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○食品衛生法の一部を改正する法律等の施行について

(昭和三二年九月一八日)

(発衛第四一三号の二各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省公衆衛生局長通達)

標記の件については、本日厚生省発衛第四一三号「食品衛生法の一部を改正する法律等の施行について(依命通達)」をもつて厚生事務次官より通達されたところであるが、改正法等の運用については、更に左記事項に御留意の上、その運営に遺憾のないようにされたく、通達する。

第一 添加物に関する事項

一 「添加物」の定義が明確化されたことに伴い次の事項に留意すること。

(一) 今般の改正による新しい添加物の概念と食品衛生法(以下「法」という。)第四条との関係については、例えば新たに添加物として取り扱われるようになつた硫酸は、それ自体は有毒有害なものであるが、これにより製造される食品たる水●が衛生的に見て有毒有害なものでない限り、それを添加物として使用しても法第四条の違反とならないこと(食品衛生法施行規則(以下「省令」という。)第一一条参照)。なお、この場合には法第七条に基いて定められた規格基準に従つて使用すること。

(二) 今般の改正により従来の「加工」、「保存」の外に「製造」という概念が追加されたが、「製造」とは、ある物に工作を加えて、その本質を変化させ、別の物を作り出すことであり、「加工」とは、ある物に工作を加える点では製造と同様であるが、その物の本質を変えないで形態だけを変化させることをいい、「保存」とは、ある物をその現在の性質状態が時間的経過によつて自然に変化することを有意義的に防ぐことをいうものであること。

二 今般、化学的合成品の定義が改められたのに伴い、天然物と同一の化学的構造を有する化学的合成品及び単純な造塩反応による化学的合成品も省令別表第二に新たに追加されたこと。なお、省令別表第二について次の事項に留意すること。

(一) 省令別表第二の改正により、従来同表中に掲げられていた使用目的による分類名が削除され、化学的合成品の品名のみが掲げられていること。なお、その配列は、おおむね使用目的ごとに五○音順になされていること。

(二) 食用赤色一○六号(アシツドレツド)は、従来他の食用赤色色素では、堅牢度の点において十分とはいい難い場合もあつたので、今般この点をも考慮の上指定したものであること。なお、食用赤色一○六号は、今般の指定に伴い今後は製品検査の対象品目になるものであること。

(三) 銅化合物にあつては従来銅化合物として一括指定されていたが、今般個個の化学的合成品の品名(銅クロロフイリンのカリ塩、銅クロロフイリンのソーダ塩、硫酸銅)により規定されることとなつたこと。従つて省令別表第二に指定された以外の化学的合成品たる銅化合物は使用できないものであること。

(四) 省令別表第二のうちイソチオシアネート類からラクトン類までのもの(省令別表第四に掲げるものと同じ。)は従来の合成着香料に相当するものであるが、今般の改正に当り若干追加指定が行われたこと。

(五) ビタミンB1のフタリン塩は、従来使用を認められていたビタミンB1誘導体のうちジベンツオイルチアミンの塩酸塩及びビタミンB1の塩酸塩以外のものと同様に溶解度が低いこと、及び食品中に添加されたときの安定度が高いことを特徴とする新しい塩として指定されたものであること。

(六) ハラゾーンは、クロラミンB及びクロラミンTと類似の化学的構造を有する塩素剤であり、従来より指定されている塩素剤と同様の使用目的を有するものであること。

(七) イオン交換樹脂は筒中に本品を納めて液体食品をその筒中を通過させる場合には器具の一部と解すべきであるが、液体食品中に添加して使用される場合は添加物と解すべきであるため、今般指定したものであること。

(八) ポリビニールブチラールは、従来の強化米の被膜剤として指定されていたものであるが、難溶性のビタミン類の活用によりその使用の必要がなくなつたので、今般削除したものであること。

