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○旅館業に対する防火安全対策の徹底について

(昭和五六年一月三〇日)

(環指第一四号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省環境衛生局指導課長通知)

旅館業に対する防火安全対策の徹底については、昭和五五年一一月二二日環指第二○八号厚生省環境衛生局長通知により通知されたところであるが、昭和五六年一月二四日関係省庁で構成する旅館ホテル防火安全対策連絡協議会において別紙のとおり了解事項が決定されたので、これが趣旨をふまえ、防火安全対策の一層の充実を図るため、今後は、従来からの運用に加えて次の事項に留意の上、その事務処理に遺憾なきを期せられたい。

一 旅館業法施行規則第二条に基づく営業施設の構造設備の概要等の変更の届出(以下「変更の届出」という。)を怠つている旅館、ホテル等が存在することのないよう旅館業の営業者(以下「旅館業者」という。)に対して変更の届出を厳守させること。

二 変更の届出又は当該変更に係る事前の協議等に際しては、防火安全の観点から旅館業者に対して消防法令及び建築法令を遵守し、十分な措置を講ずるよう指導すること。

なお、その際許可台帳等に防火安全上の留意事項等についても記載し、指導に活用されたいこと。

三 旅館業法に基づく許可、届出、報告、検査等に際しては、必要に応じて他の関係行政機関に通知し、又は他の関係行政機関から意見等を求めることとすること。

四 旅館、ホテル防火安全対策を推進するため、各都道府県等において、関係行政機関の連絡調整の場を設ける場合には、積極的に参加、協力されたいこと。

五 旅館業者に対し、旅館環境衛生同業組合を通じ、所轄消防機関等の協力を得て次の措置を講ずるよう指導されたいこと。

(一) 防災設備等を整備すること。

(二) 防火管理者の選任、消防計画の作成及び旅館、ホテル従業員等に対する避難訓練等の防災教育を実施すること。

(三) 老人、身体不自由者等の宿泊に当たつては、非常時において安全、確実、迅速な誘導が可能となるよう十分配慮すること。

(四) 宿泊客の到着後直ちに宿泊客に対し避難口、避難方法等を周知させること。

〔別紙〕

旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項

(昭和五六年一月二四日)

(消防庁・建設省・厚生省・運輸省・警察庁・労働省・文部省)

栃木県川治プリンスホテル火災にかんがみ、旅館、ホテルにおける防火安全上とるべき措置について、関係省庁で構成する旅館ホテル防火安全対策連絡協議会を開催し、昭和四三年一二月五日決定の「旅館ホテル防火安全対策連絡協議会における了解事項」の再検討を行つた結果、新たに左記のとおりとすることで結論を得た。

消防庁

一 旅館、ホテルの規模、構造及び収容人員等に応じた消防用設備等の適正な設置並びに定期点検の実施及びその報告の徹底を図るよう指導する。

二 旅館、ホテルに係る防火管理者の選任及び届出、実態に応じた消防計画の作成及び届出並びに定期的な避難訓練の実施及び消防機関に対する通報の徹底を図るよう指導する。

三 旅館、ホテルの防火、避難施設等の適正な維持、保全を図るため、防火査察の強化、充実を指導するとともに、必要があるときは関係行政機関と連絡をとりながら措置命令、改善命令、使用停止命令等を行うよう指導する。

四 旅館、ホテルにおける消防用設備等の設置状況、防火管理の状況等について旅行関係者からの照会に適切に対応するよう指導する。

五 旅館、ホテルの従業員に対する防災教育等の実施について協力するよう指導する。

建設省

一 旅館、ホテルの新築、増築等に伴う確認及び完了検査を迅速かつ厳正に行うよう指導するとともに、建築基準法第一二条に基づく定期報告を励行するよう指導の強化を図る。

二 旅館、ホテルの防火、避難施設等の適正な維持、保全を図るため、防災査察の強化、充実を指導するとともに、必要があるときは関係行政機関と連絡をとりながら、改善命令、使用禁止命令等を行うよう指導する。

三 旅館、ホテルの防災上の状況について、旅行関係者からの照会に適切に対応するよう指導する。

厚生省

一 旅館業法に基づく営業の許可に際しては、建築物の検査済証の写し及び当該建築物が消防法令に適合している旨の所轄消防機関の通知書(以下「検査済証の写し等」という。)の送付を受けるまでの間は、営業許可を差し控える。

