添付一覧
○食品衛生法施行規則等の一部改正について
(昭和三一年五月三〇日)
(発衛第二一六号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官通知)
食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号)、昭和二三年七月厚生省告示第五四号(食品衛生法第七条及び第一○条の規定による食品、添加物、器具及び容器包装の規格及び基準を定める件)及び食品衛生試験法(昭和二三年一二月厚生省告示第一○六号)の一部がそれぞれ昭和三一年五月二五日厚生省令第一八号、厚生省告示第一三五号及び厚生省告示第一三六号をもつて、別紙のとおり改正されたので、次の諸点に御留意の上、これが運営に遺憾のないようにされたく、命により通知する。
記
第一 改正の趣旨
一 食品衛生法(以下「法」という。)第六条の規定に基き食品の添加物として使用されることが許される化学的合成品として、チクロヘキシルスルフアミン酸ソーダ、過硫酸アンモン、重炭酸アンモン、ジベンツオイルチアミンの塩酸塩、チアミンのナフタリン2・6・ジスルホン酸塩、チアミンのジセチル硫酸エステル塩、ポリビニールプチラール及びシリコーン樹脂を追加指定したこと。
二 法第七条第一項の規定に基き、公衆衛生の見地から1により新たに指定した化学的合成品たる添加物の成分規格及び使用基準を定めたこと。
三 従来、法第六条の規定に基き人の健康を害う虞のないものとして指定するとともに法第七条の規定に基き公衆衛生の見地から成分規格及び使用基準を定めていた化学的合成品について、今回毒性及び効力等を再検討した結果、衛生上有害にわたらない範囲内で、パラオキシ安息香酸エチルエステル、パラオキシ安息香酸プロピルエステル、パラオキシ安息香酸ブチルエステル、メチルナフトキノン、ソルビン酸、ソルビン酸ソーダ、没食子酸イソアミルエステル、ブチルヒドロオキシアニゾール、ニトロフリルアクリル酸アミド及びピペロニールブトキサイドの使用基準を改正したこと。
四 合成強化剤ジベンツオイルチアミンの成分規格については、その融点等に多少の疑義があつたので、これを改めたこと。
五 その他、昭和二八年八月三一日に食品衛生法施行令が制定されたが、その際、氷菓と冷凍乳菓との法文上の表現が改められたので、今回、この改正に合せるために必要な字句上の改正をする等、所要の整理を行つたこと。
第二 運用上の注意
一 合成保存料について
(一) パラオキシ安息香酸エチルエステル、パラオキシ安息香酸プロピルエステル及びパラオキシ安息香酸ブチルエステル
果実又は果菜の表皮の保存料としてパラオキシ安息香酸エチルエステル、パラオキシ安息香酸プロピルエステル及びパラオキシ安息香酸ブチルエステルを使用することができることとなつたが、これは酢酸ビニール樹脂と異なり、表皮を食する果実又は果菜にあつても、その使用を認めたものであること。
(二) メチルナフトキノン
果実ソースの保存料としてメチルナフトキノンを使用することができることとなつたが、ここにいう「果実ソース」とは、ウスターソースに野菜及び果実肉を添加してやや濃厚な半流動体にしたものであつて、一般に「豚カツソース」又は「濃厚ソース」と呼ばれているものであること。
(三) ソルビン酸及びソルビン酸ソーダ
ねり製品以外の食肉製品、鯨肉製品、うに又は煮豆の保存料としてソルビン酸又はソルビン酸ソーダを使用することができることとなつた結果、従来その使用を認めていなかつたハム、ベーコン等にも使用することができることとなつたこと。
なお、従来解釈上疑義があつた鯨肉を原料としたもので食肉製品に類似するものにも使用することができるように字句を明確にしたこと。
二 合成酸化防止剤について
(一) ブチルヒドロオキシアニゾール
魚介塩蔵品の酸化防止剤としてブチルヒドロオキシアニゾールを使用することができることとなつたが、ここにいう「魚介塩蔵品」には塩辛類も含むものであること。
三 合成強化剤について
(一) ジベンツオイルチアミン
ジベンツオイルチアミンの成分規格の改正は、従来の融点が補正値であつたのを補正しない温度に改めたこと等であるが、これらは不明確な点を明確化したものであつて本質的な変更をしたものではないこと。
四 合成被膜剤について
(一) ポリビニールブチラール
強化米の被膜としてボリビニールブチラールを使用することができることとなつたが、これは強化米の被膜にのみその使用を認めたものであるから注意すること。
五 合成消泡剤について
(一) シリコーン樹脂
食品の消泡剤としてシリコーン樹脂を使用することができることとなつたが、これは無味無臭のシリコーンオイルに無水珪酸の微粉末を五パーセントから一五パーセントまで混合した薄灰白色半透明の粘稠な中性の液の使用のみを認めたものであること。
なお、未だ指定していない合成乳化剤をこの中に加えて、使用することが考えられるが、かかる使用方法は認められていないので、注意されたいこと。
(別紙)略