添付一覧
○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について
(昭和四六年三月一七日)
(環食化第二二三号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号。以下「規則」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年一二月厚生省告示第三七○号。以下「規格基準」という。)の一部がそれぞれ昭和四六年二月二六日厚生省令第四号及び厚生省告示第三九号をもつて別添のとおり改正されたので、次の諸点に留意のうえ、その運用に遺憾のないようにされたい。
第一 改正の要旨
一 規則関係
(一) 添加物として指定されている化学的合成品のうち次の一三品目の指定が削除されたこと。
亜硫酸カリウム
過マンガン酸カリウム
クマリン及びその誘導体
クロラミンB
クロラミンT
息素化油
食用赤色一○三号
ソルビン酸ナトリウム
鉄クロロフィリンカリウム
銅クロロフィリンカリウム
パラオキシ安息香酸セカンダリブチル
ハラゾーン
硫酸銅
(二) ジフェニル及びdl―α―トコフェロールが新たに化学合成品たる添加物として指定されたこと。
(三) (一)の改正に伴い規則別表第四及び別表第五について所要の改正がなされたこと。
二 規格基準関係
(一) 添加物の成分規格について
ア 次亜硫酸ナトリウムについて、純度試験中に新たにギ酸塩の項が追加されたこと。
イ 水酸化カルシウム及び炭酸カルシウムについて純度試験中アルカリ金属及びマグネシウムの項の試験操作が簡易化されるとともに、定量法が過マンガン酸カリウム滴定法からEDTA滴定法に改められたこと。
ウ 乳酸カルシウム及び硫酸カルシウムについては、定量法が過マンガン酸カリウム滴定法からEDTA滴定法に改められたこと。
エ フマル酸について、純度試験中融点が「二八五~二九○度」から「二八七~三○二度」に改められたこと。
オ メタリン酸カリウムについて、純度試験中の溶状の項において濁度を判定する際の温度が規定されたこと。
カ リンゴ酸について、含量及び定量法の項から乾燥の操作が削られるとともに、乾燥減量の項が削除されたこと。
(二) 添加物の使用基準について
ア 希釈過酸化ベンゾイルを押麦に使用することが禁止されたこと。
イ サリチル酸を合成清酒、果実酒、本直し及び酢に使用することが禁止されたこと。
ウ 三二酸化鉄は、バナナ(果柄の部分に限る。)及びコンニャク以外に使用してはならないこととされたこと。
エ 今回新たに指定されたジフェニルは、グレープフルーツ、レモン及びオレンジ類以外使用してはならないこととされるとともに、使用法及び食品中の残存量(一kgにつき○・○七g以下)が定められたこと。
オ 硝酸カリウム及び硝酸ナトリウムは、チーズ、清酒、食肉製品、鯨肉製品以外の食品に使用してはならないこととされ、その使用量は、チーズにあつては原料に供する乳一lにつき○・二g以下、清酒にあつては酒母一lにつき○・一g以下とされ、食肉製品および鯨肉製品にあつては亜硝酸根として一kgにつき○・○七g以上残存しないように使用しなければならないこととされたこと。
カ デヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸ナトリウムをみそに使用することが禁止され、また、チーズ、バター、マーガリンに対する使用量が一kgにつき二g以下を一kgにつき一g以下に、乳酸菌飲料の原料に供するはつ酵乳及び乳酸菌飲料に対する使用量が一kgにつき○・二g以下を一kgにつき○・一g以下に、乳酸菌飲料(乳酸菌飲料の原料に供するものを除く。)に対する使用量が一kgにつき○・○四g以下を一kgにつき○・○二g以下に改正されたこと。
キ 今回新たに指定されたdl―α―トコフェロールは、酸化防止の目的以外に使用してはならないとされたこと。ただし、β―カロチン、ビタミン A1、ビタミン A1脂肪酸エステル及び流動パラフィンの製剤中に含まれる場合はこの限りでないこと。
ク プロピオン酸カルシウム及びプロピオン酸ナトリウムのパン、洋菓子に対する使用量が一kgにつき五g以下を一kgにつき二・五g以下に改正されたこと。
(三) 器具および容器包装について
