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○旅館業法施行令の一部を改正する政令等の施行について

(昭和四五年七月一六日)

(環衛第一〇一号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省環境衛生局長通知)

旅館業法施行令の一部を改正する政令及び旅館業法施行規則を改正する省令が別添のとおり昭和四五年七月六日政令第二一三号及び厚生省令第三八号をもつて公布され、同日施行された。今回の改正は、いわゆるモーテル等の旅館では、宿泊客が従業員と接触しないで利用できる形態のものが見受けられ、これらの旅館においては、風俗犯、その他の犯罪が発生しやすく、また法で定められている宿泊者名簿の記載が励行されていない等の問題を生ぜしめていることにかんがみ、これら不健全な営業形態に対する規制を強化するとともに、旅館等が児童福祉施設又は条例で定める社会教育施設等の周囲おおむね一○○メートルの区域内にある場合に、これらの施設の清純な施設環境が害されることのないように必要な規制を加えることを目的として行なわれたものである。

改正の要旨及び運用上留意すべき事項は左記のとおりであるので、昭和四五年六月一一日環衛第八三号「旅館業法の一部を改正する法律の施行について」による通知の相俟つて、これが運用に遺憾のないようにされたい。

なお、この通知においては、旅館業法を「法」、旅館業法施行令を「施行令」、旅館業法施行令の一部を改正する政令を「改正政令」、旅館業法施行規則を「施行規則」とそれぞれ略称する。

第一 改正の要旨

一 施行令の改正

(一) ホテル営業及び旅館営業の施設の構造設備の基準として、次のものを加えること。

ア 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること(第一条第一項第四号、同条第二項第四号)。

イ 児童福祉施設又は条例で定める社会教育施設等の周囲おおむね一○○メートルの区域内にあるとき、これらの施設から客室又は客にダンス若しくは射幸心をそそるおそれがある遊技をさせるホールその他の設備の内部を見とおすことをさえぎることができる設備を有すること(第一条第一項第一○号、同条第二項第九号)。

なお、改正政令施行の際現に許可を受けてホテル営業又は旅館営業を経営している者が営業の用に供している施設については、昭和四六年六月三○日までは、上記の構造設備基準の改正にかかわらず、従前の例によることとされたこと(附則第二項)。

(二) 地方自治法施行令第一七四条の三六第一項を改正し、法第三条第三項第三号に規定する条例(社会教育施設等を指定する条例)及び法第三条第四項に規定する条例(許可に際して意見を求める者を定める条例)は都道府県のみが定めることとしたこと(附則第三項)。

二 施行規則の改正

(一) ホテル営業又は旅館営業の施設であつて、施行規則第三条第一項各号に掲げるものについては、玄関帳場等に関する施行令第一条第一項第四号又は同条第二項第四号の規準は適用しないこととしたこと(第三条第二項)。

(二) その他法改正及び施行令改正に伴う条文の整理を行なつたこと(第三条第二項及び第三項、第五条第一項)。

第二 運用上留意すべき事項

一 「玄関帳場その他これに類する設備」について

(一) 「玄関帳場」とは、旅館の玄関に附設された会計帳簿、宿泊者名簿等を記載するための帳場(ホテルの場合は、フロントと称される。)をいうこと。

(二) 「宿泊しようとする者との面接に適する」の要件は次のとおりであること。

ア 施設を利用しようとする者が、当該施設を利用しようとする場合に、必ず通過する場所に面して設けられていること。

イ 従業員が待機し、客と面接し、事務をとるのに適した広さと構造のものであること。従つて、社会通念上適当な規模の広間であることを要し、また、客と従業員とが対面できる構造でなければならないこと。

(三) 一戸建の宿泊施設が多数あるようなモーテル等については、個々の棟に「玄関帳場」の設置を義務づけることは実際的ではないので、このような場合には、施設への入口、又は宿泊しようとする者が当該施設を利用しようとするときに必ず通過する通路に面して、その者との面接に適する規模と構造の設備(例えば管理棟)を設けることが必要であること。

(四) 従業員が常時待機し、来客の都度、玄関に出て客に応接する構造の部屋が玄関に附設されている場合には、これを「玄関帳場に類する設備」に当たるものと解して差し支えないこと。

二 宿泊者名簿の記載等について

「玄関帳場」等の設置を義務づけた施行令改正の趣旨は、宿泊客が従業員と面接せずに利用できるなど不健全な営業形態の旅館を排除することにあるが、その実効を期するため、「玄関帳場」等において必ず客と面接したうえで施設を利用させるよう営業者に対して強く指導されたいこと。

特に、宿泊者名簿については、これを「玄関帳場」等に備えつけさせることとし、客と面接のうえ、これが記載を励行するよう監視指導を強化されたいこと。

三 構造設備の改善について

改正令施行の際、現に営業の用に供されている施設については、昭和四六年七月一日以降、改正後の構造設備の基準が適用されることとなるが、それまでの間においてもできるだけ早く構造設備の改善をするよう営業者を指導されたいこと。

〔別添〕略