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○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和五四年四月二七日)

(環乳第一五号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通達)

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二六年厚生省令第五二号。以下「乳等省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年厚生省告示第三七○号。以下「告示」という。)の一部が、それぞれ昭和五四年四月一六日、厚生省令第一七号及び厚生省告示第六○号をもつて別添のとおり改正されたので、左記事項に留意の上、これが運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の要旨

乳、乳製品に関する国民の需要の多様化、国際規格の動向、国内の生産流通、輸入の実態等を勘案し、乳、乳製品に関する規格基準等の設定及び改正を行うとともに、畜水産食品中の医薬品等の残留に関する規定の一部を改めたもので、その主な内容は次のとおりである。

(一) 脱脂乳、加工乳の定義、成分規格等の一部を改め、いわゆるローフアツトミルクを乳等省令上の乳に加えたこと。

(二) バターオイル、クリームパウダー等乳製品について、新たに定義、成分規格等を設定するとともに、チーズ、調製粉乳等従来の乳製品の定義等の一部を改めたこと。

(三) 乳等の容器包装のうち、ポリエチレン製容器包装、ポリエチレン加工紙製容器包装等既にその使用が一般化したものについて規格基準を設定し、当該規格基準に適合する容器包装については、厚生大臣の承認を要しないこととしたこと。

(四) 乳、乳製品、食肉、食鳥卵、魚介類等畜水産食品中の医薬品の残留に関する規定の一部を改めたこと。

第二 改正の内容

一 乳等省令関係

(一) 定義、成分規格等に関する事項

ア 部分脱脂乳

(ア) 生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分の一部を除去したものを部分脱脂乳とし、その乳脂肪分を○・五%以上三・○%未満としたこと。

(イ) 製造及び保存の方法の基準を従来の脱脂乳と同様としたこと。

イ 脱脂乳

部分脱脂乳を設けたことにより、生乳、牛乳又は特別牛乳からほとんどすべての乳脂肪分を除去したものを脱脂乳とし、その乳脂肪分は○・五%未満としたこと。

ウ 加工乳

(ア) 乳脂肪分三・○%未満のものも加工乳の範囲に含め、成分規格中乳脂肪分及び比重に関する規定を削除し、定義について一部文言の整理を行つたこと。

(イ) 使用できる原料に部分脱脂乳、脱脂濃縮乳、無糖脱脂れん乳及び添加物を使用していないバターオイルを追加したこと。

エ バターオイル

バター又はクリームからほとんどすべての乳脂肪以外の成分を除去したものをバターオイルとし、その乳脂肪分は九九・三%以上、大腸菌群は陰性としたこと。

オ チーズ

従来のチーズの定義を改め、ナチユラルチーズとプロセスチーズに区分したこと。

(ア) ナチユラルチーズは乳を乳酸菌ではつ酵させ、又は乳に酵素を加えてできた凝乳から乳清を除去し、固形状にしたもの又はこれらを熟成したものとしたこと。

(イ) プロセスチーズはナチユラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものとしたこと。

カ 濃縮ホエイ

乳を乳酸菌ではつ酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清を濃縮し、固形状にしたものを濃縮ホエイとし、その乳固形分は二五・○%以上、大腸菌群は陰性としたこと。

キ 脱脂濃縮乳

(ア) 生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものを濃縮したものを脱脂濃縮乳とし、その無脂乳固形分は一八・五%以上、細菌数は一g当たり一○○、○○○以下としたこと。

(イ) 保存の方法の基準を濃縮乳と同様としたこと。

ク 無糖脱脂れん乳

(ア) 脱脂濃縮乳であつて直接飲用に供する目的で販売するものを無糖脱脂れん乳とし、その無脂乳固形分は一八・五%以上、細菌数は一g当たり○としたこと。

(イ) 製造の方法の基準を無糖れん乳と同様としたこと。

ケ クリームパウダー

生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分以外の成分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをクリームパウダーとし、その乳固形分は九五・○%以上、うち乳脂肪分は五○・○%以上とし、細菌数は一g当たり五○、○○○以下、大腸菌群は陰性としたこと。

