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○食品衛生法施行規則、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和五八年八月二七日)

(環食化第三八号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和23年7月厚生省令第23号、以下「省令」という。)、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号、以下「乳等省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号、以下「告示」という。)の一部が、それぞれ昭和58年8月27日厚生省令第36号及び第37号並びに厚生省告示第153号をもつて改正されたので、下記の事項に留意の上その運用に遺憾のないようにされたい。

第1 改正の要旨

1 省令関係

(1) 食品衛生法(以下「法」という。)第6条の規定に基づき、化学的合成品たる添加物として亜鉛塩類(グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛)、アジピン酸、アルパルテーム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム(以下「EDTAカルシウム二ナトリウム」という。)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(以下「EDTA二ナトリウム」という。)、クエン酸イソプロピル、グルコン酸第一鉄、銅塩類(グルコン酸銅、硫酸銅)、二酸化ケイ素、二酸化チタン及びプロピオン酸の11品目(以下「新指定添加物」という。)が指定されたこと。

(2) 二酸化ケイ素を除く新指定添加物及び従来より表示が必要とされていた68品目の添加物(以下「既表示対象添加物」という。)を含む食品の添加物表示の方法が改正されたこと。

(3) アルパルテームについては、(2)に加え、所要の表示規定が設定されたこと。

2 乳等省令関係

前記1の(2)及び(3)に同じ。

3 告示関係

(1) 新指定添加物について、新たに成分規格が設定されたこと。

(2) 新指定添加物のうち、亜鉛塩類、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTA二ナトリウム、クエン酸イソプロピル、グルコン酸第一鉄、銅塩類、二酸化ケイ素、二酸化チタン及びプロピオン酸の9品目について新たに使用基準が設定されたこと。

(3) 新指定添加物の成分規格の設定に伴い、添加物一般の試験法及び試薬、試液、容量分析用標準溶液が次のように改正されたこと。

(1) 添加物一般の試験法の確認試験法に亜鉛塩の1目が追加されたこと。

(2) 試験に用いる試薬、試液及び容量分析用標準溶液にそれぞれα―L―アルパルチル―D―フェニルアラニンメチルエステル等22品目、アルカリ性クエン酸銅試液等17品目及び容量分析用標準溶液等5品目が追加されたこと。

(4) 添加物の製造又は加工に当たつての二酸化ケイ素の使用に関する規定(添加物一般の製造基準)が設定されたこと。

(5) たらこの成分規格が設定されたこと。

(6) 添加物一般の使用基準にサッカリンナトリウムの項が追加されたこと。

(7) 亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(結晶)、亜硫酸ナトリウム(無水)、次亜硫酸ナトリウム、無水亜硫酸及びメタ重亜硫酸カリウム(以下「亜硫酸類」という。)、亜硝酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム並びにプロピオン酸ナトリウムの使用基準の一部が改正されたこと。

(8) クエン酸ナトリウムの成分規格の一部が改正されたこと。

第2 改正の要点

1 省令及び乳等省令関係

(1) 添加物を含む食品の添加物表示について

二酸化ケイ素を除く新指定添加物10品目(プロピオン酸にあつては、保存料として使用されるものに限る。)及び既表示対象添加物68品目(プロピレングリコールにあつては品質保持剤として使用されるものに限る。)を含む食品の添加物表示については、添加物名(物質名)表示を基本とし、人工(合成)甘味料、合成着色料、合成保存料、合成糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤及び合成殺菌料の8用途として使用される添加物にあつてはその用途として使用される旨を併記するよう改められたこと。

(1) 新指定添加物のうち、アルパルテーム(人工(合成)甘味料)、二酸化チタン(合成着色料)、プロピオン酸(合成保存料)、EDTAカルシウム二ナトリウム(酸化防止剤)、EDTA二ナトリウム(酸化防止剤)又はクエン酸イソプロピル(酸化防止剤)を含む食品には、当該添加物名及び用途名の表示が、亜鉛塩類、アジピン酸、グルコン酸第一鉄又は銅塩類を含む食品には当該添加物名の表示が義務づけられたこと。

(2) プロピレングリコールを除く既表示対象添加物67品目(硝酸カリウム及び硝酸ナトリウムにあつては、発色剤として使用されるものに限る。)を含む食品には、当該添加物名及び省令の改正前に用いられていた用途名の表示が、プロピレングリコール又は発酵調整剤として用いられる硝酸カリウム若しくは硝酸ナトリウムを含む食品には、当該添加物名の表示が義務づけられたこと。

したがつて、硝酸カリウム及び硝酸ナトリウムが発酵調整剤として、プロピレングリコールが品質保持剤として使用される場合の用途名の表示は不要となつたこと。

(2) アスパルテームに係る表示について

アスパルテーム又はこれを含む製剤若しくは食品に「L―フェニルアラニン化合物」である旨又はこれを含む旨を表示することとされたこと。

2 告示関係

(1) 新指定添加物の使用基準について

(1) 亜鉛塩類及び銅塩類

亜鉛塩類(グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛)及びこれを含む製剤又は銅塩類(グルコン酸銅、硫酸銅)及びこれを含む製剤は、母乳代替食品以外の食品には使用してはならないこととされ、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令別表の二乳等の成分規格並びに製造、調理及び保存の方法の基準の部(五)乳等の製造又は保存の方法に関するその他の基準の款(4)の規定による厚生大臣の承認を受けて調製粉乳に使用する場合を除き、母乳代替食品を標準調乳濃度に調乳したとき、その1Lにつき、亜鉛として6mg又は銅として0.6mgを超える量を含有しないように使用しなければならないとされたこと。

