添付一覧
○クリーニング所における衛生管理要領
(昭和57年3月31日)
(環指第48号)
(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省環境衛生局長通知)
第1 目的
この要領は、クリーニング所における施設、設備、器具、溶剤等の衛生的管理、洗濯物の適正な処理及び衛生的取扱い、従業者の健康管理等の措置により、クリーニングに関する衛生の向上及び確保を図ることを目的とする。
第2 施設及び設備等
1 クリーニング所は、隔壁等により外部と完全に区分されていること。
2 クリーニング所は、居室、台所、便所等の施設及び他の営業施設と隔壁等により区分されていること。
3 クリーニング所における洗濯物の受取り及び引渡し場(以下「受渡し場」という。)、洗濯場(選別場、洗い場、乾燥場等)及び仕上場は、洗濯物の処理及び衛生保持に支障を来さない程度の広さ及び構造であって、それぞれ区分されていること。
4 洗濯場は、受渡し場及び仕上場と隔壁等により区分されていることが望ましいこと。
5 クリーニング所内の採光、照明及び換気が十分行える構造設備であること。
6 洗濯場の床及び腰張りは、コンクリート、タイル等の不浸透性材料を使用し、清掃が容易に行える構造であること。
7 水洗いによる洗濯物の処理(以下「ランドリー処理」という。)を行うクリーニング所の床面は、容易に排水ができるよう適当なこう配を有し、排水口が設けられていること。排水設備には、阻集器(トラップ)を設けることが望ましいこと。
8 クリーニング所の周囲は、排水が良く、清掃しやすい構造であること。
9 有機溶剤を使用しての洗濯物の処理(以下「ドライクリーニング処理」という。)を行うクリーニング所には、局所排気装置等の換気設備を適正な位置に設けるなど有機溶剤使用に伴い生じる悪臭等による周辺への影響についても十分に配慮すること。
また、気化溶剤の回収を行うための有機溶剤回収装置を備えることが望ましいこと。
10 洗濯物の処理のために洗剤、有機溶剤、しみ抜き薬剤、消毒剤等を使用するクリーニング所には、専用の保管庫又は戸棚等を設けること。
11 洗濯物の処理を行うクリーニング所には、洗濯物を適正に処理できる業務用設備として、洗濯機及び脱水機(又は洗濯脱水機)等を備え、また、乾燥機、プレス機及び給湯設備等を備えることが望ましいこと。
12 仕上場には、洗濯物の仕上げを行うための専用の作業台を設けること。
13 洗濯物の処理を行うクリーニング所の作業場内には、しみ抜きを行う場所を設け、適当な位置に機械的換気設備を設けることが望ましいこと。
14 感染症を起こす病原体により汚染し、又は汚染のおそれのあるものとして、クリーニング業法施行規則第1条に規定する洗濯物(以下「指定洗濯物」という。)を取り扱うクリーニング所には、次の物を備えること。
(1) 未消毒の指定洗濯物を置く専用の場所又は容器
(2) 消毒設備(ただし、消毒の効果を有する洗濯方法により処理される場合は、この限りでない。)
15 クリーニング所には、未洗濯のものと洗濯済みのものと区分して入れる設備又は容器を備えること。
16 し尿の付着している洗濯物(おむつ等)を洗濯するクリーニング所には、し尿を洗濯前に処理するための場所又は設備を設け、当該処理排水の浄化設備を設けること。
ただし、排水が適正に処理される場合は、この限りではない。
17 ドライクリーニング処理を行うクリーニング所には、有機溶剤の清浄化に伴って生じるスラッジ等の廃棄物を入れるふた付の容器を備えること。
18 洗濯物を運搬する車には、未洗濯のものと仕上げの終ったものを区分して入れる専用の容器等を備えること。
