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○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(昭和三八年七月二六日)

(環発第三〇五号)

(各都道府県知事・各指定都市・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

食品衛生法施行規則(昭和二三年七月厚生省令第二三号。以下「規則」という。)及び食品、添加物等の規格基準)昭和三四年一二月厚生省告示第三七○号。以下「規格基準」という。)の一部がそれぞれ昭和三八年七月二六日厚生省令第三二号及び厚生省告示第三三五号をもつて別添のとおり改正されたので、左記の諸点に留意のうえ、これが運用に遺憾のないようにされたい。

第一 改正の要旨

一 規則関係

(一) 食品衛生法(以下「法」という。)第六条の規定に基づき、新たに人の健康をそこなうおそれのない化学的合成品たる添加物として次の二○品目を追加指定したこと。

亜塩素酸ナトリウム、アセチルリシノール酸、メチル、塩化第二鉄、オキシエチレン高級脂肪族アルコール、オレイン酸ナトリウム、クエン酸(無水)、グルコン酸カルシウム、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸セカンダリブチル、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム、ベンゾイルチアミンジスルフイド、ポリアクリル酸ナトリウム、リボフラビン酪酸エステル、硫酸第一鉄(乾燥)これらの添加物のうち、亜塩素酸ナトリウムはさくらんぼおよびふきの漂白剤として、アセチルリシノール酸メチルはチユーインガムの基礎剤として、塩化第二鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウムおよび硫酸第一鉄(乾燥)は食品の鉄強化剤として、オキシエチレン高級脂肪族アルコールは果実および果菜の被膜剤として、オレイン酸ナトリウムは被膜剤の膠着剤として、クエン酸(無水)は食品の酸味料として、グルコン酸カルシウムは食品のカルシウム強化剤および食用油の酸化防止剤として、コンドロイチン硫酸ナトリウムは魚肉ソーセージの保水剤およびマヨネーズの乳化安定剤として、繊維素グリコール酸カルシウムは食品の溶解促進剤として、デンプングリコール酸ナトリウムおよびポリアクリル酸ナトリウムは糊料として、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸セカンダリブチル、プロピオン酸カルシウムおよびプロピオン酸ナトリウムは食品の保存料として、ベンゾイルチアミンジスルフイドは食品のビタミンB1強化剤として、リボフラビン酪酸エステルは食品のビタミンB2強化剤として使用されるものであること。

(二) 従来クエン酸および硫酸第一鉄が指定されていたが今回さらにクエン酸(無水)及び硫酸第一鉄(乾燥)が指定されたため、クエン酸をクエン酸(結晶)に、硫酸第一鉄を硫酸第一鉄(結晶)に名称を改めたこと。

(三) 新たに合成保存料であるパラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸セカンダリブチル、プロピオン酸カルシウムおよびプロピオン酸ナトリウムならびに合成糊料である繊維素グリコール酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびポリアクリル酸ナトリウムが指定されたので、規則第五条の規定に基づく別表第五にそれぞれ追加されたこと。

二 規格基準関係

(一) 成分規格

ア 今回新たに指定された亜塩素酸ナトリウム等二○品目および従来指定されていたアセトンならびに天然品であるD―キシロース等二品目について成分規格を定めたこと。また、これに伴つてアニリン等七種類の試薬、塩酸フエニルヒドラジン・酢酸ナトリウム試液等七種類の試液、一○N塩酸の容量分析用標準溶液およびチアミン塩酸塩標準溶液(ベンゾイルチアミンジスルフイド定量用)等二種類の標準溶液が追加されたこと。

イ 従来法第七条の規定に基づき成分規格が定められていた添加物のうちアルギン酸プロピレングリコールエステル等二六品目につき成分規格の全部あるいは一部を次のとおり改め、また、これに伴つて試薬及び容量分析用標準溶液の一部を改めたこと。

(ア) アルギン酸プロピレングリコールエステルについては品質が改良されたので、それに伴い成分規格が改められたこと。

(イ) β―カロチン、ニトロフラゾーン、ニトロフリルアクリル酸アミド、メチルヘスペリジンおよびリボフラビンリン酸エステルナトリウムの定量法中液層の長さが「一○ミリメートル」から「一センチメートル」に改められたこと。

(ウ) クエン酸はクエン酸(結晶)に名称が改められたのに伴い成分規格中「クエン酸」を「クエン酸(結晶)」に改められたこと。

(エ) グルコン酸液の純度試験中ペンタクロルフエノールの規定は一度水浴上で、蒸発乾固した後硝酸○・一リツトルを加え、水浴上で二分間加熱する方法ではペンタクロルフエノールが検出され難いので、一度水浴上で蒸発乾固した後硝酸○・一リツトルを加え再び水浴上で蒸発乾固する方法に改められたこと。

(オ) 酸性ピロリン酸ナトリウムおよびピロリン酸ナトリウム(無水)の含量を酸性ピロリン酸ナトリウムについては九五パーセントまで、ピロリン酸ナトリウム(無水)については九七パーセントまでのものまで認められることになつたこと。

