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○コレラ汚染地域より来航する船舶等に対する検疫上の取扱いについて

(昭和四八年一二月二五日)

(衛発第七七八号)

(各検疫所・各支所・各出張所長あて厚生省公衆衛生局長通知)

現在コレラの汚染地域より来航する船舶及び航空機に対する検疫上の取扱いについては、「コレラ汚染地区より来航する船舶等に対する検疫上の取扱いについて」(昭和四二年三月八日衛発第一五七号)によって実施されているところであるが、これによりわが国へのコレラの侵入防止等に関し種々の措置がとられ相当の成果を収めたことは周知のとおりである。今般、世界保健機関(WHO)の国際保健規則の一部改正に伴い、現行取扱い方法を改めることとし、昭和四九年一月一日以降コレラの汚染区域より来航する船舶及び航空機等の検疫については、特に指示する場合を除き、左記により遺憾のないよう期せられたい。

1 汚染地域について

コレラの汚染地域については、世界保健機関(WHO)の国際保健規則に基づく検疫伝染病情報により運用されているところであるが、本情報は遅延することもある実情を考慮し、当該情報による場合の外、在外公館等の信頼し得る情報によって、客観的にコレラの発生又は流行があると確認された場合においても、その情報に係る地域を汚染地域として取扱って差支えないこと。

2 検疫前の通報について

(1) コレラの汚染地域に含まれる海空港(以下「コレラの汚染地域」という。)を発航(当該海空港に奇航したものも含む。以下同じ。)してから五日以内にわが国に来航する船舶又は航空機(以下「船舶等」という。)に対しては、特に検疫法(以下「法」という。)第六条に規定する検疫前の通報を励行させること。

(2) 前記の通報によって船舶等がコレラの汚染地域に碇泊し、又は停止(以下「停泊」という。)していた間及びわが国に来航する途上において当該船舶等の乗客、乗組員(以下「乗客等」という。)に下痢、嘔吐等のコレラを疑わせる症状を呈した者があったか又は現にそれらの症状を呈している者があることを知った場合には、検疫所長(検疫所の支所又は出張所の所長を含む。以下同じ。)は極力当該船舶等が検疫区域に到着する以前にその詳細について照会するとともに、必要と認めるときは、汚染したおそれのある者に関する接触制限、食器の消毒、便所の専用及び消毒、汚物、汚水の海中投棄禁止等予防上の措置を指示すること。

3 湾内等の汚染防止について

コレラの汚染地域を発航してから五日以内にわが国に来航する船舶が、次に掲げる湾又は内海に入る場合においては、当該湾内及び内海の汚染を防止するため、その入口附近に到着してから検疫手続が開始されるまでの間、当該船舶に対し便所の閉鎖、汚物、汚水の投棄禁止等所要の措置を確実に行わせるよう指示すること。

なお、その他の港湾等についても検疫所長が必要と認める場合は、これらに準じて取扱うこと。

(1) 東京湾

(2) 伊勢湾

(3) 大阪湾

(4) 鹿児島湾

(5) 瀬戸内海

4 名簿類の要求について

コレラの汚染地域を発航した船舶等若しくは、コレラの汚染地域より来た者を乗せている等の理由により、検疫上の措置を採るための必要上、当該船舶等の長に対して、法第一一条第二項に基づく乗組員名簿、乗客名簿又は積荷目録の提出を求めるに当っては、その理由を明確に告げるとともに、その所要数を必要最少限度に止めること。ただし、この場合それ以外のものであっても当該名簿、目録に記載されている事項をは握できるものがあれば、それを利用しても差支えないこと。

