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○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和四九年一〇月一七日)

(環食第二二三号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和二三年七月厚生省令第二三号。以下「規則」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年一二月厚生省告示第三七○号。以下「告示」という。)の一部が それぞれ昭和四九年九月三○日厚生省令第三五号及び厚生省告示第二七○号をもつて別添のとおり改正されたので、左記の諸点に留意のうえ、これが運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の要旨

先に、2―(2―フリル)―3―(5―ニトロ―2―フリル)アクリル酸アミドの使用が禁止されたことに伴い、当該添加物の使用が認められていた食品に係るボツリヌス中毒等食中毒防止対策の一として食肉製品、魚肉ねり製品及び豆腐の製造基準及び保存基準の改正並びに設定が行われたものであること。

第二 改正の要点

一 魚肉ねり製品について

(一) 製造基準

ア 特殊包装かまぼこの殺菌方法が八○度で二○分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力のある方法によることとされたこと。

イ 加熱殺菌後水を用いて冷却する場合は、飲用適の流水を用いて行うか、又は残留塩素一・○ppm以上の水で換水をしながら行わなければならないとされたこと。

ウ 冷凍原料肉の解凍は、衛生的な場所において行わなければならないとされ、水を用いて解凍する場合は、衛生的な流水で行わなければならないとされたこと。

エ 製造に用いる機械器具は、清潔で洗浄、殺菌しやすいものでなければならないとされたこと。

(二) 保存基準

魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこは、一○度以下に保存しなければならないとされたこと。ただし、気密性のある容器包装に充てんした後、一二○度で四分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力のある方法により殺菌したもの及びph六・○以下であつて水分活性を○・九四以下に調整した製品については、この限りでないとされたこと。

(三) 表示

魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこのうちかん詰又はびん詰以外のものであつて、保存基準の適用を除外された製品については、殺菌方法又はph及び水分活性を表示することとされたこと。

二 食肉製品及び鯨肉製品について

(一) 製造基準

ア 気密性のある容器包装に充てんされた混合プレスハム及び混合ソーセージの殺菌方法が八○度二○分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法によることとされたこと。

イ 加熱殺菌後水を用いて冷却する場合は、飲用適の流水を用いて行うか、又は残留塩素一・○ppm以上の水で換水をしながら行わなければならないとされたこと。

ウ 原料肉は、十分に洗浄したものでなければならないとされたこと。

エ 冷凍原料肉の解凍は、衛生的な場所で行わなければならないとされ、水を用いて解凍する場合は、飲用適の流水で行わなければならないとされたこと。

(二) 保存基準

気密性のある容器包装に充てんした後、一二○度で四分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌したものは、一○度以下の保存基準の適用を除外されたこと。

(三) 表示

保存基準の改正に伴い、かん詰又はびん詰以外のものであつて保存基準の適用を除外された製品については、殺菌方法を表示することとされたこと。

三 豆腐について

(一) 製造基準

ア 原料用大豆の取扱い原則が定められたこと。

イ 豆汁又は豆乳及び包装豆腐の殺菌方法が定められたこと。

ウ 豆腐の水さらしは、絶えず換水をしながら行わなければならないとされたこと。

エ 豆腐の製造工程で使用する器具は、十分に洗浄し、かつ、殺菌したものでなければならないとされたこと。

(二) 保存基準

ア 豆腐は、冷蔵するか、又は十分に洗浄し、かつ、殺菌した水槽内において、飲用適の冷水で絶えず換水をしながら保存しなければならないとされたこと。ただし、移動販売に係る豆腐及び成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐にあつては、この限りでないとされたこと。

イ 移動販売に係る豆腐は、十分に洗浄し、かつ、殺菌した器具を用いて保冷をしなければならないとされたこと。

(三) 表示

豆腐の保存基準が定められたことに伴い、容器包装に入れられた豆腐には、保存の方法を表示することとされたこと。従つて、豆腐の製造基準にいう包装豆腐はもちろん、包装豆腐以外の包装された豆腐もこの対象となるものであること。

第三 運用上の注意

一 魚肉ねり製品について

(一) 魚肉ねり製品のうち、特殊包装かまぼこは、魚肉ソーセージ、魚肉ハムと同様気密性のある容器包装に充てんされているため、内部が嫌気的な状態になつており、流通期間も比較的長いので、特にボツリヌス菌E型による食中毒の防止を図るため、特殊包装かまぼこの殺菌方法が定められたものであること。