第二 食品衛生管理者に関する事項

一 食品衛生法施行令(以下「政令」という。)第四条の二に規定する食品又は添加物を製造し、又は加工している営業の営業者(以下「関係営業者」という。)は、「専任」の食品衛生管理者を置かなければならないが、この「専任」とは「専らその製造又は加工を行う施設の職員として任用されているものであつて、しかも食品衛生管理者としての職務を完うすることができる。」ということであること。したがつて、食品衛生管理者の業務にのみ従事する職員を選任しなければならないということでもないこと。また、当該施設で幾種類もの食品又は添加物を製造し、又は加工している場合、又は同一営業者に属する施設が隣接して二以上ある場合であつても、ともに一人の食品衛生管理者で足りること。しかし、当該施設の規模、食品衛生管理者が兼ねる業務が多忙であること等のため、客観的に見て、食品衛生管理者としての職務を完うすることができないときは、食品衛生管理者にその衛生管理の業務のための補助者をつけ、食品衛生管理者としてその職務に専念することができる態勢をとらせ、又は複数の食品衛生管理者を置かせる等、個個の事例に即して専任の食品衛生管理者の設置の意義を失わないように指導すること。

二 法第一九条の二第二項に規定する「隣接」とは、同一営業者に属する施設がそれぞれ独立形態をなしているが、両施設が道路又は塀を間にして接している場合に、食品衛生管理者が常時監督のためそれぞれの施設間を徒歩で往来しても職務に支障を来たさない程度のものをいうのであつて、いやしくも社会通念的に或る程度以上の距離があるものは隣接とはいえないものであること。

三 食品衛生管理者は、その職務を怠つた場合において、法第三二条の二の規定により、その者の管理に係る食品又は添加物に関し法第三○条から法第三一条までの違反に該当する行為が生じたときは、法第三○条から法第三一条までに該当する違反行為の態様に応じ各本来の罰金刑が科せられることとなつたこと。ただし、食品衛生管理者自から法第三○条から法第三一条までに該当する違反行為を行つたときは、これらの規定によつて罰せられるのであつて、法第三二条の二の適用はなく、また、個人企業でその営業者が食品衛生管理者を兼ね法第三二条の二による刑を科せられるべきときは、法第三三条の適用はないものであること。

四 食品衛生管理者の資格は、法第一九条の二第四項に規定するとおりであるが、食品衛生監視員の資格要件に比して栄養士が除かれていること。なお、食品衛生管理者の指定講習会については先に通知され、また、指定養成施設については別途通知する予定であること。

五 法第一九条の二第六項及び省令第一九条の規定による届書を受理するに当つては、次の事項に留意すること。

(一) 当該届書が食品衛生管理者を設置し、又は変更してから一五日以内のものであること。

(二) 「令第四条の二に規定する食品又は添加物の別」の事項は、「全粉乳」、「加糖粉乳」、「調整粉乳」又は「化学合成品たる添加物」のいずれかが記載されていること。なお、「化学的合成品たる添加物」にあつては、省令別表第二に掲げる品品を( )をもつて記載させるよう指導すること。

(三) 省令第一九条第一項第五号に掲げる「職名」には「技師」、「衛生管理者」等が、「職種」には「工場次長」、「製造部長」、「検査課長」等が、「職務内容」には、その者の職務権限、職責の内容等が具体的に、かつ、相当詳細に記載されていること。

(四) 「法第一九条の二第四項各号の一に該当することを証する書面」とは、(イ) 医師免許証、歯科医師免許証、薬剤師免許証又は獣医師免許証の写、(ロ) 法第一九条の二第四項第二号又は第四号に規定する学校を卒業した旨を証する書面、(ハ) 法第一九条の二第四項第三号又は第四号に規定する養成施設又は講習会の課程を修了した旨を証する書面、(ニ) 法第一九条の二第四項第四号に規定する衛生管理の事務に三年以上従事したことを証する書面等をいうものであること。特に(ニ)の書類は、食品衛生管理者になろうとする者の従来従事していた業務の雇用主等が作成したものであること。この書類の信憑性が疑われるときは適宜調査して、無資格者が食品衛生管理者にならないように十分に監督すること。

