添付一覧
○食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について
(昭和三七年六月三〇日)
(環発第二三一号)
(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)
食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号。以下「規則」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和三四年一二月厚生省告示第三七○号。以下「規格基準」という。)の一部がそれぞれ昭和三七年五月二六日厚生省令第二六号及び厚生省告示第一九二号をもつて別添のとおり改正されたので、左記の諸点にご留意のうえ、これが運営に遺憾のないようにされたく通達する。
記
第一 改正の要旨
A 規則関係
一 食品衛生法(以下「法」という。)第六条の規定に基づき、新たに人の健康をそこなうおそれのない化学的合成品たる添加物として次の三二品目を追加指定したこと。
アセトン、アニスアルデヒド、アンスラニル酸メチル、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、ウンデカラクトン、エナント酸エチル、オイゲノール、カプロン酸、カプロン酸エチル、ギ酸イソアミル、グルコノデルタラクトン、ケイ皮アルコール、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、酢酸イソアミル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、サリチル酸ミチル、デシルアルデヒド、ノナラクトン、ピペロナール、プロピオン酸イソアミル、メチルβ―ナフチルケトン、ユーカリプトール、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸ブチル
これらの添加物のうちアセトンは、ガラナ飲料を製造する際のガラナ豆の成分抽出剤として、グルコノデルタラクトンは主として、合成膨張剤の酸味成分として、またケイ皮酸は着香料として使用されるものである。また、アニスアルデヒド外二九品目については、従来類別に指定されていた着香料であるが、繁用される着香料の中から今回分離指定されたものであること。
二 法第一一条の規定に基づき、新たにシアン化合物を含有する豆類に標示を要することとしたこと。
B 告示関係
一 コップ販売式自動販売機
(一) 製造基準
ア コップ販売式自動販売機で販売される清涼飲料水の製造基準の項を二つに大別し、「希釈、混合等を行なうことができない構造の販売機で販売されるもの」および「希釈、混合等を行なうことができる構造の販売機で販売されるもの」とされたこと。
イ 製造基準の中に炭酸飲料の製造基準が加えられたこと。
ウ 「希釈、混合ができる構造の販売機」に用いる原水は五分間以上煮沸するかまたは細菌ろ過した飲用適の水を用いることとしたこと。
(二) 保存基準
ア 今回の改正で「一○度以下又は六三度以上」に改め、殺菌後においてもまた機内においても六三度以上に保つことができることとしたこと。
イ 六三度以上に保存する構造のものにあつては、十分な能力の加熱機を有すること。
二 食肉製品および鯨肉製品
(一) 従来食肉製品類に一括にされていたが、今回の改正で食肉製品および鯨肉製品と魚肉ねり製品とに分けられたこと。
(二) 亜硝酸根については、従来どおりであること。
三 魚肉ねり製品
(一) 成分規格
ア 最近スライスハム等が相当量市販され第二次汚染もみられるので、今回の改正で大腸菌群に関する成分規格が定められたこと。
イ 試験法は「食品衛生検査指針」等に従つて定められたこと。
(二) 製造基準
ア 今回定められた「魚肉ねり製品の製造基準」については従来昭和二八年五月一四日厚生省衛第一三四号通達「魚肉ねり製品の製造取扱等に関する衛生上の指導基準について」により魚肉ねり製品の衛生指導を行なつてきたがいまだ食中毒の発生件数は極めて多く、また、最近魚肉ねり製品中の魚肉ハムおよび魚肉ソーセージの生産量も著しく増大し、今後不測の危害が予想されるので、新たに製造基準が制定されたこと。