19 繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後は、これを回収して洗濯し、更にこれを貸与することを繰り返して行うクリーニング所又はこれに類する行為を行うクリーニング所(以下「リネンサプライ等クリーニング所」という。)には、回収した洗濯物の選別及び前処理を行う場所又は設備を設け、洗濯物の種類及び汚れの程度に応じて区分して入れる容器等を備えること。
20 受渡し場には、取扱い数量に応じた適当な広さの受渡し台を備えること。
21 仕上げの終った洗濯物の格納設備は、汚染のおそれのない場所に設けること。
第3 管理
1 クリーニング師の役割
(1) クリーニング業法に基づき、洗濯物の処理を行うクリーニング所に必ず設置することとされているクリーニング師は、衛生法規に関する知識、公衆衛生に関する知識並びに洗濯物の処理に関する専門知識及び技能等を有する者であり、当該クリーニング所の衛生管理を行う上での実質的な責任者として、以下の業務を担う役割となるものであること。
ア 衛生法規及び公衆衛生
(ア) クリーニング師は、前記の趣旨を十分認識し、施設、設備等の衛生管理、有機溶剤等の適正な使用管理、衛生的で安全な従事環境の確保等について、当該クリーニング所の他の従業者に指導的立場から関与すること。
(イ) クリーニング師は、当該クリーニング所において、洗濯機、脱水機、プレス機等の安全・衛生管理、洗剤、有機溶剤等の管理、指定洗濯物の適切な消毒など、クリーニングに関する衛生の確保、改善及び向上に努めること。
(ウ) クリーニング師は、利用者利益の擁護を図るため、クリーニング事故の発生防止に努めるとともに、万が一事故が生じた際の対応責任者として原因究明を行い、利用者が不当に不利益を被る事態となることがないように努めること。
(エ) クリーニング師は、感染症や災害が発生した場合の事業継続計画(BCP)の策定等に積極的に関与し、感染症や災害が発生した際には、当該クリーニング所において、適切な感染防止対策や災害被害の軽減・復旧等に取り組むこと。
(オ) クリーニング師は、当該クリーニング所における近隣環境への安全配慮や環境保全対策等に向けた取組を推進すること。
イ 洗濯物の処理
(ア) クリーニング師は、洗濯物の適正な処理について、当該クリーニング所の他の従業者の教育・指導を行うこと。
(イ) クリーニング師は、当該クリーニング所において、洗濯物の処理に関する品質管理の実質的な責任者として、衛生的で質の高いクリーニングサービスの提供に努めること。
(2) クリーニング師は、3年を超えない期間ごと(業務に従事した際は1年以内)にクリーニング師研修を受講することにより、知識及び技能の向上を図ること。
(3) 営業者は、クリーニング業法第4条により、クリーニング所(洗濯物の受取及び引渡のみを行うものを除く。)ごとに1人以上のクリーニング師を置かなければならないこととされているが、(1)のアの(ア)、(ウ)及び(オ)並びにイの(ア)の業務は、デジタル技術等を活用して適切に業務を行うことができる場合は、当該業務についてオンライン実施・兼任により対応できるものであること。
2 施設、設備及び器具の管理
(1) 施設内は、毎日清掃し、その清潔保持に努め、必要に応じ補修を行い、衛生上支障のないようにすること。
(2) 施設内外は、常に排水が良く行われるように保持すること。
(3) 施設内は、ねずみ、昆虫等が生息しない状態に保つこと。
(4) 施設内には、業務上不必要な物品を置かないこと。
(5) 施設内は、採光・照明を十分にすること。特に、受渡し場、しみ抜き場及び仕上場の作業面の照度は、300Lux以上であることが望ましいこと。
(6) 照明器具は、少なくとも1年に2回以上清掃するとともに、常に適正な照度維持に努めること。
(7) 施設内、特に引火性溶剤の保管場所、作業所は、換気を十分にすること。特に、ドライクリーニング処理を行うクリーニング所については、大気汚染防止法等に留意し、環境汚染防止に努め、気化した有機溶剤の排気又は回収に配慮すること。
