添加物であって販売の用に供するもの(以下「食品等」という。)については、現行の製造又は加工の年月日(輸入品であって製造又は加工の年月日が分からないものにあっては、輸入年月日。以下「製造年月日等」という。)に代えて、次のいずれかの期限(以下「期限」という。)を示す旨の文字を冠したその年月日の表示(以下「期限表示」という。)を行うこととされたこと。従って、従前の製造年月日等の表示は必要ないものであること。

ア 消費期限

定められた方法により保存した場合において品質が急速に劣化しやすい食品等にあっては、消費期限(定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の食品等の劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。以下同じ。)である旨の文字を冠したその年月日

イ 品質保持期限

アに規定する食品等以外の食品等にあっては、品質保持期限(定められた方法により保存した場合において、食品等のすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。以下同じ。)である旨の文字(当該期限と同一の期限を示す文字として適当であるものとして厚生大臣が定める文字を含む。3及び4並びに第三の3の(3)を除き、以下同じ。)を冠したその年月日

② 保存方法の表示の改正について(第五条第一号ヘ関係)

期限表示は、定められた方法により保存することを前提とするものであることから、期限表示に併せて保存の方法(法第七条第一項の規定により保存の方法の基準が定められている食品等にあっては、その基準に合う保存の方法)を表示することとされたこと。

③ 製造又は加工の日から品質保持期限までの期間が三月を超える場合の品質保持期限の表示について(第五条第三項関係)

製造又は加工の日から品質保持期限までの期間が三月を超える場合にあっては、品質保持期限である旨の文字を冠したその年月の表示をもってその年月日の表示に代えることができるものとされたこと。

④ 期限表示の省略等について(第五条第四項関係)

ア 別表第三第一号に掲げる食品(マーガリン)、同表第三号に掲げる食品(清涼飲料水)のうち缶詰のもの並びに同表第四号(食肉製品)、第五号(魚肉ハム、魚肉ソーセージ及び鯨肉ベーコンの類)、第九号(容器包装詰加圧加熱殺菌食品(食品(清涼飲料水、食肉製品、鯨肉製品及び魚肉ねり製品を除く。)を気密性のある容器包装に入れ、密封した後、加圧加熱殺菌したものをいう。))並びに第十号イ(食肉、生かき、生めん類(ゆでめん類を含む。)、即席めん類、弁当、調理パン、そうざい、魚肉ねり製品及び生菓子類)及びロ(加工食品であって、イに掲げるもの以外のもの)に掲げる食品のうち、缶詰、瓶詰、たる詰又はつぼ詰のものにあっては、期限表示の年月日についてはアラビア数字及びローマ字の組合せによる記号の記載をもって期限の年月日の表示に代えることができるものとされたこと。

イ 別表第三第二号に掲げる食品(酒精飲料(酒精分一容量パーセント以上を含有する飲料(溶解して酒精分一容量パーセント以上を含有する飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。))、同表第三号に掲げる食品(清涼飲料水)のうちガラス瓶(紙栓をつけたものを除く。)又はポリエチレン製容器包装に収められたもの、同表第一〇号ロに掲げる食品(加工食品であって、イに掲げるもの以外のもの。ただし、缶詰、瓶詰、たる詰又はつぼ詰のものを除く。)、同号ハに掲げる食品(かんきつ類、バナナ)及び同表第一一号に掲げる添加物にあっては、期限及びその保存の方法の表示(法第七条第一項の規定により保存の方法の基準が定められた食品等にあっては、期限の表示)を省略することができるものとされたこと。

⑤ シアン化合物を含有する豆類及び放射線照射食品の日付表示について(第五条第五項及び第六項関係)

別表第三第六号に掲げる食品(シアン化合物を含有する豆類)、同表第八号に掲げる食品(放射線照射食品)にあっては、それらの食品の流通及び加工工程の管理上の観点から、期限表示及びその保存の方法の表示に代えて、それぞれ輸入年月日である旨の文字を冠したその年月日又は放射線を照射した年月日である旨の文字を冠したその年月日の表示を行うこととされたこと。

⑥ 常温で保存する旨の表示について(第五条第七項関係)

常温で保存する旨の表示については、これを省略することができるものとされたこと。

(2) 食品衛生管理者の資格要件の改正について(第一九条関係)

食品衛生法第一九条の一七第四項第四号に規定する学校教育法に基づく高等学校又は旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者について、旧国民学校令(昭和一六年勅令第一四八号)による国民学校初等科修了を入学資格とする修業年限四年の旧中等学校令による高等女学校卒業を入学資格とする同令による高等女学校の高等科又は専攻科の第一学年を修了した者等を追加したこと。

