添付一覧
○水道の給水せんに取付ける家庭用浄水器の使用について
(昭和五九年一一月二四日)
(衛水第六三号)
(各都道府県・各政令市衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局水道環境部水道整備課長通知)
近年、水道水の残留塩素やにおいの除去を目的とした家庭用浄水器の普及が進んでいるが、一部試験機関による試験から、このような浄水器の使用に伴い細菌の繁殖等の問題が生じることが指摘されているところである。厚生省としても、浄水器の普及の実態に鑑み、水道の給水せんに取付ける型の浄水器について、その使用に伴う水質への影響に関する試験を実施したところ、使用条件によつては、浄水器の使用により水道水の水質を悪化させるおそれのあることが明らかとなつた。
厚生省としては、現在、その対策等について検討を行つているところであるが、浄水器の使用に伴う水質悪化等はその使用方法によるところも大きいと考えられるので、貴職におかれても、当面の措置として、関係行政部(局)と連携を図りつつ、別紙を参考として、浄水器利用者に対して正しい浄水器の使用等に関する指導を行うとともに、必要に応じて、市町村等を通じた広報の実施についても配慮願いたい。
なお、本件については、食品保健課長と協議済であるので申し添える。
また、厚生省が行つた浄水器の試験結果の概要は別添のとおりであるので参考にされたい。
別添 略
別紙
水道の給水せんに取付ける家庭用浄水器の使用について
1 浄水器の性能
浄水器は、通常、カートリッジに充てんされた活性炭(粒状又は粉末状)によつて、水道水に含まれている塩素やにおいを取除く構造となつています。浄水器で塩素などが除去されるのは、活性炭がこれらの物質をその表面に吸着しやすいという特性を持つていることによるものです。
活性炭は、塩素のような物質を良く除去することができますが、どんな物質でも除去できるというものではありません。例えば、カルシウム、マグネシウムや鉄分はほとんど除去できませんし、トリハロメタンも、活性炭が新しいうちは比較的良く除去できるものの、古くなるとあまり取れません。
2 浄水器中での細菌の繁殖
水道水には消毒のための塩素が含まれています。浄水器に水道水を通すと、この塩素が取除かれてしまうために、水の消毒効果がなくなり、浄水器内に細菌が繁殖することがあります。特に、活性炭を長く使用していると活性炭の表面に様々な物質が付着して、細菌が繁殖しやすくなります。また、浄水器の使用を停止している時間が長くなると細菌の繁殖が著しく進むことがあります。
この細菌は、必ずしも、病原菌のような危険なものではありませんが、水道水の水質基準では、水の衛生を確保するという観点から、一般細菌について、一ml中に一○○個以下でなければならないことと定められており、飲み水に細菌を多量に繁殖させることは、衛生上好ましいことではありません。
なお、浄水器によつては、活性炭の表面に銀をコーティングしたり、銀粒を添加するなどして、浄水器内における細菌の繁殖を抑制しようとしているものもありますが、これらのものでも、使用条件によつては細菌が繁殖するおそれがあります。
3 浄水器使用上の注意
水道水は、常に厚生省で定めた水質基準に適合するよう、厳重な水質管理のもとに各家庭に供給されており、そのまま安心して飲むことができます。
しかし、消毒のために注入されている水道水の塩素臭が気になるなどの事情から浄水器に使用される場合には、次の事に十分注意してください。
(1) メーカーの取扱い説明書に基づいて、正しい操作をすること。
(2) カートリッジの取替え時期は、なるべく早めにすること。
(3) 夜間など長時間の停止の後で使用する場合には、浄水器内にたまつた水を捨ててから、さらにしばらく水道水を流した後で使用すること。特に、大型の浄水器を使用している場合には、捨てる水の量を多めにすること。
4 その他
浄水器の販売に際し、水道水が危険であるというチラシを見せて、消費者に不安を抱かせたり、または、処理性能等を誇大に宣伝したりして、販売しているケースがありますので、悪質な販売業者には十分に気を付けてください。
なお、ご使用になつている浄水器の性能、取扱い方法等に関しては、販売店、メーカー又はメーカー団体にお問合せください。