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○原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(抄)

(昭和四九年七月二二日)

(衛発第四〇二号)

(各都道府県知事・広島・長崎市市長あて厚生省公衆衛生局長通達)

標記については、本日厚生事務次官から通知されたところであるが、細部については、左記の事項に御留意のうえ適切に処理されたい。

第一 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律関係

1 被爆者健康手帳の様式の改正

被爆者の区分の廃止に伴い、被爆者健康手帳の様式が改正され、すべての被爆者に対して原子爆弾被爆者の医療等に関する法律施行規則(以下「原爆医療法施行規則」という。)第二条の規定により、様式第二号の被爆者健康手帳が交付されることとなつたが、様式の改正に伴う被爆者健康手帳の切替え交付等の事務は次の要領により行われたいこと。

(1) 改正法の施行の際、現に改正前の特別被爆者健康手帳の交付を受けている者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(昭和四九年厚生省令第二六号。以下「原爆医療法施行規則一部改正省令」という。)附則第二項の規定により、従前の手帳が改正後の被爆者健康手帳とみなされるので、手帳の切替え交付は行わなくても差し支えないこと。

(2) 特別被爆者以外の被爆者であつて、改正法の施行の際現に改正前の被爆者健康手帳の交付を受けているものについては、原爆医療法施行規則一部改正省令附則第三項の規定により、当分の間、従前の手帳を取り繕つて改正後の被爆者健康手帳として使用させることができること。

2 健康診断の特例措置

(1) 健康診断受診者証の交付及び健康診断の実施

健康診断の特例措置の対象者には、健康診断受診者証を交付することとされ(改正後の原爆医療法施行規則附則第二項参照)、その交付手続等については、同規則附則第三項から第一○項までに規定されたこと。

なお、この交付申請に当たつての添付書類及び健康診断受診者証を交付された者に対する健康診断の実施については、昭和三二年五月一四日衛発第三八七号「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の施行について」の1及び2(1)から(4)までを参考とされたいこと。

(2) 健康診断の事後措置

健康診断の結果に基づいて行う事後措置(健康上の指導)は、健康診断の効果に直接影響を与えるものであるので、受診者の健康診断受診者証にその検査の要旨を記入するとともに懇切な指導を行うようにされたいこと。

また、健康診断の結果、次に掲げる障害があると診断された者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(以下「原爆医療法」という。)第二条第三号に該当する者として、被爆者健康手帳の交付を受けることができるものであるので、その旨教示されたいこと。

1造血機能障害、2肝臓機能障害、3細胞増殖機能障害、4内分泌腺機能障害、5脳血管障害、6循環器機能障害、7腎臓機能障害、8水晶体混濁による視機能障害、9呼吸器機能障害、10運動器機能障害

造血機能障害その他の障害の確認については、健康診断個人票の記載事項等に基づき行うこととなり、また、都道府県知事又は広島市長若しくは長崎市長(以下「都道府県知事等」という。)が医療機関に対して精密検査を委託している場合にも、当該医療機関から提出された健康診断個人票の記載事項に基づき当該都道府県知事等において確認することになるが、障害の確認は、健康管理手当の支給の要件である障害を伴う疾病の有無の認定(第二の2(1)参照)に準じて行われたいこと。

3 被爆者健康手帳の検認の廃止

改正前の原爆医療法施行規則第五条の二による被爆者健康手帳の検認が廃止されたこと。

なお、被爆者健康手帳の更新は、従前どおり、三年ごとに一定の期日を定めて行うものであること。

第二 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律関係

1 特別手当

(1) 今回、特別手当の支給要件が変更されて、過去に原爆医療法第八条第一項に規定する厚生大臣の認定を受けたことのある者に対しては、現に当該認定に係る負傷又は疾病の状態になくても手当を支給することとされたが、特別手当の申請者が、原爆医療法第八条第一項に規定する厚生大臣の認定を受けた者であるかどうかの確認については、通常原爆医療法施行規則第九条の都道府県知事等の経由事務を通じて確認できるものと思料されるが、申請者が当該認定を受けた後都道府県等の区域を越えて居住地を移したこと等の事情により確認し難いときは、直接本職あて照会されたいこと。

(2) 特別手当の支給の申請は、改正後の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律施行規則(以下「原爆特別措置法施行規則」という。)第一条により行われることとなるが、その内容は、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(以下「原爆特別措置法」という。)第二条第二項の認定の申請に併せて同法第二条第三項ただし書に規定する都道府県知事の認定(原爆医療法第八条第一項の認定に係る負傷又は疾病の状態にある旨の認定)の申請を行う場合であつても、単一の申請書(特別手当認定申請書(様式第一号)により行うこととされたこと。

