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○原子爆弾被爆者の医療等に関する法律第八条第一項の取扱いについて
(昭和四二年一〇月二三日)
(衛発第七八八号)
(各都道府県知事・広島市及び長崎市市長あて厚生省公衆衛生局長通知)
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(昭和三二年法律第四一号)第八条第一項の規定に基づく、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷又は疾病にかかる厚生大臣の認定については、今回いわゆる原爆小頭症が「近距離早期胎内被爆症候群」として、当該規定による認定の対象として取り扱われることになったので、当該認定申請に当っては特に次の事項に留意のうえ、遺憾のないよう関係医療機関等に周知徹底方よろしくお取り計らい願いたい。
記
1 疾病の名称及び定義について
(1) 疾病の名称近距離早期胎内被爆症候群
(2) 疾病の定義
本症は、胎齢早期に爆心地近くで直接被爆し、大量に放射線を浴びた胎内被爆者で次の症候をそなえたもの
ア 頭囲 頭囲が正常者にくらべて、異常に小さいもの
イ 知能発育障害の認められるもの
ウ その他 直接又は間接に胎内被爆と関係があって医療の対象となる疾病があるもの
(注) 1 原爆小頭症は、胎齢一五週以内一・五km以内の被爆例に頻度が有意に高いが、胎齢四〇週三・〇km被爆例の中にも事例がある。
2 長崎にみられる原爆小頭症の場合は、原子爆弾の特殊性(γ線が多く広島と同一距離で被爆した場合でも放射線量は広島より高い)から遠距離被爆でも多く認められた報告があるので、考慮を要する。
2 医療給付の範囲について
原爆小頭症は、原爆放射線によって発現したことが明らかにされた外部的所見であるが、胎性の初期の放射線傷害作用によって、造血器、消化器及び泌尿器等内臓各器官の正常発育が阻害されている事実が認められており、正常人に比べて疾病発現の頻度が高いので、当該症患者の全医療(ただし、不慮の事故等明らかに胎内被爆と関係がないと医学的見地から判断し得る負傷又は疾病は除く。)を認定疾病医療給付の対象としたので、遺憾がないようにされたいこと。
3 認定申請手続について
当該認定申請にあたっては、従来と同様原子爆弾被爆者の医療等に関する法律施行規則第九条(認定申請)の規定により申請手続をとることになるが、特に前記1参考とし、申請書等の記載内容について、次の点を明確に記載されたいこと。
(1) 被爆当時の状況
被爆当時の胎齢(〇〇週又は〇か月)を記載するほか、被爆状況、しゃへいの有無等についてもなるべく具体的に記載すること。
(2) 出産時の状況
異常出産の有無、生下時の体重及び在胎月数(満期産かどうか)等についても記載すること。
(3) 現在の状況
頭囲、生活適応の程度(例えば身のまわりの処理、就業、知的活動)及びIQ(知能指数)等現況を詳細に記載すること。
(4) 現在治療しようとする医療の内容治療の対象とする症状、障害及びこれに対する治療の概略を記載すること。