添付一覧
○厚生省所管事業に係る環境影響評価の実施について
(昭和六〇年一二月一二日)
(生衛第六五七号)
(各都道府県知事・各政令市市長・水資源開発公団総裁あて厚生事務次官通知)
厚生省所管事業の実施に当たつては、かねてより公害の防止及び自然環境の保全について御配慮願つているところであるが、昨年、環境影響評価の実施について、別添1のとおり閣議決定(「環境影響評価の実施について」昭和五九年八月二八日閣議決定)がなされ、これに基づき、厚生大臣により別添2及び別添3のとおり対象事業及び環境影響評価技術指針が定められたところである。
ついては、これらの決定に基づき、厚生省所管事業について、左記のとおり環境影響評価の実施に係る基本的な事項を定めたので、その円滑な実施につき格段の御配慮をわずらわせたく命により通知する。
記
1 環境影響評価の実施
厚生省所管事業については、「厚生省所管事業に係る環境影響評価実施要綱」(以下「要綱」という。)に基づき、環境影響評価を実施すること。
2 市町村及び事業者に対する協力要請
(1) 都道府県にあつては、要綱に基づく環境影響評価の手続等が円滑に行われるよう管下市町村及び関係事業者に対し周知を図るとともにその理解と協力を求められたいこと。
(2) 政令市にあつては、要綱に基づく環境影響評価の手続等が円滑に行われるよう関係事業者に対し周知を図るとともにその理解と協力を求められたいこと。
3 地方公共団体の施策と要綱との整合
地方公共団体において、厚生省所管事業に係る環境影響評価について施策を講じようとする場合は、前記閣議決定等の趣旨を尊重し、要綱との整合性に配意されたいこと。
厚生省所管事業に係る環境影響評価実施要綱
第一 趣旨
厚生省所管事業を実施しようとする者は、公害の防止及び自然環境の保全(以下「公害の防止等」という。)を図るため、環境影響評価を実施することとし、その手続等は、この要綱の定めるところによるものとする。
第二 対象事業及び事業者
この要綱において対象事業及び事業者とは、次のとおりとする。
対象事業 |
事業者 |
(1) 河川法(昭和三九年法律第一六七号)第四条第一項に規定する一級河川に係るダム(当該ダムを利用して流水を水道法(昭和三二年法律第一七七号)第三条第一項に規定する水道の用に供するものに限る。)の新築で、湛水面積が二○○ha以上のもの。ただし、特定多目的ダム法(昭和三二年法律第三五号)に基づく多目的ダム及び水資源開発公団が建設するダムのうち厚生大臣が主務大臣とならないものを除く。 |
水資源開発公団 水道法第六条第一項若しくは第一○条第一項又は同法第二六条若しくは第三○条第一項の認可を受けて対象事業を実施しようとする者 |
(2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)第八条第一項に規定する一般廃棄物の最終処分場及び同法第一二条第五項第二号に規定する産業廃棄物の最終処分場の設置で、埋立地の面積が三○ha以上のもの又はその規模の変更で、変更後の面積が三○ha以上となるもの |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条第一項又は第一五条第一項に規定する届出を行つて対象事業を実施しようとする者 |
第三 環境影響評価に関する手続等
1 環境影響評価準備書の作成
(1) 事業者は、対象事業を実施しようとするときは、対象事業の実施が環境に及ぼす影響について、調査、予測及び評価等(以下「調査等」という。)を行い、次に掲げる事項を記載した環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)を作成するものとする。
ア 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
イ 対象事業の目的及び内容
ウ 調査の結果の概要
エ 対象事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止等のための措置
オ 対象事業の実施による影響の評価
(2) (1)の「対象事業の実施が環境に及ぼす影響」には、第二の(1)の対象事業については、当該対象事業の実施後の土地(当該対象事業以外の事業で昭和五九年八月二八日閣議決定により定められた環境影響評価実施要綱に基づく措置により環境影響評価が行われる事業(以下「他の対象事業」という。)の用に供する土地を除く。)又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動に伴つて生じる影響を含むものとし、第二の(2)の対象事業については、これを含まないものとする。