イ 砂糖、でん粉および香辛料中の耐熱性菌は、腐敗または変敗の原因となることが多いので今回新たに使用基準として定められたものであるから魚肉ねり製品製造業者は勿論当該品製造及び販売業者にも十分指導されたいこと。
ウ 中心温度については、魚肉ハムおよび魚肉ソーセージは今回新たに四五分間八五度以上、その他の魚肉ねり製品にあつては七五度以上と定められたがその適用については、従来の指導基準と同様であること。
エ 今回の改正では保存基準は制定されていないが一○度以下で保存するよう十分指導されたいこと。
四 生食用冷凍かき
(一) 成分規格
ア 新たに生食用冷凍かきの成分規格が定められ細菌数および大腸菌群について規制されたが、これは生食用冷凍かき以外のかきには適用されないこと。
イ 大腸菌群最確数の測定法については、昭和三三年二月一日衛発第九六号通達「かきに関する衛生上の指導について」の検査方法を採用しているがこの方法は、米国連邦政府において、かきの検査に長く用いられており、また、国立衛生試験所における試験の結果その信頼度も高いので、ここに正式に採用したものである。そのために希釈液にはりん酸緩衝液を用いることとしたこと。
ウ 海域の大腸菌群は、かきの汚染の根源であるので海水の大腸菌群を規制することが貝類の衛生の最も重要であるということが定説となつている。従つてその規制をここに定めたものである。その数字は米国連邦政府の基準を採用したものであること。
(二) 製造基準
かきその他の製造は二次汚染防止上必要な最低限の基準を定めたものであること。
五 豆類
(一) 成分規格
ア 豆類の成分規格およびシアン化合物を含有する豆類の使用基準が定められたこと。
イ 豆類はシアン化合物の検出されるものであつてはならないこと。ただし、バター豆、ホワイト豆、サルタニ豆、サルタピア豆、ペギア豆およびライマ豆であつて、その一○○グラム中に含有するシアン化合物の量がHCNとして五○ミリグラム以下であるものについては、使用基準により生あんの原料のみに使用方法を限定したこと。
ウ 生あんの成分規格は、シアン化合物の検出されるものであつてはならないこと。製造基準を定めてシアン化合物が完全に残らないような措置を講じられたいこと。
なお運営については、昭和三七年五月二六日環発第一七五号通達「シアン化合物を含有する豆類の取り扱いについて」によられたいこと。
六 食品添加物
(一) 成分規格
ア 今回新たに指定されたアニスアルデヒド等三○品目の着香料およびグルコノデルタラクトンならびに従来指定されていたグルコン酸の製剤であるグルコン酸液等の三二品目について成分規格を定めたこと。また、これに伴なつてオルトクレゾール等六種類の試薬とアルコール製一○%水酸化カリウム試液等三種類の試液が追加されたこと。
イ 従来法第七条の規定に基づき成分規格が定められていた添加物のうちアルギン酸ナトリウム等一八品目につき成分規格の一部を次のとおり改め、また、これに伴なつて容量分析用標準溶液の一部を改めたこと。
a アルギン酸ナトリウム、エステルガム、カゼイン、β―カロチン、グリセリン脂肪酸エステル、酢酸ビニール樹脂、シヨ糖脂肪酸エステル、臭素化油、繊維素グリコール酸ナトリウム、銅クロロフイリンナトリウム、フタル酸ジブチル、粉末ビタミンA、DL―メチオンおよびメチルモルロースの純度試験中ヒ素の項の標準色を作製する場合、操作上誤解を生ずるおそれがあつたので、文章が改められたこと。
b カゼインおよびカゼインナトリウムの窒素含有量をカゼインについては一四・七まで、カゼインナトリウムについては一四・五までのものまで認められることになつたこと。
c カゼインの純度試験中液性を「四~七」から「三・七~六・五」に改められたこと。
d かんすいの純度試験中塩化物の限度は食品添加物の規格に合格している炭酸カリウムを主原料とした場合、塩化物の規定に触れることがあるため対応する○・○一N塩酸を○・三ミリリツトルから○・五ミリリツトルに改められたこと。
e ソルビン酸カリウムおよびソルビン酸ナトリウムの性状中「無色~白色のリン片状結晶または白色の結晶性粉末」となつていたが検討の結果淡黄かつ色のものまで緩められたこと。
また、乾燥する際一○五度で加熱すると酸素を吸つてオゾナイドを作り逆に増量することがあるため減圧デシケーター(硫酸)で三時間乾燥するように改められたこと。
