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○水道法第四条に基づく水質基準に関する省令の改正に伴う建築物における衛生的環境の確保に関する法律に係る留意事項等について
(昭和五四年三月一四日)
(環企第三四号)
(各都道府県・各政令市衛生主管部(局)長あて厚生省環境衛生局企画課長通達)
水質基準に関する省令(昭和五三年厚生省令第五六号。以下「省令」という。)は昭和五三年八月三一日公布され、昭和五四年四月一日から施行されることとなつた。建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「法」という。)による給水の管理に関する建築物環境衛生管理基準は、水道法第四条の規定する水質基準によることとされているので、特定建築物の維持管理権原者は、昭和五四年四月一日以降は省令に従つて建築物の給水の管理を行うこととなる。改正の要点及び法の施行上留意すべき事項は左記のとおりであるので、御了知の上、貴管下関係行政機関及び関係者に対する指導に遺憾なきを期されたい。
なお、省令の公布に伴い昭和五三年八月三一日水道環境部長より「水質基準の改正について」及び同日付水道整備課長より「アンモニア性窒素セレン及び残留塩素の検査方法について」(以下「水道整備課長通知」という。)が通知されているので参考とされたい。
記
一 水質基準に関する省令の改正の要点
(一) 検査事項及び基準について
ア アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素について
水道法(昭和三二年法律第一七七号)第四条第一項第一号に掲げる要件の検査事項から、アンモニア性窒素が削除され、また、亜硝酸性窒素は硝酸性窒素と合わせて検査することとされ、その基準が硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の合計量で、「一○mg/l以下であること。」とされた。これは、窒素化合物について健康影響に対する安全性が問題とされるのは亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素であつて、アンモニア性窒素自体は問題がないこと。飲料水が病原生物に汚染され、又は病原生物に汚染されたことを疑わせることを示す指標としては、一般細菌、大腸菌群等で十分であること等の理由によるものである。
イ シアンイオン、水銀及び有機リンについて
水道法第四条第一項第二号に掲げる要件のシアンイオン、水銀及び有機リンに係る基準である「検出されないこと。」については、備考において省令別表に定める方法により測定した場合において、その結果が当該方法の定量限界を下回ることであることとされた。
この検査方法の定量限界とは、それぞれ○・○一mg/l、○・○○○五mg/l及び○・一mg/lである。
ウ カドミウムについて
水道法第四条第一項第三号に掲げる要件の検査事項としてカドミウムが加えられ、その基準が「○・○一mg/l以下であること。」とされた。
エ 名称変更について
水道法第四条第一項第三号に掲げる要件の検査事項の陰イオン活性剤の名称が陰イオン界面活性剤に、同項第四号に掲げる要件の検査事項の水素イオン濃度の名称がPH値に改められた。
オ 検査結果の表示単位について
比率による表現であるppm(百万分の一)を廃止し、濃度の絶対量表示であるmg/lと改められた。
(二) 検査方法に関する事項について
ア 金属イオンの検査については、原則として原子吸光光度法が採用され、比色分析についても濁度及び色度の検査を除き分光光度法が採用されたこと。
イ 分析可能な濃度範囲、分析着手までの時間、試料保存法、標準溶液及び細菌培地の組織を明確にし、誤差要因の除去が図られたこと。
二 法の施行上留意すべき事項
(一) アンモニア性窒素について
アンモニア性窒素については、今般検査事項から削除されたがこの検査方法は比較的容易であり、給水の管理を適切に行つていくうえで有効な水質指標であるので、引き続き水質管理指標として活用するよう指導されたい。
なお、検査方法については、水道整備課長通知によられたい。
(二) マンガンについて
井戸等自己の水源によつて建築物内に飲料水を供給する場合で、マンガンに由来して色度、濁度等の点で問題を生ずるおそれがある場合には、除マンガン設備を設け、かつ、その処理水の水質を○・○五mg/l以下とするよう指導されたい。
(三) セレンについて
井戸等自己の水源によつて建築内に飲料水を供給する場合で、セレンを含有する工場排水等により汚染されるおそれのある水源から取水するものにあつては、飲料水を供給する給水栓の末端で採取した水について、おおむね一年ごとに一回測定を行うよう指導されたい。
なお、セレンの基準としては「○・○一mg/l以下であること。」とし、検査方法については、水道整備課長通知によられたい。
(四) 残留塩素の検査方法について
残留塩素の検査方法については、昭和五○年六月一三日企画課長通知によりオルト・トリジン法によるほか、それと同等以上の精度を有する検査方法により検査を行う旨指示されているところであるが、今般、水道整備課長通知により原則としてオルト・トリジン法又はDPD法により検査を行うこととされたので、法施行規則第四条第二項に規定する残留塩素の検査の場合も前記通知に準じて行われるよう御指導をお願いする。
なお、昭和五三年五月二五日環境衛生局長通知「遊泳用プールの水質基準について」示された残留塩素の検査においても同様のとり扱いとされたい。