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○厚生省所管事業に係る環境影響評価実施要綱について

(昭和六一年五月一日)

(衛計第六一号)

(各都道府県知事・各政令市市長・水資源開発公団総裁あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

閣議決定(昭和五九年八月二八日「環境影響評価の実施について」)に基づく厚生省所管事業に係る環境影響評価の実施については、昭和六○年一二月一二日付け厚生省生衛第六五七号をもつて厚生事務次官より貴職あてその基本的な内容について通知されたところであるが、当該通知中の「厚生省所管事業に係る環境影響評価実施要綱」(以下「要綱」という。)に規定された手続等の趣旨、内容等については左記のとおりであるので、これに留意の上環境影響評価が適切かつ円滑に行われるよう、貴職の御理解と御協力をお願いする。

また、併せて本通知の貴管下市町村及び関係事業者への周知方お願いする。

一 対象事業の範囲(要綱第二(二)関係)

環境影響評価の対象となる一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分場の「規模の変更」とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)第八条及び第一五条に定める届出を要する規模の変更であり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第三五号)第二条の五及び第一○条の五に規定する軽微な変更に該当する事業は、対象事業とならないものである。

二 環境影響評価準備書の作成(要綱第三の一関係)

環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)は、関係住民に対する周知、意見把握等の手続の対象となるものであるため、わかりやすい記述であることが望まれる。また、準備書の内容を平易に記載した概要書を必要に応じ別途作成し、準備書に添付すること等も実際的な方法である。

三 準備書に関する周知(要綱第三の二関係)

(一) 関係地域

関係地域は、準備書に関する周知、意見把握等の手続が進められる地域の範囲となるものであり、これを適切に定めることが手続の円滑な進行を期する上で重要であるため、事業者はその決定に当たつては、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴き、これを参考とするよう努めるものとする。

この場合、準備書における調査・予測地域、予測結果等を参考にして関係地域を定めることとし、その範囲については住居表示による町、丁目、字等の区画等を用いて定めることができる。

(二) 公告

公告は、準備書が作成され、関係住民が関与する手続が開始されることを知らしめるためのものであり、地方公共団体の公報に掲載すること等関係住民が通常その内容を知りうる方法により行われるものである。その内容としては、準備書を作成した旨と併せて、次の事項を含むものである。

(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

(2) 対象事業の名称及び種類

(3) 対象事業を行う区域及び関係地域の範囲

(4) 準備書の縦覧の場所、期間及び時間

(5) 関係住民は準備書について公害の防止及び自然環境の保全(以下「公害の防止等」という。)の見地からの意見を書面により提出できる旨並びにその期間及び提出先

(三) 縦覧

縦覧は、関係住民に対して準備書の周知を図るための基本的な手段であり、関係住民が利用しやすい方法により行われるものである。したがつて、事業者の事務所が関係地域内にある場合はその事務所で行うとともに、関係都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て関係都道府県及び関係市町村の庁舎等の場所において行うことが望ましい。

縦覧期間は公告の日から一月間であり、これは、公告の日の翌日から起算し、土曜、日曜・祝日も含むものであるが、日曜・祝日や通常の勤務時間外において縦覧することまで求める趣旨ではない。

(四) 説明会

説明会は、事業者が準備書の内容について関係住民に対し直接説明する場であり、準備書の周知を図る方法として効果が高いものである。したがつて、説明会の開催の日時、場所は地域の実情を踏まえ、関係住民の参集の便を考慮して適切に定められる必要がある。

なお、事業者が関係地域の規模、関係住民の利便等を勘案して必要があると認める場合には、関係地域をいくつかの区域に区分して当該区域ごとに説明会を開催することもできる。

説明会は、準備書の周知を図る場として、適正かつ円滑に運営される必要があるが、以下に示すような事業者の責めに帰することができない理由により開催することができない場合には、説明会を開催することを要しない。

(1) 天災、交通の途絶その他の不測の事態による場合

(2) 説明会の開催又は続行が平穏に行いえないと判断される場合

(3) 関係都道府県知事等から公共の安全その他の公益上の理由から説明会の中止を求められた場合

(4) その他(1)から(3)までに準ずる場合

また、この場合には事業者が準備書の周知に努める必要があり、そのための方法は次のようなものである。

(1) 準備書の概要を記載した書類を関係住民に提供すること

(2) 準備書の要旨を公報、日刊紙等に掲載すること

(3) その他事業者が準備書の周知を図る上で適切な方法

四 準備書に関する意見(要綱第三の三関係)

(一) 関係住民の意見

関係住民の意見の内容としては、生活体験に基づく地域の環境情報や環境影響についての懸念等が考えられ、事業者はこれを踏まえて準備書の記載事項について検討を加え、これに対する見解を明らかにするものである。なお、関係住民の意見は、公害の防止等の見地からの意見として求められるものであり、事業そのものに対する賛否を問う趣旨のものではない。

(二) 関係都道府県知事等の意見

関係都道府県知事及び関係市町村長は、準備書について十分検討の上、地域の公害の防止等の見地から意見を述べるものである。この場合、事業者が関係都道府県知事の意見を求めることとされているのは、要綱の対象事業は大規模で広域にわたること、かつ、都道府県知事は地域の環境保全の要であり、関係市町村長の意見を踏まえた広域的見地からの意見が期待できること等による。

五 環境影響評価書の作成等(要綱第三の四関係)

(一) 環境影響評価書の作成

環境影響評価書(以下「評価書」という。)は、事業者の手続の成果となるものであり、関係住民及び関係都道府県知事の意見を踏まえ、準備書の記載事項について検討を加えるとともに、これらの意見に対する事業者の見解を明らかにすることにより作成されるものである。

(二) 評価書の公告及び縦覧

公告、縦覧の方法については、三(二)((5)は除く。)及び(三)と同様である。この場合において、「準備書」とあるのは、「評価書」と読み替えること。

六 公害の防止等についての行政への反映(要綱第四関係)

(一) 評価書の送付先

評価書の送付先として掲げられているのは、対象事業の実施に係る認可、届出の受理又は指示(以下「認可等」という。)の権限を有する行政庁である。

(二) 行政への反映

要綱に基づく環境影響評価においては、事業者による手続等とあいまつて、行政としても公害の防止等のため所要の措置を講ずることとしている。即ち、認可等を行う者が認可等に際し評価書を審査し、その結果に配慮することにより、事業者の行つた環境影響評価の結果を認可等に反映させ、公害の防止等についての配慮をより一層確かなものにすることとなる。

この場合、これらの審査及び配慮は行政運用により行われるものであるので、認可等に係る法令の規定に基づく行政処分に認められた裁量の範囲内で行われるものである。

七 施行期日及び経過措置(要綱第一○関係)

(一) 施行期日

施行期日は、昭和六一年六月一二日であり、これは、要綱を通知した日(昭和六○年一二月一二日)から六月を経過した日から施行する趣旨である。なお、六月の経過期間は、今回の措置についての周知及び準備のための期間である。

(二) 経過措置

経過措置は、要綱に基づく環境影響評価を実施に移す際、これを円滑に運ぶために設けられているものである。即ち、施行日前に認可等が行われているものには適用しないこととし、また、施行日前において、要綱別記の条例等に基づく手続等が行われている対象事業については、要綱を適用せず引き続き当該条例等に基づく手続等を行うことができるものである。

この場合、「別記の地方公共団体の条例、要綱等の定めるところに従つて環境影響評価手続等が行われている場合」とは、準備書の送付等に相当する手続が行われている等条例等に定める手続が開始されたことが明らかであると認められる場合である。