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○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について
(昭和四三年三月八日)
(環食化第八〇〇九号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
食品衛生法施行規則(昭和二八年厚生省令第二八号。以下「規則」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年一二月厚生省告示第三七○号。以下「規格基準」という。)の一部がそれぞれ昭和四三年三月八日厚生省令第三号及び厚生省告示第七三号をもつて別添のとおり改正されたので、左記の諸点に留意のうえ、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
第一 改正の要旨
一 規則関係
食品衛生法第六条の規定に基づき、化学的合成品たる添加物として次の五品目が追加指定されたこと。
ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム、ポリイソブチレン、ポリブテン、5′―リボヌクレオタイドカルシウム
二 規格基準関係
(一) 添加物の成分規格等について
ア 新たに指定されたポリイソブチレン、ポリブテン、5′―リボヌクレオタイドカルシウム並らびにノルビキシンカリウム及びノルビキシンナトリウムの製剤である水溶性アナトーの四品目について成分規格が定められたこと。
また、これに伴い、赤外吸収スペクトル測定法が添加物一般の試験法として新たに定められ、また試薬として臭化カリウム(赤外吸収スペクトル測定用)が追加され、試液として塩化第一スズ・塩酸試液(水溶性アナトー試験用)が追加されたこと。
イ 従来法第七条の規定に基づき、成分規格が定められていたL―アスコルビン酸ステアリン酸エステル等七品目につき、成分規格の一部が改められたこと。
これらの改正の要旨は、それぞれ次のとおりであること。
(ア) L―アスコルビン酸ステアリン酸エステルの定量法については、従来の方法ではリン酸が析出するなど加水分解に難点があつたので、これが全面的に改められたこと。
(イ) D―ソルビツト液の強熱残留物の量は、D―ソルビツトと同様、○・○二%以下すなわち五gにつき、一mg以下で十分であるので、その量以下に改められたこと。
(ウ) ピリドキシン塩酸塩の定量法において、従来、塩化メチルロザニリンという名称で用いられていた指示薬は、通常塩化ヘキサメチルパラロザニリンを意味し、クリスタルバイオレツトと同じものであるので、名称を統一するため、試薬から塩化メチルロザニリンが削られたこと。
(エ) ブチルヒドロキシアニソールは、2―tert―butyl―4―hydroxy―anisole(2―BHA)及び3―tert―butyl―4―hydroxy―anisole(3―BHA)の二種の異性体の混合物であるが、最近合成技術の進歩に伴い、二―BHAより酸化防止効果が高い三―BHAを従来のものより高く含有するBHAを製造することができるようになり、そのため融点が上限を越える場合があるため、その上限がひきあげられたこと。
(オ) L―リジン塩酸塩の定量法で使用する試薬及び指示薬が非水滴定用の試薬、指示薬でないため、これが非水滴定用に改められたこと及びより正確な測定法とするため空試験を行なうことが追加されたこと。
(カ) 白陶土の強熱減量の規定は、焼成等の処理の方法によつては規格に合わないので、実情に即するように改められたこと。
(キ) 従来のケイソウ土の規格は、完全な焼成品のみを対象としてつくられたものであるが、半焼品もろ過剤として広い用途を有するため、実情に即するよう液性、塩酸可溶物、ヒ素及び強熱減量の規定が定められたこと。
(二) 添加物の使用基準について
ア 今回指定されたポリイソブチレン及びポリブテンは、チユーインガム基礎剤以外の用途に使用してはならない旨の使用基準が定められたこと。
イ 従来法第七条の規定に基づき使用基準の定められていた添加物のうち酢酸エチル及び銅クロロフイリンナトリウムについて使用基準の一部が次のとおり改められたこと。
(ア) 酢酸エチルをコンニヤク粉の製造に使用するアルコール又は結晶果糖の製造に使用するアルコールの変性剤として使用することが認められたこと。
(イ) 銅クロロフイリンナトリウムを合成樹脂製容器包装詰のみつ豆中の寒天にも使用することが認められたこと。
第二 運用上の注意
次の添加物の成分規格に関する規定は、昭和四三年九月八日から適用されるので、それまでに関係業者を指導する等十分周知徹底を図られたいこと。L―アスコルビン酸ステアリン酸エステル、D―ソルビツト液、ビリドキシン塩酸塩、L―リジン塩酸塩
第三 その他参考事項
新たに指定された添加物の特長及び使用目的は、次のとおりである。
一 ノルビキシンカリウム及びノルビキシンナトリウムは、ベニの木の種子に含まれる色素ビキシンの加水分解物であるノルビキシンのカリウム塩及びナトリウム塩で、赤かつ~黄色の着色料であり、染着性が勝れている。これらは通常ベニの木の種子からアルカリ抽出して得られる水溶性アナトーの形で食品に使用され、ノルビキシンカリウム又はノルビキシンナトリウムの純品の形で使用されることは少ないので、とりあえず水溶性アナトーについて成分規格が定められたものである。
二 ポリイソブチレン及びポリブテンは、チューインガムの基礎剤に使用される酢酸ビニル樹脂が寒冷時に硬化するのを防ぐとともに、疎水性を付与してだ液によつて軟化しすぎることを防止するために可塑剤として使用される。
ポリイソブチレンは、ポリブテンより粘度が高いので、高粘度を要求される場合に使用される。
三 5′―リボヌクレオタイドカルシウムは、水に難溶、温湯に可溶である。このため、食肉製品又は魚肉ねり製品の原料配合時に添加しても、これらに含まれる酵素(フオスフアターゼ)によつて分解されることがないという特長がある。その後の加熱処理によつて酵素が活性を失うとともに本品が溶解するので、調味料としての効果が発現する。
別添 略