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○美容師法等の施行について

(昭和三二年二月一三日)

(発衛第二九号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)

美容師法は、去る第二六国会において成立し、昭和三二年法律第一六三号をもつて公布、同年九月二日から施行され(美容師法の施行期日を定める政令(昭和三二年政令第二七六号)、これに基き美容師法施行令が昭和三二年政令第二七七号をもつて公布、同年九月二日から施行され、また、理容師美容師法施行規則の一部を改正する省令及び美容師法施行規則が昭和三二年厚生省令第四二号及び第四三号をもつて公布、それぞれ即日施行されることとなつたが、これが運用に関しては、特に次の事項に留意のうえ、遺憾なきを期せられたく、命によつて通達する。

第一 法制定の趣旨

一 近時、文化生活の進展とともに、美容業もより高度の知識と技術を要求せられ、その内容において理容業とはかなり相異した面を生ずるに至つており、これがため、美容業を従前の理容師美容師法(昭和二二年法律第二三四号。以下「旧法」という。)によつて理容業とともに一括規制することは、最近の実態にかんがみて斯業の発展を阻害するおそれがあるのみならず、保健衛生上の立場からも幾多の不便を生ずる憂いなしとしないので、美容業に対し、理容業とは別個の法体系の下において規制を図ろうとする趣旨に基き、美容師法が制定されたものであること。なお、今回の法制定は、さしあたり、美容業及び理容業についてそれぞれ別個の法体系を確立することに主眼が置かれた関係からして、次に掲げる部分を除き、原則的には旧法に規定する制度内容が踏襲され、従つて美容業及び理容業両者の制度内容を対比した場合、その大綱については差異がないものであること。

(一) 無免許営業者又は免許の取消処分を受けた者には免許を与えないことができることとして、欠格要件の整備が図られたこと(美容師法第三条第三項、理容師法第七条第二項)。

(二) 美容師又は理容師の美容師法又は理容師法の規定に違反する行為に対しての行政処分については、すべて第一次的には業務の停止をもつてし、第二次的に免許の取消処分をもつて臨むこととして、その合理化が図られたこと(美容師法第一〇条第二項及び第三項、理容師法第一〇条第二項及び第三項)。

(三) 美容師法第一〇条第一項若しくは第三項又は理容師法第一〇条第一項若しくは第三項の規定により免許の取消処分を受けた者であつても、当該疾病がなおり、又は改しゆんの情が顕著であるときは、再免許を与えることができることとして、これらの者に対する再起の機会が設けられたこと(美容師法第一〇条第四項、理容師法第一〇条第四項)。

(四) 美容師法及び理容師法の規定に違反する行為に対する罰則が整備されたこと(美容師法第一八条及び第一九条、理容師法第一四条の四及び第一五条)。

(五) 美容師試験又は理容師試験における学科試験に合格した者に対しては、その後翌々年の一二月三一日までに当該都道府県知事の行う学科試験に限つて、これを免除されることとして、試験制度の合理化が図られたこと(美容師法施行令第二条第四項、理容師法施行令第五条第四項)。

(六) 実地習練の開始の届出は、実地習練を行おうとする者が行うこととし、その際、実地習練の実施計画を記載した書類を提出することにより実地習練に計画性をもたせ、その効果を高める方途が講ぜられたこと(美容師法施行規則第一七条、理容師法施行規則第一七条)。

第二 運用上留意すべき事項

一 美容師及び理容師の免許関係の規定の整備された所以は、美容師及び理容師の資質の向上を期せんがためであるから、その厳正な執行を期するとともに、いやしくも、無免許者が美容又は理容を業として行うことのないよう指導の徹底に努められたいこと。

二 美容師試験及び理容師試験における学科試験と実地試験の関係が明確に区分されたことにともない、実地試験のみの受験者に対しては、各都道府県の実情に応じ、受験手数料を減額する等の措置を考慮し、受験者の負担の軽減化を図られたいこと。

三 実地習練の期間は、美容師又は理容師たるに必要な実技を修得するうえにおいて最も重要なものであるにもかかわらず、従来ややもすればその趣旨の不徹底から習練実施の不円滑を招きがちであつたので、今回の制度内容の改正を機に、その指導者に対し、一段とこれが趣旨及び方法等につき周知徹底に努め、もつて実地習練の実効を十二分に発揮するようその指導にあたられたいこと。なお、実地習練の実施計画の基準等については、別途指示する予定である。

四 美容師養成施設及び理容師養成施設における通信課程の生徒募集の回数制限が廃止された所以は、面接指導の方法の合理化を図り、その内容の向上を期せんとする趣旨のものであるから、これが指導に十分配意願いたいこと。