(3) (1)の調査等は、対象事業の種類に応じ、環境影響評価技術指針に従つて行うものとする。
2 準備書に関する周知
(1) 事業者は、関係地域(対象事業の実施により環境に影響を及ぼす地域であつて、当該地域の住民に対し準備書の内容を周知することが適当と認められるものをいう。以下同じ。)を管轄する都道府県知事及び市町村長(以下それぞれ「関係都道府県知事」及び「関係市町村長」という。)に準備書を送付するとともに、当該関係都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て、準備書を作成した旨等を公告し、準備書を公告の日から一月間縦覧に供するものとする。
(2) 事業者は、準備書の縦覧期間内に、関係地域内において、準備書の説明会(以下「説明会」という。)を開催するものとする。この場合において、関係地域内に説明会を開催する適当な場所がないときは、関係地域以外の地域において開催することができるものとする。
(3) 事業者は、説明会を開催するときは、その開催予定の日時及び場所を定め、関係都道府県知事及び関係市町村長に通知するとともに、これらを説明会の開催予定の日の一週間前までに公告するものとする。この場合において、事業者は、説明会の開催予定の日時及び場所について、関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴くことができるものとする。
(4) 事業者は、その責めに帰することのできない理由により(3)で公告した説明会を開催することができない場合には、当該説明会を開催することを要しない。この場合において、事業者は、準備書の縦覧期間内に、準備書についてその概要を記載した書類の提供その他の方法により、その周知に努めるものとする。
(5) 事業者は、関係都道府県及び関係市町村と協議して、説明会の開催等を関係都道府県又は関係市町村に委託することができるものとする。
3 準備書に関する意見
(1) 事業者は、準備書について、関係地域内に住所を有する者(以下「関係住民」という。)の公害の防止等の見地からの意見(準備書の縦覧期間及び当該縦覧期間が満了する日の翌日から起算して二週間を経過する日までの間に意見書により述べられた意見に限る。)の把握に努めるものとする。
(2) 事業者は、(1)の期間を経過した後、関係都道府県知事及び関係市町村長に(1)で把握した関係住民の意見の概要を記載した書面を送付するとともに、関係都道府県知事に対し、送付を受けた日から三月以内に、準備書について公害の防止等の見地からの意見を関係市町村長の意見を聴いた上で述べるよう求めるものとする。
4 環境影響評価書の作成等
(1) 事業者は、準備書に関する関係都道府県知事の意見が述べられた後(意見が述べられないときは、3(2)の期間を経過した日以後)、準備書の記載事項について検討を加え、次に掲げる事項を記載した環境影響評価書(以下「評価書」という。)を作成するものとする。
ア 1(1)のアからオまでに掲げる事項
イ 関係住民の意見の概要
ウ 関係都道府県知事の意見
エ イ及びウについての事業者の見解
(2) 事業者は、関係都道府県知事及び関係市町村長に評価書を送付するとともに、当該関係都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て、評価書を作成した旨等を公告し、評価書を公告の日から一月間縦覧に供するものとする。
5 準備書記載事項の変更
(1) 事業者は、2(1)により準備書を関係都道府県知事及び関係市町村長に送付した後、4(1)により評価書を作成するまでの間において、準備書についてその記載事項(1(1)のアに掲げる事項を除く。)の内容を変更する必要があると認めるときは、その変更する部分に係る環境影響評価に関する手続その他の行為(以下「手続等」という。)を、1から4までに定めるところにより行うものとする。ただし、当該変更する部分が軽微なものであるときは、この限りでない。
(2) 事業者は、(1)のただし書に該当する場合には、速やかに準備書の記載事項を変更するとともに、変更を行つた旨を準備書及び評価書に記載するものとする。
6 対象事業の廃止等
(1) 事業者は、2(1)により準備書を関係都道府県知事及び関係市町村長に送付した後、4(2)の評価書の縦覧期間が満了する日までの間において、対象事業を実施しないこととした場合、対象事業を対象事業以外の事業に変更した場合又は対象事業の実施を他の者に引き継いだ場合には、準備書を送付した関係都道府県知事及び関係市町村長(第四の1(1)により評価書を行政庁に送付した後であるときは、関係都道府県知事及び関係市町村長並びに当該行政庁)にその旨を通知するものとする。