コ ホエイパウダー

乳を乳酸菌ではつ酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをホエイパウダーとし、その乳固形分は九五・○%以上、細菌数は一g当たり五○、○○○以下、大腸菌群は陰性としたこと。

サ バターミルクパウダー

バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをバターミルクパウダーとし、その乳固形分は九五・○%以上、細菌数は一g当たり五○、○○○以下、大腸菌群は陰性としたこと。

シ 調製粉乳

(ア) 従来の調製粉乳及び特殊調製粉乳を含めて生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料とし、これに乳幼児に必要な栄養素を加え粉末状にしたものを調製粉乳とし、その成分規格の一部を改めたこと。

(イ) 乳(生山羊乳及び殺菌山羊乳を除く。)又は乳製品以外に使用するものについては、その種類及び混合割合につき厚生大臣の承認を要することとしたこと。

ス はつ酵乳

はつ酵乳を凍結したものもはつ酵乳としたこと。

セ その他

バター及び乳飲料の定義について一部文言の整理をしたこと。

(二) 表示に関する事項

ア 部分脱脂乳については、従来の脱脂乳と同様の表示事項のほか乳脂肪分の重量百分率、加工乳については従来の表示事項のほか無脂乳固形分及び乳脂肪分の重量百分率の表示を要することとしたこと。

イ バターオイル、濃縮ホエイ、脱脂濃縮乳、無糖脱脂れん乳、ホエイパウダー及びバターミルクパウダーについては、無糖れん乳、全粉乳等と同様の表示を、クリームパウダーについては、無糖れん乳、全粉乳糖と同様の表示事項のほか、乳脂肪分の重量百分率の表示を要することとしたこと。

ウ クリームについては、乳脂肪分の重量百分率、チーズ、アイスクリーム類、はつ酵乳及び乳酸菌飲料については、主要な混合物の名称の表示を要することとしたこと。

エ アイスクリーム類、はつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳又は乳製品を主要原料とする食品については、従来の表示事項のうち乳固形分を無脂乳固形分に改めたこと。

オ 乳飲料については、無脂乳固形分及び乳脂肪分の重量百分率の表示を要することとし、従来の表示事項の一部を改めたこと。

(三) 乳等の容器包装に関する事項

ア 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳及びクリームの販売用の容器包装のうち、ガラスびん、ポリエチレン製容器包装及びポリエチレン加工紙製容器包装であつて次の規格基準に適合するものについては、厚生大臣の承認を要しないこととしたこと。

(ア) ガラスびんにあつては、口内径二○mm以上の無着色、かつ透明のものであること。

(イ) ポリエチレン製容器包装及びポリエチレン加工紙製容器包装にあつては、重金属、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量、破裂強度、封かん強度及びピンホールの各試験に適合するものであること。

(ウ) ポリエチレン加工紙製容器包装にあつては、内容物に直接接触する部分(以下「内面」という。)がポリエチレンであること。

(エ) 内面に使用するポリエチレンは原則として添加剤を使用していないものであつて、n―ヘキサン抽出物、キシレン可溶物、ヒ素及び重金属の各試験に適合するものであること。

イ はつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の販売用の容器包装のうち、ガラスびん、ポリエチレン製容器包装、ポリエチレン加工紙製容器包装、金属かん、合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリエチレン加工紙製容器包装及び合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリスチレン製容器包装であつて、次の規格基準に適合するものについては、厚生大臣の承認を要しないこととしたこと。

(ア) ガラスびんにあつては、透明なものであること。

(イ) ポリエチレン製容器包装及びポリエチレン加工紙製容器包装にあつては、前記ア(イ)から(エ)の牛乳等のポリエチレン製容器包装及びポリエチレン加工紙製容器包装の規格基準に適合するものであること。

(ウ) 金属かんにあつては、ヒ素、重金属の各試験、内面に合成樹脂を使用した金属かんにあつては、ヒ素、重金属のほか、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量、フエノール及びホルムアルデヒドの各試験に適合するものであること。

(エ) 金属かんの内面に使用する合成樹脂にあつては、カドミウム及び鉛の試験、塩化ビニル樹脂を含む合成樹脂にあつては、カドミウム及び鉛のほか、ジブチルスズ化合物、クレゾールリン酸エステル及び塩化ビニルの各試験に適合するものであること。

