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○クリーニング業法施行に関する件

(昭和二五年六月二九日)

(衛発第五一五号)

(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局長通達)

クリーニング業法(昭和二五年法律第二〇七号)は五月二七日をもって公布せられる事になったのであるが、その施行に際しては特に左記事項御留意の上運用に遺憾なきを期せられたい。

一 立法の趣旨

従来クリーニング業に対しては、国及び都道府県を通じて何等の取締規定も存在しなかったが、終戦後数年を経て衣料事情も著しく好転し、クリーニングの利用者も又逐年増加の一途を辿って来たので、最近に至り、公衆衛生の面からするクリーニング業に対する指導、取締の必要が各方面から指摘されていたが、この要望に応えて、第七国会において議員提案によりクリーニング業法案が提出せられ原案通り可決成立した。

法の内容はクリーニング所の経営者に対しクリーニング所に関する届出及び清潔保持の義務を負わせると共に、一定の規模以上のドライクリーニング業者には都道府県知事の行う試験に合格したドライクリーニング師を選任する義務を規定し、クリーニング所に対し環境衛生監視員が随時その実施状況を立入検査出来ることとし、又クリーニング業に従事する者にはすべて定期の健康診断を受けさせることにより伝染病予防の措置を講じている等、洗濯物の衛生的処理及びクリーニング所並びにその従事者の衛生面の取締を主としたものである。

二 運営上の注意

(イ) この法律でいうクリーニング業は法第二条第二項に規定するように洗たく・・の対象物を原型のまま洗たく・・することを営業とするものであるので、「洗張り業」はこれに含まれない。

(ロ) 法第四条に規定するドライクリーニング師のなすべき事項については法律中に何等の規定もないが、営業者に協力し且つ他の従業者を指導して法第三条第二項の清潔の保持に努めしめるのが同条の主旨である。

(ハ) ドライクリーニング師の選任の義務は昭和二七年六月三〇日までは適用されないが、法第七条により都道府県知事の行う試験は本年から行わなければならない。

(ニ) 試験委員については試験科目として洗たく・・物の処理方法もあるので関係吏員のみを任命することなく業界等の識見技倆の優れた者をも委嘱すること。

(ホ) ドライクリーニング師の試験、免許等の手数料徴収については、近く地方公共団体手数料令及び地方公共団体手数料規則により規定する予定であるから右に基き実施すること。

(ヘ) 第十条の立入検査については、営業関係の他の法令による場合と同様に立入の時間は原則として営業時間中に限り且つ、みだりに営業者の正当な業務を妨害せぬよう注意すること。

(ト) 法律施行の際現にクリーニング所を開設している者に対しては省令第一条の規定に準じ昭和二五年七月三一日までに届出せしめること。

(チ) クリーニング所の取締の便宜上届出済のものに対しては届出済証を交付し、その入口に貼付せしめるような措置をとられたいこと。

(リ) 本法制定の主旨を徹底し、且つ、その運営の円滑を期するため能う限り協議会、講習会等を開催せられたいこと。