(2) 事業者は、4(2)による評価書の公告の日以降に(1)に掲げる事由が生じた場合には、(1)による通知を行うとともに、関係都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て、(1)の通知に係る事項その他必要な事項を公告するものとする。
(3) 事業者が(1)の期間において、他の者から対象事業を引き継いだときは、従前の者が行つた要綱に基づく手続等は事業者が行つたものとみなし、従前の者について行われた要綱等に基づく手続等は事業者について行われたものとみなすものとする。
第四 公害の防止等についての行政への反映
1 評価書の行政庁への送付
(1) 事業者は、第三の4(2)に定める評価書に係る公告の日以降、速やかに、対象事業の区分に応じて次に掲げる行政庁に評価書を送付するものとする。
対象事業 |
評価書の送付先 |
ダムの新築 |
厚生大臣又は水道法施行令(昭和三二年政令第三三六号)第七条第一項若しくは第二項に基づき権限の委任を受けた都道府県知事 |
廃棄物最終処分場の設置又は規模の変更 |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第八条第一項又は第一五条第一項に基づき施設の設置の届出の受理を行うこととされている都道府県知事(保健所を設置する市にあつては、市長。以下上の対象事業に係る場合において同じ。) |
(2) 厚生大臣は、(1)により評価書の送付を受けた場合には、速やかに、当該評価書を環境庁長官に送付するものとする。この場合において、厚生大臣は、評価書を送付する対象事業のうち、規模が大きく、その実施により環境に及ぼす影響について特に配慮する必要があると認められる事項があるときは、当該対象事業に係る評価書に対する公害の防止等の見地からの環境庁長官の意見を求めるものとする。
2 認可の申請等の時期
事業者は、原則として、対象事業の実施に係る認可の申請又は届出を行うまでの間に、1(1)により評価書を行政庁に送付するものとする。ただし、水資源開発公団にあつては、原則として水資源開発公団法(昭和三六年法律第二一八号)第一九条第一項の指示を受けるまでの間に、1(1)により評価書を行政庁に送付するものとする。
3 公害の防止等の配慮についての審査等
(1) 厚生大臣及び都道府県知事は、対象事業の実施に係る認可、届出の受理又は指示(以下「認可等」という。)に際し、当該認可等に係る法律の規定に反しない限りにおいて、評価書の記載事項につき、当該対象事業の実施において公害の防止等についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査し、その結果に配慮するものとする。
(2) 事業者は、評価書に記載されているところにより対象事業の実施による影響につき考慮し、公害の防止等についての適正な配慮をして当該対象事業を実施するものとする。
第五 対象事業の変更等
1 事業者は、対象事業の実施に当たり、評価書に記載された対象事業の内容を変更してこれを実施しようとする場合には、当該対象事業については、第三及び第四の手続等を再度行うものとする。ただし、その変更が軽微なものであるときは、この限りでない。
2 第三の6(3)は、第三の4(2)による評価書の縦覧期間が満了する日の後において、事業者が他の者から対象事業の実施を引き継いだ場合について準用する。
第六 手続等の併合
1 事業者は、相互に関連する二以上の対象事業若しくは他の対象事業と相互に関連する対象事業を実施しようとするとき又は他の者が実施しようとする対象事業若しくは他の対象事業と相互に関連する対象事業を実施しようとするときは、当該対象事業又は他の対象事業について、併せて、第三及び第四の1において事業者が行うこととされている手続等を行うことができるものとする。
2 事業者は、他の者と一の対象事業を実施しようとする場合又は他の者が実施しようとする対象事業若しくは他の対象事業と相互に関連する対象事業を実施しようとする場合において、事業者及び当該他の者のうちから代表する者を定めたときは、その代表する者が、当該対象事業又は他の対象事業について、併せて、第三及び第四の1において事業者が行うこととされている手続等を行うことができるものとする。
第七 環境影響評価手続等の特例
1 地方公共団体の条例等との関係
事業者は、環境影響評価手続等に係る地方公共団体の条例又は要綱等(この要綱に定める手続等と同等以上の手続等を定めているものとして厚生大臣が別に指定するものに限る。)の定めるところに従い、対象事業に係る環境影響評価手続等を行う場合は、当該地方公共団体の区域については、この要綱に基づく手続等と当該条例又は要綱等に基づく環境影響評価手続等を併せて行うことができる。