二 旅館、ホテルの増改築に伴う旅館業法に基づく構造設備の概要の変更の届出に際しては、防火安全の観点から旅館業者に対して消防法令及び建築法令を遵守し、十分な措置を講ずるよう指導する。

三 旅館業者に対し、所管宿泊業団体を通じ、関係行政機関の協力を得て次の措置を講ずるよう指導する。

(一) 防災設備等を整備すること。

(二) 防火管理者の選任、消防計画の作成及び旅館、ホテル従業員等に対する避難訓練等の防災教育を実施すること。

(三) 老人、身体不自由者等の宿泊にあたつては、非常時において安全、確実、迅速な誘導が可能となるよう十分配慮すること。

(四) 宿泊客の到着後直ちに宿泊客に対し避難口、避難方法等を周知させること。

四 旅館業者に対し、防災設備等の整備に対する環境衛生金融公庫の融資の活用を指導する。

五 旅館業者に対し、緊急時における宿泊客の確認のため、宿泊者名簿の作成を徹底するよう指導する。

運輸省

一 国際観光ホテル整備法(以下「整備法」という。)に基づく登録に際しては、検査済証の写し等を添付させる。なお、検査済証の写し等の添付がない場合は、当該建築物に係る検査済証の写し等の提出がなされるまでの間は、登録を差し控える。

二 旅館、ホテルの増改築については、整備法に基づく届出を厳守させるとともに、防火安全の観点から消防法令及び建築法令を遵守し、十分な措置を講ずるよう指導する。なお、当該届出に際しては、検査済証の写し等を添付させる。

三 旅館、ホテルが消防法令及び建築法令に違反し、関係行政機関の改善指導又は措置命令等に従わない場合は、所管宿泊業団体が自主的制裁措置をとるよう指導するとともに、当該旅館、ホテルの登録取消しを含む是正措置を講じる。

四 旅館業者に対し、所管宿泊業団体を通じ、次のことを指導する。

(一) 防災設備等を整備すること。

(二) 防火管理者の選任、消防計画の作成及び旅館、ホテル従業員等に対する避難訓練等の防災教育を実施すること。

(三) 老人、身体不自由者等の宿泊にあたつては、非常時において安全、確実、迅速な誘導が可能となるよう十分配慮すること。

(四) 宿泊客の到着後直ちに宿泊客に対し、避難口、避難方法等を周知させること。

五 旅行業者に対して、次のことを指導する。

(一) 旅館、ホテルと継続的な送客契約を締結する際は、当該建築物の防火、避難施設等の状況について事前に調査すること。

(二) 老人、身体不自由者等の団体旅行者については、事前にその旨を旅館業者に連絡すること。

(三) 添乗員は、団体旅行者が旅館、ホテルに到着後、旅館業者が直ちに非常時における避難方法等を周知させているかどうか確認すること。

(四) 団体旅行については、旅行者名、連絡先等を確実には握しておくこと。

(五) あらかじめ定められている事故処理体制の徹底、事故時における避難誘導措置等についての添乗員教育の充実を図ること。

警察庁

風俗営業等取締法に規定する風俗営業の営業用の家屋等が、旅館業の施設である場合の許可に際しては、検査済証の写し等の有無を確認することとする。

労働省

火災発生時等における応急措置及び避難に関する事項を含めた安全衛生に関する教育訓練の徹底を図る。特に従業員を雇い入れた時の教育訓練の実施方について旅館業者に対して強く指導する。

文部省

児童、生徒の修学旅行の実施にあたつては、旅館、ホテルの宿泊に伴う防火安全について配慮するよう指導する。

各省庁共管

一 旅館業法、整備法、建築基準法、風俗営業等取締法及び消防法に基づく許可、登録、確認、届出、報告、検査等に際しては、当該事項について必要に応じて他の関係行政機関に通知するとともに、関係行政機関は、防火安全に関する不備事項について適切に対応する。

二 建築基準法及び消防法の規定に基づく立入検査の結果についての表示、公表の活用方法について検討する。

三 旅館、ホテル防火安全対策をさらに具体的、有効的に推進するため、各都道府県等において、関係行政機関の連絡調整の場を設ける。