2 乳等省令関係

① 日付に関する表示の基準の改正について(第七条第二項第二号ホ、第三号ヌ及び第四号ホ関係)

乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品について、食品衛生法施行規則の改正に準じて、現行の製造年月日に代えて、期限表示を行うこと等とされたこと。

② 保存方法の表示の改正について(第七条第二項第二号ヘ、第三号ル及び第四号ヘ関係)

乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の期限表示は、定められた方法により保存することを前提とするものであることから、食品衛生法施行規則の改正に準じて、期限表示に併せて保存の方法(法第七条第一項の規定により保存の方法の基準が定められている乳(生乳、生山羊乳及び生めん羊乳を除く。)、クリーム、濃縮乳、脱脂濃縮乳及び乳飲料にあっては、その基準にあう保存の方法)を表示することとされたこと。

③ 製造又は加工の日から品質保持期限までの期間が三月を超える場合の期限表示について(第七条第五項関係)

製造又は加工の日から品質保持期限までの期間が三月を超える場合の期限表示について、1食品衛生法施行規則関係(1)の③と同様とされたこと。

④ 期限表示の省略等について(第七条第六項関係)

期限表示の年月日は、乳(生乳、生山羊乳及び生めん羊乳を除く。)、クリーム、はっ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料のうち紙、アルミニウム箔その他これに準ずるもので密栓した容器に収められたものにあっては、消費期限又は品質保持期限の日の記載をもって、その他の乳製品及び乳酸菌飲料にあっては、アラビア数字及びローマ字の組合せによる記号の記載をもって、これに代えることができ、アイスクリーム類にあっては、期限表示及びその保存の方法を省略することができるものとされたこと。

⑤ 常温で保存する旨の表示について(第七条第七項関係)

乳製品(常温保存可能品(牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳及び乳飲料のうち、連続流動式の加熱殺菌機で殺菌した後、あらかじめ殺菌した容器包装に無菌的に充填したものであって、食品衛生上摂氏一〇度以下で保存することを要しないと厚生大臣が認めたものをいう。)を除く。)及び乳酸菌飲料にあっては、常温で保存する旨の表示について、1食品衛生法施行規則関係(1)の⑥と同様とされたこと。

3 栄養改善法施行規則関係

栄養改善法に基づく特殊栄養食品の標示事項のうち日付標示についても、食品衛生法施行規則の改正に準じて、消費期限である旨の文字を冠したその年月日又は品質保持期限である旨の文字を冠したその年月日(製造又は加工の日から品質保持期限までの期間が三月を超える場合にあっては、その年月)及び保存の方法(常温で保存する旨の標示を除く。)を標示すべきこととされたこと。

4 告示関係

食品衛生法施行規則第五条第一項第一号ロ及び乳等省令第七条第二項第二号ホの規定に基づき品質保持期限と同一の期限を示す文字として適当であるものとして厚生大臣が定める文字について、「賞味期限」が定められたこと。

第三 運用上の注意

1 期限表示の記載等について

(1) 期限表示の記載について

期限表示は、消費期限又は品質保持期限である旨の文字を冠したその年月日を記載することとされており、消費期限又は品質保持期限が明らかにわかるように原則として年月日の前に当該期限である旨の文字を記載するものであること。

(2) 適正な期限の設定等について

① 期限を設定する者について

期限の設定については、食品等の劣化速度は、原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、保存方法等の諸要素により左右されるので、期限の設定に当たっては、当該食品等に関する知識を有する者が設定すべきものであることから、基本的には製造又は加工を行う営業者が行うものであること。

なお、輸入食品等の期限の設定については、基本的には輸入業者が行うものであること。

② 期限の設定方法について

期限の設定は、食品の特性等に応じて、微生物試験や理化学試験及び官能検査の結果等に基づき、科学的・合理的に行うものであること。

なお、品質保持期限の設定は、食品等の製造後、定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の食品等の劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期間の終期より十分に余裕をもって行うものであること。

また、期限の設定の方法について消費者から営業者に照会があった場合には、適切に対応するよう営業者を指導すること。

③ 期限の設定に関する指導・助言について

製造又は加工を行う営業者から、期限の設定に関し、相談があった場合には、適切に指導・助言を行うこと。

なお、厚生省において行った期限の設定に関する調査・研究や、製造又は加工業者で構成する団体が作成した期限の設定に関するガイドライン等について情報提供を行うこととしているので参考とされたいこと。