器具もしくは容器包装またはこれらの原材料の規格に、着色に関する規定が設けられたこと。
(四) その他
添加物の指定削除及び添加物の成分規格の改正に伴う所要の改正がなされたこと。
三 施行期日
ジフェニル及びdl―α―トコフェロールについては、昭和四六年二月二六日から、その他の改正規定は昭和四六年九月一日から施行されること。
第二 運用上の注意
一 サリチル酸の使用は清酒のみに制限されたが、国税庁は、昭和四六年二月三日間酒一|六「清酒にサリチル酸を混和することの取扱いについて」(国税庁長官通知)により、貯蔵中の清酒及び通常のガラスビンに入れて販売される清酒については原則としてサリチル酸を使用しないこととし、特に必要がある場合のみ税務署長の承認を受けて使用するよう指導しており、また、木製、陶器製、合成樹脂製及び特殊ガラス製容器に入れて販売する清酒にサリチル酸を使用する場合は、その旨税務署長に届け出るよう指導しているので了知されたいこと。
二 三二酸化鉄をバナナの果柄の部分に使用するのは、保存料を使用したことを識別するためであり、コンニャクに使用するのは、滋賀県で製造されるいわゆる赤コンニャクを考慮して定められたものであること。
三 ジフェニルを使用したグレープフルーツ、レモン及びオレンジ類には、その容器包装等にジフェニルを含有する旨の標示を行なうよう関係業者に対して指導されたいこと。
なお、輸入品については、厚生省においても直接関係業界に対して指導を行なつているところであること。
四 ジフェニルの使用基準にいうオレンジ類とは、ワシントンネーブルオレンジ、トロピタオレンジ、バレンシアオレンジ、福原オレンジ等をいうものであつて、うんしゆうみかん、夏みかん、はつさく等は該当しないものであること。
五 dl―αトコフェロールの使用基準中で、β―カロチン、ビタミン A1、ビタミン A1脂肪酸エステルおよび流動パラフィンの製剤中に含まれる場合とは、β―カロチン等の製剤の安定剤としてdl―α―トコロフェロールを加えた場合のことをいうものであること。
六 従来の器具および容器包装の着色に関する規定は、製造基準のみが定められ、国内における製造のみが規制されていたが、今般の改正により規格に合わない器具及び容器包装の製造、販売、営業上の使用はもとより、その輸入も禁止されることとなつたものであること。
七 添加物の削除及び規格基準(ジフェニル及びdl―α―トコフェロールに係るものを除く。)の改正については、約六か月の猶予期間が設けられたが、この間に関係業者に対して周知徹底を図られたいこと。
第三 その他
一 クマリン及びその誘導体並びに臭素化油については、その安全性に疑問が生じたため指定が削除されたものであること。
二 クロラミンT、食用赤色一○三号及び硫酸銅については安全性を確認するためのデータが十分でないと判断されたため指定が削除されたものであること。
三 亜硫酸カリウム、過マンガン酸カリウム、クロラミンB、ソルビン酸ナトリウム、鉄クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンカリウム、パラオキシ安息香酸セカンダリーブチル及びハラゾーンについては、現在使用されておらず、また将来も使用される可能性がないと考えられるため指定が削除されたものであること。
四 ジフェニルは、グレープフルーツ、レモン及びオレンジ類の貯蔵又は運搬時に防黴の目的をもつて使用されるものであり、その使用の際には本品を浸潤させた紙片を食品を入れた容器に入れて用い、本品はこの紙片より徐々に昇華し、効果を現わすものであること。
五 dl―α―トコフェロール(ビタミンE)は、油脂等の酸化防止剤として使用されるものである。従来、天然のトコフェロールが一部で使用されていたのであるが、最近合成品が生産されるようになつたので今回化学的合成品たる添加物として指定されたものであること。
六 デヒドロ酢酸及びデヒドロ酢酸ナトリウムのチーズ、バター、マーガリン、はつ酵乳及び乳酸菌飲料に対する使用限度がそれぞれ従来の二分の一に制限されたのは製造技術の向上、低温貯蔵設備の整備、衛生管理の徹底等により品質保持がはかられ得ると判断されたためであること。
また、プロピオン酸カルシウム及びプロピオン酸ナトリウムのパン、洋菓子に対する使用限度もデヒドロ酢酸の場合と同様の理由により従来の二分の一に制限されたものであること。