添付一覧
○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について
(昭和四四年二月一日)
(環食化第九〇〇八号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号。以下「規則」という。)および食品、添加物等の規格基準(昭和三四年一二月厚生省告示第三七○号。以下「規格基準」という。)の一部がそれぞれ昭和四四年二月一日厚生省令第一号および厚生省告示第二九号をもつて別添のとおり改正されたので、左記の諸点に留意のうえ、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
第一 改正の要旨
一 規則関係
(一) 食品衛生法第六条の規定に基づき、化学的合成品たる添加物として、次の五品目が追加指定されたこと。
グリチルリチン酸二ナトリウム
グリチルリチン酸三ナトリウム
L―システイン塩酸塩
ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコール
D―マンニット
(二) 別表第五中に、グリチルリチン酸二ナトリウムおよびグリチルリチン酸三ナトリウムが追加されたこと。
二 規格基準関係
(一) 添加物の成分規格等について
ア 新たに指定されたグリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、L―システイン塩酸塩、ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコールおよびD―マンニットの五品目について成分規格が定められたこと。また、これに伴い、試薬としてN―エチルマレイミド、ジブチルヒドロキシトルエン、ナフトレゾルシン、n―ブチルアルコール(中和)およびメタ過ヨウ素酸ナトリウム、試液として過ヨウ素酸ナトリウム試液、標準品として、ニコチン酸アミド標準品が追加されたこと。
イ 試薬中、液体フエノールの目およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの目の順序を整理したこと。
(二) 添加物の使用基準について
ア 新指定添加物
(ア) グリチルリチン酸二ナトリウムおよびグリチルリチン酸三ナトリウムは、しよう油およびみそ以外の食品に使用してはならない旨の使用基準が定められたこと。
(イ) L―システイン塩酸塩は、パンおよび天然果汁以外の食品に使用してはならない旨の使用基準が定められたこと。
(ウ) ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコールは、みかんかん詰の製造の際の内果皮の除去以外の目的に使用してはならない旨および最終食品の完成前にこれを除去しなければならない旨の使用基準が定められたこと。
(エ) D―マンニットは、チューインガムおよびあめ類の粘着防止の目的以外に使用してはならない旨の使用基準が定められたこと。
なお、ここにいうあめ類とはキャラメル、ドロップ、あめ菓子をいう。
イ 既指定添加物
(ア) 亜硫酸水素ナトリウム等七品目の使用基準においては、従来、コンニャクおよびコンニャク粉は、いずれも二酸化イオウとしてその一kgにつき○・○三g以上残存してはならないこととされていたが、コンニャク粉にあつてはその一kgにつき○・九g以上、コンニャクにあつては、その一kgにつき○・○三g以上残存してはならないことと改められたこと。また、これに伴い、添加物一般の使用基準の項の表の第二欄にコンニャク粉が追加され、コンニャク粉中の二酸化イオウがコンニャクに移行した場合は、コンニャクにはその移行した量をも含めて○・○三g/kg以上残存してはならないこととされたこと。
(イ) ソルビン酸、ソルビン酸カリウムおよびソルビン酸ナトリウムの使用基準中フラワーペーストの定義が一部改正されたこと。
(ウ) 従来、過酸化水素には、使用基準が設けられていなかつたが、最近、過酸化水素が異常に多く残存している食品が見受けられるので、今回その残存量を規制し、うどん、かまぼこおよびちくわにあつては、その一kgにつき○・一g以上、その他の食品にあつてはその一kgにつき○・○三g以上残存してはならないこととされたこと。
なお、ここにいううどんとは小麦粉を主原料とし、これに水または食塩水を加えてこね、細長い線状もしくは特殊な型に成型し、ゆでたものをいい、かまぼこにははんぺん、しんじよおよびなるとまきを含むものであること。
第二 運用上の注意
一 今回、コンニャク粉については亜硫酸水素ナトリウム等は、二酸化イオウとしてその一kgにつき○・九g以上残存してはならないこととされたが、コンニャク粉の製造に当たつては、製造工程等の改善を行ない、二酸化イオウの残存量を引き下げるよう、また、過酸化水素について使用基準が設けられたが、特にうどん、かまぼこおよびちくわについては、その製造、流通過程の改善を行ない過酸化水素の使用量を極力少なくするよう、関係業者を十分指導されたいこと。
二 過酸化水素の使用基準に関する規定は、昭和四四年八月一日から適用されるので、それまでに関係業者を指導する等十分周知徹底を図られたいこと。
第三 その他参考事項
新たに指定された添加物の特徴および使用目的は、次のとおりである。
一 グリチルリチン酸二ナトリウムおよびグリチルリチン酸三ナトリウムは、甘草根より抽出しナトリウム塩にしたもので、しよう油およびみそに甘味をつけるとともに、風味を増す等の目的で使用される。
二 L―システイン塩酸塩は、含硫アミノ酸のL―システインの塩酸塩で還元性をもつている。通常、システイン含量の多い毛髪の加水分解物を原料として得られる。天然果汁中のビタミンCの酸化防止、果汁の褐変防止、ならびにパンの製造時間の大幅短縮およびパンの品質改善の目的で使用される。
三 ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコールは、マッコウ鯨油より得られたマッコウアルコールに酸化エチレンを反応させ、マッコウアルコール一モルに対し酸化エチレン八~一○モル付加したものである。みかんかん詰の製造の際、みかんの内果皮を除去するため、塩酸処理を行なうが、このとき本品を塩酸に少量添加することにより、セルロース、ペクチン質等の加水分解、可溶化を促進し、脱皮加工工程を円滑にする。
四 D―マンニットは、D―マンノース、D―フラクトース等をニッケル触媒で接触還元して得られる六価のアルコールで、甘味度は砂糖の五七~七二%である。本品は、非吸湿性であるので、粘着防止の目的でチューインガムおよびあめ類に使用される。
〔別添〕略