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○B型肝炎の予防方法について

(昭和六〇年五月一六日)

(健医感発第二二号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省保健医療局感染症対策課長通知)

近年肝疾患による死亡者数ほ年々増加傾向にあり、なかでも今後の公衆衛生の重要課題と言われるウイルス肝炎については、我が国にはHBs抗原持続陽性者(以下「HBVキァリア」という。)が二○○~三○○万人存在し、発生する急性肝炎患者の三分の一はB型肝炎ウイルスによるものと言われており、B型肝炎を予防するために国民的努力が払われることの必要性が認識されつつある。一方、最近の医学の進歩に伴い、B型肝炎に関する知見も豊富となり「抗HBsヒト免疫グロブリン」(以下「HBIG」という。)、B型肝炎ワクチン(以下「HBワクチン」という。)の実用化と相俟つて種々の予防方法が可能となつてきた。

予防方法の基本は、一つは健常者がB型肝炎ウイルスに感染するのを防止すること(以下「感染予防」という。)であり、もう一つは現在B型肝炎ウイルスに感染しているものの病状の進行を止め、治癒に向かわせること(以下「疾病増悪予防」という。)である。

感染予防の方法については、B型肝炎ウイルスに汚染された血液、体液に接するのを避けることにまず留意させるとともに、汚染された血液、体液に接する機会の多い集団に対しては、HBIG又はHBワクチンを予防的に投与することが考えられ、これらの予防方法により、HBVキャリアの母親から新生児への感染防止、HBVキャリアから家族内の他の者への感染防止、HBVキャリアから医療施設内の他の者への感染防止及びHBVキャリアから医療施設以外の諸施設の他の者への感染防止が可能である。

また、疾病増悪予防の方法については、現在研究段階にある部分が多く、HBVキャリアの病状の進行を止め治癒に向かわせるための確立された方法はないが、少なくとも、HBVキャリアが病状進行を早期に把握するため何時でも肝機能の検査を受けたり健康面の相談ができる体制が必要である。

これらのうち、HBVキャリアの母親から新生児への感染防止については、本年六月よりB型肝炎母子感染防止事業が実施されることとなつており、他の予防方法についても、B型肝炎に関する正しい知識の普及啓蒙が基本となるので、今般、別添のとおり、肝炎対策推進協議会及び肝炎研究連絡協議会の多年の研究成果をとりまとめたところである。

貴職におかれては、これらの成果がB型肝炎予防のための衛生思想の確立に的確に結びつくよう活用されるとともに、特に医療が行われる施設に対しては、「B型肝炎医療機関内感染対策ガイドライン」(昭和五五年一一月一日、B型肝炎研究班)と併せ、B型肝炎の日々の診療等に的確に反映されるよう予防方法の周知徹底を図られたい。

別添略