2 他の対象事業と関連する場合等の措置
事業者は、対象事業が他の対象事業と相互に関連していること等の理由により、実施しようとする環境影響評価手続等について調整を行う必要がある場合には、あらかじめ厚生大臣と十分協議した上でこの要綱に定める手続等の一部を変更して実施することができるものとする。
第八 地方公共団体との連絡
事業者は、この要綱に基づく手続等を行おうとするときは、関係する地方公共団体と密接に連絡するものとする。
第九 その他
この要綱に基づく環境影響評価の実施に関しその他必要な事項は、別に定める。
第一○ 施行期日及び経過措置
1 施行期日
この要綱は、昭和六一年六月一二日から施行する。
2 経過措置
(1) 次に掲げる事業については、この要綱に基づく手続等を行うことを要しない。
ア この要綱の施行の際対象事業に該当する事業で、この要綱の施行の日(以下「施行日」という。)前に当該対象事業に係る認可等が行われ、施行日以後その内容を変更せずに実施されるもの(軽微な変更をして実施されるものを含む。)
イ この要綱の施行の際対象事業に該当していない事業で、施行日前に当該対象事業に係る認可等が行われ、施行日以後内容の変更(公害の防止等に支障がないものに限る。)により対象事業となつたもの
(2) この要綱の施行の際対象事業((1)に該当する事業を除く。)について、別記の地方公共団体の条例、要綱等の定めるところに従つて環境影響評価手続等が行われている場合には、この要綱にかかわらず、施行日以後も、引き続き当該条例、要綱等に基づき手続等を行うことができるものとし、当該手続等が行われた対象事業については、この要綱に基づく手続等を行うことを要しない。
別記
地方公共団体の条例、要綱等(第一○の2(2)関係)
川崎市環境影響評価に関する条例(昭和五一年川崎市条例第四一号)
北海道環境影響評価条例(昭和五三年北海道条例第二九号)
神戸市環境影響評価要綱(昭和五三年神戸市告示第六○号)
環境保全に関する環境影響評価指導要綱(昭和五三年岡山県告示第一○二三号)
名古屋市環境影響評価指導要綱(昭和五四年名古屋市告示第四七号)
開発整備事業等に係る環境影響評価の手続に関する要綱(昭和五四年兵庫県告示第四七九号の三)
環境影響評価の実施に関する指導要綱(昭和五四年三重県告示第一○七四二号)
長崎県南部総合開発計画に係る環境影響評価書案の公表実施要綱(昭和五四年長崎県告示第三六○号)
尼崎市環境影響評価指導要綱(昭和五四年尼崎市告示第二五四号)
横浜市環境影響評価指導指針(横浜市環境影響評価に関する手続要領)(昭和五五年一月一四日)
長崎県環境影響評価事務指導要綱(昭和五五年七月一日)
東京都環境影響評価条例(昭和五五年東京都条例第九六号)
神奈川県環境影響評価条例(昭和五五年神奈川県条例第三六号)
千葉県環境影響評価の実施に関する指導要綱(昭和五五年千葉県告示第一○○七号)
埼玉県環境影響評価に関する指導要綱(昭和五六年埼玉県告示第一六九号)
滋賀県環境影響評価に関する要綱(昭和五六年滋賀県告示第一一二号)
八尾市環境影響評価実施要綱(昭和五六年七月二九日)
広島県環境影響評価の実施に関する指導要綱(昭和五七年広島県告示第一三五三号)
茨城県環境影響評価要綱(昭和五八年茨城県告示第五九一号)
香川県環境影響評価実施要綱(昭和五八年香川県告示第七一七号)
長野県環境影響評価指導要綱(昭和五九年長野県告示第五号)
大阪府環境影響評価要綱(昭和五九年大阪府公告第九号)
別添1
環境影響評価の実施について
(昭和五九年八月二八日)
(閣議決定)
1 政府は、事業の実施前に環境影響評価を行うことが、公害の防止及び自然環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価の手続等について、左記のとおり、環境影響評価実施要綱を決定する。
2 国の行政機関は、環境影響評価を実施するため、この要綱に基づき、国の行う対象事業については所要の措置を、免許等を受けて行われる対象事業については、当該事業者に対する指導等の措置をできるだけ速やかに講ずるものとする。
3 政府は、この要綱に基づく措置が円滑に実施されるよう事業者及び地方公共団体の理解と協力を求めるものとする。
4 政府は、地方公共団体において環境影響評価について施策を講ずる場合においては、この決定の趣旨を尊重し、この要綱との整合性に配意するよう要請するものとする。
5 この要綱で別に定めるとされている事項等この要綱に基づく手続等に必要な共通的事項を定めるため、別紙に定めるところにより、内閣に環境影響評価実施推進会議を設ける。
記
環境影響評価実施要綱
第一 対象事業等