5 質問について

コレラの汚染地域を発航し、又は、コレラの汚染地域より来た者を乗せて来航した船舶等に対しては、検疫を行うに当り、当該汚染地域に停泊し、又は滞在していた間、若しくは当該汚染地域発航後わが国に来航する途上において下痢、嘔吐のコレラを疑わせる症状を呈した者があったか若しくは現にそれらの症状を呈している者があるか、当該船舶等がコレラの汚染地域において食糧、飲料水等を補給したか、病原菌搬入防止上注意を払うべき貨物を積み込んだか等に関して必らず質問を行い確認しておくこと。ただし、この場合乗客等に対する下痢、嘔吐等に関する保健上の質問については、該当者が多く当該船舶内でこれを行うと混乱を生じ、手続の遅延を起すおそれがあると認められるときは、次により質問票を使用して行うことができるものとすること。

6 質問票について

5の場合の質問票は別紙様式によるものとし、その取扱いは次のとおりとすること。

(1) 本質問票を使用するに当っては、その趣旨を関係方面に対し十分周知徹底させておき、誤解等の起らぬよう注意するとともに、使用に当ってはできる限り、わが国に到着前の時点であらかじめ乗客等に配付し、航行中に到着時の質問事項を熟知させる方法を講じておくこと。

(2) 本質問票の記入は、原則として検疫官が記入するものとするが、自発的な協力によって乗客等が記入することは差支えないこと。

7 診察及び検査等について

(1) コレラの汚染地域に停泊若しくは滞在していた間、又は当該地域を発航してからわが国に来航する途上において、下痢、嘔吐等コレラを疑わせる症状を呈した者又は現にそれらの症状を呈している者を発見した場合は、その症状が軽微なものであっても慎重に取扱い、それらの者に対しては採便の上細菌血清学的検査(以下「細菌検査」という。)を行うこと。ただし、この場合それらの者との接触関係等により、感染のおそれがあると検疫所長が認める者に対しても、採便の上細菌検査を行うことができるものとすること。

(2) その他コレラの汚染地域から五日以内にわが国に到着した者等で、コレラに汚染したおそれがあると検疫所長が認める場合は、採便の上細菌検査を行うことができるものとすること。

(3) コレラの汚染地域から到着した者で、当該船舶から上陸し、又は当該航空機から離れる(以下「上陸」という。)ことを許可する場合は、それらの者に対し一定期間内に健康状態に異常を生じたときは、早期に医師の診察を受けるよう注意を喚起するとともに、その担当医師の診断上の参考に供する等、予防上遺憾のないよう図ることを目的とし、「健康カード」(昭和四五年四月一五日衛発第二六八号、本職通知)を交付すること。

8 細菌検査実施中の措置について

(1) 前記7の(1)に該当する理由によって細菌検査を行った場合、当該検査に付された者に対しては、その検査の結果が判明するまでは、当該船舶等内若しくは検疫所長が指定する場所又は検疫所長が適当と認めて許可する場合に留めておき、当該船舶等については予防上必要な措置が完了しない限り入港、上陸、物の陸揚げを禁止すること。ただし、この場合前記の細菌検査に付された者が当該船舶等以外の場所に移され、かつ当該船舶等に対して予防上必要な措置を完了したときは、当該船舶等に対し仮検疫済証を交付し、当該船舶等の乗客等に対しては、監視に付すること。

(2) 前記7の(2)に該当する理由によって細菌検査を行った場合、その検査の結果が判明するまでは、当該検査に付された者に対しては監視に付し、当該船舶等に対しては、予防上必要な措置を採った後、仮検疫済証を交付すること。

(3) 細菌検査続行中にある者が船舶等内に留まっている場合は、当該検査の結果が判明するまでの間当該船舶等に対し便缶の配置、汚物、汚水の投棄禁止等の予防措置を採ること。

(4) 細菌検査続行中の理由により検疫中に属する船舶等について、台風その他止むを得ない理由によって緊急にその場所を移動させる必要が生じたときは、検疫所長は当該船舶等に対して予防上必要な措置を指示し、また当該船舶等の衛生状態を監督させる必要があると認めるときは、検疫官を乗船させること。

9 関係通ちょうの廃止

昭和四二年三月八日衛発第一五七号「コレラ汚染地区より来航する船舶等に対する検疫上の取扱いについて」の通ちょうは昭和四九年一月一日以後廃止する。

〔別紙様式〕