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○貸おしぼりの衛生確保について

(昭和五七年一一月一六日)

(環指第一五七号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生省環境衛生局長通知)

環境衛生関係営業の監視指導については、日頃より種々御配慮を煩わしているところであるが、近年飲食店等において客へのサービスとしておしぼりが提供されることが一般化している。

しかし、これらおしぼりの中には、不潔感、不快感を呈するものもあり、その衛生上の不安が指摘されている。

このため、今般、おしぼりの衛生を確保するため、おしぼりを使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗濯し、さらに貸与することを繰り返して行うクリーニング業者(以下「貸おしぼり業者」という。)に対する指導基準として別添「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」を定めたので、この旨御了知の上、貴管下関係団体等に周知徹底させるとともに、貸おしぼり業者に対する監視指導方よろしくお願いする。

なお、飲食店等において貸与を受けたおしぼりを客に提供する場合についても、公衆衛生の見地からその取扱いが適正に行われる必要があるので、これら営業者に対しても併せて指導方よろしくお願いする。

(別添)

おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準

第一 目的

この指導基準は、おしぼりを使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗濯し、さらにこれを貸与することを繰り返して行うクリーニング業の営業者におしぼりの適正な処理等を行わせるために定めたものであること。

第二 処理基準等

おしぼりの処理等の基準は、次のとおりとすること。

一 貸与したおしぼりは、少なくとも四日以内に回収して処理すること。

二 おしぼりの処理に当たつては、汚れの程度の著しいもの等とそれ以外のものとを分別すること。

三 汚れの程度が著しいもの等として分別したもの以外のおしぼりは、次のいずれかの方法により処理することとし、洗濯に当たつては、洗濯機の最大負荷量を超えないようにすること。

(一) 洗濯工程中に消毒効果のある塩素剤を使用する方法

ア 洗濯は、適量の洗剤を使用して、六○℃以上の温湯中で一○分間以上本洗を行い、脱水後、すすぎ及び塩素剤添加による消毒を行うこと。

イ すすぎは、清浄な水(水道法に基づく水質基準に適合する水であることが望ましいこと。以下同じ。)により四回以上(各回三分間以上)行い、各回ごとに脱水すること。

ウ 塩素剤添加による消毒は、さらし粉又は次亜塩素酸ナトリウムを使用し、すすぎの二回目以降に添加し、遊離塩素二五○ppm以上となるようにして行うこと。

(二) 熱湯又は蒸気による消毒後洗濯する方法

ア 消毒は、八○℃以上の熱湯に一○分間以上浸すか、又は一○○℃以上の蒸気に一○分間以上触れさせて行い、その後洗濯を行うこと。

イ 洗濯は、適量の洗剤を使用して、六○℃以上の温湯中で一○分間以上本洗を行い、脱水後、すすぎは、清浄な水により四回以上(各回三分間以上)行い、各回ごとに脱水すること。

四 汚れの程度の著しいもの等として分別したおしぼりを洗濯して再貸与する場合は、次のいずれかの方法により処理することとし、洗濯に当たつては、洗濯機の最大負荷量を超えないようにすること。

(一) 重複洗浄を行う方法

ア 洗濯は、適量の洗剤を使用して、六○℃以上の温湯中で一五分間以上本洗を行い、脱水後、更に同様の本洗を行つた後、すすぎ及び塩素剤添加による消毒を行うこと。

イ すすぎ及び塩素剤添加による消毒は、前記三―(一)のイ及びウにより行うこと。

(二) 酵素剤による前処理を行う方法

ア 前処理は、適量のたん白分解酵素配合洗剤を加えた六○℃以上の温湯中に四○分間以上浸して行い、脱水後、洗濯を行うこと。

イ 洗濯は、前記三―(一)のアからウにより行うこと。

五 前記三又は四の処理に際して、漂白効果を高めるため、適量の次亜塩素酸ナトリウム等の漂白剤を本洗時又は前処理時に添加することは、差し支えないこと。

六 洗濯終了後の仕上げ(伸展、折畳み、巻き等)及び包装を行う場合は、手指を清潔にして行い、洗濯等の処理が適正に行われたかどうか確認すること。

この場合、処理が適正でないと判断されるものを選別し、再処理するか、又は廃棄すること。

七 仕上げ済みの製品は、その衛生保持に十分留意し、速やかに貸与のための配送をすること。

なお、速やかに配送できない場合には、四℃以下で保管すること。

八 おしぼりを処理するために使用する機械器具及び製品を運搬する容器等については、塩素剤又は界面活性剤等の水溶液を用いて清拭等により適宜消毒すること。

第三 衛生基準及び検査法

製品として貸与されるおしぼりの衛生基準及び検査法は、次のとおりとすること。

一 衛生基準

(一) 変色及び異臭がないこと。

(二) 大腸菌群が検出されないこと。

(三) 黄色ブドウ球菌が検出されないこと。

(四) 一般細菌数は、一枚当たり一○万個を超えないことが望ましいこと。

二 検査法

(一) 官能検査

検体(おしぼり)を広げ、不潔な変色及び塩素臭以外の不快な臭気の有無を官能的に調べる。

(二) 細菌検査

ア 試料の調整

検体一枚を次のいずれかの方法により処理し、その抽出液を試料とする。

(ア) ストマツカー法

ストマツカー用滅菌ポリ袋に検体一枚及び滅菌生理食塩水一○○mlを入れ、ストマツカーで三分間程度処理して抽出液を得る。

(イ) 手振法

約五○○ml容量の広口ビンに生理食塩水を一○○ml入れて高圧滅菌したものに検体一枚を入れ、三分間程度振つて抽出液を得る。

イ 一般細菌

試料一mlを採り、滅菌生理食塩水を用いて、四~五段階まで一○倍段階希釈を行い、その各希釈液一mlを滅菌ペトリー皿各二枚に入れ、これにあらかじめ溶解して約四五℃に保つた標準寒天培地約一五mlを加え、静かに回転混合して冷却凝固させ、更に前記標準寒天培地約五mlを重層して静置する。

凝固後、これを倒置して、三七℃で約四八時間培養した後、発生した集落を数え、計算により検体の細菌数を算定する。

ウ 大腸菌群

試料各一mlを二本のBGLB発酵管に入れ、三七℃で培養し、四八時間まで観察してガスが発生した場合には、その発酵管からEMB平板培地に画線塗抹し、三七℃で二四時間分離培養を行い、平板培地上に定型的な大腸菌群の集落を認めたときは、陽性とする。

エ 黄色ブドウ球菌

試料各○・二mlを二枚の卵黄加マニツト食塩寒天平板培地上にコンラージ棒で塗抹し、三七℃で四八時間培養する。

平板培地上にマニツト分解及び卵黄凝固集能が認められる集落が発生した場合は、その集落について塗抹グラム染色及びコアグラーゼ試験を行い、ブドウ状グラム陽性球菌を確認し、かつ、血漿凝固又はフイブリンの析出を認めたときは、陽性とする。