(オ) 合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリエチレン加工紙製容器包装及び合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリスチレン製容器包装にあつては、封かん強度試験に適合するものであること。

(カ) 合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリエチレン加工紙製容器包装のポリエチレン加工紙の部分は、前記アの牛乳等のポリエチレン加工紙製容器包装の規格基準に適合するものであること。

(キ) 合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリスチレン製容器包装のポリスチレンの部分は、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量、揮発性物質、ヒ素、重金属、突き刺し強度及びピンホールの各試験に適合するものであること。

(ク) 合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリエチレン加工紙製容器包装及び合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリスチレン製容器包装の合成樹脂加工アルミニウム箔の部分は、重金属、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量、フエノール、ホルムアルデヒド及び破裂強度の各試験に適合するものであつて、その内面に使用する合成樹脂はヒ素、カドミウム及び鉛の各試験、塩化ビニル樹脂を含む合成樹脂にあつては、ヒ素、カドミウム及び鉛のほか、ジブチルスズ化合物、クレゾールリン酸エステル及び塩化ビニルの各試験に適合するものであること。

ウ その他

乳等の容器包装の殺菌規定等について所要の改正をしたこと。

(四) 医薬品の残留に関する事項

乳に影響ある薬剤が残留している乳を食用に供する目的でさく取することの禁止規定を整備するとともに、乳等に抗菌性物質を含有してはならない旨の規定を設けたこと。

(五) その他

前記改正に伴い試験法の文言の整理等所要の改正をしたこと。

(六) 施行期日

ア この改正は、昭和五四年四月一六日から施行することとしたこと。

イ 部分脱脂乳、加工乳、クリーム、アイスクリーム類、ナチユラルチーズ、プロセスチーズ、調製粉乳、はつ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料及び乳又は乳製品を主要原料とする食品であつて、昭和五五年三月三一日以前に製造、加工、又は輸入されるものの表示については、従前の例によることができることとしたこと。

ウ バターオイル、濃縮ホエイ、脱脂濃縮乳、無糖脱脂れん乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー及び調製粉乳であつて、昭和五四年七月一五日以前に製造、加工又は輸入されるものの表示、成分規格並びに製造及び保存の方法の基準については、従前の例によることができることとしたこと。ただし、調製粉乳の表示については、前記イによるものとしたこと。

エ この改正以前に、使用する栄養素又は添加物について厚生大臣の承認を受けた調製粉乳又は特殊調製粉乳については、改正後の規定に基づく調製粉乳に関する厚生大臣の承認を受けたものとみなすこととしたこと。

オ この改正以前の牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、脱脂乳、加工乳又はクリームのポリエチレン製容器包装又はポリエチレン加工紙製容器包装及びはつ酵乳、乳酸菌飲料又は乳飲料のポリエチレン製容器包装、ポリエチレン加工紙製容器包装、金属かん、合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリエチレン加工紙製容器包装、又は合成樹脂加工アルミニウム箔で密栓するポリスチレン製容器包装に関する厚生大臣の承認については、昭和五四年一○月一五日までは、なおその効力を有することとしたこと。

カ 無糖脱脂れん乳であつて、昭和五四年一○月一五日以前に製造又は輸入されるものの容器包装については、従前の例によることができることとしたこと。

キ この改正以前に厚生大臣の承認を受けた特殊調製粉乳の容器包装については、改正後の規定に基づく調製粉乳に関する厚生大臣の承認を受けたものとみなすこととしたこと。

二 告示関係

(一) 乳等と同様に、食肉、食鳥、卵及び魚介類についても抗菌性物質を含有してはならない旨の規定を設けたこと、及び乳等省令改正に伴う所要の整理をしたこと。

(二) 施行期日

この改正は、昭和五四年四月一六日から施行することとしたこと。

第三 運用上の注意

一 加工乳及び乳飲料の定義を改めたが、これはその区分をより明確にしたもので、加工乳は生乳、脱脂乳、全粉乳、脱脂粉乳等の乳又は乳製品のみを原料とし、水以外の他物を含まないもの、乳飲料は、乳、乳製品等を主要原料とし、これにコーヒー、抽出液、果汁等の他物を加えたものとする従来の考え方に何ら変更はないものであること。