(2) EDTAカルシウム二ナトリウム及びEDTA二ナトリウム

EDTAカルシウム二ナトリウム及びこれを含む製剤並びにEDTA二ナトリウム及びこれを含む製剤は、缶詰又は瓶詰食品以外の食品には使用してはならないこととされ、その使用量は、EDTAカルシウム二ナトリウムとして缶詰又は瓶詰の清涼飲料水にあつてはその1kgにつき三五mg以下、その他の缶詰又は瓶詰食品にあつてはその1kgにつき250mg以下でなければならないとされたこと。またEDTA二ナトリウムは、最終食品の完成前にEDTAカルシウム二ナトリウムにしなければならないとされたこと。

(3) クエン酸イソプロピル

クエン酸イソプロピル及びこれを含む製剤は、油脂及びバター以外の食品には使用してはならないこととされ、その使用量は、クエン酸モノイソプロピルとして、その1kgにつき0.1g以下でなければならないとされたこと。

(4) グルコン酸第一鉄

グルコン酸第一鉄及びこれを含む製剤は、オリーブ、母乳代替食品、離乳食品及び妊産婦・授乳婦用粉乳以外の食品には使用してはならないこととされ、オリーブにあつては、その使用量は鉄としてその1kgにつき0.15g以下でなければならないとされたこと。

(5) 二酸化ケイ素

二酸化ケイ素及びこれを含む製剤は、ろ過助剤の目的で使用するとき以外には使用してはならないこととされ、最終食品の完成前に除去しなければならないとされたこと。

(6) 二酸化チタン

二酸化チタン及びこれを含む製剤は、着色の目的で使用するとき以外には使用してはならないこととされ、カステラ、きなこ、魚肉漬物、鯨肉漬物、こんぶ類、しよう油、食肉、食肉漬物、スポンジケーキ、鮮魚介類(鯨肉を含む。)、茶、のり類、マーマレード、豆類、みそ、めん類(ワンタンを含む。)、野菜及びわかめ類に使用してはならないとされたこと。

(7) プロピオン酸

プロピオン酸及びこれを含む製剤は、チーズ、パン及び洋菓子以外の食品には使用してはならないこととされ、その使用量は、プロピオン酸として、チーズにあつてはその1kgにつき3g(ソルビン酸又はソルビン酸カリウムを併用する場合は、プロピオン酸としての使用量及びソルビン酸としての使用量の合計量が3g)以下、パン及び洋菓子にあつてはその1kgにつき2.5g以下でなければならないとされたこと。ただし、着香の目的で使用される場合は、この限りでないとされたこと。

(2) 食品、添加物の規格基準の改正について

(1) たらこの成分規格について

たらこ(スケトウダラの卵巣を塩蔵したもの)は、その1kgにつき亜硝酸根の0.005gを超える量を含有するものであつてはならないとされたこと。

(2) 亜硝酸ナトリウムの使用基準について

たらこ(スケトウダラの卵巣を塩蔵したもの)に対して亜硝酸根としてその1kgにつき0.005gを超える量を残存しないように使用しなければならないとされたこと。

(3) 亜硫酸類の使用基準について

ビールの製造に用いるホップの二酸化イオウ残存量の制限が廃止されたこと。

(4) 安息香酸及び安息香酸ナトリウムの使用基準について

マーガリンに対する使用量がその1kgにつき1g(ソルビン酸又はソルビン酸カリウムと併用する場合は、安息香酸としての使用量及びソルビン酸としての使用量の合計量が1g)以下でなければならないとされたこと。

(5) クエン酸ナトリウムの成分規格について

成分規格の純度試験(2)液性において、本品の水溶液(1→20)のpHが7.6~9に改められたこと。

(6) サッカリンナトリウムの使用基準について

(7)ソルビン酸及びソルビン酸カリウムの使用基準についての(ア)と同様に、「フワラーペースト」が「フラワーペースト類」に改められ、添加物一般の使用基準において、サッカリンナトリウムを含むフラワーペースト類を菓子の製造又は加工の過程で使用する場合は、サッカリンナトリウムを菓子に使用したものとみなすとされたこと。