(8) 局所排気装置等の換気設備及び有機溶剤回収装置は、定期的に点検、清掃を行うこと。
(9) 洗濯機、脱水機、プレス機等の機械及び器具類は、常に保守点検を行い、適正に使用できるように整備しておくこと。
(10) 洗濯機、脱水機等の機械、作業台、運搬・集配容器等の洗濯物が接触する部分(仕上げの終った洗濯物の格納設備又は容器を除く。)は、毎日業務終了後に洗浄又は清掃し、仕上げの終った洗濯物の格納設備又は容器は、少なくとも1週間に1回以上清掃を行い、常に清潔に保つこと。
(11) 洗濯機、脱水機、仕上げ専用の作業台、洗濯物の格納設備又は容器及び運搬・集配容器は、適宜消毒することが望ましいこと。
(12) ドライクリーニング用の洗濯機等は、有機溶剤の漏出がないよう常に点検し、使用中もその漏出の有無について十分留意すること。
(13) プレス機、馬(アイロン仕上げに用いる下ごて)等の被布は、清潔な白布を使用し適宜取り替えること。
(14) 作業に伴って生じる繊維くず等の廃棄物は、専用容器に入れ、適正に処理すること。
(15) 清掃用具は、専用の場所に保管すること。
(16) 特に営業者(管理人を含む。以下同じ。)又はクリーニング師は、毎日クリーニング所の施設、設備及び器具の衛生全般について点検管理すること。
(17) 洗濯機及び乾燥機にアースを設置すること。
3 洗濯物の管理及び処理
(1) 洗濯物の集配、保管等は、未洗濯のもの、洗濯済みのもの及び仕上げの終ったものに区分して衛生的に取り扱うこと。
(2) クリーニング業法第3条の2の規定に基づき、営業者は、洗濯物の受取及び引渡しをしようとするときは、あらかじめ、利用者に対し、洗濯物の処理方法等について説明するよう努めること。また、営業者は、洗濯物の受取及び引渡しをするに際しては、利用者に対し、苦情の申出先を明示すること。
また、クリーニング業法施行規則第1条の2に規定する苦情の申出先については、店頭掲示や書面配布により明示すること。なお、営業者の判断により、紙での店頭掲示や書面配布に加えて、デジタル技術等を活用した方法により、苦情の申出先を明示することも可能であること。
(3) クリーニング所で洗濯物を受け取る場合、まず営業者は洗濯物を点検し、利用者との間で洗濯物の状況を相互に確認した上で、クリーニングを行うに当たり、洗濯物の処理方法等について特に説明を要する場合や、洗濯物に異常が確認された場合は、利用者にその旨を伝えること。
(4) 配送による洗濯物の受付を行う場合は、営業者は受取後速やかに洗濯物を点検し、クリーニングを行うに当たり、洗濯物の処理方法等について特に説明を要する場合や、洗濯物に異常が確認された場合は、利用者にその旨を伝えること。
なお、洗濯物の受取時期、洗濯物の点数等により、受け取り後に一定の期間が経過してからクリーニングを実施する場合など、クリーニングを行うにあたり特に説明を要する場合については、利用者に対してその旨を説明し了解を得るとともに、適切な衛生環境下で保管すること。
(5) リネンサプライ等クリーニング所は、回収した洗濯物の種類及び汚れの程度に応じた選別を行い、別々に区分して処理すること。
(6) 受け取った洗濯物については、指定洗濯物を別に区分して取り扱うこと。
(7) 指定洗濯物については、その他の洗濯物と区別して消毒するか、又は消毒の効果を有する洗濯方法により処理し、これが終了するまでは専用の容器等に納め、その他の洗濯物と接触しないよう区分すること。特に、乾燥又は加熱プレスをしないで仕上げを行う指定洗濯物(おしぼり等)については、十分な消毒効果の確認に努めること。
(8) 洗濯物の選別又は除じん等の作業は、洗濯済みのものを汚染することのないように行うこと。
(9) し尿等の汚物が付着している洗濯物(おむつ等)の前処理は、本洗の前に所定の場所で行うこと。
