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○水道施設の工事監督の強化並びに施設管理及び水質管理の徹底について
(昭和四四年六月二四日)
(環水第九〇五九号)
(各都道府県知事あて厚生省環境衛生局長通達)
近年、生活水準の向上、産業の発展等に伴つて、水道用水の需要が急激に増大しているが、これに対処するため、水道施設の新設・拡張工事の必要もまた著しく増大している。また、これに伴い配水管及び給水装置の新設・増設の要望も極めて強い現状である。
このような事業量の増大に対応するため、水道事業者の業務体制の強化充実が必要となつているが、工事監督及び施設・水質管理の体制に一部不十分な点も見られ、最近これらに起因する事故も発生している。
このような状況にかんがみ、貴管下の水道事業者に対して、左記事項に留意のうえ、責任体制の確立と適切な管理を図り、併せて現状の点検を行なうよう指導されたい。
なお、貴都道府県におかれても、管下水道事業者に対する指導監督の体制を強化するとともに、水道管理面において異常が認められた場合には直ちに必要な措置を講ずるよう格別の配慮を願いたい。
記
一 工事監督の強化について
(一) 責任体制の確立
水道施設の工事監督については、水道法(以下「法」という。)第一二条の規定により、水道の布設工事を施行する場合には、資格を有する監督者を指名し又は委嘱して、技術上の監督業務を行なわせなければならないとされているので、これを遵守すること。
また、これ以外の水道施設の工事についても、これに準じて監督者を置いて監督業務を実施させること。
(二) 責任分担の明確化
水道事業者においては、これらの工事監督が適正に実施しうるよう監督者及びその補助者の組織を整備するとともに、監督業務の内容を定め、責任の所在を明確にすること。また、工事に関する報告、記録等についても整備しておくこと。
なお、工事の施工を工事業者に委託して行なう場合においては、工事業者に体して十分な指導監督を行ない、かつ水道事業者と工事業者の責任区分を明確にしておくこと。
(三) 検査の実施
配水施設以外の水道施設又は配水池を新設、増設、改造した場合においては、法第一三条の規定に基づいて、水道法施行規則(以下「規則」という。)第一〇条及び第一一条の水質検査及び施設検査の実施が義務付けられているので、これを遵守すること。
また、配水施設(配水池を除く。)及び給水装置の新設、増設、改造の場合においても、これに準じて必要な検査を行なうこと。
特に、工業用水道管等が布設されている地区における水道の工事については、その施工にあたつて十分留意し、その検査に際しても水質の確認を行なうなど格別の注意を払うこと。
なお、この検査の実施について、検査内容(水圧試験、水質試験等を含む。)を明定する等、検査に関する規則を整備すること。
二 施設管理の徹底について
(一) 図面・記録の整備
水道事業者は、水道施設の完工図その他記録の整備を図り、新設、改良、増設、撤去等の場合には、その都度、すみやかに完工図を修正すること等、常に最新の記録を整備しておくこと。
特に、地下埋設物が錯そうしている地区にあつては、他種地下埋設物の状況が把握できるよう配慮すること。
(二) 施設検査
水道事業者は、定期的に水道施設の検査を行なうことによつて、事故、異状状態等の早期発見に努め、水道施設の状況を把握しておくこと。
また、異常が認められた場合には、直ちに詳細な施設検査を実施すること。
(三) 施設の改善
水道事業者は、施設検査の結果、水道施設の補修・改造が必要であると認めたときは、すみやかに当該水道施設の補修・改善を行なうこと。
三 水質管理の徹底について
(一) 水質検査の励行
水道事業者は、法第二○条の規定により、規則第一四条に定める定期の水質検査を励行すること。この場合において、同条第一項第一号に定める毎日検査については、給水区域内全般にわたり水質基準に適合する水が供給されることを確認できる給水せんを選定して実施すること。
なお、規則第一四条第一項第二号に定める毎月検査については、別途、その実施細目を通知するものであること。
(二) 残留塩素の確認
塩素消毒については、特に注意を払い、毎日検査として残留塩素の測定を励行し、必要量の残留塩素を確保するとともに、記録の作成を励行し、水質の安全を図ること。
また、残留塩素量が十分でない地区を発見した場合には、検査地点を増加してその範囲を確認するとともに、直ちに塩素消毒を強化するほか、その原因を究明して、管理の万全を期し、必要があるときは施設検査を行なうこと。