なお、特殊包装かまぼことは、ケーシング詰かまぼこ(魚肉を擂潰らいかいした後気密性のあるケーシングに充てんし、密封した後加熱したものをいう。)及びリテーナ成形かまぼこ(魚肉を擂潰らいかいした後気密性のあるフイルムで被覆し、型枠に入れて加熱成型したものをいう。)をいうものであること。

(二) 加熱殺菌後の放冷に水を使用する場合は、結さつ部分よりの細菌の汚染を防止するため、飲用適の流水又は残留塩素一・○ppm以上を含む水を用いることとされたこと。

(三) 冷凍原料肉の解凍にあたつては、細菌の汚染を防止するため、衛生的な場所で行わなければならないこととされ、水を用いる場合は、衛生的な流水で行うこととされたこと。

冷凍原料肉とは、原料用冷凍魚類、冷凍すり身のみならず冷凍食肉を含むものであること。

なお、現行の製造基準中(一)~(四)に定められている原料魚類の洗浄、水さらし等は、細菌汚染の除去のため重要なことであり、魚肉すり身を製造する場合にも当然に適用されるので、これが指導に遺憾のないようにされたいこと。

(四) 魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこにあつては、今回保存基準が定められたことにより、一般的には、一○度以下に保存する旨の表示を要することとなつたが、一方、保存基準の適用が除外された製品(かん詰及びびん詰を除く。)については、これを明らかにするため、規則第五条第一項の一部が改正され、殺菌方法(温度及び時間)又はph及び水分活性を表示することとされたこと。

二 食肉製品及び鯨肉製品について

(一) 原料肉については、細菌の汚染を除去するため、十分に洗浄する旨規定されたが、これが衛生的な取扱いについては、格段の配意をされたいこと。

原料肉とは、食肉、鯨肉のみならず魚肉を含むものであること。

なお、原料食肉の供給源であると畜場及び食肉処理場等における衛生保持及び衛生的な運搬についても十分な指導を行われたいこと。

(二) 加熱殺菌後水を用いて冷却する場合については、魚肉ねり製品と同様に規制されたものであること。

(三) 冷凍原料肉の解凍に水を用いる場合は、飲用適の流水を用いることとされたこと。

(四) 気密性のある容器包装に充てんされた混合プレスハム及び混合ソーセージについては、通常原料として魚肉が使用されるので、特殊包装かまぼこと同様の殺菌方法が定められたものであること。

(五) 保存基準の適用を除外された製品にあつては、魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこと同様に殺菌方法(温度、時間)を表示することとされたこと。

三 豆腐について

(一) 今般定められた豆腐の規格基準においては、豆汁の煮沸以下の工程における製造方法の衛生管理及び製品の保存方法に重点が置かれたものであること。

(二) 原料用大豆は、大豆のほか脱脂大豆をも含むものであること。

(三) 原料用大豆は、多少のきよう雑物を含むことがあるので、使用前に十分選別するよう指導されたいこと。

(四) 原料用大豆の水洗は、土砂等のほか、附着している細菌等の除去にも有効であるので、水洗の規定が設けられたものであること。

(五) 豆汁又は豆乳の加熱殺菌は、温度管理が容易なように「沸騰状態で二分間」と定められたものであるが、これと同等以上の効果を有する方法により加熱殺菌することも差支えないものであること。

なお、殺菌時間の確保については、タイマー等を備えて管理するよう指導されたいこと。

(六) (一)に示すように、豆汁又は豆乳の加熱殺菌後における製造工程の衛生管理が重要であるので、加熱殺菌後の工程においては、特に衛生的に製造されるよう指導監督されたいこと。

(七) 包装豆腐とは、豆乳に凝固剤を添加して容器包装に充てんした後、加熱凝固させたものに限られるものであること。従つて、包装豆腐以外の包装された豆腐は、包装豆腐として取扱わないものであること。

なお、豆腐に保存基準が定められたことに伴い、包装豆腐及び包装豆腐以外の包装された豆腐については、規則第五条第一項第一号ヘの規定により、基準に合う保存の方法を表示する必要があること。

(八) 包装豆腐は、その流通形態等を考慮して、九○度で四○分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法により殺菌することとされたものであること。

(九) 豆汁又は豆乳を殺菌した後の工程における製造工程の衛生管理が特に重要であることから、豆腐の製造工程において使用する器具(機械を含む。)はすべて十分に洗浄し、かつ、殺菌したものを使用することが必要であるので十分に指導されたいこと。