1 対象事業は、次に掲げる事業で、規模が大きく、その実施により環境に著しい影響(公害(放射性物質によるものを除く。)又は自然環境に係るものに限る。)を及ぼすおそれがあるものとして主務大臣が環境庁長官に協議して定めるものとすること。
(1) 高速自動車国道、一般国道その他の道路の新設及び改築
(2) 河川法に規定する河川に関するダムの新築その他同法の河川工事
(3) 鉄道の建設及び改良
(4) 飛行場の設置及びその施設の変更
(5) 埋立及び干拓
(6) 土地区画整理法に規定する土地区画整理事業
(7) 新住宅市街地開発法に規定する新住宅市街地開発事業
(8) 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律に規定する工業団地造成事業及び近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律に規定する工業団地造成事業
(9) 新都市基盤整備法に規定する新都市基盤整備事業
(10) 流通業務市街地の整備に関する法律に規定する流通業務団地造成事業
(11) 特別の法律により設立された法人によつて行われる住宅の用に供する宅地、工場又は事業場のための敷地その他の土地の造成
(12) (1)から(11)までに掲げるもののほか、これらに準ずるものとして主務大臣が環境庁長官に協議して定めるもの
2 環境影響評価を行う者は事業者とし、事業者とは、対象事業を実施しようとする別に定める者とすること。
第二 環境影響評価に関する手続等
1 環境影響評価準備書の作成
(1) 事業者は、対象事業を実施しようとするときは、対象事業の実施が環境に及ぼす影響(対象事業が第一の1(5)の事業以外の事業である場合には、対象事業の実施後の土地(当該対象事業以外の対象事業の用に供するものを除く。)又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動に伴つて生じる影響を含むものとし、対象事業の実施のために行う第一の1(5)に掲げる事業により生じる影響を含まないものとする。)について、調査、予測及び評価を行い、次に掲げる事項を記載した環境影響評価準備書を作成すること。
(1) 氏名及び住所等
(2) 対象事業の目的及び内容
(3) 調査の結果の概要
(4) 対象事業の実施による影響の内容及び程度並びに公害の防止及び自然環境の保全のための措置
(5) 対象事業の実施による影響の評価
(2) (1)の調査等は、主務大臣が環境庁長官に協議して対象事業の種類ごとに定める指針に従つて行うものとし、環境庁長官は、関係行政機関の長に協議して、主務大臣が指針を定める場合に考慮すべき調査等のための基本的事項を定めること。
2 準備書に関する周知
(1) 事業者は、関係地域を管轄する都道府県知事及び市町村長に準備書を送付するとともに、当該都道府県知事及び市町村長の協力を得て、準備書を作成した旨等を公告し、準備書を公告の日から一月間縦覧に供すること。
(2) 事業者は、準備書の縦覧期間内に、関係地域内において、その説明会を開催すること。この場合において、事業者は、その責めに帰することのできない理由で説明会を開催することができない場合には、当該説明会を開催することを要せず、他の方法により周知に努めること。
3 準備書に関する意見
(1) 事業者は、準備書について公害の防止及び自然環境の保全の見地からの関係地域内に住所を有する者の意見(準備書の縦覧期間及びその後二週間の間に意見書により述べられたものに限る。)の把握に努めること。
(2) 事業者は、関係都道府県知事及び関係市町村長に(1)の意見の概要を記載した書面を送付するとともに、関係都道府県知事に対し、送付を受けた日から三月間内に、準備書について公害の防止及び自然環境の保全の見地からの意見を関係市町村長の意見を聴いた上で述べるよう求めること。
4 環境影響評価書の作成等
(1) 事業者は、準備書に関する意見が述べられた後又は3(2)の期間を経過した日以後、準備書の記載事項について検討を加え、次に掲げる事項を記載した環境影響評価書を作成すること。
(1) 1(1)の(1)から(5)までに掲げる事項
(2) 関係地域内に住所を有する者の意見の概要
(3) 関係都道府県知事の意見
(4) (2)及び(3)の意見についての事業者の見解
(2) 事業者は、関係都道府県知事及び関係市町村長に評価書を送付するとともに、当該関係都道府県知事及び関係市町村長の協力を得て、評価書を作成した旨等を公告し、評価書を公告の日から一月間縦覧に供すること。
5 環境影響評価の手続等に係るその他の事項
(1) 事業者は、都道府県等と協議の上、説明会の開催等を都道府県等に委託することができること。
