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○「二一世紀に向けた水道整備の長期目標」について
(平成三年六月一日)
(衛水第一六五号)
(各都道府県知事あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)
日頃より水道行政の推進については格段の御高配を頂いているところである。
さて、平成二年一一月一九日、生活環境審議会より厚生大臣に対し、「今後の水道の質的向上のための方策について」について答申が行われたところであるが、同答申においては、国としての今後の水道整備の長期的な目標を明らかにすべきであるとの指摘がなされている。
このため、厚生省においては今後の水道整備の長期的な目標策定のための検討を行い、今般、その結果を別添「二一世紀に向けた水道整備の長期目標」として取りまとめたところであり、これを別紙の趣旨から通称「ふれっしゅ水道計画」と呼び、その推進を図ることとしている。
ついては、本長期目標の趣旨を踏まえ、二一世紀に向けた「高水準の水道」が構築されるよう貴管下の水道事業体等に対し、その内容の周知を図るとともに、広域的水道整備計画及び水道の事業計画の策定に際し十分な指導方図られたい。
〔別添〕
「二一世紀に向けた水道整備の長期目標」について
(平成三年六月一日厚生省)
水道施設整備の面から国民生活の質の向上を図り、豊かさを実感できる社会を実現するため、「二一世紀に向けた水道整備の長期目標」を次のとおり定め、今後この目標を目指して必要な施設整備を強力に進めることとする。
二一世紀に向けた水道整備の長期目標
1 基本方針
いつでもどこでも安全でおいしい水を供給できるよう次の三つの側面から施策の具体化を図り、二一世紀に向けた「高水準の水道」を構築する。
(1) すべての国民が利用可能な水道
全国どこでも水道が利用できるよう、水道普及率の低い農山漁村部や地下水汚染地域を中心に水道の普及促進を図る。
(2) 安定性の高い水道
必要な水道水源の確保により適切な水需給バランスを図るとともに、渇水や地震等の災害に強い水道施設の整備を図る。
(3) 安全な水道
国民がいつでも不安を抱くことなく、安心して水道を利用できるよう水道の水質確保のための施策を進める。
2 水道整備の目標
水道整備の目標を次のとおりとし、これらの整備の推進に当たっては広域的な配慮のもとに地域全体として調和ある水道の実現を目指すものとする。
(1) 水道水源の開発
給水人口の増加、生活水準の向上、都市活動の活発化等により今後なお増加する水需要に適切に対応するとともに、現状の不安定取水を解消するために必要な水道水源の開発を行う。これにより、渇水による水道への影響の大幅な緩和を図る。
(2) 上水道施設の整備
広域的な水道整備を重点的に推進するとともに給水区域の拡張、水需要の増加に伴う施設の増設を図り、水道の普及をさらに推進する。
(3) 簡易水道施設等の整備
簡易水道施設及び飲料水供給施設について、水道普及率の比較的低い農山漁村部における新設又は給水区域の拡張に重点をおいて整備し、上水道施設の整備と併せて全国の水道普及率九九%を達成する。
(4) 老朽施設の更新及び基幹施設の耐震化
老朽化した管路、浄水施設等の水道施設の更新を必要に応じてその機能の向上を図りながら、計画的に推進する。特に石綿セメント管については、他の管種に替えることとして、全ての更新を完了する。また、浄水場、配水池、主要な管路等の基幹施設の耐震化等を行い、水道システム全体としての安全性を高める。これらにより、漏水防止対策及び震災対策の推進に資する。
(5) 緊急時給水拠点の確保
配水池容量として計画一日最大給水量の一二時間分を確保するよう配水池を増設するとともに配水施設の一部となる緊急用貯水槽の設置を推進し、大規模な災害発生時などの緊急時における給水拠点の機能を確保する。
(6) 高度浄水施設の整備
水質汚濁が進行している水源の利用を余儀なくされている浄水場に、活性炭処理、オゾン処理、生物処理等の高度浄水施設の整備を図り、全国すべての地域で、安全で異臭味のないおいしい水の供給を実現する。
(7) 直結給水対象の拡大
三階建ての建築物ないし五階建ての建築物までへの直結給水を長期的視点から推進することとし、このために必要な施設整備を行う。これにより、給水サービスの向上を図るとともに小規模受水槽等による衛生問題の解消を図る。
別紙
ふれっしゅ水道
本長期目標の内容を次の五つの言葉で要約し、各頭文字をとって「ふれっしゅ水道」としてわかりやすく、親しみやすく表現することにより、計画の着実な推進に資することとした。
ふ……普及率向上で国民皆水道達成
れ……レベルアップで高いサービスの水道
つ……強くて地震・渇水に負けない水道
し……信頼できる安全でおいしい水道
ゆ……ゆとりのある安定した水道