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○建築物における空気調和設備等の維持管理について

(昭和五三年三月三一日)

(環企第三一号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四五年法律第二○号。以下「法」という。)の施行については従来から種々御配慮を煩わしているところであるが、法に定める特定建築物の範囲の拡大等に伴い、逐年建築物内の衛生的環境の向上が図られているところである。

しかしながら、各都道府県及び政令市における法第一一条の規定に基づく立入検査等の結果報告等によれば建築物の維持管理についてなお改善すべき事項がみられる。特に、建築物内の空気環境については、過暖房、過冷房、浮遊粉じんの基準値超過等の結果がみられており、中央管理方式の機械換気設備又は空気調和設備(以下「空気調和設備等」という。)の適切な維持管理が望まれるところである。空気調和設備等の維持管理の在り方は、建築物の環境衛生上の観点のみならず、目下、政府が閣議決定に基づき推進している省エネルギー対策の観点からも重要な意味を有するものであるから、なお一層の適正な管理が期待されるものである。

今般、法の施行状況に照らし、建築物内の空気環境の維持管理について留意すべき事項を別記のとおり「空気調和設備等維持管理要領」として取りまとめたので、昭和五一年一二月八日環企第一七○号本職通知「ビル等における給水設備の衛生的管理について」において示した「給水設備維持管理要領」と併せ御了知の上、貴管下関係者に対し、周知徹底を図られたい。

また、空気調和設備等を含め建築物の構造については、建築基準法(昭和二五年法律第二○一号)により定められているところであるが、同法第九三条第四項の規定に基づき建築主事から通知を受けた保健所長は、建築物内の空気環境の維持管理上必要な事項につき同条第五項に定める権限を適切に行使するよう配意されたい。

なお、この場合において配慮すべき事項についてはおつて通知する予定である。

おつて社団法人全国ビルメンテナンス協会に対し、別添のとおり本通知の趣旨が十分生かされるよう同協会加盟員に対し、行政への協力方を周知徹底するよう別途要請したので念のため申し添える。

別記

空調設備等維持管理要領

一 空気調和設備等の運転操作については、気象条件、各居室の使用状況、過去における空気環境の測定結果等を勘案し以下の事項に留意すること。

(一) 建築物環境衛生管理基準に規定する温度(一七度以上二八度以下)の範囲内で適切な温度を設定し、過冷房、過暖房が生じないよう十分配慮すること。

(二) 建築物環境衛生管理基準に規定する相対湿度(四○パーセント以上七○パーセント以下)の範囲内で適切な相対湿度を設定し、暖房時における低湿度が生じないよう十分配慮すること。

(三) 居室内における温度、相対湿度、気流の空間分布を建築物環境衛生管理基準の範囲に保つよう十分配慮すること。

(四) 外部からの熱負荷、室内における発生熱量の変動による居室内温度の時間的変動を建築物環境衛生管理基準に規定する温度の範囲に保つよう十分配慮すること。

二 空気環境の測定に当たつては、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第二号。以下「施行規則」という。)第三条の規定によるほか以下の事項に留意すること。

(一) 空気環境の測定については、建築物環境衛生管理技術者又は施行規則第三条第三項の規定に基づく厚生大臣の指定を受けた者に行わせること。

(二) 測定機器については、定期的に点検整備するものとし浮遊粉じん量の測定に使用される較正機器にあつては一年に一回施行規則第三条第一項の規定に基づく厚生大臣の指定を受けた者の較正を受けること。

三 空気調和設備等の保守点検については、定期的に行うものとし、建築物環境衛生管理基準に適合するような空気環境を調整する能力を維持するため以下の事項に留意すること。

(一) 空気清浄装置については、濾過材の汚れ、濾過材の入口及び出口の気圧差等に注意し、必要に応じ濾過材その他これらに類する部品の取替え、洗浄等を行うこと。

(二) 中央管理方式の空気調和設備の冷温水コイル等の冷却、加熱装置については、コイル表面の汚れ、配管系統水の汚濁等に注意し、必要に応じコイルの取替え、洗浄等を行うこと。

(三) 中央管理方式の空気調和設備の加湿減湿装置については、スプレノズルの閉そく等に注意し、必要に応じ設備の改善、修理等を行うこと。

(四) その他の空気調和設備等(風道、給気口、排気口、給気機、排気機等)についても、点検結果に基づき、必要に応じ設備の改善、修理等を行うこと。

四 記録及びその保存に当たつては以下の事項に留意すること。

居室内における空気環境の測定、空気調和設備等の定期的な保守点検作業、その結果に基づく修理作業等の終了後、測定年月日、作業年月日、実施者名、測定結果、作業結果等の必要事項を帳簿書類に記載し、これを五年間保存すること。

五 その他

(一) 各居室における過去の測定結果等を活用し、必要に応じ居室の間仕切り及び使用方法の改善を行うこと。

(二) 適正な容量の空気調和設備等の設置を図り、空気環境の向上及び経済効率性の向上に資するように努めること。

別添

建築物における空気調和設備等の維持管理について

(昭和五三年三月三一日 環企第三一号)

(社団法人全国ビルメンテナンス協会会長あて厚生省環境衛生局企画課長通知)

建築物の環境衛生上の維持管理については、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四五年法律第二○号。以下「法」という。)の施行に関する御協力を始め、日頃から種々御尽力をいただいていますが、中央管理方式の機械換気設備又は空気調和設備の適切な管理は、建築物の使用者及び利用者の健康上の観点はもとより、目下政府が閣議決定に基づき進めている省エネルギー対策の観点からも重要な事項であることにかんがみ、このたび環境衛生局長から各都道府県知事及び政令市長あてに別添のとおり、空気調和設備等の維持管理についての適切な指導監督方を通知したところです。

ついては、貴協会の会員たる地域加盟協会に対し、地域加盟協会傘下会員が引き続き適切かつ良好な業務を提供するよう貴協会による周知徹底方をお願いします。