二 畜水産食品の抗菌性物質に関する規定は、畜水産業において微生物、原虫等の発育を阻止する物質が医薬品、飼料添加物等として使用されることから、これらの物質の畜水産食品への残留を認めないこととしたものであること。

三 抗菌性物質の残留に関する規定を設けたことに伴い、これらの監視、検査体制の整備を図るとともに生産担当部局、関係団体等とも連絡を密にし、医薬品等の残留する畜水産食品が生産、流通することのないよう監視の強化を図られたいこと。

四 今回の改正により規格基準を定めた容器包装であつても、当該規格基準に定める事項以外の事項について告示第三器具及び容器包装の部に定めがあるものについては、その規格基準の適用を受けるものであること。

五 今回定めた規格基準に適合する容器包装以外の容器包装を使用しようとする者は、当該容器包装について、従前どおり、あらかじめ厚生大臣の承認を受けなければならないものであること。

六 今回規格基準を定めた容器包装を使用する者に対しては、あらかじめ当該容器包装の種類、材質、規格、製造者等を届出させる等により、その使用の実態の把握に努めるとともに随時収去試験を行う等規格基準に適合しない容器包装が使用されることのないよう監視に努められたいこと。

また、当該容器包装を使用しようとする者に対しては、その使用に当たつて、規格基準に適合していることを確認するとともに、その後も定期的に自主検査を行うよう指導されたいこと。

なお、容器包装を製造する施設についても随時立入検査を行う等監視指導に努められたいこと。

七 合成樹脂製容器包装を使用する者に対しては、従来どおり当該容器包装についての廃棄物処理上必要な措置に関し、関係市町村の清掃担当部局の指導に従うよう指導されたいこと。

八 本改正の適用に関しては、それぞれ所要の猶予期間を設けたところであるが、猶予期間内であつても、できるだけ速やかに改正後の規定に適合させるよう指導されたいこと。

第四 関係通達の廃止

乳等省令に関する施行通達等のうち、次に掲げるものはこれを廃止する。

一 乳等の省令の規定による厚生大臣の承認申請について(昭和三三年九月一二日衛乳第四○号、各都道府県衛生部長、各指定都市衛生部長宛、厚生省乳肉衛生管理官通知)

二 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の規定による厚生大臣の承認申請又は届出の様式について(昭和三五年二月四日衛発第九○号、各都道府県知事、各指定都市市長宛、厚生省公衆衛生局長通知)

三 アイスクリーム類に使用されるポリエチレン製の容器包装について(昭和三六年六月一二日環乳第三号、各都道府県知事、各指定都市、各政令市衛生部(局)長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

四 乳等省令第四条第三項の規定による乳飲料の容器の承認について(昭和三七年一一月三○日環乳第五九号、各都道府県各指定都市衛生主管部(局)長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

五 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正について(昭和三九年一月一四日環発第一三号、各都道府県知事、各指定都市市長宛、厚生省環境衛生局長通知)のうち記の第三の三並びに別記様式第二号及び第三号。

六 牛乳等の合成樹脂製容器について(昭和四五年一二月一○日環乳第一一○号、各都道府県知事、各指定都市市長宛、厚生省環境衛生局長通知)

七 牛乳等の合成樹脂製容器について(昭和四五年一二月一○日環乳第一一一号、各都道府県、各指定都市衛生主管部局長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

八 牛乳、加工乳等の合成樹脂製容器の承認申請について(昭和四六年一月一八日環乳第一号、各都道府県、各指定都市衛生主管部(局)長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

九 牛乳等の合成樹脂製容器の回収等について(昭和四六年六月一四日環乳第五八号、各都道府県、各指定都市衛生主管部局長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

一○ 牛乳等の合成樹脂製容器について(昭和四八年三月一○日環乳第三二号、各都道府県、各指定都市衛生主管部(局)長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

一一 乳等の容器包装の例外承認申請について(昭和五○年三月二六日環乳第一九号、各都道府県、指定都市衛生部(局)長宛、厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)

別添 〔略〕