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○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和六一年六月二一日)

(衛食第一一六号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省生活衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号、以下「省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年厚生省告示第三七○号、以下「告示」という。)の一部が昭和六一年五月三一日それぞれ厚生省令第三五号及び厚生省告示第一一一号をもつて改正されたので、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の要旨

近年のミネラルウォーターに係る製造技術の進歩、消費者のし好の多様化並びに諸外国における生産及び流通の実態等を勘案し、清涼飲料水のうちミネラルウォーター類(水のみを原料とする清涼飲料水をいう。以下同じ。)の殺菌方法等の改正及び殺菌又は除菌(ろ過等により、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を除去することをいう。以下同じ。)を要しないミネラルウォーター類の製造基準等を設定するなど、清涼飲料水の成分規格、製造基準及び表示に係る規定を一部改めたこと。

第二 改正の要点

一 省令関係

ミネラルウォーター類のうち、容器包装内の二酸化炭素圧力が二○度で1.0kgf/Cm2未満であつて、かつ、殺菌又は除菌を行わないものにあつては、殺菌又は除菌を行つていない旨を表示しなければならないこととされたこと。

二 告示関係

(一) 成分規格について

ミネラルウォーター類のうち、容器包装内の二酸化炭素圧力が二○度で1.0kgf/Cm2未満であつて、かつ、殺菌又は除菌を行わないものにあつては、従来の規格に加え、腸球菌及び緑のう菌が陰性でなければならないこととされ、それらの試験法が定められたこと。

(二) 製造基準について

新たにミネラルウォーター類の製造基準が次のとおり定められるとともに、所要の文言の整理が行われたこと。

ア 原水は、水道法(昭和三二年法律第一七七号)第四条に規定する水質基準(カルシウム、マグネシウム等(硬度)及びpH値の規定を除く。)に適合するものでなければならないこと。

イ 製造に使用する器具及び容器包装は、適当な方法で洗浄し、かつ、殺菌されたものでなければならない。ただし、未使用の容器包装であつて、かつ、殺菌され、又は殺菌効果を有する製造方法で製造され、使用されるまでに汚染されるおそれのないように取り扱われたものにあつては、この限りではないこと。

ウ 殺菌又は除菌を行う場合は、当該食品の中心部の温度を八五度で三○分間加熱する方法その他の原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を死滅させ、又は除去するのに十分な効力を有する方法で行わなければならないこと。

エ 容器包装内の二酸化炭素圧力が二○度で1.0kgf/Cm2以上のもの又は、次の基準に適合する方法で製造するものにあつては、殺菌又は除菌を要しないこと。

(ア) 原水は、鉱水のみとし、泉源から直接採水したものを自動的に容器包装に充てんした後、密栓又は密封しなければならないこと。

(イ) 原水は、病原微生物に汚染されたもの又は当該原水が病原微生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を含むものであつてはならないこと。

(ウ) 原水は、芽胞形成亜硫酸還元嫌気性菌、腸球菌及び緑のう菌が陰性であり、かつ、一ml当たりの細菌数が五以下でなければならないこととされ、それらの試験法等が定められたこと。

(エ) 原水には、沈殿、ろ過、ばつ気又は二酸化炭素の注入若しくは脱気以外の操作を施してはならないこと。

(オ) 採水から容器包装詰めまでを行う施設及び設備は、原水を汚染するおそれのないよう清潔かつ衛生的に保持されたものでなければならないこと。

(カ) 採水から容器包装詰めまでの作業は、清潔かつ衛生的に行わなければならないこと。

(キ) 容器包装詰め直後の製品は一ml当たりの細菌数が二○以下でなければならないこととされ、その測定法が定められたこと。

オ 殺菌若しくは除菌に係る記録又はエの(ウ)及び(キ)に係る記録は、六月間保存しなければならないこと。

第三 運用上の注意

一 ミネラルウォーター類とは、水のみを原料とする清涼飲料水をいうとされ、鉱水のみのもの、二酸化炭素を注入したもの、カルシウム等を添加したもの等、水質基準に関する省令(昭和五三年厚生省令第五六号)の表の中欄に掲げる事項のうち臭気、味、色度及び濁度に関する規定を満たすものが、これに含まれるものであること。

二 表示基準の改正により、殺菌又は除菌を行つていない旨の表示を行うこととされたミネラルウォーター類については、「殺菌又は除菌を行つていない」等と記載するよう指導すること。

三 今回ミネラルウォーター類の製造基準について、従来の「冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」と区分して定められたが、これは、水のみを原料とする清涼飲料水であるミネラルウォーター類の食品としての特性及び微生物の発育条件を考慮して別に定められたものであること。

四 ミネラルウォーター類の殺菌又は除菌を行う場合は、原水等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を死滅させ、又は除去するのに十分な効力を有する方法で行わなければならないこととされたが、これは、製造業者が適切な科学的データに基づき、いわゆる商業的無菌状態を得るために十分であるような殺菌又は除菌方法を設定し、これを遵守すべきことを定めたものであり、加熱殺菌のほか、紫外線照射等による殺菌、ろ過等による除菌ができることとされたものであること。

五 ミネラルウォーター類のうち、容器包装内の二酸化炭素圧力が二○度で1.0kgf/Cm2未満であつて、かつ、殺菌又は除菌を行わないものについては、

(一) 原水は、鉱水のみとすることとされ、河川、湖沼等の表流水の採水は認められないこと。

(二) 原水は、泉源から直接採水したものを自動的に容器包装に充てんした後、密栓又は密封しなければならないこととされたので、採水したものをタンク等の運搬器具を用いて輸送しその後容器包装に充てんすることは認められないこと。

(三) 原水は、病原微生物等による汚染を防止するため、泉源地及び採水地点の環境保全を含めその衛生確保には十分配意するよう指導されたいこと。

(四) 原水には、沈殿、ろ過、曝気又は二酸化炭素の注入若しくは脱気以外の操作を施してはならないこととされたが、これは汚染の機会をできる限り少なく防止するという観点から、製造過程における操作を限定したものであること。

(五) 容器包装詰め直後の製品の細菌数を測定する場合の検体は、容器包装詰め直後のもの又は容器包装詰め直後のものを直ちに一○度以下で保存したものであつて、容器包装詰め後一二時間以内のものを用いること。

(六) 原水及び製品の微生物に関する試験等は、一日一回以上行うよう指導すること。

第四 施行期日

昭和六一年五月三一日から施行することとされたこと。