なお、この場合においては、申請書に医師の診断書を添付することが必要とされていること。

(3) 改正前の原爆特別措置法第二条第二項の認定を受けた者は、改正法附則第五項の規定により改正後の原爆特別措置法第二条第二項及び第三項ただし書の都道府県知事の認定を受けた者とみなされるので、新たに認定をする必要はないこと。

また、昭和四九年九月一日において改正前の原爆特別措置法第二条第二項の認定の申請をしていた者についても、同日以後、改正法附則第二項の規定により従前の例による認定を受けることとなり、この場合には改正法附則第五項の規定により改正後の原爆特別措置法第二条第二項及び第三項ただし書の都道府県知事の認定を受けた者とみなされるので、新たに改正後の規定による認定の申請をさせる必要はないこと。

なお、改正後の原爆特別措置法第二条第二項及び第三項ただし書の都道府県知事の認定を受けた者とみなされるこれらの者についての原爆特別措置法施行規則第四条の規定による三年ごとの健康状況の届出の運用については、その者が改正前の原爆特別措置法施行規則第四条の規定に従い届け出ることとされている期間に届出をさせるものであること。

(4) 原爆特別措置法第二条第二項の認定を受けた者が、新たに再発又は別の傷病により原爆医療法第八条第一項に規定する厚生大臣の認定を受けた場合には、当該認定に係る負傷又は疾病の状態にある旨の都道府県知事等の認定を受けることにより、特別手当の支給額の改定を行うこととなるので、原爆特別措置法施行規則第三条の二の規定により特別手当の額の改定の申請を行うよう、特別手当受給権者に周知されたいこと。

(5) 原爆特別措置法第二条第三項ただし書に規定する都道府県知事の認定を受けた者が、原爆医療法第八条第一項に規定する厚生大臣の認定に係る負傷又は疾病の状態になくなつた場合には、特別手当の支給額の改定を行うこととなるので、原爆特別措置法施行規則第三条の三の規定により額の改定の届出を行うよう特別手当受給権者に周知されたいこと。なお、この届出がなされない場合においても、都道府県知事等は、原爆特別措置法施行規則第五条の二の規定により特別手当受給権者に特別手当証書の提出を命じ、特別手当の支給額を改定できることに留意されたいこと。

(6) 特別手当受給権者が都道府県等の区域を越えて居住地を移した場合には、従来は失権することとされていたが、今回の改正により当該事由によつては失権しないこととするとともに、これらの者は原爆特別措置法施行規則第一一条の規定により新居住地の都道府県知事等に居住地変更の届出をすることとされ、また、当該届出を受理した都道府県知事等は、当該特別手当受給権者の従前の居住地の都道府県知事等に文書でその旨を通知することと改められたこと。この場合において、特別手当受給権者に支給すべき特別手当は、その者が居住地を移した日の属する月までは従前の居住地の都道府県知事等が支給し、その翌月からは新居住地の都道府県知事等が支給する取扱いとするので、手当の支給事務を円滑に行うよう十分留意するとともに、被爆者にこの旨周知されたいこと。

なお、特別手当受給権者は、死亡により失権するほか、同法は日本国内に居住関係を有する被爆者に対し適用されるものであるので、日本国の領域を越えて居住地を移した被爆者には同法の適用がないものと解されるものであり、従つてこの場合にも特別手当は失権の取扱いとなること。

(7) 今回の法改正により、新たに特別手当の支給要件に該当することとなつた者、すなわち過去において原爆医療法第八条第一項に規定する厚生大臣の認定を受けたが現在は当該認定に係る負傷又は疾病の状態にない者が、昭和四九年九月三○日までに特別手当の支給の申請を行つたときは、原爆特別措置法第二条第四項の規定にかかわらず、昭和四九年九月分から手当が支給されるものであること。

2 健康管理手当

(1) 健康管理手当の支給要件としての原爆特別措置法第五条第一項に規定する厚生省令で定める障害として、新たに「呼吸器機能障害」と「運動器機能障害」が追加された(改正後の原爆特別措置法施行規則第二○条参照)こと。また、この厚生省令で定める障害を伴う疾病にかかつているかどうかの判断は、今後は、次により行うこととすること。

ただし、前記障害を伴う疾病が、先天異常、伝染病、寄生虫病又は中毒等原子爆弾の放射能の影響によるものでないことが明らかな場合は、原爆特別措置法第五条第一項かつこ書の規定により、同項の疾病にかかつているものとは認められないこと。

