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○クリーニング業法の一部を改正する法律の施行について

(昭和三九年八月一二日)

(環発第三〇六号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省環境衛生局長通達)

第四六回通常国会において標記法律(以下「改正法」という。)が議員提案され、本年六月二五日成立し、六月三○日に法律第一一九号として公布され、七月二○日から施行された。これに伴い、クリーニング所検査手数料に関する規定を設けるため地方公共団体手数料令の一部を改正する政令(昭和三九年政令第二五七号)が七月一八日に公布され、またクリーニング業法施行規則の一部を改正する省令(昭和三九年厚生省令第三五号)が七月二○日に公布されいずれも七月二○日から施行された。今回の法令の改正は、近時クリーニング業法(以下「法」という。)第二条第一項にいう「クリーニング業」に類似するいわゆるリネンサプライ業及び洗たく物取次専門が増加する傾向があることにかんがみ、これらについてもクリーニング業と同様の規制を行なう必要が生じたこと、病院においてその業務に伴つて生ずる洗たく物を病院外の業者に行なわせるようになつたこと等により従来のクリーニング業に対する規則を強化すべきであるとの趣意にもとづき行なわれたものである。従つて今回の改正内容の適正な運営は、公衆衛生の向上及び改善に資するところが大であると存ずるので、次の事項に御留意のうえ、関係者に対しその趣旨等の普及徹底をはかり、改正法の目的の達成に遺憾のないよう御配慮願いたい。

第一 法令改正の要旨

一 いわゆるリネンサプライ業をクリーニング業に含めることとしたこと。

二 洗たく物の受取及び引渡しを行なうことを営業とする者を法第二条第二項にいう営業者に含めることとしたこと。

三 伝染病の疾病の病原体による汚染のおそれのあるものとして厚生省令で指定する洗たく物については、他の洗たく物と区別して取り扱い、かつ、洗たくする前に消毒しなければならないこととしたこと。ただし、消毒の効果を有する洗たく方法によつている場合には消毒しなくてもよいこと。

四 クリーニング所は、開設前に届出を行ない、その使用は、その構造設備について都道府県知事(保健所を設置する市にあつては市長)の検査を受け、その構造設備が第三条第二項または第三項の規定に適合する旨の確認を受けた後でなければ、できないこととされたこと。

五 行政庁の確認を受けないで、クリーニング所を使用したものは五千円以下の罰金に処することとするとともに、クリーニング所に係る虚偽の届出をした者に対しても同様の罰金を課することとしたこと。

六 クリーニング業の従事者のうち、洗たく物の処理または受取及び引渡しの業務に従事しない者については健康診断を受ける義務を免除することとしたこと。

七 クリーニング所は、使用前に届出を要することとなつたことに伴ない、届出に関するクリーニング業法施行規則の規定を改めたこと。

第二 運用上の注意事項

一 いわゆるリネンサプライ業に関する事項

(一) いわゆるリネンサプライ業は、法第二条第一項の改正によりクリーニング業に含まれることになつたが、貸おむつ、貸タオル業はもちろん、その取扱の品目が何であるかをとわず、「繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行なう営業」はすべて該当するものであること。

(二) いわゆるリネンサプライ業者が、この法律の施行の際に、すなわち昭和三九年七月二○日午前零時において現に開設しているクリーニング所については、改正法附則第五項の規定により、昭和三九年一○月一九日までに届出をすべきこととされているので、該当業者に対するその旨の周知徹底に努められたいこと。

(三) いわゆるリネンサプライ業者のクリーニング所については附則第四項の規定により昭和四○年七月一九日まではクリーニング所における衛生措置に関する規定の適用はないが、それまでの間についても同項ただし書に規定するようにその趣旨に沿つた措置がとられるよう充分指導されたいこと。

四 いわゆるリネンサプライ業は、クリーニング業に包含されるので、この業者は、クリーニング業環境衛生同業組合の組合員たる資格をも有することとなつたものであること。

二 いわゆる洗たく物取次業に関する事項

(一) 洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをする施設(以下「取次店」という。)については、従来営業者の施設のみクリーニング所として取り扱われていたのであるが、今般すべてクリーニング所に含まれることになり、改正法附則第五項の規定により、昭和三九年一○月一九日までに届出をすべきこととなつたので、該当者に対してその旨の周知徹底を図られたいこと。

