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○旅館業法の一部を改正する法律等の施行について
(昭和三二年八月三日)
(発衛第六四九号)
(各都道府県知事、指定都市市長あて厚生省公衆衛生局長通知)
標記については、別途厚生事務次官より通達されたところであるが、なお、次の事項につき御留意のうえ、その実施に遺憾のないようされたい。
記
第一 一般的事項について
(一) 改正後の旅館業法(以下「法」という。)第二条第一項の規定により旅館業の種別がホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業に区分され、今後は、法第三条第一項の許可は、この営業の種別ごとになさるべきものであること。従つて、営業の許可を受けた者が当該営業の種別を変更しようとするときは、法第三条第一項ただし書の場合を除いて、すべて新たに許可を必要とするものであること。
なお、改正法施行の際従来の簡易旅館として許可を受けて営業している者については、改正法附則第二項の規定により、それぞれの業態に応じ、旅館営業又は簡易宿所営業の許可を受けたものとみなされることとなつたこと(法第二条及び改正法附則第二項)。
(二) ホテル営業、旅館営業及び簡易宿所営業の区分は、それぞれその構造設備によつて定められたが、このホテル営業の定義である洋式の構造及び設備を主とする施設とは、単に客室内調度及び寝具設備のみでなく、宿泊の態様が洋風であるような構造及び設備を主とする施設をいい、従つて、例えば、客室以外のロビーその他客の共用に供し得る公室、食堂の設備等を具有することが洋式による構造及び設備の一環になるものであること。従つて客室に単に洋式の寝具設備のみが備えられているような場合は、簡易宿所営業に該当するものを除いては、旅館営業に該当するものであること(法第二条第二項、第三項及び第四項)。
(三) 法第二条第五項の規定により下宿営業の定義が一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業に改められたので、一月未満の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させることを営業として行う場合は、その施設の構造設備に応じてホテル営業、旅館営業又は簡易宿所営業としての法の適用を受けるものであること(法第二条第五項)。
(四) 法第二条第六項で宿泊の定義が規定されたので、寝具を使用して施設を利用させるものはすべて法第二条第二項から第五項までに規定する施設の一に該当することとなり、従つて、例えば、時間単位で利用させる施設であつても寝具を使用する限りは、法第三条第一項の許可を要するものであること。
なお、いわゆるアパート、間貸し等のように一時的又は比較的短期間の止宿のための施設と通常目されないものは法第二条第五項の下宿には該当しないものであること(法第二条第六項)。
第二 構造設備等について
(一) 従来、都道府県(指定都市を含む。)において制定されている旅館業施行に関する諸規定のうちで改廃の措置を必要とする部分は、旅館業法施行令(昭和三二年政令第一五二号。以下「令」という。)第一条及び令第二条並びにこれに基く改正旅館業法施行規則(以下「規則」という。)第三条の規定に抵触する規定であり、また、令第一条第一項第一○号、第二項第九号、第三項第七号及び第四項第五号に基く附加すべき基準は、地方の実情に即してすみやかに規定されたいこと(令第一条及び第二条並びに規則第三条)。
(二) 令第一条第一項第二号イ、第二項第二号及び第三項第一号の床面積とは、宿泊者が利用し得る部分の面積であつて、これには押入、床の間等は含まれないが、客室に附属する浴室、便所、板間等は含まれるものであること(令第一条)。
(三) 令第一条第一項第四号、第二項第四号、第三項第三号及び第四項第一号に規定する適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備とは、少くとも法第四条第二項の規定に基いて制定された衛生措置の基準の条例に規定された事項を十分遵守し得るようなものでなければならないこと(令第一条)。