ア 造血機能障害を伴う疾病とは、無形成貧血及び鉄欠乏性血がその主なものであること。

イ 肝臓機能障害を伴う疾病とは、肝硬変がその主なものであること。

ウ 細胞増殖機能障害を伴う疾病とは、悪性新生物及び骨髄性白血病がその主なものであること。

エ 内分泌腺機能障害を伴う疾病とは、甲状腺の疾患及び糖尿病がその主なものであること。

オ 脳血管障害を伴う疾病とは、くも膜化出血、脳出血、脳血栓症及び脳塞栓症がその主なものであること。

カ 循環器機能障害を伴う疾病とは、高血圧性心疾患及び慢性虚血性心疾患がその主なものであること。

キ 腎臓機能障害を伴う疾病とは、ネフローゼ症候群及び慢性腎炎がその主なものであること。

ク 水晶体混濁による視機能障害を伴う疾病とは、白内障であること。

ケ 呼吸器機能障害を伴う疾患とは、肺気腫及び慢性間質性肺炎がその主なものであること。

コ 運動器機能障害を伴う疾病とは、変形性関節症、変形性脊椎症及び骨粗すう症がその主なものであること。

(2) 原爆特別措置法第五条第二項の認定を行う場合は、原爆特別措置法施行規則第二○条に規定する障害を伴う疾病につき、厚生大臣が定める期間内において、当該疾病が継続すると認められる期間を定めるものとされているので、今回追加された二障害を伴う疾病についてこの厚生大臣が定める期間を定めるとともに、疾病の種類ごとに従来定められていた期間についてもその一部を変更するため、新たに昭和四九年七月二○日厚生省告示第二○八号が定められたこと。その内容は、造血機能障害を伴う疾病のうち鉄欠乏性貧血、肝臓機能障害を伴う疾病及び脳血管障害を伴う疾病についてはその期間が一年、その他の疾病については三年とされ、昭和四九年八月一日から適用することとされたこと。なお、これに伴い、昭和四三年八月二○日厚生省告示第三五二号は廃止されたこと。

(3) 今回の法改正により、原爆特別措置法第五条第一項の年齢に係る支給要件が五○歳以上の者から四五歳以上の者に引き下げられ、支給対象者が拡大されたが、これにより新たに健康管理手当の支給要件に該当することとなる者は、昭和四九年九月一日において、四五歳以上五○歳未満の者(大正一三年九月二日から昭和四年九月一日までの間に出生した者)であること。また、その者が、昭和四九年九月三○日までに健康管理手当の支給の申請を行つたときは、当該手当に係る他の支給要件をみたすかぎり、原爆特別措置法第五条第五項の規定にかかわらず、昭和四九年九月分から手当が支給されるものであること。この場合における原爆特別措置法第五条第三項に規定する当該疾病が継続すると認められる期間の計算は、同月から起算して行うものとすること。

(4) 原爆特別措置法第五条第一項第三号に規定する厚生省令で定める程度の廃疾の状態は、従来は、原爆特別措置法施行規則別表第二に示すところによることとされていたが、今回、この廃疾の程度を緩和することとされ、このため、新たに原爆特別措置法施行規則に別表第二の二が加えられたこと。

(5) 健康管理手当受給権者が都道府県等の区域を越えて居住地を移した場合には、従来は失権することとされていたが、特別手当の場合と同様に、今回の改正により当該事由によつては失権しないこととするとともに、これらの者は原爆特別措置法施行規則第二八条第一項において準用する第一一条の規定により新居住地の都道府県知事等に居住地変更の届出をなすこととされたこと。

なお、この場合の事務取扱いは第二の1(6)を参照されたいこと。

(6) 健康管理手当の支給要件に係る原爆特別措置法施行規則関係の改正は昭和四九年八月一日から施行することにより、この改正によつて同手当の支給要件に該当することとなる者が同年八月三一日までに同手当の支給の申請をした場合には、同年九月分から健康管理手当の支給を受けることができるようにされたこと。

第三 その他

今回の原爆医療法の改正に伴い、原爆医療法施行規則の様式第二号(1)を廃止し、様式第二号(2)の一部を改正してこれを様式第二号とし、様式第三号、様式第四号(2)及び様式第一二号の一部を改正し、新たに様式第一三号、様式第一四号及び様式第一五号を加えることとされたこと。

また、原爆特別措置法等の改正に伴い、原爆特別措置法施行規則の様式第一号、様式第三号、様式第四号、様式第六号、様式第七号、様式第九号及び様式第一四号の一部を改正し、新たに様式第三号の二を加えることとされたこと。