(2) 国は、地方公共団体が国の補助金等の交付を受けて対象事業の実施をする場合には、環境影響評価の手続等に要する費用について適切な配慮をするものとすること。
第三 公害の防止及び自然環境の保全についての行政への反映
1 評価書の行政庁への送付
(1) 事業者は、評価書に係る公告の日以後、速やかに、免許等が行われる対象事業にあつては別に定める者に、国が行う対象事業にあつては環境庁長官に評価書を送付すること。
(2) (1)により評価書の送付を受けた国の行政機関の長は、評価書の送付を受けた後、速やかに、環境庁長官に評価書を送付すること。
2 環境庁長官の意見
主務大臣は、1により環境庁長官に評価書が送付された対象事業のうち、規模が大きく、その実施により環境に及ぼす影響について、特に配慮する必要があると認められる事項があるときは、当該事業に係る評価書に対する公害の防止及び自然環境の保全の見地からの環境庁長官の意見を求めること。
3 公害の防止及び自然環境の保全の配慮についての審査等
(1) 対象事業の免許等を行う者は、免許等に際し、当該免許等に係る法律の規定に反しない限りにおいて、評価書の記載事項につき、当該対象事業の実施において公害の防止及び自然環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査し、その結果に配慮すること。
(2) 2により環境庁長官が意見を述べる場合には、(1)の審査等の前にこれを述べるものとし、免許等を行う者は、当該免許等に係る法律の規定に反しない限りにおいて、その意見を配意して審査等を行うこと。
(3) 事業者は、評価書に記載されているところにより対象事業の実施による影響につき考慮するとともに、2による環境庁長官の意見が述べられているときはその意見に配意し、公害の防止及び自然環境の保全についての適正な配慮をして当該対象事業を実施すること。
第四 その他
1 主務大臣が定める事項、別に定める事項等この要綱に基づく手続等に必要な事項は、できるだけ速やかに定めること。ただし、第二の1(2)の基本的事項その他この要綱に基づく手続等に必要な共通的事項は、本決定の日から三月以内に定めること。
2 この要綱の実施に関する経過措置については、別に定めること。
別紙
環境影響評価実施推進会議について
1 環境影響評価実施推進会議(以下「推進会議」という。)は、内閣官房副長官を議長とし、内閣官房内閣審議室長及び環境庁企画調整局長を副議長とする。
2 推進会議の構成員は次のとおりとする。ただし、議長は必要があると認めるときは、構成員を追加することができる。
防衛庁長官官房長
国土庁長官官房長
大蔵省大臣官房長
厚生省生活衛生局長
農林水産大臣官房長
通商産業省立地公害局長
運輸省運輸政策局長
建設省建設経済局長
自治大臣官房長
3 推進会議に幹事を置く。幹事は、関係行政機関の職員で議長の指名する官職にある者とする。
4 推進会議の庶務は、環境庁及びその他の関係省庁の協力を得て、内閣官房において処理する。
別添2
環境影響評価実施要綱に基づく対象事業について
〔昭和六○年四月一日〕
環境影響評価実施要綱(昭和五九年八月二八日閣議決定)第一の1の規定に基づき、厚生大臣が主務大臣として定める事業は、左記のとおりとする。
記
1 一級河川に係るダムの新築で、湛水面積が二○○ha以上のもの。
2 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場の設置で、埋立地の面積が三○ha以上のもの又はその規模の変更で、変更後の埋立地の面積が三○ha以上となるもの。
別添3
厚生省所管ダム事業に係る環境影響評価技術指針
目次
第一 一般的事項
1 目的
2 調査等の実施手順
第二 環境影響要因の抽出及び調査等の対象とする環境要素の設定
1 環境影響要因の抽出
2 調査等の対象とする環境要素の設定
第三 調査
1 調査方針
2 調査等に関連して情報を収集する必要のある項目
2―1 社会条件
2―2 自然条件
3 水質汚濁
4 地形・地質
5 植物
6 動物
7 景観
8 野外レクリエーション地
第四 予測
1 予測の対象とする環境要素の設定及び予測の際の留意事項
2 予測の対象時期
3 水質汚濁
4 地形・地質
5 植物
6 動物
7 景観
8 野外レクリエーション地
第五 評価
1 評価方法
2 環境保全目標
2―1 水質汚濁
2―2 地形・地質、植物、動物、景観及び野外レクリエーション地
第六 環境保全対策等の検討
第七 環境影響評価準備書の作成
第一 一般的事項
1 目的
この技術指針は、「環境影響評価実施要綱(昭和五九年八月二八日閣議決定)」第二の1(2)に基づき、厚生省所管ダム事業に係る環境影響評価が科学的かつ適正に行われるために必要な技術的事項について定めたものである。