f プロピレングリコールの純度試験中グリセリンおよびエチレングリコールの規定は加熱方法や加熱温度による影響が大きく再現性が薄いということがあるため過ヨウ酸でエチレングリコールおよびグリセリンと酸化して生成するホルムアルデヒドをホルムアルデヒド標準溶液と比色する方法に改められたこと。
g その他
塩化アンモニウムの定量法中試料採取量を「約六グラム」から「約三グラム」に改められたこと。
β―カロチン純度試験(3)ヒ素中試料を分解する場合に追加液として「硫酸二~三ミリリツトル」を使用することになつていたが「硝酸二~三ミリリツトル」に改められたこと。
サイクラミン酸カルシウム定量法中「水に溶かして一○○ミリリツトルとし」を「水に溶かして一、○○○ミリリツトルとし」に改められたこと。
(二) 使用基準
ア 今回新たに指定されたアニスアルデヒド等三○品目の着香料およびアセトンならびにn―ヘキサンについて使用基準が定められたこと。
イ アセトンは従来から有機溶剤として工業用途には広く使用されているが、今回ガラナ飲料を製造する際のガラナ豆の成分を抽出する目的に限り食品添加物としての使用が認められた。また、n―ヘキサンは石油の分溜により製造せられ、化学的合成品ではないので、その使用に制限が加えられていなかつたが、衛生上の観点から今回食用油脂の製造の際の油脂を抽出する目的以外に使用することはできないことになつたものであること。また、これらの両者はいずれも最終食品完成前に除去しなければならないものであること。
ウ 従来法第七条の規定に基づき使用基準の定められていた添加物のうち亜硫酸カリウム等一一品目について使用基準の一部が改められたこと。
a 亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム(結晶)、亜硫酸ナトリウム(無水)、次亜硫酸ナトリウム、無水亜硫酸およびメタ重亜硫酸カリウムを甘納豆および煮豆に対してその一キログラムにつき亜硫酸として○・一グラムまで使用できるように改められたこと。
b 安息香酸および安息香酸ナトリウムを今後キヤビアに対しても一キログラムにつき二・五グラム以下使用できるように改められたこと。
c 酢酸エチルを香辛料の顆粒および錠剤を製造する際使用するアルコールを変性する目的にも使用できるように改められたこと。
d 銅クロロフイナトリウムを蜜豆かん詰中の寒天に対しても銅としてかん詰中の寒天一キログラムにつき○・○○○四グラム以下使用できるよう改められたこと。
第二 運用上の注意
一 アニスアルデヒド等三○品目が新たに分離指定された品目に関する名称の標示は約七か月間の期間をおいて昭和三八年一月一日から施行されるので、この間に十分周知徹底を図られたいこと。
二 コツプ販売式自動販売機について
(一) 「希釈、混合等を行なうことのできる構造の販売機」については従来どおり厚生大臣の例外承認が必要であるので例外承認の許可を受けた機械についてのみこの項の製造基準が適用されるものであること。
(二) 炭酸飲料の製造方法は、ガラスびん(紙栓をつけたものを除く。)または金属製容器におさめられた清涼飲料水(この場合炭酸飲料をいう)の項の製造方法に準ずるものであること。
(三) 自動販売機に用いる飲用適の水は通常自動販売機内で煮沸することが困難と思われるので細菌ろ過器を設置することを必須条件として指導されたいこと。
(四) 「希釈、混合等を行なうことのできる構造の販売機」に収める原液は、製造方法に合致した方法で作られたものを運搬器具に収めて使用するかまたは市販のびん詰および金属製容器に収められたものを使用することとする。ただし、びん詰または金属製容器に収められたものは運搬器具および保存基準の適用は受けないものであること。
ア 開栓、開缶後はすみやかに自動販売機に収め同時に保存基準の対象となること。
イ 開栓、開缶後の残余をそのまま放置されることなどのないよう特に指導されたいこと。
ウ 市販びん詰等濃縮ジュースを勝手に希釈、混合してストレート用販売機に収めるなどの誤りのないよう特に指導されたいこと。
(五) 保存基準は「一○度以下または六三度以上」に改められたが炭酸含有するものにあつては、この保存基準は適用されないものであること。
