添付一覧
○食品衛生法施行令の一部を改正する政令の施行について
(昭和四二年一〇月二三日)
(環乳第七〇八一号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
食品衛生法施行令(昭和二八年政令第二二九号)(以下「政令」という。)の一部を改正する政令が、昭和四二年一○月二日政令第三二四号をもつて別添一のとおり公布になつたので、左記事項御留意のうえ、これが運用に遺憾のないようされたい。
記
第一 改正の趣旨
豚コレラワクチンの製造に使用した豚等の肉が、相当の期間にわたつて食用として違法に解体し、販売されていたことが本年の春に発覚した。
これが背景をみるに、近年における食肉の生産量及び消費量の増大に伴つて流通過程が大幅に変革され、関係営業の細分化の傾向が明らかとなつている。しかし、このような新しい実態に対して、食品衛生法上の措置が必ずしも十分とはいえなかつた。
今回の食品衛生法施行令の一部改正は、これらの諸点を検討のうえ、食肉の流通過程における食肉の処理段階を規制するとともに、食肉製品の製造又は加工の過程における衛生管理の規則を強化し、食肉衛生の万全を期することを目的としたものである。
第二 改正の要点
一 食品衛生法(以下「法」という。)第一九条の二第一項の規定に基づき、食品衛生管理者の衛生管理のもとで製造又は加工を行なわなければならない食品として、食肉製品を追加したこと。(政令第四条の二の改正)
二 法第二○条の規定に基づき、都道府県知事が施設についての基準を定めるべき営業として、食肉処理業を追加したこと。(政令第五条第八号の三の改正)
三 食肉処理業の営業許可等を行なう権限を、都道府県知事に所管させることとしたこと。(政令第八条の改正)
四 食品衛生管理者の設置に係る規定の改正は、昭和四三年四月一日から施行となり、その他の規定は昭和四三年二月一日から施行となること。(政令附則第一項)
五 食肉処理業の営業許可申請手数料の最高額を、三、○○○円としたこと。(政令附則第二項)
第三 運用上の注意
一 食肉衛生管理者について
(一) 食肉製品の製造又は加工を行なう営業者は、昭和四三年四月一日までに、法第一九条の二第四項に規定する資格を有する者を食品衛生管理者として、その施設ごとに設置したうえ、都道府県知事又は政令市長にその旨を届け出でなければならないことになつたので、貴管下の該当業者に指導の徹底をはかられたいこと。なお、法第一九条の二第四項第四号の規定による資格者の養成のための講習会については、厚生大臣が指定次第別途通知する予定であること。おつて、社団法人日本食肉加工協会で講習会の開催を計画中であること。
(二) ここにいう食肉製品とは、法施行令第五条第一○号に規定する食肉製品と同じくハム・ソーセージ・ベーコンその他これらに類するものをいうものであること。
二 食肉処理業について
(一) 食肉処理業が法第二一条の規定に基づき許可を要することになるのは、昭和四三年二月一日からであるので、営業施設基準の設定、営業許可手数料額の決定等所要の手続の整備を行ない、施設期日前後には許可事務が円滑に推進されるよう配慮されたいこと。なお、施設基準の設定にあたつては、別添二を参考とされたいこと。
(二) 食肉処理業とは、業として次に掲げる営業を営むものであること。ただし、食肉販売業者又は食肉製品製造業者等が、当該営業の用に供するため同一敷地内において食肉の処理を行なう場合は、新たに食肉処理業の許可を要しないものであること。
ア 食用の目的で鳥若しくは獣畜(と畜場法(昭和二八年法律第一一四号)にいう獣畜を除く。)をと殺し、若しくは解体する営業
イ 解体された鳥獣の肉、内臓、頭等を分割し、細切し、若しくは砕細して食肉を整形加工する営業
(三) 食肉処理業は、その実態からみて取引範囲が広くすでに要許可業種となつている食肉製品製造業と同様行政処分の権限を都道府県知事の所管としたものであること。
三 その他
(一) 厚生省報告例及び保健所運営報告に係る関連部分の改正は、別途行なわれる予定であること。
(二) 下記の通知は、廃止する。
昭和三六年九月一一日環発第一五○号の二「いわゆる包装食肉・ブロイラー等の製造又は販売の取締について」の記の二
昭和三五年六月二九日衛環発第一九号「食品衛生法上の疑義について(回答)」
昭和三四年九月四日環衛第三八号「食肉販売業の許可対象の疑義について」
昭和三五年八月八日衛乳第三七号「鶏肉の販売について」
昭和三六年七月二八日環乳第一○号「食品衛生法の運用について」
昭和四○年四月七日環乳第五、○二○号「枝肉を移出を業とする者の取扱いについて」
〔別添一〕略
〔別添二〕
食肉処理業の施設基準(案)
(建物の構造)
一 処理場は、汚染のおそれのない位置に設けられていること。
二 処理場は、家族及び従業員の居室、倉庫、その他の建物としや断されており、かつ、荷受室、と殺放血室、処理室、包装室、冷蔵室(冷蔵庫)を区画するとともに、処理前の生体又はと体と処理後の食肉等の搬入及び搬出場所を別にしていること。
三 床、壁及び天井は、平滑で掃除し易いものであること。
四 内壁は、すき間がなく、かつ床面から一メートル以上の高さまで不浸透性材料で腰張りされていること。
五 床は、コンクリート等の不浸透性材料で作られ、ひび割れや凸凹がなく、かつ、排水が良好であること。
六 採光、照明及び換気が十分であること。
七 窓、出入口その他開閉する場所は、昆虫等の侵入を防ぐ設備が設けられていること。
八 排水溝を設ける場合には、内面が平滑であつて適当な勾配があり、排水が良好で、浄化施設又は公共下水道に接続していること。
(取扱設備)
九 計画処理量に応じた数及び大きさの放血機、湯漬機、脱羽機、剥皮機、処理台、細断機・冷却機等必要な機械器具があること。
一○ 固定した機械器具及び移動し難い器具は、作業に便利で、かつ、清掃及び洗浄しやすい位置に配列してあること。
一一 直接食品に接触する器具機械類及び容器は、金属製又は合成樹脂等でできた洗浄及び殺菌しやすいものであつて、必要量に応じて十分の数を備えていること。
一二 処理台(作業台)は、耐水性材料で作られ、その表面はステンレスで張る等清掃及び洗浄が容易であること。
一三 器具、容器等を衛生的に保管できる保管設備があること。
一四 冷蔵施設(冷蔵庫)には、正確な温度計があること。
(給水及び汚物処理)
一五 従業員の手洗のための流水式手洗設備、並びに器具及び容器の洗浄のため豊富に飲用適の水を供給する設備があること。
一六 温湯又は蒸気が豊富に供給することのできる設備があること。
一七 汚水溜及び汚物溜は、コンクリートその他不浸透性材料で作られ、密閉できるおおいがあり、かつ、血液及び汚水の処理設備を有すること。ただし、浄化施設又は公共下水道に接続している場合にはこの限りでないこと。
一八 廃棄物容器(置場)は、不浸性材料で作られ、ふたがあり、清掃しやすく汚臭汚液のもれない構造のものであること。
一九 便所は、処理場に影響のない位置にあり、防虫設備を設け、かつ、流水式手洪設備があること。
(注) と殺放血を行なわない業態にあつては、二のと殺放血室、九の放血機、湯漬機、脱羽機等必要のないものの設置を省略することが出来る等、業態により公衆衛生上支障がないと認めるものについては省略して差し支えない。