(四) 令第二条の規定に基いて定められた規則第三条の構造設備の基準の特例は、季節的又は臨時的に利用されるもの、交通が著しく不便な地域に設置されるもの等特殊の事情により一般的な構造設備の基準により難いものに対して適用されるものであるから、法第三条第六項の規定による条件を附する等の措置例えば、季節的営業の期間を明確にして申請させ、それを条件として許可し、或いはまた、一般の旅館業の許可に際しても、当該施設が季節的営業を行い、又はこれを廃止して従前の一般の旅館業を営む場合には、あらかじめその旨を届け出させることを条件とするによつて適確円滑な運用を図ることとし、いやしくも脱法的意図のもとに運用されることのないよう厳に営業者の指導監督に当られたいこと。
従つて、条件を附されたかかる施設が当該期間外等において営業する場合は当然条件違反として法第八条に該当するものであること。
また、規則第三条第三項の規定により、同条第二項に規定する客室数、客室ごとの床面積以外に、季節的状況、地理的状況等によつては、令第一条の基準の特例を許可権者において認め得ることができることとされたが、これは、同条第二項の更に例外規定であるから厳格に適用されなければならないものであるので、例えば、海水浴場において夏季に限り営業されるホテル営業の施設の場合における令第一条第一項第七号の基準の特例のごとく真に必要がなく、かつ、公衆衛生の維持に支障がないとき、及び令第一条の一般的基準によることがきわめて困難な場合であつて、かつ、公衆衛生の維持に支障がないときに限つてのみ、規則第三条第三項の規定によるべきであり、従つて、個々の施設について十分検討のうえ慎重に処理されたいこと(令第二条及び規則第三条)。
(五) 法第三条第二項各号の人的資格要件は、旅館業法の一部を改正する法律の施行以後になされた行為についてのみ適用されるものであり従つて例えば、旧法当時許可の取消を受けたものは、該当しないものであること(法第三条第二項)。
(六) 法第三条第六項の規定により許可に際し、公衆衛生上の見地から必要な条件を附することができることとされたので、個々の営業の施設を許可するに当つては、その状況により必要かつ適宜な条件を附することにより、その施設の水準の維持向上に配意されたいこと(法第三条第六項)。
第三 営業上遵守すべき事項について
(一) 法第四条第三項の規定に基いて営業者が当該営業の施設を利用させるについて善良の風俗を害さないようにするための基準が令第三条で定められたが、この場合の善良の風俗が害されるかどうかは、刑法(明治四○年法律第四五号)第一七四条の公然わいせつ罪のごとく風紀上の法令に違反するときはもとより、社会通念上の良俗維持の観点から判断されるべきものであること。従つて、例えば、成人に対しては特に考慮を払う必要がない文書、図画その他の物件であつても、修学旅行の児童生徒が宿泊する場合には令第三条第一号の善良の風俗が害されるような文書、図画その他の物件に該当することもあるので、この点個々の営業の施設の実態に応じ、健全な旅館業の発展の見地から十分に指導されたいこと(法第四条第三項及び令第三条第一号)。
(二) 令第三条第二号の善良の風俗が害されると認められるようなものがこれに該当するものであり、特に近時社会風教上の見地から種々批判を醸し出すような広告物が散見されるので、この点十分趣旨の徹底につとめ、営業者の自粛を図られたいこと。
なお、広告物の掲示は、他の都道府県等の区域にわたるような場合もあるので、これが相互連絡には、十分意を用いられたいこと(令第三条第二号)。
(三) 法第八条の規定により営業者をはじめその代理人、使用人その他の従業者において当該営業に関し、一定の風紀事犯のあつたときは、営業許可の取消又は営業の停止を行い得ることとして、旅館業の健全な発達を期することとされたが、この規程は、刑法及び婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令に関しては、営業者等が主犯であるときはもとより、刑法第六一条の教唆犯及び第六二条の従犯のときも適用されることに注意されたいこと(法第八条)。
第四 その他の事項
営業の施設を利用させる場合の宿泊者の定員については、従来から格段の配意を願つているところであるが、ややもすれば施設の規模に比して遥かに過剰な人員を収容するような営業者も一部に存在するので客室の広さに応じて遵守すべき定員を明確に規定する等の措置を講ずるとともに、これが指導の徹底を図り宿泊者の公衆衛生の保持に十分留意されたいこと。
