添付一覧
○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について
(昭和五七年二月二七日)
(環食第五三号・環食化第一一号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省環境衛生局食品衛生課長・食品化学課長通達)
食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年厚生省告示第三七〇号)の一部が、それぞれ昭和五七年二月一六日、厚生省令第四号及び厚生省告示第二〇号をもつて改正され、その運用については、本日環食第五二号をもつて環境衛生局長から各都道府県知事、政令市市長及び特別区区長あて通知されたところであるが、更に左記の諸点に留意の上その取り扱いに遺憾のないようにされたい。
記
一 清涼飲料水について
(一) 重金属等に関する試験法の検出限度は、ヒ素0.2ppm、鉛0.4ppm及びカドミウム0.1ppmであること。
(二) 製造基準中の殺菌方法が、ph4.0未満のものにあつては65℃で10分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法、ph4.0以上4.5未満のものにあつては85℃で30分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法に改められたが、これは、当該ph値の清涼飲料水中でそれぞれ発育し得る微生物を殺菌するのに必要な方法として定められたものであること。
(三) 製造基準中の殺菌規定における殺菌を要しない場合の「植物又は動物の組織成分を含有しないもの」とは、野菜及び果実並びにこれらの搾汁、乳、乳製品等を含有しないものをいうものであること。
(四) 製造所において清涼飲料水の殺菌器を新たに設備する場合等にあつては、可能な限り自記温度計を付けた殺菌器を設備するよう指導されたいこと。
二 添加物について
(一) 亜硫酸類の使用基準の改正について
① 果実酒の製造に用いる果実の搾汁に対する亜硫酸類の使用基準について
果実酒製造用の搾汁のうち、酒精分1容量パーセント以上のものについても、1容量パーセント未満のものと同様に最終製品としての果実酒において亜硫酸類の使用基準が設定されていることから、亜硫酸類の使用制限が廃止されたこと。
② 乾燥果実に体する亜硫酸類の使用基準について輸入される乾燥果実の多様化に伴い、ほしあんず又はほしももだけでなく他の乾燥果実についても品質保全等の理由から、亜硫酸類の使用を認めるべきであるとの要請があり、また、亜硫酸類については、使用基準の緩和がもたらす二酸化イオウの摂取量の増大を考慮したところ、衛生上の問題はないため、今般、ほしぶどうを除く乾燥果実について亜硫酸類の使用量を二酸化イオウとして、1kgにつき2g以下とされたこと。
(二) ニコチン酸及びニコチン酸アミドの使用基準について
ニコチン酸及びニコチン酸アミド並びにこれらを主成分とする製剤を変色防止等の目的で生肉や鮮魚介類に使用することについては、昭和五六年七月一日環乳第五三号、環食化第三七号により、これらの食品への使用を自粛するよう指導方依頼しているところであるが、今回新たに使用基準を設けこれらの添加物を食肉及び鮮魚介類(鯨肉を含む。)に使用してはならないとされたこと。
三 金属缶(乾燥した食品(油脂及び脂肪性食品を除く。)を内容物とするものを除く。)について
(一) 通常の保存、流通の状態で食品が金属缶の内面に接触する場合であつて内容物が液体(半流動体を含む。)又は容器包装の内面にほとんど接触する固型の食品である金属缶及び内容物が除菌、殺菌又は滅菌されており長期間保存されることを目的として製造される金属缶は、金属缶の規格の適用を受けるものであること。
(二) 金属缶であつて食品と直接接触する部分が合成樹脂で塗装されていないものについては、(二)試験の二、から六、までに示す試験は行わないとされたが、缶蓋、缶底、缶胴のいずれかの部分が塗装されているものは、その塗装部分についてのみ、別紙一の(一)に示す片面溶出法によつて調製された試料溶液について(二)試験の二、から六、までに示す試験を行うこと。
(三) 金属缶であつてその内容積が1.000mlを超えるものについては、液を満たせる試料であつてもその食品と直接接触する部分につき、別紙一の(一)に示す片面溶出法によつて調製された試料溶液について試験を行うこと。
(四) 天然の油脂を主原料とし塗膜中の酸化亜鉛の含量が3%を超える塗料により缶の内面を塗装した缶の判別には別紙一の(二)に示す方法を用いることができること。
四 清涼飲料水の容器包装について
(一) 強度等試験法中耐減圧試験、耐圧試験及び封かん試験の「空気漏れの有無」の判定方法としては、真空度計又は圧力計のケージ圧により判定しても差し支えないこと。
(二) 組合せ容器包装の金属部分について、浸出溶液を満たすことができない場合にあつては、別紙一の(一)に示す片面溶出法によつて調製された試料溶液について、金属缶の試験を行うこと。なお、浸出溶液を満たすことができる場合にあつては、前記三の(二)を準用して試験を行うこと。
五 表示について
規則第五条第一項第一号ヌの「冷凍果実飲料」から原料用果汁が除外されたことに伴い、原料用果汁には「冷凍果実飲料」の文字は不用となつたが、すでにこれが表示してあるラベル等を使用する場合には、これを抹消するよう営業者を指導されたいこと。
六 その他
(一) 粉末清涼飲料の成分規格中重金属等に関する規定が、清涼飲料水の場合と同様に改められたこと。
(二) 食品の自動販売機の規格中二、一の熱湯を用いて調理を行う場合の熱湯の温度等に関する規定が、粉末清涼飲料を調理する場合にあつては適用されないこととされたこと。
(三) コツプ販売式自動販売機に収められる清涼飲料水の原液を運搬する場合に使用する器具の規格が、清涼飲料水全自動調理機の原液運搬器具にも適用されることとされたこと。
別紙1
(1) 片面溶出法
試料の表面積1cm2あたり2mlの浸出用液を用い、下図に示すような器具を用いて所定の温度、時間の条件の下で試料溶液を調製する。
(2) 天然の油脂を主原料とし塗膜中の酸化亜鉛の含量が3%を超える塗料により缶の内面を塗装した缶の判別法
試料に内容積の50%の量の1%水酸化ナトリウム溶液を入れ60℃に保ちながら15分間放置し、塗膜の色調変化を肉眼で観察する。
天然の油脂を主原料とし塗膜中の酸化亜鉛の含量が3%を超える塗料による塗膜は、この処理により光沢を失い、濃色となる。