(10) 洗濯物の処理は、その種類及び汚れの程度に応じ適正な洗濯方法により行うこと。
ア ランドリー処理する場合には、適当な洗剤及び薬剤(漂白剤、酵素剤、助剤等)を選定して適量を使用し、処理工程、及び処理時間を適正に調整して行うこと。
イ ドライクリーニング処理する場合には、選定した有機溶剤に水、洗剤等を適量に混合したものを使用し、処理時間、温度等を適正に調整して行うこと。
(11) ランドリー処理の本洗には、60℃以上の温水を使用することが望ましいこと。
(12) ランドリー処理のすすぎには、清浄な水を使用して少なくとも3回以上行うこと。また、この場合、工程中に強制脱水を行うことが望ましいこと。
(13) ドライクリーニング処理による洗濯物の乾燥は、乾燥機等の装置内で、使用した有機溶剤の種類等に応じて適正温度で行うこと。
(14) ランドリー処理による洗濯物の乾燥を自然乾燥により行う場合は、所定の乾燥場で行うこと。
(15) 洗濯物の処理に使用した洗剤、有機溶剤及びしみ抜き薬剤が仕上げの終った洗濯物に残留することのないようにすること。
(16) 洗濯物のしみ抜き作業を行う場合は、繊維の種類、しみの種類・程度等に応じた適当な薬剤を選定し、しみ抜き場等所定の場所で行うこと。
(17) 洗濯物を防虫・防水等のため薬剤又は樹脂により特殊加工を施す場合は、その量及び濃度を適正にして使用し、余剰の薬剤等を十分に除去すること。
(18) 仕上作業は、手指を清潔にし、清潔な作業衣等を着用して衛生的に行うこと。
(19) アイロン仕上げのために霧吹きを行う場合は、噴霧器を使用すること。
(20) 仕上げの終った洗濯物については、処理が適正に行われたかどうか確認を行うこと。特に、おしぼり、おむつ等の指定洗濯物については、適宜細菌検査等を行い、消毒及び処理の結果を確認すること。
(21) 仕上げの終った洗濯物の保管は、包装するか、又は格納設備に収納し、汚染することのないよう衛生的に取り扱うこと。
(22) 特に営業者又はクリーニング師は、クリーニング所における洗濯物の処理及び取扱いが衛生上適正に行われているかどうかを常に確認し、その衛生確保に努めること。
4 洗剤及び溶剤等の管理
(1) 洗剤、有機溶剤、しみ抜き薬剤及び消毒剤等は、それぞれ分類して表示し、所定の保管庫又は戸棚等に保管すること。
(2) ランドリー処理に使用する水は、清浄なものであること(水道法に基づく水質基準に適合する水であることが望ましい。)。
(3) ドライクリーニング処理に使用する有機溶剤は、清浄なものであること。
(4) 有機溶剤の清浄化のために使用されているフィルター等は、反覆使用により溶剤中に溶出又は分散した汚れ、細菌等の吸着・除去能力が低下するので、適宜新しいものに交換し、常に清浄な溶剤が得られるようにすること。
(5) 使用中又は使用後の有機溶剤は、溶剤中に分散された汚れを除去するため常に清浄化を行うこと。この場合、ろ過又は吸着により有機溶剤の清浄化を行っても清浄にならないものは、蒸留するか又は新しい溶剤に交換すること。
(6) ドライクリーニング処理を行う場合は、溶剤中の洗剤濃度を常に点検し、適正な濃度の維持に努めること。
(7) 有機溶剤の清浄化のために使用したフィルター等を廃棄する場合は、専用のふた付容器に納め、適正に処理すること(専門の処理業者に処理委託することが望ましい。)。
(8) 有機溶剤を含有するしみ抜き薬剤は、密閉できる容器に入れて使用し、それ以外のしみ抜き薬剤は、適正濃度に調整して使用すること。
(9) 特に営業者又はクリーニング師は、各種の洗剤、有機溶剤等の特性及び適正な使用方法について従業者に十分理解させ、その保管及び取扱いを適正にすること。
5 従業者の管理
(1) 営業者は、常に従業者の健康管理に注意し、従業者が以下に掲げる感染症にかかったときは、営業者はこの旨を保健所に届け出るとともに、当該従業者を作業に従事させないこととし、当該疾患が治癒した場合も同様に届け出ること。
