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○調理師法の施行について

(昭和三四年二月二八日)

(発衛第一〇二号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)

調理師法(以下「法」という。)は、去る第二八国会において成立し、昭和三三年法律第一四七号をもつて公布、同年一一月九日から施行され(調理師法の施行期日を定める政令(昭和三三年政令第三○二号))これに基き調理師法施行令が昭和三三年政令第三○三号をもつて公布、同年一一月九日から施行され、また、調理師法施行規則が昭和三三年厚生省令第四六号をもつて公布即日施行され、調理師講習基準、調理師試験基準及び調理師特例講習基準がそれぞれ昭和三四年一月厚生省告示第一二号、第一三号及び第一四号をもつて公布即日施行されることとなつたが、これが運用に関しては、特に、次の事項に留意のうえ、遺憾なきを期せられたく、命によつて通知する。

第一 法制定の趣旨

近時、国民生活の向上に伴い、その食生活も豊富となり、飲食物を調理して供与する施設又は営業において調理の業務に従事する者の任務もこれに伴つて増大をみつつあり昭和三二年四月現在において、全国四六都道府県のうち三八都道府県が調理師に関する条例を制定している状況である。このような現状にかんがみ、国民の食生活の向上に資するため、調理師の資格等を定め、調理の業務に従事する者の資格を向上させ、調理技術の向上を図ろうとするものである。

第二 法の要点

一 調理師の免許は、一定の資格を具備した者に対して、都道府県知事が与えること。(法第三条及び第四条)

二 都道府県に調理師名簿を備え、免許は調理師名簿に登録することによつて行うこと。(法第五条)

三 欠格要件に該当したときは免許を取り消すものとし、又は本人の責に帰すべき理由により、調理の業務に関し衛生上重大な事故を発生させたときは、免許を取り消すことができること。

(法第六条)

四 調理師でなければ、調理師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないこと。(法第八条)

五 調理師は、調理師会を組織することができること。(法第九条)

六 昭和三三年一一月九日現在において、都道府県知事の免許を有する者は、昭和三六年一一月八日までは、この法律による免許を受けた者とみなすこと。(法附則第二項)

七 都道府県知事は昭和三三年一一月九日現在において、都道府県知事の免許を有する者又は法施行前に五年以上の調理業務の経験を有する者であつて厚生大臣の定める基準による都道府県知事の行う講習を修得したものに対しては、当分の間調理師の免許を与えることができること。(法附則第三項)

第三 法運用上の留意点

一 免許及び登録に関する事項

一 調理師の免許を受けることのできる者は、法第三条第一項各号の一に該当する者であること。

二 調理師名簿の登録は、調理師の住所地の都道府県知事が行うものであるが、調理師が一の都道府県の区域から他の都道府県の区域内に住所を移転しても、これに伴つて移籍は行わないものであること。したがつて現住所を把握する必要が生じたときは、補助簿等を作成し、これにより整備すること。

三 都道府県知事は、他の都道府県知事から免許を与えられた調理師が、法第四条第一項又は第二項に該当するに至つたと認めたときは、その該当すると認められる事由に意見を附して、免許を与えた都道府県に通知すること。

四 附則第二項の都道府県知事の免許による調理士又は調理師である者又は附則第三項の法施行前に五年以上多数人に対して飲食物を調理して供与する営業又は施設で調理の業務に従事した者に対する特例講習は、法施行後三年を経過しても、別に指示するまでは、行つて差し支えないものであること。

二 名称の制限に関する事項

一 現に調理の業務に従事している者であつても、法附則第二項に該当する者を除き、法第三条第一項の免許を得た者でなければ調理師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないので、誤解のないよう指導すること。

二 法附則第二項に該当する者は、昭和三六年一一月八日までは、何等の手続を要せず、調理士又は調理師と称することができるものであること。

三 ふぐ調理士条例等に基き法施行の際都道府県知事からふぐ調理士等の免許を受けている者は、法附則第二項に該当するものであること。

三 調理師会に関すること。

一 法第九条の趣旨は、各業態を通じ都道府県ごとに一つの調理師会を組織させることであるから、そのように指導、育成すること。ただし、会を組織することは、あくまでも会員の自由意志によるものとし、行政庁としては、その設立又は運営について積極的に関与する必要はないこと。

二 調理師会は、法人組織とすることが望ましいが、確実なものであれば任意団体であつても差し支えないこと。