添付一覧
○特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法における環境衛生関係営業の取扱いについて
(昭和六一年三月二〇日)
(衛指第三六号)
(各都道府県知事あて厚生省生活衛生局長通知)
近年における中小企業をめぐる経営環境の変化に対応し、中小企業者が自主的に事業の転換を行おうとする場合、金融、税制、雇用等の面での助成措置を講ずることにより事業転換の円滑化を図るため、昭和六一年二月二五日付けをもつて特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法(昭和六一年法律第四号。以下「法」という。)、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法施行令(昭和六一年政令第一五号。以下「施行令」という。)及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法施行規則(昭和六一年総理府、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、労働省、建設省令第一号。以下「施行規則」という。)が施行されたところである。これに伴い法第二条第二項第一号に基づき事業転換の対象となる業種として公衆浴場業が指定(昭和六一年厚生省告示二六号。以下「告示」という。)されたほか、法運用の一環として特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法実施要領(昭和六一年二月二五日警察庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、労働省、建設省各事務次官等の連名通知。以下「実施要領」という。)が定められ、その旨貴職あて通知されたところである。
貴職におかれては、これら法、施行令、施行規則及び実施要領の内容の周知徹底を図るとともに、環境衛生関係営業に係る事業転換の取扱いについて左記の基本的事項に御留意のうえ、法の運用に遺憾なきを期されたい。
なお、昭和五二年四月三○日付け環指第四五号「中小企業事業転換対策臨時措置法における環境衛生関係営業の取扱いについて(通知)」は、廃止する。
記
一 環境衛生関係営業を転換先とする転換計画の認定について
(一) 環境衛生関係営業は経営規模が零細であり、かつ、一般的に過当競争の状況におかれていることにかんがみ、環境衛生関係営業を転換先業種とする転換計画の認定に当たつては、当該転換が他の営業者の健全な経営を阻害することのないよう十分配慮されたいこと。
(二) 実施要領第三の四において、転換先が公序良俗に反するおそれのある事業など事業転換を円滑にすることが特に必要であると認められない事業である場合は、承認しないこととされたこと。
また、実施要領第三の五においては、転換先の業種において、法律に基づく安定事業若しくは合理化事業その他これらに準じた事業を実施している場合、国若しくは地方公共団体が行う特別の振興事業等を実施している場合又は法第二条第二項に基づき指定された業種が転換先となつている場合等においては、当該事業転換が安定事業、特別の振興事業、事業転換対策事業等の実施の妨げとなるものであるときは、承認しないこととされたこと。
この場合において「法律に基づく安定事業若しくは合理化事業その他これらに準じた事業」には、環衛法第八条第一項第一号から第三号までに規定するいわゆる調整事業(適正化規程に基づく事業等。適正化規程は、一一三の環境衛生同業組合が実施している。)が含まれること。従つて、環境衛生同業組合がこれらの事業を実施している場合においては、当該環境衛生関係営業が転換先業種となる転換計画の認定に当たつては、必要に応じて事前に本職あて連絡願いたいこと。
また、「国若しくは地方公共団体が行う特別の振興事業」には、公衆浴場に対する確保施策が含まれること。
二 公衆浴場業に係る転換計画の承認について
(一) 公衆浴場業(物価統制令(昭和二一年勅令第一一八号)第四条の規定に基づき都道府県知事が入浴料金を定める公衆浴場を経営する事業に限る。)は、近年家庭風呂の浴槽及び附帯設備がこれらの製品に係る新技術の企業化等に伴い著しい普及を見せたことにより、これと競争関係にあるため需要が減少しており、施行令第二条第一項第二号(その業種に属する事業の目的物たる物品又はその業種に属する事業の目的たる役務に対する需要が、これらと競争関係にある他の物品又は役務に係る新技術の企業化その他の物品の生産又は役務の提供の方式の著しい改善による当該他の物品又は役務の供給の増加により減少し、又は減少する見通しがあること)に該当するものとして、法第二条第二項第一号に基づき告示により指定されたものであること。
(二) 今回、公衆浴場業の転換を認める趣旨は、これまでの「中小企業事業転換対策臨時措置法」により公衆浴場業に関する事業転換を認めていたと同様の趣旨であり、前記(一)の事由に基づき、利用者数に比して施設数が過剰である地域において一部の営業者について事業の転換を認めることによつて確保施策を実質的に担保しようとするものであること。従つて、法に基づく事業転換の取扱いについては、当該公衆浴場の利用者数、立地条件等につき十分調査を行い、当該施設が地域において果たしている役割を十分勘案のうえ、事業の転換の必要性、妥当性を総合的に検討し、安易な転換を認めることのないよう配慮すること。
三 その他の業種に係る転換計画の承認について
法第二条第二項第三号及び第三条の規定に基づく知事の承認は、主務大臣による指定がされていない業種について指定業種と同様の事情があるものにつき行われるものであること。
例えば、公害規制等に係る基準の著しい強化により相当数の旅館業者又はクリーニング業者が役務を提供することが困難となつた場合等にあつては、当該業種に属する事業の転換計画の承認を施行令第二条第二項第四号(その事業の目的たる役務の供給が環境の保全に係る規制の著しい強化により困難となり、又は困難となる見通しがあること。)に該当することを理由として行つて差し支えないこと。
四 緊急経営安定対策に係る知事の認定について
法第九条第一項第三号の規定に基づく知事の個別認定は、主務大臣による指定がされていない業種について指定業種と同様の事情があるものにつき行われるものであること。
例えば、アメリカ軍基地において、ドル建の表示で対価を得ているクリーニング業、理容業等が著しい円高により、その収入が減り、役務を提供することが困難となつた場合等にあつては、施行令第八条第一号に該当することを理由として法第九条第一項第三号の認定を行つて差し支えないこと。
五 その他
実施要領第一九の五に基づき都道府県事業転換対策協議会が設置される場合には、同協議会の構成員として衛生主管部局の職員及び環境衛生同業組合の代表者が加わることが望ましく、また、必要に応じ、同協議会に環境衛生営業部会を設けるよう関係部局に働きかけることが望ましいこと。
その他転換対策の実施に伴う助成措置については別添資料を参照のうえ、これが円滑な実施を図るため、本職との連絡を密にするよう願いたいこと。
(参考)略