④ 輸入食品等の期限の設定等について

期限表示がされていない輸入食品等は、当該食品の期限の設定に必要な情報について製造業者等への確認を行うとともに、微生物試験や理化学試験及び官能検査を実施することにより、科学的根拠に基づいた適切な期限を設定する必要があること。

なお、期限表示がされている食品等は、当該食品に表示されている期限表示の設定根拠等について製造業者等から十分聴取し、把握する必要があること。

また、輸入者は、期限の設定の方法について消費者等から照会があった場合には、適切に対応しなければならないこと。

おって、輸入食品等については、必要に応じその輸送保管上の特性も考慮して期限を設定すること。

(3) 消費期限を表示する食品について

消費期限を表示すべき食品等とは、定められた方法により保存した場合において品質が急速に劣化しやすい食品等であるが、これは、定められた方法により保存した場合において製造又は加工の日を含めておおむね五日以内の期間で品質が劣化する食品等をいうものであること。

なお、製造又は加工の日から品質保持期限までの期間が五日以内となる場合は、前記の品質が急速に劣化しやすい食品等に含まれるものであり、この場合にあっては、消費期限を記載するものとすること。

2 保存方法の記載について

(1) 保存方法の記載について

保存方法の記載については、期限表示は定められた方法により保存することを前提とするものであることから、保存方法の表示は具体的に適切に記載するものであること。

また、食品の流通、家庭等において可能な保存の方法等をよく考慮した上で、適切な保存方法を記載するものであること。

(2) 常温で保存する旨の表示の省略について

保存方法が常温の場合、常温で保存する旨の表示を省略することができることとしたが、常温で保存する食品等であっても表示された期限に影響を与える温度以外の保存の条件がある場合は、当該保存条件は保存方法として表示しなければならないこと。

(3) 常温保存可能品の保存方法について

乳及び乳製品のうち、常温保存可能品にあっては、従来どおり、常温での保存が可能である旨の表示をしなければならないこと。

また、品質保持期限については、従来どおり、常温で保存した場合における品質保持期限を表示しなければならないこと。

3 その他

(1) 今回の改正は、日付に関する表示の基準について従来の製造年月日等の表示の意図していた食品衛生を確保することを目的とした情報を全て含む期限表示の導入に改めたものであることから、改正の趣旨を踏まえ、期限表示への円滑な切替えが行われるよう消費者も含め関係者に十分周知を図ること。

(2) 消費期限を表示する食品等にあっては、消費期限を過ぎた場合、衛生上の危害が発生するおそれもあることから、消費期限を過ぎた食品等の販売を巌に謹むよう営業者を指導すること。

(3) 品質保持期限である旨の文字については、品質保持期限の文字を記載することを原則とするが、品質保持期限と同一の期限を示す文字として適当であるものとして厚生大臣が定める文字についても記載することができるものとされ、これについては告示により「賞味期限」が定められたものであること。

なお、期限表示移行の時期及び具体的な表示方法等に関し、消費者の混乱を防止するための営業者団体の対応について別途厚生省において指導する場合があるので、その場合は情報を提供するので配慮されたいこと。

(4) 個々の食品等に表示される期限は、表示された保存方法に従って保存されていることが前提であることから、食品の流通、販売時の食品の取り扱い等に十分留意するよう営業者を指導すること。

(5) 品質保持期限を期限の年月で表示する製品にあっては、ロット番号を記載する等により、製品管理が適切に行われるよう関係営業者を指導すること。

(6) 本改正に伴う表示指導要領等関連通知の改正については、別途通知することとしていること。

第四 施行期日等

1 施行期日(改正省令附則第一条関係)

これらの改正規定は、平成七年四月一日から施行されること。

ただし、食品衛生法施行規則第一九条の改正規定は、公布の日から施行されること。

2 経過措置(改正省令附則第二条から第五条まで関係)

(1) 平成九年三月三一日までに製造され、加工され若しくは輸入される食品等に係る表示については、なお従前の例によることができるものとされたこと。

(2) 栄養改善法第一二条第一項及び第一七条の二第二項の規定により厚生大臣の許可又は承認を受けている特殊栄養食品の標示については、平成九年三月三一日までの間は、なお従前の例によることができるものとされたこと。

3 その他

食品衛生法施行規則の一部改正に伴い、「容器包装の面積により標示を省略することができる食品を定める件」(昭和四五年五月厚生省告示第一八〇号)の一部が平成七年二月一七日厚生省告示第一八号により改正され、平成七年四月一日から適用することとされたこと。

別添 略