(7) ソルビン酸及びソルビン酸カリウムの使用基準について

(ア) パンに塗布又は充てんされるフラワーペースト(以下「パン用フラワーペースト」という。)と同様の原料と製法により製造される菓子に塗布又は充てんされるフラワーペースト(以下「製菓用フラワーペースト」という。)にその1kgにつきソルビン酸として1g以下の使用が認められ、「フラワーペースト(小麦粉、でん粉又はピーナッツバターを主要原料とし、これにしよ糖、水あめ、ココア、チョコレート、コーヒー、油脂、香料、色素等を混和して作り、パンに充てん又は塗布して食用に供するものをいう。)」が「フラワーペースト類(小麦粉、でん粉、ナッツ類若しくはその加工品、ココア、チョコレート、コーヒー、果肉又は果汁を主要原料とし、これに砂糖、油脂、粉乳、卵、小麦粉等を加え、加熱殺菌してペースト状とし、パン又は菓子に充てん又は塗布して食用に供するものをいう。)」に改められたこと。

(イ) チーズに対する使用量が、その1kgにつき3g(プロピオン酸及びその塩類を併用する場合は、ソルビン酸としての使用量及びプロピオン酸としての使用量の合計量が3g)以下でなければならないと改められたこと。

(ウ) マーガリンに対する使用量が、その1kgにつき1g(安息香酸又は安息香酸ナトリウムを併用する場合は、ソルビン酸としての使用量及び安息香酸としての使用量の合計量が1g)以下でなければならないとされたこと。

(8) プロピオン酸カルシウム及びプロピオン酸ナトリウムの使用基準について

チーズに対する使用量が、その1kgにつき3g(ソルビン酸又はソルビン酸カリウムを併用する場合は、プロピオン酸としての使用量及びソルビン酸としての使用量の合計量が3g)以下でなければならないとされたこと。

第3 施行期日

1 省令関係

(1) 指定関係

添加物の新規指定に係る規定は、公布の日から施行することとされたこと。

(2) 表示関係

新指定添加物に係る表示規定は、公布の日から施行することとされ、既表示対象添加物に係る表示規定の改正については、当分の間、なお従前の例によることができることとされたこと。ただし、プロピオン酸及びこれを含む製剤の名称の表示については、公布の日から6か月間は、なお従前の名称をもつてすることができることとされたこと。

2 乳等省令関係

前記1の(2)に同じ。

3 告示関係

告示の改正は、公布の日から適用することとされたこと。ただし、着香のみの目的で製造、輸入、使用又は販売するプロピオン酸については、その成分規格の適用が公布の日から6か月後とされたこと。

第4 運用上の注意

1 表示について

(1) 亜鉛塩類又は銅塩類についての添加物及び当該添加物を含む製剤又は食品の表示に当つての添加物名は、「グルコン酸亜鉛」若しくは「硫酸亜鉛」又は「グルコン酸銅」若しくは「硫酸銅」を用いるものであること。

2 新指定添加物の使用基準について

(1) 亜鉛塩類、銅塩類及びグルコン酸第一鉄に係る使用基準にいう母乳代替食品とは、母乳の代替として飲用に供する調製粉乳、調製液状乳及びこれ以外の育児用粉乳をいうこと。

(2) グルコン酸第一鉄に係る使用基準にいうオリーブとは、オリーブの果実の塩蔵品、酢漬、オリーブ油漬等の加工品を、妊産婦・授乳婦用粉乳とは栄養改善法に基づく表示の許可又は承認を受けたものをいうこと。

(3) 二酸化ケイ素に係る使用基準にいうろ過助剤とは、食品の精製工程中で清澄等を目的としてろ過操作に使用されるものをいうこと。

(4) プロピオン酸に係る使用基準にいうパン及び洋菓子とは、プロピオン酸カルシウム及びプロピオン酸ナトリウムに係る使用基準中のパン及び洋菓子と同様であること。(昭和38年7月26日付け環発305号局長通知)

3 食品、添加物の規格基準の改正について

(1) たらこについて

たらこについて新たに食品の成分規格が設定され、亜硝酸ナトリウムの使用が認められることとなつたが、ここでいう「たらこ」とは、スケトウダラ(Theragra chalcogramma)の卵巣を塩蔵したものをいうこと。

(2) ホップについて

ホップの苦味成分の保存のために亜硫酸類が使用される(残存量は通例二酸化イオウとして0.2~4g/kg)が、この二酸化イオウは、ビールの製造時、ホップ使用後の煮沸工程においてすべて揮散するため、亜硫酸類の使用量制限が廃止されたこと。

(3) フラワーペースト類について

パン用フラワーペースト及び製菓用フラワーペーストは原料及び製法が同様であるため、パン用、製菓用の区別を取り除くとともに、主要原料の種類によつてチョコレートペースト、コーヒーペースト、ナッツペースト等の製品ができるので、これらを総称して「フラワーペースト類」としたこと。また、フラワーペーストの定義の表現を変更したのは、主要原料と副原料との関係を整理し直したものであつて、従来のフラワーペーストの範囲を変更するものではないこと。

なお、サッカリンナトリウムに係る使用基準中の「フラワーペースト」も今回の改正に伴い「フラワーペースト類」に改められたため、サッカリンナトリウムを使用したフラワーペースト類が、サッカリンナトリウムの使用基準のある菓子に使用される場合も考えられることから、添加物一般の使用基準の表にサッカリンナトリウムの項が追加され、前記の場合は、サッカリンナトリウムが菓子に使用されたものとみなし、菓子における使用基準が適用されることとされたこと。