(カ) ジベンゾイルチアミンの確認試験に融点の規定を加えたこと。

(キ) 繊維素グリコール酸ナトリウムの確認試験に繊維素グリコール酸カルシウムと区別するためナトリウム塩の試験法を加え、純度試験中塩化物および硫酸塩の規定は試験法に不備があつたのでその一部を改め、ケイ酸塩の限度は繊維素グリコール酸ナトリウムの製造技術の向上に伴つて「一・五パーセント」から「○・五パーセント」に改められたこと。

(ク) ソルビン酸の純度試験中塩化物の規定は水浴中で約一○分間加熱して溶かす方法であるがこのような操作が行なう必要がないので、煮沸して溶かす方法に改め、重金属の規定は性状の項で合格したものであつても、溶解した場合僅かに黄色を呈するものもあり、比色が困難であるので、強熱残留物について行なう方法に改め、強熱残留物の規定はこれを重金属の試験に使用するため試料の採取量を一グラムとすることに改められたこと。

(ケ) ソルビン酸カリウムおよびソルビン酸ナトリウムの含量中減圧デシケーター(硫酸)で三時間の乾燥では不充分であるので減圧デシケーター(硫酸)で四時間に改め、含量をソルビン酸カリウムについては九八~一○一パーセントまで、ソルビン酸ナトリウムについては九八~一○二パーセントまでのものまで認められることになり、定量法が非水滴定法に改められたこと。

(コ) チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンセチル硫酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンナフタリン―一・五―ジスルホン酸塩、チアミンナフタリン―二・六―ジスルホン酸塩、チアミンフタリン塩およびチアミンラウリル硫酸塩の定量法中計算式に誤りがあつたので改められたこと。

(サ) デヒドロ酢酸の純度試験中アセト酢酸エチルの指定はデヒドロ酢酸がすべてジケテンより製造されるようになり、アセト酢酸エチルを原料とする合成法は全く行なわれていないので製品中に混入するおそれがなくなつたため削除し、重金属の規定および強熱残留物の規定はソルビン酸と同じ理由で改められたこと。

(シ) デヒドロ酢酸ナトリウムの含量は結晶水および水分を乾燥しないで定量するような定量法に改められたので、九八~一○二パーセントまで認められ、水分をカールフイシヤー法により定量するように改め、純度試験中の重金属の規定および強熱残留物の規定はデヒドロ酢酸と同じ理由で改められたこと。

(ス) 硫酸第一鉄は硫酸第一鉄(結晶)に名称が改められたのに伴い成分規格中「硫酸第一鉄」を「硫酸第一鉄(結晶)」に改め、純度試験中ヒ素の限度を四ppmから二ppmに改め、重金属の規定は塩酸ヒドロキシルアミンを使用する方法に改め、その限度を一六○ppmから五○ppmに改められたこと。

(二) 使用基準

ア 今回新たに指定された亜塩素酸ナトリウム等二○品目の添加物のうち亜塩素酸ナトリウム等一四品目について使用基準が定められたこと。

イ 従来法第七条の規定に基づき使用基準の定められていた添加物のうち亜硫酸カリウム等一三品目について使用基準の一部が改められたこと。

(ア) 亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(結晶)、亜硫酸ナトリウム(無水)、次亜硫酸ナトリウム、無水亜硫酸およびメタ重亜硫酸カリウムをかんぴように対してその一キログラムにつき二酸化イオウとして五・○グラム以上残存しないように使用することができるように改められたこと。

(イ) 繊維素グリコール酸ナトリウムおよびメチルセルロースは今回新たに合成糊料として繊維素グリコール酸カルシウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムが指定されたので、これらの一種以上と併用する場合、それぞれの使用量の和が食品の二パーセント以下でなければならないように改められたこと。

(ウ) ソルビン酸、ソルビン酸カリウムおよびソルビン酸ナトリウムがジヤムに対して一キログラムにつきソルビン酸として○・五グラム以下使用できるように改められたこと。

(エ) ヘキサンは名称がn―ヘキサンからヘキサンに改められたのにともない使用基準中「n―ヘキサン」が「ヘキサン」に改められたこと。

第二 運用上の注意

一 今回新たに成分規格が規定されたアセトン、D―キシロースおよびヘキサンについてはその成分規格の規定が昭和三九年一月一日から適用されるので、この間十分周知徹底を図られたいこと。

二 クエン酸および硫酸第一鉄は名称がクエン酸(結晶)および硫酸第一鉄(結晶)にそれぞれ改められたが、食品衛生法施行規則第五条第一項イに掲げる事項の記載は昭和三八年一二月三一日までは従前の名称を使用することが出来るが、それ以後は新しい名称を使用しなければならないので、この間十分周知徹底を図られたいこと。

三 プロピオン酸カルシウムおよびプロピオン酸ナトリウムの使用基準中洋菓子とあるのはシヨートケーキ、カステラなどのベーカリー製品を対象とするものであること。

なお、プロピオン酸カルシウムおよびプロピオン酸ナトリウムのパンおよび洋菓子への使用は、小麦粉を主成分とする部分の保存を目的としたものであり、パンおよび洋菓子に使用するジャム、アン、クリーム等への使用は認められないものである。