添付一覧
○公衆浴場入浴料金の統制額の指定について
(昭和三八年八月一二日)
(環発第三三五号)
(各都道府県知事あて厚生省環境衛生局長通達)
標記については、昭和三八年八月九日厚生省発環第一一三号厚生事務次官依命通達により指示したところであるが、公衆浴場入浴料金の最高統制額を改訂しようとする場合には、左記の諸点に留意のうえ、これが実施に遺憾なきを期されたい。
なお、現在当局において公衆浴場における水質基準を検討しており、近くこのことについて指示する予定であるが、公衆浴場における衛生措置の確保については、公衆浴場組合を指導して施設の改善に努めるとともに、公衆浴場利用者の協力を得て国民の保健衛生水準の向上のために格段の御協力を煩わしたい。
記
一 公衆浴場入浴料金最高統制額を改訂しようとする場合は、おおむね別紙(一)「公衆浴場経営実態調査要綱」に準拠して、経営の実態調査を行なうこと。
二 公衆浴場入浴料金最高統制額を決定する場合は、おおむね別紙(二)「公衆浴場入浴料金諮問機関設置受領」に準拠して協議会等を設置し、あらかじめ、十分にその意見を聞き、最高統制額の適正を期すること。
別紙(一)
公衆浴場経営実態調査要綱
一 この調査は、公衆浴場経営の実態を把握することにより適正な入浴料金統制額の指定を行なう場合の基礎とすること。
二 調査の方法は、実地調査及び関係者からの聞き取り調査によること。
三 支出についての調査項目は、おおむね別表に記載の事項とし、収入についての調査は、入浴者数の実測調査によるものとすること。
四 調査の客体数は、都道府県における最高統制額によつている浴場のおおむね二割以上とし、できる限り平均的な規模の施設を抽出するよう努めること。
五 調査の時期は、都道府県の実情によるが、年間を通じた平均的な営業実態を把握しうるように必要な考慮を払うこと。
別表略
別表(二)
公衆浴場入浴料金諮問機関設置要領
一 都道府県知事が入浴料金の改訂について意見を聞くためのものとし、その名称及び設置の手続きは都道府県の実情に応じて定めるものとする。
二 委員は一二名程度とし、その構成は次のとおりとする。
(一) 関係吏員(衛生及び経済主管部関係吏員)
(二) 有職者(経営、保健衛生の専門家等)
(三) 住民代表(例えば、民生委員、社会教育委員、婦人団体代表等であつて、公衆浴場を利用している者又は公衆浴場の実情を十分承知している者)
(四) 業者代表(公衆浴場を経営している者)
公衆浴場における水質等に関する基準(案)
第一 この基準は、公衆浴場において使用する水につき、水質の基準及び公衆浴場営業者(以下「営業者」という。)が講ずべき措置の基準につき定めることを目的とすること。
第二 この基準において使用する用語であつて、次の各号に掲げるものは、それぞれ当該各号で定めるとおりとすること。
(一) 原水 原湯の原料とする水及び浴槽水の温度を調整する目的で浴槽に直接注入されるべき冷水をいう。
(二) 原湯 浴槽に直接注入されるべき温水をいう。ただし、循環*過方式等により、浴槽水が還流される場合の温水は除く。
(三) 上り用湯 上り湯湯栓(シヤワー等を含む。)から供給される温水をいう。
(四) 上り用水 上り湯水栓(シヤワー等を含む。)から供給される冷水をいう。
(五) 浴槽水 浴槽内にある状態の水をいう。
第三 原水、原湯、上り用湯及び上り用水の水質基準及びその検査方法は、次の各号に規定するとおりとすること。
ただし、都道府県知事(指定都市市長を含む。以下同じ。)は、別に定めるところにより〔各都道府県で定めることとする。〕営業者から申請に基づき、温泉等を使用するものであるためこの基準により難く、かつ、衛生上危害を生ずるおそれがないと認めるものについては、この基準の一部の適用を除外することができる。
(一) 水質基準
ア 色度は、五度をこえてはならない。
イ 濁度は、二度をこえてはならない。
ウ 水素、イオン濃度は、pH値五・八~八・六でなければならない。
エ 過マンガン酸カリウム消費量は、一○ppmをこえてはならない。
オ 大腸菌群(グラム陰性の無芽胞性の桿菌であつて、乳糖を分解して、酸とガスを形成するすべての好気性又は通性嫌気性の菌をいう。)は五○ml中に検出してはならない。
(二) 検査方法
検査方法は、水質基準に関する省令〔昭和三三年七月一六日厚生省令第二三号〕で定める検査方法をそれぞれ準用する。
第四 浴槽水(営業中)の水質基準及びその検査方法は次の各号に規定するとおりとすること。ただし、都道府県知事は、営業者の申請に基づき、薬湯、温泉等を使用するものであるためこの基準により難く、かつ、衛生上危害を生ずるおそれがないと認めるものについては、この基準の一部又はすべての適用を除外することができる。
(一) 水質基準
ア 濁度は、五度をこえてはならない。
イ 過マンガン酸カリウム消費量は、二五ppmをこえてはならない。
ウ 大腸菌群は、一mlにつき一個をこえてはならない。
(二) 検査方法
ア 濁度及び過マンガン酸カリウム消費量の検査方法については、前条の検査方法を適用する。
イ 大腸菌群の検査方法
試料(浴槽水)採取後、できるだけすみやかにその一mlをペトリー皿にとり、あらかじめ溶解し約四六℃に保温したデスオキシコール酸ナトリウム培地(下水の水質の検定方法に関する省令〔昭和三七年一二月一七日厚生・建設省令第一号〕別表第三(第九条)(二)により調製した培地をいう。以下同じ。)約一五mlを加え、よく混和して静置し、凝固後更に先のデスオキシコール酸ナトリウム培地約一○mlをこれに重層し、再び静置し、凝固後これをさかさにしてふ卵器に入れ、三五~三七℃で約一八時間培養した後、発生した大腸菌群の定型的赤色円形集落の個数を算定する。
第五 営業者は、次の各号にかかげる事項を遵守しなければならないこと。
(一) 営業中は、常に浴槽水は、満水を保持すること。
(二) 浴槽水は、一日一度以上完全に換水し、前日以前に使用した水を重ねて使用しないこと。
(三) 原湯及び上り用湯に浴槽水(浴槽水として使用されたものを含む。)が、混和しないこと。
(四) 原湯、上り用湯及び浴槽水の湯度は、営業中常に四二℃以上に保つこと。
(五) 浴槽毎に、一個以上の温度計を設置すること。
(六) 上り用水及び上り用湯が水道法〔昭和三二年六月一五日法律第七七号〕第四条に規定する水質基準に適合していないときは、「飲用不適」等の標示を施し、飲用されることのないように措置すること。ただし、温泉等で都道府県知事の承認を得ているものはこの限りでない。
(七) 浴室内に、一ケ所以上の飲用水用施設を設置し、これが「飲用適」であることを明示すること。この場合、当該施設の水質は水道法第四条に規定する水質基準に適合しなければならない。
第六 この基準の実施につき、必要なことは都道府県知事が定めること。