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○環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律等の施行について

(昭和五四年一一月一五日)

(環指第一六二号)

(各都道府県知事あて厚生省環境衛生局長通知)

環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律(昭和五四年法律第一九号)、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律施行令の一部を改正する政令(昭和五四年政令第二四五号)、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(昭和五四年政令第二四六号)及び環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(昭和五四年厚生省令第三六号)の施行については、別途厚生省環第六四六号厚生事務次官通知により指示されたところであるが、なお、左記事項に留意の上、運用に当たつて遺憾のないようにされたい。

第一 総則事項

今回の改正は、厳しい経済環境下にある環境衛生関係営業について、その経営の近代化、合理化を促進することにより経営基盤の安定と営業の振興に資するとともに、国民の日常生活に関係の深い環境衛生関係営業についての消費者の利益の擁護を図ることを目的とするものであり、貴坦当部局においてもこの趣旨をふまえ、各環境衛生関係営業者の指導に当たられたいこと。

第二 過度の競争等に対する措置

過度の競争等の場合における措置については、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律(昭和三二年法律第一六四号。以下「法」という。)制定以来改正が加えられてきたところであるが、今般更に所要の改正が加えられたので、これらの趣旨をふまえ次の諸点に留意しつつ運用されたいこと。

一 適正化規程

今回の法改正において環境衛生同業組合(以下「組合」という。)が適正化規程を定めるに当たつては実施期間を付することとされたが、その運用に当たつては、その本来の応急的性格を考慮して、指導を行われたいこと。また、適正化規程は、適正化基準に準拠し、賃金その他の経費の水準等を勘案して定めるものとされたので、これについても十分配意されたいこと。

なお、適正化規程の認可に際しては、法第八条第一項第一号に規定する事態が生じているかどうか判断する必要があるが、この判断の基準を厚生大臣が告示するものとされたこと(法第九条第四項)。この基準については、追つて告示することとしているので、適正化規程の認可に当たつては留意されたいこと。

二 特殊契約

特殊契約は、環境衛生関係営業における事業分野の調整を図るため、組合と大企業者との間に締結されるものであるが、最近は、大企業者のみでなく、大企業者が、実質的に支配する中小企業者との間にも事業分野に関する問題が生じていることから、今般特殊契約の相手方として、従来の大企業者の他に、大企業者が実質的に支配している関係を有する者(いわゆるダミー)が加えられたこと。この実質的に支配している関係とは、中小企業者に対し大企業者が単独で中小企業者の発行済株式の総数、出資口数の総数若しくは出資価額の総額の二分の一以上に相当する数若しくは額の株式若しくは持分を所有する関係その他その事業活動を実質的に支配することが可能なものとして厚生省令で定める関係とされたこと(法第八条第五項)。この厚生省令で定める関係は、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律施行規則(昭和三二年厚生省令第三七号。以下「規則」という。)第五条の一四において次のように定められたこと。

(一) 役員の総数の二分の一以上をその大企業者の役員又は職員が兼ねる関係

(二) 発行済株式の総数、出資口数の総数又は出資価額の総額の四分の一以上二分の一未満に相当する数又は額の株式又は持分を所有し、かつ、次のイ又はロに該当することによりその事業活動を実質的に支配することが可能な関係

イ その大企業者が所有するその会社の株式又は出資の数又は額がその大企業者以外のいずれか一の者が所有するその会社の株式又は出資の数又は額以上であること。

ロ その大企業者の役員若しくは職員であつた者又は役員若しくは職員である者が役員の総数の四分の一以上を占めていること((一)に掲げる場合を除く。)。

(三) 次のイ又はロに掲げる会社に対する関係

イ その大企業者が単独で法第八条第五項に規定する関係又は(一)若しくは(二)に掲げる関係(以下「直接支配関係」という。)を持つている会社が単独又は共同で直接支配関係を持つている会社

ロ その大企業者及びその大企業者が単独で直接支配関係を持つている会社が共同で直接支配関係を持つている会社

三 組合協約

(一) 料金の制限等に関する組合協約に関する交渉の応諾義務を有する者の範囲は、原則として常時使用する従業員の数が三○人をこえるものとされ、政令で定める業種にあつては業種ごとに政令で定める員数とされていたが、今回の法改正により、この員数を定める政令においては、地域における当該業種の営業の実態を勘案して、人口密度による地域の態様に応じて、その員数を定めることができるものとされたこと(法第一四条の一一第二項。)この員数は、従来は、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律施行令(昭和三二年政令第二七九号。以下「令」という。)第一条の三において、理容業、美容業は一○人、浴場業は一五人、クリーニング業は二五人とされていたが、今般の改正により、最近の国勢調査の結果による人口集中地区人口が一万以上の市町村以外の市町村の区域内にあつては、理容業及び美容業については七人、クリーニング業については二○人と定められたこと(令第一条の三)。