なお、この技術指針は、今後の科学的知見の進展に応じて、常に適切な判断を加え、所要の改定を行うものである。
2 調査等の実施手順
環境影響評価のための調査、予測及び評価等(以下「調査等」という。)は以下の手順により実施することを原則とする。(図―1参照)
(1) 環境影響要因の抽出
事業計画等の内容を検討し、ダム事業の実施等により、環境に影響を及ぼす可能性がある要因の抽出を行う。
(2) 調査等の対象とする環境要素及び調査地域の設定
(3) 調査
(4) 予測の対象とする環境要素及び予測地域の設定
(5) 予測
(4)に基づき設定した環境要素について、環境影響の予測を行う。
(6) 評価
予測の対象とした環境要素について、あらかじめ設定した環境保全目標に照らして環境影響の評価を行う。
(7) 環境保全対策の検討
評価の結果、必要がある場合に環境保全対策の検討を行い、当該検討の結果を踏まえて、再度予測又は評価を行う。
(8) 環境影響評価準備書の作成
(1)から(7)までの内容を環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)として取りまとめる。
第二 環境影響要因の抽出及び調査等の対象とする環境要素の設定
図―1 調査等の実施手順
1 環境影響要因の抽出
調査等に当たつては、事業計画等の内容に応じダムの設置及びその供用並びに工事の実施の各段階において、公害の防止及び自然環境の保全に影響を及ぼすと想定されるものを環境影響要因として抽出する。
2 調査等の対象とする環境要素の設定
調査等の対象とする環境要素は、原則として、表―1に掲げる環境要素の中から、環境影響要因及び地域環境の特性に応じて、表―2に基づいて設定する。
表―1 環境要素
区分 |
環境要素 |
公害の防止に係るもの |
水質汚濁 |
自然環境の保全に係るもの |
地形・地質、植物、動物、景観、野外レクリエーション地 |
表―2 調査等の対象とする環境要素の設定基準
環境要素 |
設定基準 |
水質汚濁 |
水質に影響を与えないことが明らかである場合を除き、ダム事業を実施する場合 |
地形・地質 |
自然環境保全法(昭和四七年法律第八五号)、自然公園法(昭和三二年法律一六一号)その他自然環境保全に係る法令により指定された地域及び既存文献、資料等により学術上等の観点から重要と認められる地域においてダム事業を行う場合 |
植物 |
地形・地質に同じ |
動物 |
地形・地質に同じ |
景観 |
地形・地質に同じ |
野外レクリエーション地 |
地形・地質に同じ |
第三 調査
1 調査方針
調査は、次に定める調査項目を基本として行う。この場合において、ダム事業の実施による影響の予測及び評価を行うのに必要な水準が確保されるよう配慮する。
2 調査等に関連して情報を収集する必要のある項目
2―1 社会条件
(1) 調査項目
地域の社会的状況に係る項目
ア 行政区域の状況
イ 集落の状況
ウ 人口の状況
エ 産業の状況
オ 土地利用及び土地利用規制の状況
カ 河川利用の状況
環境関係法令等に係る項目
ア 公害対策基本法(昭和四二年法律第一三二号)に基づく環境基準の類型の指定状況
イ 自然環境保全法に基づく地域地区の指定状況
ウ 自然公園法に基づく地域地区の指定状況
エ 文化財保護法(昭和二五年法律第二一四号)に基づく史跡名勝天然記念物(自然環境に係るものに限る。)の指定状況
オ 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号)に基づく鳥獣保護区の指定状況
カ 条例等に基づく地域地区の指定状況、規制基準等
キ その他
(2) 調査地域
調査地域は、ダム貯水池の全部又は一部をその区域に含む市町村の区域(特に必要がある場合は、ダム周辺の市町村の区域を含む。)とする。ただし、河川利用の状況については2―2(2)に準じる。
(3) 調査方法
調査は、既存の文献、資料等により行う。
2―2 自然条件
(1) 調査項目
ア 地形・地質の概況
イ 植物、動物の概況
ウ 河川、湖沼の概況
エ 気象の概況
オ 水象、水質の概況
カ 景観、野外レクリエーション地の概況
キ その他
(2) 調査地域
調査地域は、ダム地点上流の流域及びダム地点下流の区域のうち、各環境要素の調査等を行う際に、これらの資料を収集し、整理しておくことが必要な区域とする。
(3) 調査方法
調査は、原則として既存の文献、資料等により行う。
3 水質汚濁
(1) 調査項目
ア 主要な水質汚濁発生源の状況
イ 水質の状況
調査は、原則として次の項目について行う。
<人の健康の保護に関する環境基準項目>
(ア) カドミウム
(イ) シアン
(ウ) 有機りん
(エ) 鉛
(オ) クロム(六価)
