添付一覧
○栄養表示基準の活用のための相談指導業務等について
(平成一二年三月三〇日)
(健医地生発第二二号・衛新第一八号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課生活習慣病対策室長・厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長通知)
栄養表示基準に係る栄養指導等については、かねてより保健所の相談窓口等において御協力頂いているところであるが、今般、第六次改定日本人の栄養所要量が取りまとめられたことに伴い、下記により、今後とも御協力方よろしくお取りはからい願いたい。
なお、「栄養表示基準の活用のための相談指導業務について」(平成八年六月二八日健医健発第五四号・衛新第六〇号)は廃止する。
記
一 保健所における相談窓口の活用について
栄養表示基準の望ましい運用を図るため、保健所等に窓口等を設置し、表示の普及啓発及び活用のため、消費者及び食品業者に対する適正な指導に努められたいこと。
二 栄養改善指導の担当者について
栄養表示基準制度に関する消費者の栄養改善指導に係る業務については、栄養指導員があたるものとする。また、必要に応じて医師、管理栄養士、食品衛生監視員等が相談指導等を行うものとすること。
三 消費者等に対する栄養表示の活用に係る指導内容について
消費者に対し、食品の栄養表示を活用し、健康づくりに役立てるよう指導されたいこと。なお、栄養指導に当たっては、「第六次改定日本人の栄養所要量―食事摂取基準―の取り扱いについて(平成一一年九月九日健医地生発第四九号)」を参考に、また、健診のデータ等から判断されるその者の健康状況等を総合的に勘案し、適切な栄養指導が行われるべきであるが、このような機会のない消費者の目安としては、別紙「栄養素等摂取目安量」があり、食品に栄養成分の割合の表示を行う場合は、この栄養素等摂取目安量を基にするよう関係事業者等を指導するとともに、その旨の消費者に対する指導されたいこと。
四 「栄養素等摂取目安量」の変更点及び活用の留意点
(1) 「第六次改定日本人の栄養所要量―食事摂取基準―」(以下「食事摂取基準」という。)が示され、国際的動向や最新の科学的知見を踏まえ、ビタミンやミネラルについては策定栄養素の種類がそれぞれ一三項目に拡大されたことに伴い、栄養成分項目を拡大したこと。
(2) 年齢区分を「六歳未満」及び「六歳以上」にしたこと。
(3) 「栄養素等摂取目安量」の活用に当たっては、「食事摂取基準」を参考に、許容上限摂取量が策定されている栄養素については、過剰摂取の予防に配慮すること。
五 栄養機能食品の相談、指導の留意点の追加
栄養機能食品に関する指導は、高齢者、食生活の乱れ等により通常の食生活を行うことが困難な者等に対し、不足しがちな栄養成分の補給・補完に関して行うことが通例であることから、当該食品の相談・指導に当たっては、消費者の食生活の状況等を十分勘案し、その状況に応じた食品の提供及び適正な摂取方法等について御指導をお願いする。特に、栄養機能食品は、限度量内において一日当たり摂取目安量が示されていることからも、消費者に対してはその摂取目安量を安全性の観点からも厳守するよう御指導をお願いする。
六 保健所における普及活用の実施方法
(1) 市町村の栄養改善及び保健指導担当者に本制度の主旨の徹底を図ること。
(2) 食品業者等に対し、本制度の啓発普及を行うこと。
(3) 集団給食施設等に対し、本制度の啓発普及を行うこと。
(4) 食生活改善に関係する地区組織及び団体に対し、本制度の主旨の徹底を図ること。
(5) 一般住民等に対しては、保健所において開催する各種講習会、講演会、研修会、展示会等の機会に本制度の啓発普及を行うとともに、新聞、ラジオ、テレビ、広報誌等のマスメディアの利用を図ること。
別紙
栄養素等摂取目安量
|
年齢区分 |
6歳未満 |
6歳以上 |
栄養成分 |
|
|
|
エネルギー(kcal) |
1,200 |
2,000 |
|
たんぱく質(g) |
40 |
60 |
|
脂質(g) |
40 |
50 |
|
炭水化物(g) |
160 |
300 |
|
ナトリウム(mg) |
2,000 |
4,0001) |
|
カルシウム(mg) |
500 |
700 |
|
鉄(mg) |
8 |
12 |
|
リン(mg) |
600 |
800 |
|
マグネシウム(mg) |
80 |
3002) |
|
カリウム(mg) |
1,000 |
2,000 |
|
銅(mg) |
1 |
1.8 |
|
ヨウ素(μg) |
80 |
150 |
|
マンガン(mg) |
2.5 |
4 |
|
セレン(μg) |
35 |
50 |
|
亜鉛(mg) |
6 |
10 |
|
クロム(μg) |
18 |
30 |
|
モリブデン(μg) |
7 |
25 |
|
ビタミンA(μg) |
300 |
540 |
|
(IU) |
1,000 |
1,800 |
|
ビタミンD(μg) |
10 |
2.5 |
|
(IU) |
400 |
100 |
|
ビタミンE(mg) |
6 |
10 |
|
ビタミンK(μg) |
20 |
55 |
|
ビタミンB1(mg) |
0.6 |
1 |
|
ビタミンB2(mg) |
0.8 |
1.1 |
|
ナイアシン(mg) |
8 |
15 |
|
ビタミンB6(mg) |
0.7 |
1.5 |
|
葉酸(μg) |
80 |
200 |
|
ビタミンB12(μg) |
0.8 |
2.4 |
|
ビオチン(μg) |
10 |
30 |
|
パントテン酸(mg) |
3 |
5 |
|
ビタミンC(mg) |
50 |
100 |
・エネルギー量は、生活活動強度Ⅱ(やや低い)の値を用いた。
・性別、年齢別に算出した1,000kcal当たりの栄養素量及び栄養所要量から算出した値を参考とした。
・脂肪エネルギー比は、6歳未満においては総エネルギー比の30%、6歳以上については総エネルギー比の25%とした。
・炭水化物の量は、〔(総エネルギー)-たんぱく質(g)×4(kcal))-(脂質(g)×9(kcal))〕÷4(kcal)として算出した。
使用するに当たり注意する事
1) 食塩摂取量については、高血圧を予防する観点から、成人(15~69歳)の場合10g/日未満(0.15g/体重kg未満)に努めること。
2) マグネシウムの摂取量については、6~8歳の許容上限摂取量が250mg/日であることを十分に留意すること。