(五) 「営業者に対する関係を証する書面」は、有資格者の名義貸を防がんとするために添附させるものであるから、実際にその営業者と常勤の雇用関係にあることを証するに足る書面であることを要し、例えば源泉徴収票の写等が考えられること。

六 保健所を設置する市の区域内にある関係営業者の食品衛生管理者の設置又は変更に伴う届出受理の権限並に食品衛生管理者を設置しなければならない義務の違反に対する法第二三条に基く行政処分のうち、関係営業者に対する営業の停止処分の権限及び同義務違反に対する関係営業者中化学的合成品たる添加物の製造業者又は加工業者に対する営業の禁止処分の権限は、当該市長に委譲されたものであること。なお、全粉乳、加糖乳及び調整粉乳の製造業又は加工業については、乳製品製造業であるため、食品衛生管理者を設置しなければならない義務の違反に対する営業の取消処分の権限は、都道府県知事に留保されているものであること。

第三 標示に関する事項

一 標示を行うべき食品及び添加物は、省令別表第三に規定されることとなつたが、改正された事項のうち、次の諸点に留意すること。

(一) 乳酸菌飲料、魚肉ハム、魚肉ソーセージ及び鯨肉ベーコンの類、容器包装に入れられた納豆、つぼ詰の食品及び合成樹脂製容器包装詰の食品が追加されたこと。

(二) 清涼飲料水及び保存飲料水を一本化して、清涼飲料水としたこと。その定義は、乳酸菌飲料、乳及び乳製品を除く酒精分一容量パーセント未満を含有する飲料をいうものであること。従つて、酸味を有しない飲料水、主として児童を対象として製造されコルク等で簡単に栓を施した飲料水(例えばニツケ水、ハツカ水等)、トマトジユース、摂取時に希釈、融解等により飲み物として摂取することを目的としたもの(例えば、濃厚ジユース、凍結ジユース等)(ただし、粉末ジユースを除く。)もすべて含まれるものであること。

(三) 改正前は「添加物として用いられる化学的合成品及びこれを含む製剤」と規定されていたが、省令の改正により化学的合成品たると否とにかかわらず、法第七条第一項の規定により基準又は規格の定められた添加物及びこれを含む製剤はすべて標示しなければならないこととなつたこと。

二 省令第五条に規定する標示の基準につき、今般の改正に伴うものとして次の事項に留意すること。

(一) はつ酵乳及び乳酸菌飲料についても製造年月日の代りに販売曜日をもつて標示することができること。

(二) 製造所所在地は、番地まで記載すべきであるが、次に掲げる方法で記載しても差し支えないものであること。

(イ) 東京都の区の存する区域、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市及び神戸市にあつては、「府県名」を省略することができるが「丁目」までは記載しなければならないこと。したがつて、「○○/都/市○○区○○町○○丁目」で差し支えないこと。

(ロ) (イ)以外の道県庁の所在する市にあつては、「道県名」を省略することができるが、「町名」までは記載しなければならないこと。したがつて、「○○市○○町」で差し支えないこと。

(ハ) (イ)及び(ロ)以外の市にあつては、「町名」まで記載しなければならないこと。したがつて、「○○/都道/府県○○市○○町」で差し支えないこと。

(ニ) 町村にあつては、同一都道府県内に同一町名又は村名がない限り「郡名」を省略することができるが、「大字」までは記載しなければならないこと。従つて、「○○/都道/府県(○○郡)○/町/村大字○○」で差し支えないこと。

(三) 省令別表第五の上欄に掲げる添加物を含むかん詰、びん詰、たる詰、つぼ詰又は合成樹脂製容器包装詰の食品にあつては、同表の当該添加物を含む旨(例えば、「溶性サツカリン含有」)又は同表当該下欄に掲げる事項を含む旨(例えば、「人工甘味料含有」)のいずれかを記載させること。この場合、「溶性サツカリン入」、「人工甘味料使用」等の如く「含有している」旨を表わす標示であれば差し支えないこと。