ア 結核
イ 感染性の皮膚疾患(伝染性膿痂疹(トビヒ)、単純性疱疹、頭部白癬(シラクモ)、疥癬等)
(2) 営業者は、従業者又はその同居者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)により就業が制限される感染症にかかっている者又はその疑いのある者は、当該感染症をまん延させるおそれがなくなるまでの期間業務に従事させないこと。
(3) 営業者又はクリーニング師は、施設、設備及び器具の衛生管理、洗濯物の適正な処理及び衛生的な取扱い並びに洗剤、有機溶剤等の適正な使用等について常に従業者の教育、指導に努めること。
(4) 営業者は、従業者の資質の向上、知識の修得及び技能の向上を図るため、クリーニング業法に基づく研修又は講習のほか、関連する研修又は講習に参加させ、又は参加する機会を与えるよう努めなければならない。
第4 消毒
1 指定洗濯物の一般的な消毒方法及び消毒効果を有する洗濯方法の概要
(1) 消毒方法
ア 理学的方法
(ア) 蒸気による消毒
蒸気がま等を使用し、100℃以上の湿熱に10分間以上触れさせること(温度計により器内の温度を確認すること。)。
(注)
1 大量の洗濯物を同時に消毒する場合は、すべての洗濯物が湿熱に十分触れないことがある。
2 器内底の水量を適量に維持する必要がある。
(イ) 熱湯による消毒
80℃以上の熱湯に10分間以上浸すこと(温度計により温度の確認をすること。)。
(注) 熱湯に大量の洗濯物を浸す場合は、湯の温度が低下することがある。
イ 化学的方法
(ア) 塩素剤による消毒
a さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、その遊離塩素250ppm以上の水溶液中に30℃以上で5分間以上浸すこと(この場合終末遊離塩素が100ppmを下らないこと。)。
(注) 汚れの程度の著しい洗濯物の場合には、終末遊離塩素濃度が極端に低下することがある。
b 亜塩素酸水を使用する場合は、その遊離塩素濃度25ppm以上の水溶液中に20℃以上で10分間以上浸すこと又はその遊離塩素濃度50ppm以上の水溶液中に10℃以上で10分間以上浸すこと。
(注) aのさらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等に比べ漂白作用は小さい。
(イ) 界面活性剤による消毒
逆性石ケン液、両性界面活性剤等の殺菌効果のある界面活性剤を使用し、その適正希釈水溶液中に30℃以上で30分間以上浸すこと。
(注) 洗濯したものを消毒する場合は、十分すすぎを行ってからでないと消毒効果がないことがある。
(ウ) ホルムアルデヒドガスによる消毒
あらかじめ真空にした装置に容積1m3につきホルムアルデヒド6g以上及び水40g以上を同時に蒸発させ、密閉したまま60℃以上で1時間以上触れさせること。
(エ) 酸化エチレンガスによる消毒
あらかじめ真空にした装置に酸化エチレンガス及び炭酸ガスを1対9に混合したものを注入し、大気圧に戻し50℃以上で2時間以上触れさせるか、又は1kg/cm2まで加圧し50℃以上で1時間以上触れさせること。
(オ) 過酢酸による消毒
過酢酸濃度150ppm以上の水溶液中に60℃以上で10分間以上浸すこと又は過酢酸濃度250ppm以上の水溶液中に50℃以上で10分間以上浸すこと。
(注) 過酢酸の原液は強い刺激臭や腐食性があるため、使用する際は注意すること。
(2) 消毒効果を有する洗濯方法
洗濯物の処理工程の中に次のいずれかの工程を含むものは、消毒効果を有する洗濯方法である。
ア 洗濯物を80℃以上の熱湯で10分間以上処理する工程を含むもの。
