添付一覧
○水道法の一部改正について
(昭和五二年一〇月二二日)
(環水第一〇六号)
(各都道府県知事あて厚生省環境衛生局水道環境部長通達)
水道法の一部を改正する法律(昭和五二年法律第七三号)及び水道法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(昭和五二年政令第二二六号)の施行については、別途厚生省環第六三六号厚生事務次官通知により指示されたところであるが、なお、左記事項に留意のうえ、運用に当たつて遺憾のないようにされたい。
記
一 広域的水道整備計画に関する事項
(一) 広域的水道整備計画(以下「計画」という。)は、水道事業又は水道用水供給事業を経営し、又は経営しようとする地方公共団体が共同して行う要請に基づいて策定されるものであるが、当該要請は、水道の広域的な整備を図るために必要な場合に行われるべきものであること。従つて地方公共団体が要請を行おうとする場合には、自然的社会的な諸条件からみて一体として整備を図ることが適当と認められる区域を単位として、その区域内のすべての地方公共団体が共同して要請を行うこととするよう指導すること。
(二) 計画の策定に当たつては、関係地方公共団体と協議し、かつ、当該都道府県の議会の同意を得なければならないものであること。この場合において、水道事業は市町村が経営することを原則としていることにかんがみ、市町村の自主性をそこなうことのないようその手続き等について十分配慮すること。
(三) 計画は、その実施を図ることによつて、当該地域の水道の整備普及が促進され、又は水源の確保その他当該地域の水道の諸課題の解決に資する等水道法の目的を達成するために必要があると認められる場合に策定されるものであり、従つて要請があつたときにそのすべてについて計画を策定しなければならないものではないこと。
(四) 計画の策定に当たつては、その実施によつて環境に与える影響の予測評価及び環境保全上の所要の措置、農業用水との関連等について関係担当部局に、計画の内容が河川法第二三条、第二四条又は第二六条に規定する流水の占用の許可、土地の占用の許可及び工作物の新築等の許可、又は道路の占用の許可に係るものであるときは、河川管理者又は道路管理者と予め協議すること。
なお、水源の確保については、長期的な見直しに立つて確実に取水できるよう、十分な配慮を払う必要があるが、河川水を水源とする場合にあつては、河川法第二三条又は第二六条の水利使用の許可を得ないで水道事業者が他の水道事業者に対して流水を融通し、水利権を実質的に移転することのないようにするとともに、地下水を水源としようとする場合においてそれにより地盤沈下が生じ又は促進されるときには、他の水源を求めることとするよう配慮すること。
(五) 計画は、法律に掲げる事項に従い、水道の広域的な整備に関する基本方針、広域的水道整備計画の区域に関する事項、水道施設の配置等施設整備に関する事項、施設及び水質の維持管理に関する事項、水道の整備に係る財政計画等について定めるものとすること。
この場合、当該地域の自然的社会的条件、水道水の需要と供給の見通し、水道整備の状況等を勘案し、現状の問題点と今後の方向を適確には握して、長期的計画的な観点からみて適切な内容のものとするとともに実施可能なものとなるようにすること。
(六) 計画は、当該都道府県の全域にわたる水道の計画的な整備の方向に合致していることが望ましいので、貴職におかれては、当該区域全体についての水道の整備に関する基本的な構想を策定するよう配慮されたいこと。
(七) 計画を策定しようとする場合にあつては、予め本職あてその内容を示されたいこと。
二 水質検査施設の整備に関する事項
(一) 水道事業者 水道用水供給事業者及び専用水道の設置者は、原則として水質検査を行うために必要な施設を自ら設置しなければならないものであるので、この旨周知徹底し、その整備を図るよう指導されたいこと。
(二) 小規模な事業体等で単独に検査施設を設置することが困難であり、または単独で設置することが著しく不経済である等の事情があるものについては、数事業体が共同して検査施設を設置する等の方法を講ずるものとすること。
(三) 水質検査施設を単独又は共同で設置することができないものについては、保健所、地方衛生研究所等の公的機関又は厚生大臣が指定する水質検査を業務とする公益法人等に委託して行わせるものとすること。
この場合においては、当事者間において明確な委託契約を締結し、すみやかに検査が遂行される体制を確立するよう指導すること。
(四) なお、管下水道事業者等の水質検査体制の実態(自己検査能力の有無、委託検査の実情、検査機関の能力等)をは握し、水質検査体制について、当面講ずべき方策及び将来の基本方針等を明らかにしつつ計画的に対処することとされたいこと。
三 水源の汚濁防止のための要請等に関する事項
水源の汚濁の防止に関する意見の陳述又は適当な措置の要請は、水道事業又は水道用水供給事業の遂行上必要な範囲内において行うこととし、その内容は水質汚濁防止法(昭和四五年法律第一三八号)等の規定により現に設定されている基準を達成するために必要な諸措置等及び公害対策基本法(昭和四二年法律第一三二号)の規定による水質環境基準について、法令の規定の範囲内において適切に行うものとするよう指導されたいこと。
従つて、河川工事等河川管理行為に伴つて生ずる通常の流水の汚濁、当該水域利用の目的の変更等特段の事情の変更がない場合の水質環境基準の見直し等は、この要請の範囲外であることに留意されたいこと。