(二) 組合契約の交渉に当たつては、従来は、料金等の制限についての組合協約についてのみ都道府県知事があつせんを行うことができるものとされていたが、今回の改正において料金等の制限に関する組合協約、経済的地位の改善のためにする組合協約のいずれの場合においても、都道府県知事はあつせん又は調停を行うことができるものとされたので、当事者の一方又は両方からあつせん又は調停の要請があつた場合には、必要な事項を十分に調査の上、あつせん又は調停に当たるとともに、交渉の当事者のいずれか一方のみを不当に取り扱うことのないよう十分留意されたいこと。

(三) 農業協同組合、消費生活協同組合等と組合協約を締結するため交渉しようとするときは、昭和四○年四月一二日環衛第五、○四三号厚生省環境衛生局長施行通達第二 運用上留意すべき事項 一 一般的事項中(一)及び(二)によられたいこと。

四 調査

組合が調査を申出た場合の調査事項は、規則第一○条の三において定められたところであり、その内容は、次のとおりであること。

(一) 特殊契約の締結に関し交渉しようとする場合 大企業者等が大規模な営業の開始又は大規模な拡大をしようとする場合の計画の実施時期、規模、計画に係る役務の内容又は商品の種類並びに計画に係る営業所の所在地及び役務又は商品の供給地域

(二) 組合協約の締結に関し法第一四条の一一第一項の規定により交渉しようとする場合 交渉しようとする相手方が当該業種に属する営業に関して常時使用する従業員の員数及び当該業種に属する営業の目的たる役務若しくは商品の料金若しくは販売価格又は営業方法

(三) 組合協約の締結に関し法第一四条の一一第三項の規定により交渉しようとする場合 交渉しようとする相手方の営業の目的たる役務又は商品の料金又は販売価格その他の取引条件

第三 環境衛生同業小組合

(一) 環境衛生同業小組合(以下「小組合」という。)制度は、従来の組合単位の共同事業では効率的にその運用を図ることができない場合に、地域的な共同経済事業を行うことができるよう設けられたものであり、小組合の行う共同経済事業としては、飲食店営業における食料品の共同購入、共同冷蔵庫の設置、旅館業における共同案内所・共同炊飯所の設置、浴場業における共同重油貯蔵所の設置等が考えられるが、地域的な共同事業に適さないもの、組合に比べ効率性が期待できないもの、組織が名目的なもの等小組合制度の趣旨からみて、必要性の乏しい小組合が安易に設立されることのないよう十分指導されたいこと。

(二) 小組合の設立については、組合と同様、発起人による定款の作成、創立総会の開催、設立の認可及び設立の登記の各手続を経る必要があるが、この他に組合の同意が必要であるので設立の認可に当たつてもこの点に留意の上十分に審査されたいこと。この場合、組合の同意が正式の手続を経て行われたかどうかについても留意されたいこと。

(三) 現在事業協同組合等で共同事業を行つている場合には同様の事業を目的として新たに小組合を設立する必要はないと考えられるので、このような場合には、従来の事業協同組合等によるよう指導されたいこと。

なお、小組合を設立した場合には従来の事業協同組合等の活動が阻害されることのないよう十分留意されたいこと。

(四) 令別表中第一号から第九号までの業種に係る環境衛生同業小組合の設立、合併等の認可を行うに当たつては、飲食料品(氷雪を含む。)の生産、流通及び消費に関する行政を担当する部局と十分協議するものとされたいこと。

第四 都道府県環境衛生営業指導センター

都道府県環境衛生営業指導センター(以下「都道府県指導センター」という。)の指定及び指導、監督に当たつては、都道府県指導センターが環境衛生関係営業の経営の健全化を通じてその衛生水準の維持向上を図り、あわせて利用者又は消費者の利益の擁護を図ることを目的とするものであることから、その事業が適正かつ確実に行うことができるよう留意されたいこと。

なお、この場合、次の事項にも十分配意されたいこと。

(一) 従来、都道府県環境衛生同業組合連絡協議会が設けられ、経営指導等の業務を行つてきたところであるが、今後、都道府県指導センターが設立された場合には、法第五七条の四第一項に規定する業務は都道府県指導センターの事業として行われるものであること。

(二) 都道府県指導センターの事業がすべての営業者に対し公平な取扱いが行われるよう指導するとともに適正かつ民主的な構成と運営が確保されるよう配慮すること。

(三) 都道府県指導センターは、環境衛生関係営業に関する衛生施設の維持及び改善向上並びに経営の健全化に関する指導及び相談の事業を行うものであるので、事業を行うに当たつては、都道府県商工会連合会及び商工会議所と十分連絡調整し、競合を避けるよう指導されたいこと。

(四) (三)の趣旨に基づき、都道府県指導センターの役員には組合関係者以外に都道府県商工会連合会、商工会議所及び都道府県中小企業団体中央会の各代表を任命されるよう指導されたいこと。

第五 その他

組合を組織することができる業種に関して定める令別表中第七号が「食鳥肉のみを扱う食肉販売業」から「主として食鳥肉を扱う食肉販売業」に改められたこと。