(四) 法第七条第一項の規定により成分規格、使用基準、製造基準等の基準又は規格が定められた添加物及びこれを含む製剤にあつては、「食品添加物」の文字を必ず記載させること。「食品添加物」の文字を記載する限り、いやしくも基準又は規格に合致した添加物でなければならないことは当然であるとの認識を持つよう業者を教育すること。

(五) 二種類以上のタール色素を混和した製剤、例えば、食用赤色一号と食用青色一号を混合して得られた製剤の実効の色名は紫色であるので、この場合には「混合紫色」の文字を記載させること。

(六) タール色素はこれを二種類以上混和した製剤を希釈した製剤、例えば、混合紫色の製剤を希釈した場合には、「希釈混合紫色」の文字を記載させること。

(七) 邦文には、ローマ字は含まないものであること。

(八) 標示をしなければならない場所は容器包装の見易い場所であるが、王冠又はびんの側面に普通に判別し得る程度に印刷等の方法で記載されている場合は、原則として容器包装の見易い場所に明記されていると考えられるものであること。なお、王冠の廻りに貼つた紙(いわゆる「はちまき」)や封かん紙に記載したものは、容器包装の見易い場所に行われた標示とは認められないこと。

(九) 容器包装の上の外装にも標示しなければならないこととなつた(外装を透して容易に読み得る場合を除く。)が、この外装とはその物が最終の消費者に販売される場合にも容器包装の上に包装されている包装をいうのであつて、例えば、運搬の便宜のために使用される箱等には、標示は必要がないものであること。

三 標示に関する厚生大臣の例外承認(省令第五条第一項ただし書)の運用については、別途通知する予定であること。

第四 輸入の届出に関する事項

一 近時、東南アジア方面から水牛肉が輸入されており、また、今後も輸入されるものと予想されるので、法第五条第一項の規定による命令をもつて定める獣畜として、省令第二条第二項において、新たに水牛が定められたこと。ついては、今後水牛の肉及び臓器の輸入に際しては、輸出国政府機関発行の証明書が必要となつたこと。

二 法第五条第二項の改正により、輸入肉等の証明書の記載事項のうち「とさつ年月日」を「とさつ年月」に改めたこと。

第五 営業に関する事項

一 許可営業関係の手続について、(イ)許可申請の際に営業設備の構造を記載した図面を添附しなければならないこと、(ロ)許可営業の更新の際に営業の種類を記載しなければならないこと、(ハ)営業設備の大要に変更があつた場合に届け出ることと改正したこと。

二 今般政令第五条の改正に伴い、許可営業の業種の追加及び変更があつたので、許可事務の処理に当り次の事項に留意すること。

(一) あん類製造業は、夏場においてあん類が腐敗し易く衛生上危険であるので、あん類による食中毒等の事故を未然に防ぐために新規に許可営業としたものであること。

(二) アイスクリーム類製造業は、従来の氷菓製造業に乳脂肪分三パーセント以上を含むアイスクリームの製造業を加え、「冷凍食品」という立場から一本化して従来の不便をなくしたものであること。

(三) 市乳販売業とは、市乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、還元牛乳、脱脂乳、乳飲料等直接飲用に供するものの販売業者をいうものであること。なお、保存性の容器に入れ、摂氏一一○度以上で一五分間以上加熱殺菌したものは除かれているものであること。

(四) 従来疑念があつた魚肉ハム、魚肉ソーセージ及び鯨肉ベーコンの類の製造業は、魚肉ねり製品製造業に含まれることを明確にしたこと。

(五) 近時における一般冷凍食品の普及に伴い、従来の魚介類の冷凍業を食品全部の冷凍業に改め、更に冷蔵業を加えたものであること。

(六) 清涼飲料水製造業の号の改正は、従来の保存飲料水をも含めて新たに清涼飲料水の概念を統一した(第三標示に関する事項一の(ナホ)二参照)ことに伴う改正であること。したがつて、従前の清涼飲料水又は保存飲料水の概念には該当しないものであつても、今後は、この概念には該当するものである限り、許可営業の対象とする。