(二) 取次店における衛生措置についてはクリーニング業法には法第三条第三項第二号及び第五号以外に具体的規定がないが、取次所における衛生措置のいかんがクリーニング業法による公衆衛生の向上に重要な影響を持つものと思われるので同項第六号による都道府県規則において必要な事項について明定されたいこと。なお、この規則についても改正法附則第四項の猶予規定の適用があるが猶予期間中にもできる限り必要な衛生措置が行われるよう指導されたいこと。

(三) 最近取次店は増加の傾向にあるが、中には食品を取り扱う営業その他相互に汚染の可能性がある営業と兼業している例が見受けられ、公衆衛生上好ましくない事態の発生も予想されるので、そのような兼業はなるべく避けるように指導されるとともに、現に兼業している施設に対しては衛生上必要な措置が充分行なわれるよう指導されたいこと。

(四) 洗たくをしないで洗たく物の受取り及び引渡しをする営業は、「クリーニング業」には含まれないので、クリーニング環境衛生同業組合の組合員たる資格は有しないものであること。

三 消毒を要する洗たく物に関する事項

他の洗たく物の区別して取り扱い、かつ、洗たくする前に消毒すべき洗たく物として改正後のクリーニング業法施行規則第一条が定められたがその解釈運用は次のとおりであること。なお、消毒の具体的な方法及び消毒の効果を有する方法とは具体的に何をいうかについては別途通知する予定であること。

(一) 同条第一号及び第二号に該当する洗たくものは、「伝染性の疾病にかかつている者が使用した物」又は「伝染性の疾病にかかつている者に接した者が使用した物で伝染性の疾病の病原体による汚染のおそれのあるもの」であることを客から示されて引渡されたものに限られる趣旨であるが、これは客からそのように示されない限りクリーニング業者としては判別が困難であろうということを考慮して規定されたものであること。しかしながら、クリーニング業者に対しては病院、診療所から洗たく物を受け取るときは、必ずこれらのものに該当するか否かをたずねるように指導されたいこと。

(二) 同条第三号及び第四号中「これらに類するもの」とは、おむつ、パンツ、手ぬぐい、タオルと同様な用途に使用されることが通例であるものをいうものであること。従つて、直接身体にふれる衣類であつても上半身に着用するシヤツは含まないものであること。

(三) 既存業者に対するこの規定の適用については、昭和四○年七月一九日(洗たく物の受取及び引渡しのみを行なう施設については、昭和三九年一○月一九日)までは改正法附則第三項及び第四項の規定によりその適用を猶予されるが、それまでの間においてもできる限りこの規定に沿うよう指導されたいこと。

四 届書に関する事項

(一) 改正後のクリーニング業法施行規則第一条の二第八号及び第九号の規定は、クリーニング所の使用前の確認の際確認すべき事項を明らかにしておくために設けられたものであること。

(二) 同条第五号の規定の改正は、営業者が法人である場合には、「氏名、本籍及び生年月日」にかえて法人の名称を記載すべきことを明らかにしたものであること。

五 使用前の確認に関する事項

(一) この改正は、従来、クリーニング所は開設後に届け出れば足りることとされていたのであるが、開設後環境衛生監視員が指導するまでの間において衛生措置等が充分行なわれないおそれがあること及びクリーニング所の使用を開始してから構造設備の改善を命ずるよりも事前に指導しておく方が業者に対する負担を少くすることができるとの趣旨にもとづくものであること。

(二) 確認は、その構造設備が法第三条第二項又は第三項の規定に適合するか否かについて行なうものであるが、同条第三項第二号のように行為に関する規定については、これらの行為を行なうのに適する構造設備であるか否かを確認することをいうものであること。

(三) 確認の遅速は、営業者の利害に影響するところが大であるので、届出を受けた場合には届書に記載されている開設の予定年月日を考慮してなるべくすみやかに行なうようにされたいこと。

(四) この法律施行の際現に開設され、かつ、その届出がなされているクリーニング所については、確認は要しないが(改正法附則第二項)、開設されていても届出がなされていないクリーニング所(改正法によりクリーニング所に含まれることとなつたものを除く。)については確認を得なければ使用してはならないものであること。

(五) 法改正により、新たに営業者に該当することとなつた者が、この法律施行の際開設していたクリーニング所については、昭和三九年一○月一九日までに届出をすれば、確認は必要としないものであること。