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○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和四三年八月九日)

(環乳第七〇五九号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二六年厚生省令第五二号。以下「乳等省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年厚生省告示第三七〇号。以下「規格基準」という。)の一部がそれぞれ昭和四三年七月三〇日厚生省令第三二号及び厚生省告示第三二八号をもつて別添のとおり改正されたので、左記事項に留意のうえ、これが運用に遺憾のないようされたい。

第一 改正の趣旨

最近における乳及び乳製品等に関する製造技術の近代化及び流通形態の改変に対処するとともに、消費者保護の観点から、乳等の標示制度を改善する等所要の改正を行なつたものである。

第二 改正の要点

1 乳等省令関係

(1) 乳(生乳及び生山羊乳を除く。以下同じ。)にかかる販売曜日の標示が製造年月日の標示に改められたこと。ただし、紙又はアルミニウム箔で密栓した容器に収められたものにあつては、製造日の記載をもつてこれに代えることができることとされたこと。

(2) 従前、クリーム並びにはつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料のうち保存性のある容器に入れ、加熱殺菌したもの以外のものについては、販売曜日の記載をもつて製造年月日の標示に代えることができることとされていたが、これが改められ、クリーム、はつ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料のうち紙又はアルミニウム箔で密栓した容器に収められたものについてのみ、製造日の記載をもつて製造年月日の標示に代えることができることとされたこと。

(3) 乳製品及び乳酸菌飲料であつて、食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号)別表第五の上欄に掲げる添加物を含むものにあつては、当該添加物又は同表当該下欄に掲げる物を含む旨を標示しなければならないこととされたこと。

(4) 殺菌したはつ酵乳及び乳酸菌飲料にあつては、その旨を標示しなければならないこととされたこと。

(5) 牛乳、加工乳等を短時間で加熱殺菌する方法についての厚生大臣の承認制度が廃止され、これに伴い牛乳加工乳等の加熱殺菌方法に関する規定が整備されたこと。

(6) はつ酵乳及び乳酸菌飲料であつて、四菌種(ブルガリタス桿菌、アシドフルス桿菌、乳酸球菌及びサーモフイルス球菌)以外の菌種の使用したもの及びはつ酵させた後において殺菌したものについての成分規格に関する厚生大臣の承認制度が廃止され、殺菌方法に関する規定が定められたこと。

(7) はつ酵乳及び乳酸菌飲料に防腐剤を使用することについての厚生大臣の承認制度が廃止され、はつ酵乳及び乳酸菌飲料であつて糊状のもの及び殺菌したもの以外のものについて、厚生大臣の承認を要せず防腐剤を使用することができることとされたこと。

(8) 乳にかかる標示については、昭和四四年三月三一日まで、乳製品及び乳酸菌飲料にかかる標示については、同年六月三〇日までは、なお従前の例による標示ができること。

2 規格基準関係

(1) 乳等省令の一部改正に伴い、はつ酵乳及び乳酸菌飲料のうち糊状のもの及び殺菌したもの以外のものについては、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム及びこれを含む製剤(以下「デヒドロ酢酸等」という。)の使用を認めることとし、その場合の使用量は改正前の乳等省令別表の二の(五)の(2)ただし書の規定により厚生大臣の承認を受けた場合と同様デヒドロ酢酸としてその一kgにつき〇・〇四g以下とされたこと。

(2) 乳酸菌飲料の原料に供するはつ酸乳についてデヒドロ酢酸等をデヒドロ酢酸としてその一kgにつき〇・二g以下使用することが認められたこと。

第三 運用上の注意

1 乳等省令関係

(1) 削除

(2) 添加物の標示について

乳製品及び乳酸菌飲料であつて合成保存料等の添加物を含むものの標示は、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウムを含む場合にあつては「デヒドロ酢酸ナトリウム」又は「合成保存料」を含む旨(例えば「使用」「含有」「含む」「添加」等)を標示しなければならないこと。

(3) はつ酵乳及び乳酸菌飲料の標示について殺菌したはつ酵乳及び乳酸菌飲料にあつては、殺菌していないものと区別をするため乳酸菌を殺菌した旨を標示しなければならないこととされたが、この標示は、容器包装の見易いところに種類別の標示に併記して明確に標示するよう指導されたいこと。

(4) 牛乳等の殺菌方法について

ア 牛乳、殺菌山羊乳、脱脂乳、加工乳及びクリームの製造方法の基準における殺菌方法(以下「牛乳等の殺菌方法」という。)に関する規定が整理され厚生大臣の承認制度が廃止されたが、改正後の規定中「これと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」とは、具体的には次の方法のいずれかによるものであること。

(ア) 自動制御装置をつけた連続式超高温殺菌装置により摂氏一二〇度から一五〇度で一秒以上三秒以内で殺菌する方法(UHT法)

なお、蒸気による直接加熱法による場合は、更に自動蒸気清浄装置及び自動真空調節装置をつけた殺菌装置によること。

(イ) 自動制御装置をつけた連続式高温短時間殺菌装置により摂氏七二度以上で一五秒以上殺菌する方法(HTST法)

(ウ) 改正前の規定による摂氏七五度以上で一五分以上保持殺菌する方法

イ 各営業者が行なう牛乳等の殺菌方法については、営業者の施設別、種類別にその内容等について十分把握し、これが監視指導に努められたいこと。

なお、営業許可の申請にあたつては、当該営業許可申請書の記載事項中営業設備の大要に殺菌設備に関する事項を記載させることとし、また殺菌設備に変更があつた場合は、その旨を届出させ、これが十分な把握に努められたいこと。