(七) 煮豆又はつくだ煮製造業は、従来のつくだ煮製造業に、新たに煮豆製造業が加わつたものであること。

(八) マーガリン製造業は、近時の化学の進歩に伴い乳製品の製造業とはその製造工程もかなり異つて来ているので、乳製品製造業から分離し独立させたものであること。

(九) みそ製造業は、醤油、酒類等の製造業が、今般かん詰又はびん詰食品製造業から分離独立したのに伴い、醸造業という立場から新たに許可営業の対象となつたものであること。

(一〇) 醤油、ソース類及び酒類の製造業は、従来のかん詰又はびん詰食品製造業から分離され独立したものであること。

(一一) 新たに許可営業となつた豆腐製造業とは、豆腐そのものを製造する営業をいい豆腐から豆腐の加工品たる油揚、がんもどき、高野豆腐等を製造する営業は対象とならないものであること。

(一二) 新たに許可営業となつた納豆製造業とは糸引納豆(豆納豆等)、塩辛納豆(浜名納豆、大徳寺納豆、天竜寺納豆等)を製造する営業をいうものであること。

(一三) 新たに許可営業となつためん類製造業は、生めん、ゆでめん、乾めん、そば、マカロニ等の製造業が対象となるものであること。

(一四) 新たに許可営業となつた乳酸菌飲料製造業は、乳酸菌又は酵母を混和して作つた飲料で、はつ酵乳以外のものを製造する営業が対象となるものであること。

三 新たに許可営業の対象となつた業種についての施設基準に関する準則は、先に通知したところであるが、かん詰又はびん詰食品製造業以外の許可営業であつて、その製品の多くがかん詰又はびん詰食品として市販される営業では、その施設基準にかん詰食品又はびん詰食品の製造工程を規制する基準を包含するものであること。

四 改正前の許可営業のうち、今般分離され独立したもの及び名称を変更したものを本年一○月一日以後において営業する者については、本年九月三○日までに受けた許可が有効な期間は従前の業種区分による許可で差し支えなく、一○月一日以後に許可を更新する者又は新規に営業許可を受ける者については、改正後の営業許可の業種区分によること。

五 従前条例により都道府県又は政令市が独自の立場から許可営業としていた営業で、今回の改正により新たに政令第五条に追加されたものを営む営業者は、従前の条例とは別個に食品衛生法による許可を受けなければならないこと。なお、この場合新規の手数料を減免する等の措置を講ずることが望ましいものであること。

六 政令第五条の改正により追加又は変更された許可営業のうち、保健所を設置する市の市長に委譲されたものは、アイスクリーム類製造業、市乳販売業及び乳酸菌飲料製造業であること。

七 許可手数料に関しては、近く地方公共団体手数料令の一部を改正する政令が公布される予定であること。

八 今回の許可営業の追加又は、変更に伴つて増収となる許可手数料は、すべて許可営業の追加又は変更に伴う食品衛生監視員の増員等事務量の増加に伴う経費に充当すること。

九 政令第五条の規定は、昭和三二年一○月一日から実施されるものであること。

第六 製品検査に関する事項

一 政令第一条に規定する都道府県知事の行うべき製品検査品目中、合成膨脹剤が削除され、新たに硫酸カルシウム及びかん水が追加されたが、新たに追加された品目の製品検査を行うに当つては、次の事項に留意すること。

(一) 硫酸カルシウムは、主に豆腐の凝固剤として使用されるものであるが、これは鉱物として得られるほか、工業廃棄物からの品質劣悪なものもあると考えられること。なお、硫酸カルシウムには、ビタミンB1等を添加したものも存在するが、この場合の硫酸カルシウムも製品検査の対象とされたいこと。

(二) 硫酸カルシウム及びかん水の追加に伴う経過措置として、昭和三二年七月五日以前に製造されたものに限り、昭和三二年九月三○日までは、製品検査を受ける必要がないこと。

(三) 製めん業者が自ら製造して使用する場合のかん水は、製品検査の対象にならないが、食品衛生の見地から随時収去検査を行い、成分規格に合わないかん水の原料を使用させぬよう強力に指導すること。