イ さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、その遊離塩素が250ppm以上の液に30℃以上で5分間以上浸し、終末遊離塩素100ppm以上になるような方法で漂白する工程を含むもの。
ウ 四塩化(パークロル)エチレンに5分間以上浸し洗濯した後、四塩化エチレンを含む状態で50℃以上に保たせ、10分間以上乾燥させる工程を含むもの。
エ 洗濯物を過酢酸濃度150ppm以上かつ60℃以上の水溶液で10分間以上処理する工程を含むもの又は過酢酸濃度250ppm以上かつ50℃以上の水溶液で10分間以上処理する工程を含むもの。
(注) (1)イ(オ)の(注)に留意すること。
2 設備及び容器等の消毒方法の概要
(1) ランドリー処理用の洗濯機及び脱水機は、槽内及び投入取出口等を塩素剤又は界面活性剤等の水溶液を満たして稼動するか、又はこれら消毒液を用いて清拭〈しき〉することにより消毒することが望ましいこと。
(2) 洗濯物の格納設備又は容器及び運搬・集配容器は、塩素剤又は界面活性剤等の水溶液を用いて浸漬〈せき〉又は清拭〈しき〉等により消毒するか、又はホルムアルデヒドガスにより消毒することが望ましいこと。
(3) その他消毒する器具等についても、その材質に応じ加熱(蒸気、熱湯)又は消毒液(塩素剤又は界面活性剤等の水溶液)による消毒のいずれかにより消毒することが望ましいこと。
第5 自主管理体制
1 営業者は、施設、設備及び洗濯物等の管理及び取扱いに係る具体的な衛生管理要領を作成し、従業者に周知徹底すること。
2 営業者は、営業施設ごとに施設、設備及び洗濯物等を衛生的に管理し、洗濯物の処理及び取扱いを適正に行うための自主管理体制を整備し、クリーニング師及びその他適当な者にこれら衛生管理を行わせること。
3 クリーニング師等は、営業者の指示に従い、責任をもって衛生管理に努めること。
第6 引火性溶剤の取扱い
引火性溶剤は、容易に蒸発しやすく、また引火しやすい性質をもっているので、安全衛生に留意し、引火性溶剤を使用するクリーニング所においては、さらに、以下の対策を講ずることが重要である。
1 溶剤の保管等
(1) できるだけ引火点が高い溶剤を選択すること。
(2) 溶剤の保管時に温度管理に留意すること。
(3) 洗濯機や乾燥機等からできるだけ隔離して保管すること。
(4) 保管容器は密閉すること。
(5) 保管量は、できる限り抑制すること。
(6) 溶剤の保管容器をゴムマット等不導体の上に設置しないこと。
2 洗濯工程
(1) 洗濯の頻度に応じ、適時に洗剤の濃度測定を行うこと。
(2) 静電気を抑えるため、洗濯の頻度及び洗剤の濃度測定に応じ、洗剤を投入すること。
(3) 溶剤に適した洗剤を用いること。
(4) 洗濯機のボタントラップ、フィルター等について定期的に清掃すること。
(5) 洗濯物を乾燥機に移し替える際は、静電気の発生を抑えるため、布製の容器を利用し、素早く移し替えること。
3 乾燥工程
(1) リントフィルターを定期的に清掃すること。
(2) 回収乾燥機により回収した溶剤は、回収容器、回収量及び作業に留意し、速やかに機械等に注入すること。なお、回収容器はできる限り溶剤が蒸散しない容器を用いること。
(3) 乾燥後は、速やかに洗濯物を乾燥機から取り出し十分に放冷すること。
(4) 乾燥後の洗濯物を乾燥機のそばに置かないこと。
4 その他
(1) クリーニング作業前に洗濯物中のライター、金属等異物を除去すること。
(2) 床等の清掃により、蒸散量を低下し、かつ安全性を向上させること。
(3) 作業所からライター等の火気を排除すること。
(4) 自然乾燥を行う際には、十分に換気し、機械から隔離すること。
(5) 洗濯物及び仕上げ品を機械から隔離すること。
(6) 放電プレートや静電気対策が施された服等により、作業者の帯電を防ぐこと。
(7) 作業所、保管場所等に予想される火災原因に応じた消火器等消火設備を備えること。