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○学校周辺の旅館業について

(昭和三二年八月五日)

(衛発第六五〇号国施第四五号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各都道府県教育委員会あて厚生省公衆衛生局長・文部省管理局長事務代理連名通達)

旅館業法の一部を改正する法律等の施行については、厚生事務次官通知及び厚生省公衆衛生局長通知をもつて一般的には、指示したところであるが、なお、今回の改正によつて最近一部の地域において、教育上の見地から種々批判されるような営業が行われる事例のあつたことにかんがみ、学校周辺の旅館業に対し、特別の規制を加えることによつて、当該学校の清純な教育環境を守ることとされたので、これが運用に当つては、特に次の事項に御留意のうえ、これが実施に遺憾ないようにされたい。

一 旅館業法施行令(昭和三二年政令第一五二号)第一条第一項第九号及び同条第二項第八号の規定により、学校周辺の旅館業のうち、ホテル営業及び旅館営業に係るものについては、その構造設備の基準として、客室又は客にダンス若しくは射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホール等の内部を学校から見とおすことをさえぎることができる設備を設けなければならないこととされたが、これは営業の施設の当該部分が学校から見とおせないようにするため設計上の工夫をこらし、又は一定の遮閉物を設ける必要があるものであること。この場合、換気、採光等の公衆衛生の基準の遵守についても十分配慮すべきものであることは、いうまでもないこと。なお、本基準は、公衆衛生上の見地からの構造設備の基準の場合とは異り、画一に適用されるべきものではなく、例えば、地形上学校から見とおすことができない位置に施設が所在するときは、その必要はないものであること。

二 改正旅館業法(以下「法」という。)第三条第二項後段の規定により、営業の施設の設置によつて清純な教育環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは、許可を与えないことができることとされたが、これは営業許可申請当時の状況において当該施設の構造設備、位置等からして清純な教育環境が著しく害されるおそれがあることが相当確実に認められる場合に限つて、不許可処分とすることができるものであること。

三 法第三条第三項の規定により学校周辺の営業の施設について都道府県知事(指定都市にあつては、その市長。以下同じ。)が営業の許可を与える場合には、事前に、その学校が大学附置の国立学校であるときは当該大学に学長、その他の国立学校であるときは当該学校の校長、公立学校であるときは都道府県の教育委員会、私立学校であるときは、学校教育法(昭和二二年法律第二六号)に定める所管庁(以下単に「都道府県の教育委員会等」という。)に対し、清純な教育環境が著しく害されるおそれがあるかどうかについて意見を求めなければならないこととされたが、この場合、都道府県の教育委員会等が意見を述べるときは、実情を十分検討のうえ具体的な事由を附して行うべきものであること。なお、この際市町村の設置する学校について都道府県の教育委員会が意見を述べる場合には、事前に市町村の教育委員会の意見を求めたうえで行うべきものであること。

四 法第八条の二の規定により、学校周辺にある営業に関して清純な教育環境が著しく害されていると認めるきは、都道府県の教育委員会等は、都道府県知事に対して改善命令、許可の取消、営業の停止を行うについての意見を積極的に申し述べることができる途が開かれたこと。ただし、この場合においても営業の施設が構造設備の基準に適合しなくなつたため又は営業者が法第四条第三項の基準に違反したために、教育環境が著しく害されていると認められるときに限られるものであるから、都道府県の教育委員会等は、事実を十分調査のうえ、具体的な意見を申し述べるべきものであること。なお、この際当該学校が市町村の設置する学校である場合には、市町村の教育委員会から都道府県の教育委員会に対し都道府県知事に意見を述べるべきことを申し出ることができるものとされたこと。

五 都道府県知事は、教育環境の保全の観点からも、常に営業者の啓発指導に努められたいこと。