(十) 豆腐の保存基準にいう「冷水」とは一○度以下の温度を目途としたものであるが、豆腐製造業等の実態等をも考慮のうえ関係営業者を指導されたいこと。また、「絶えず換水をしながら」とは、汲み置き水の中に豆腐を浸漬しておくような状態を排除しようとする目的であるので、常時、適量の水(冷水)が補給される状態が確保されるよう留意されたいこと。

なお、移動販売に係る豆腐及び成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐に限つては、これらの規定を適用しないこととされたこと。

(十一) 「成型した後水さらしをしないで直ちに販売の用に供されることが通常である豆腐」とは、沖縄県等の一部の地域に習慣として定着している特殊な製造、販売方法による豆腐を指すものであるが、これらの地域においても漸次、冷蔵するか又は飲用適の冷水で絶えず換水をしながら保存する方法に改善するよう指導されたいこと。

(十二) 豆腐の移動販売は、社会的要請等より見て止むを得ないものと思料されるので、移動販売を行うにあたつては、十分に洗浄し、かつ、殺菌した器具により豆腐を保冷して販売することとされたものであること。

(十三) 豆腐の保存基準に合う保存方法の表示は、例えば、「冷蔵すること」、「冷蔵庫又は冷水中に保存」、「冷蔵保存すること」、「要冷蔵」等その主旨を十分に表現するものであれば差支えないものであること。

なお、可能な限り、製造年月日についても表示するよう指導されたいこと。

第四 その他

一 食肉製品、魚肉ねり製品等について

(一) 製造過程における原料の取扱、機械器具等の洗浄殺菌、従業員の衛生教育等衛生管理の徹底を図ること。

(二) 流通過程においては、保存基準の定められたものについて、その遵守を徹底するとともに、保存基準が定められていない製品にあつても低温保持を可能な限り図り、計画的な製品管理により製品の回転率の促進を図るよう指導すること。

(三) 食堂、料理店、仕出し屋、弁当屋等当該製品の使用者はもとより、消費者においても、従来、食肉製品及び魚肉ねり製品は保存性があるものと考えられがちであつたが、今後生鮮食品なみの取扱いをし、早期に消費すること、また、ボツリヌス中毒は加熱調理により防止し得ること等を啓蒙されたいこと。

(四) 保健所職員をはじめ、医療関係者について、食中毒特にボツリヌス中毒についての知識の啓蒙を図り、患者発生の早期発見、早期治療、原因食品の追究等に遺憾のないようにされたいこと。

二 豆腐について

(一) 豆腐の製造、保存及び販売に使用される器具は、すべて洗浄し、かつ、殺菌することが必要であると定められたが、これらの衛生的保守管理が容易に行えるようにするためには、豆腐の製造に係る施設、設備及び機械器具の材質、構造についての改善、近代化が必要であり、特に、ステンレスパイプ等によるサニタリー構造等、乳類の製造に使用される機械器具類の諸要件が整備されることが望ましいので、漸次、材質、構造を改善するよう指導するとともに、新設、改造等の際はこれらの点に留意のうえ指導されたいこと。

(二) 豆腐は、従来、生鮮食品と同様に取扱われており、加熱をしないでそのまま摂食されることも多いので、その製造、販売等に従事する者の衛生管理が重要であること。従つて関係者に対する衛生教育を強化し、作業前における手指の洗浄、作業衣等の専用化等のほか、定期的に検便を実施する等作業者の健康管理に配慮するよう指導されたいこと。

(三) 消費者に対しては、豆腐は生鮮食品と同様に取扱われて来ており、一般に腐敗し易いこと等を考慮して可及的すみやかに摂取するよう指導するとともに、保存する場合は冷蔵するよう指導されたいこと。

第五 施行期日

一 表示に関する規則の改正規定は、食肉製品については、昭和四九年一一月一日から施行され、魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこについては、昭和五○年四月一日から適用することとされたが、それまでの間にあつても、適正な表示が行われるよう指導されたいこと。

二 製造基準及び保存基準に関する告示の改正規定は、昭和四九年一一月一日から適用されるものであるので、速かに改正後の規定に適合するよう指導されたいこと。

なお、魚肉ねり製品及び豆腐の保存基準については、昭和五○年四月一日から適用することとされたが、それまでの間にあつても、低温保持をはかるよう指導されたいこと。

別添〔略〕