(カ) ヒ素
(キ) 総水銀
(ク) アルキル水銀
(ケ) PCB
<生活環境の保全に関する環境基準項目等>
(ア) 水素イオン濃度(pH)
(イ) 生物化学的酸素要求量(BOD)
(ウ) 浮遊物質量(SS)
(エ) 溶存酸素量(DO)
(オ) 大腸菌群数
(カ) 水温
(キ) 濁度
(ク) 窒素類
(ケ) りん類
(コ) その他(河川利用の状況等を勘案して定める水質項目)なお、必要に応じ濁質試料分析についても調査する。
(2) 調査地域
調査地域は、湛水区域、ダム貯水池の水質に影響を及ぼすと想定される湛水区域上流の区域及びダム貯水池の運用により水位、水質等に影響を及ぼすと想定されるダム下流の区域とする。
(3) 調査方法
水質汚濁の現状は、「水質汚濁に係る環境基準について(昭和四六年一二月二八日環境庁告示第五九号)」に定める環境基準類型の指定状況を勘案して調査を行う地点(以下「水質関係基準点」という。)を設定し、原則として、一年間以上の測定値により把握する。
調査は、原則として既存の文献、資料等により行う。ただし、文献、資料等が不備な場合は、現地調査によりこれを補う。
現地調査は、次に定めるところによる。
ア 現地調査頻度及び期間
原則として、調査項目のうち人の健康の保護に関する環境基準項目九項目の調査頻度は、年二回とし、生活環境の保全に関する環境基準項目等一○項目については、毎月一回とする。また、調査期間は一年間以上とする。なお、必要に応じ洪水時の調査を実施する。
イ 調査方法
採水、分析方法等は、原則として「水質汚濁に係る環境基準について」に示すとおりとし、これに規定のない項目については、水質基準に関する省令(昭和五三年八月三一日厚生省令第五六号)及び上水試験方法に準拠して行う。
4 地形・地質
(1) 調査項目
調査は、地形の状況(地形分布及び特殊な地形)及び地質の状況(地表地質分布及び特殊な地質)について行う。
(2) 調査地域
調査地域は、湛水区域及びその周辺区域(工事施工関連区域を含む。)とし、既存の文献、資料等を勘案して設定する。
(3) 調査方法
調査は、原則として既存の文献、資料等により行う。ただし、文献、資料等が不備な場合は、現地調査又は学識経験者等の意見によりこれを補う。
調査の期間、頻度等は、地形・地質の特性等を勘案して設定する。
5 植物
(1) 調査項目
調査は、陸上植物及び水生植物について行う。陸上植物については、群落の分布状況を把握するとともに、必要に応じて代表的群落の構成種等を調査する。水生植物については、生育種の種類及び主要生育種の分布状況を調査する。貴重種及び貴重群落については、指定の有無、位置、分布、量、貴重さの内容及び程度等を調査する。
(2) 調査地域
調査地域は、原則として次のとおりとし、既存の文献、資料等を勘案して設定する。
ア 陸上植物の状況については、湛水区域及びその周辺区域(工事施工関連区域を含む。)とする。なお、湿地性の植物の状況については、イの区域を含む。
イ 水生植物の状況については、湛水区域及びダム貯水池の運用により水位、水質等に影響を及ぼすと想定されるダム下流の区域とする。
(3) 調査方法
調査は、原則として既存の文献、資料等により行う。ただし、文献、資料等が不備な場合は、現地調査又は学識経験者等の意見によりこれを補う。
調査の期間、頻度等は、植物の成育時期等を勘案し、植物の状況を把握できる程度とする。
6 動物
(1) 調査項目
調査は、ほ乳類、鳥類、は虫類、両生類、魚類及び昆虫類について行い、必要に応じて貝類、甲殻類等を調査項目に加えることとする。
調査内容は、生息種の種類、主要生息種の分布状況、生息環境の状況等とする。貴重種については、指定の有無、分布状況、量、生態、貴重さの内容及び程度等を調査する。
(2) 調査地域
調査地域は、原則として次のとおりとし、既存の文献、資料等を勘案して設定する。
ア 水生動物の状況については、湛水区域及びダム貯水池の運用により水位、水質等に影響を及ぼすと想定されるダム下流の区域とする。
イ 水生動物以外の動物の状況については、湛水区域及びその周辺区域(工事施工関連区域を含む。)とする。
(3) 調査方法
調査は、原則として既存の文献、資料等により行う。ただし、文献、資料等が不備な場合は、現地調査又は学識経験者等の意見によりこれを補う。
調査の期間、頻度等は、動物の活動時期等を勘案し、動物の生息状況等を把握できる程度とする。
7 景観
(1) 調査項目
調査は、表―3に掲げる項目について行う。
表―3 景観調査項目及び内容
調査項目 |
調査項目の内容 |
景観要素 |
景観の概要、特殊な景観の存在位置並びに特殊さの内容及び程度 |
主要な眺望点からの眺望 |
眺望点の位置、眺望点からの眺望範囲とその景観内容 |