(5) はつ酵乳、乳酸菌飲料の成分規格について

ア はつ酵乳及び乳酸菌飲料については、はつ酵させた後において殺菌するものについての殺菌の方法が定められ厚生大臣の承認制度が廃止されたが、改正後の規定中「これと同等以上の殺菌効果を有する方法」とは、例えば、連続式殺菌方法(HTST法、UHT法等)で摂氏七五度以上で殺菌を行ない、この温度を保持しながら容器に充填する方法等が含まれること。

イ はつ酵乳及び乳酸菌飲料に四菌種以外の菌種を使用する場合における厚生大臣の承認制度が廃止され、厚生大臣の承認を必要としなくなつたが、乳酸菌数は所定の規格以上なければならないこと。

なお、各営業者において使用している菌株名、菌株の性状(形態学的、生化学的、利用面等)、菌株の検査法及び衛生上の安全性(変異の状態)等について、その実態を十分把握するよう努められたいこと。

ウ はつ酵乳及び乳酸菌飲料に防腐剤を使用することについての厚生大臣の承認制度が廃止され、糊状のもの及び殺菌したものは防腐剤の使用が認められなくなり、これら以外のものについては厚生大臣の承認を要せず防腐剤の使用ができることになつたが、その使用については、適正な使用がなされるよう監視指導に努められたいこと。

(6) 施行期日について

改正後の標示に関する規定の適用については、経過期間中であつても、できるだけ早い時期に改正後の標示を実施するよう関係営業者の指導に努められたいこと。

2 規格基準関係

(1) 使用基準について

乳酸菌飲料の原料に供するはつ酵乳にデヒドロ酢酸等を、デヒドロ酢酸としてその一kgにつき〇・二g以下使用することが認められたのは、原料の現在の流通段階における異常はつ酵の実態を考慮したためであつて、これを希釈して乳酸菌飲料とした場合は、デヒドロ酢酸としてその一kgにつき〇・〇四gをこえてはならないこと。

(2) 使用上の指導等について

ア バター、チーズ、はつ酵乳及び乳酸菌飲料については、低温保持及び衛生管理等を十分に行ない、極力、デヒドロ酢酸等の使用を少なくするよう当該営業者を指導されたいこと。

なお、デヒドロ酢酸等の使用については今後廃止の方向で検討を加えてゆく方針であること。

イ デヒドロ酢酸等を使用した原料のはつ酵乳を用いて乳酸菌飲料を製造する場合に、たとえ希釈後デヒドロ酢酸としての含有量が一kgにつき〇・〇四g以下であつても、デヒドロ酢酸等をさらに追加して使用することのないよう指導されたいこと。

3 その他

(1) 牛乳等の殺菌方法等について

牛乳等の殺菌方法について、第三の(4)以外による方法を用いる場合にあつては、当該営業者からあらかじめ殺菌機の内容、効果等に関する関係書類を徴し、当局に協議されたいこと。

(2) はつ酵乳及び乳酸菌飲料の製造等に関する留意事項等について

ア 従前、厚生大臣の承認にかかる製造施設については、当該営業施設に製造技術責任者を設置するよう指導してきたところであるが、改正後においてもこの措置を維持するよう指導し、規格基準の遵守に努められたいこと。

なお、製造技術責任者の資格については従前のとおりとされたいこと。

イ 施設については、その改善向上に努めるとともに、これが製造過程における取り扱いの衛生管理の徹底を図るよう指導されたいこと。

ウ 製造については、計画的な製造を行なわせるとともに、一貫した低温保持を図るため、冷蔵施設を必須とし、これら製品等の冷蔵保存に努めさせ、輸送に際しても低温保持に努めさせるよう指導されたいこと。

エ 添加物等の使用にあたつては、その使用方法の正確を期するため、適正な秤量器を備え、正確な計量、添加を行なうよう指導されたいこと。

オ 乳酸菌飲料の原料であるはつ酵乳については、直接消費者に販売されることのないよう営業者を監視指導するとともに、営業者に対し当該原料であるはつ酵乳については、「原料用」である旨、「希釈倍率」等を明記するよう指導されたいこと。

カ はつ酵乳を水で希釈したものは、すべて乳酸菌飲料と解して取り扱われるものであること。

(3) 削除

第四 関係通達の廃止

乳等省令及び規格基準に関する施行通達等のうち、次に掲げるものは、これを廃止する。

1 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令並びに食品、添加物等の規格基準の一部改正について(昭和三五年七月一四日厚生省発衛第三一四号 各都道府県知事、各政令市市長あて 厚生事務次官通知)の全部

2 食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格に関する省令の一部改正について(昭和三六年七月二二日厚生省環発第八四号 各都道府県知事、各政令市市長あて 厚生省環境衛生局長通知)のうち、

第一改正の要旨のB乳等省令関係の3並びに第二運用上の注意の6乳等省令関係のハ、ニ及びホ

3 はつ酵乳及び乳酸菌飲料の承認申請について(昭和三六年一一月二一日環発第二三〇号 各都道府県知事、指定都市市長あて 厚生省環境衛生局長通知)の全部

4 はつ酵乳及び乳酸菌飲料の承認申請の取扱いについて(昭和三七年一二月四日環乳第四八一号 各都道府県知事、指定都市市長あて 厚生省環境衛生局長通知)の全部

別添 略