二 従来、製品検査を実施していた添加物については、ニトロフリルアクリル酸アミド及び過酸化ベンゾイルを除くすべての物につき検査単位量を引き上げ、新たに追加したかん水については一五○キログラム、硫酸カルシウムについては五○○キログラムと検査単位量を定めたこと。なお、検査単位量の引上は、製造規模の拡大等を考慮して行つたものであるが、これに伴い試料は製品全体を代表するよう検査対象の多数の個所から採取するようにすること。

三 省令第一一条の改正により、製品検査申請書を三部提出させることに明文化したほか、申請書にニトロフラゾーンの製剤等の添加物にあつては配合重量パーセントを記載させることとしたこと。

四 省令様式第一号の改正により製品検査合格証の様式が改められ、合格証には、品目及び重量を表わす記号を示すこととし、従来の小型の合格証は廃止したこと。これは従来、合格証の偽造、不正使用等の違反があつたのでこれを防ぐために改正したものであり、今後は、合格証の印刷は大蔵省印刷局に依頼して行うようされたいこと。なお、改正された合格証に関し、次の事項に留意すること。

(一) 品目及び重量を表わす記号は大蔵省印刷局において印刷することを原則とするが、数量等の事情により各都道府県及び各指定都市においてゴム印で押印することもやむを得ないこと。この場合には、見本を添附して当局に報告すること。従つて、大蔵省印刷局に印刷を依頼する場合には、予め型別、品目別、重量別の必要枚数を調査し、それに基いて行うこと。

(二) 今般改正された様式第一号中(甲)の合格証は五○○グラム以上のものに、(乙)の合格証は五○○グラム未満のものに、それぞれちよう附すること。

(三) 重量の記号はアラビヤ数字をもつて示し、小数点以下は四捨五入し、単位がキログラムのときは末尾に「k」の文字を附することになつたが、今後、次の表の中欄に掲げる重量の物は、同表の右欄に掲げる重量の符号によつて表わすこと。なお、この点に関しては、小分量の操作により合格証の不正使用が行われた事例が存在したことにもかんがみ、今後は、小分量単位を、交付を受けた合格証の重量を表わす符号の数字と一致させるよう営業者に対して強力な指導を行うこと。

 

重量

重量を表わす符号

様式第一号(丙)

 

 

1.5g未満

1

1.5g以上2.5g未満

2

2.5g以上4.5g未満

3

4.5g以上9.5g未満

5

様式第一号(乙)

9.5g以上24.5g未満

010

24.5g以上49.5g未満

025

49.5g以上99.5g未満

050

99.5g以上249.5g未満

100

249.5g以上449.5g未満

250

449.5g以上499.5g未満

450

様式第一号(甲)

499.5g以上999.5g未満

500

999.5g以上1.5㎏未満

001k

1.5㎏以上2.5㎏未満

002k

2.5㎏以上3.5㎏未満

003k

以下1㎏間隔

 

(四) 品目を表わす記号の中溶性サツカリン及びズルチンの混合製剤については、その重量パーセントの多い方の製剤の記号を使用すること。例えば、溶性サツカリン二○パーセント、ズルチン四○パーセントの混合製剤にあつてはズルチンを主要成分とする製剤の記号たる「k」を使用すること。また、同量の場合にあつては、溶性サツカリンを主要成分とする製剤の記号たる「T」を使用すること。

(五) 新合格証への切換は、できるだけ速かに行うこととし、製造業者より予め重量別小分数量を報告させること等により新合格証への切換に当り、製品検査の申請から合格証の貼附までの手続が遅れることのないよう努力すること。

第七 その他

一 政令第四条の改正により、食品衛生監視員の資格要件に歯科医師及び歯学を修めた者が加わつたこと。

二 許可営業の追加及び変更に伴い食品衛生監視員の監視又は指導の回数の変更を行つたこと。なお、従来のそう菜販売業、乳さく取業及び菓子販売業は、「第五条第一六号から第一八号までに掲げる営業並びに同条に掲げる営業以外の製造業及び販売業」に含まれるものであるから念のために申し添えるものであること。