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○栄養改善法施行規則の一部改正について

(平成三年七月一一日)

(衛新第六四号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省生活衛生局長通知)

栄養改善法施行規則(昭和二七年厚生省令第三七号。以下「規則」という。)の一部が、別添のとおり平成三年七月一一日厚生省令第四一号をもって改正されたので、左記の事項に十分留意の上、貴管下関係者に対する周知徹底をはじめ、その運用に遺憾のないようにされたい。

1 改正の趣旨

近年の食品分野における科学技術の進歩にともない、食品及び食品成分と健康とのかかわりについて様々な知見が明らかになってきており、食生活においてもこれらの知見に基づいたある種の保健の効果が期待される食品が出現してきている。

一方、このような食品が科学的な評価を受けることなく流通販売された場合、国民の食生活をゆがめ、健康上の弊害をもたらすことが考えられる。

そこで、特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品を栄養改善法(昭和二七年法律第二四八号)第一二条及び同法第一七条の二に規定する乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示をする食品の中に位置づけ、国民にとって保健上有用な食品が適切に選択されるよう、正しい情報の提供を図り、もって国民の栄養改善に資することとし、当該表示の申請書に記載すべき事項及び当該表示の許可(承認を含む。以下同じ。)を受けた者が当該食品に表示すべき事項を定めるとともに、その他所要の改正を行ったものである。

2 改正の要点

(1) 用語の定義

ア 栄養成分の補給ができる旨の表示をする食品を「強化食品」としたこと。

イ 乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示をする食品を「特別用途食品」としたこと。

ウ 特別用途食品のうち、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をするものを「特定保健用食品」としたこと。

(2) 特別用途食品の申請書の記載事項

ア 「カロリー量」を「エネルギー量」としたこと。

イ 特定保健用食品の申請書にあっては、改正前の規則第八条第一項に掲げる事項のほか、次の事項を記載することとしたこと。

(ア) 当該食品が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由

(イ) 摂取量

(ウ) 摂取をする上での注意事項

(3) 特別用途食品の表示事項

ア 「カロリー量」を「エネルギー量」としたこと。

イ 特定保健用食品にあっては、改正前の規則第九条第一項に掲げる事項のほか、次の事項を表示することとしたこと。

(ア) 品質保持期限(食品の製造後、定められた保存の条件において、その品質の保持が可能な期限をいう。)

(イ) 特定保健用食品である旨

(ウ) 内容量

(エ) 摂取量

(オ) 摂取をする上での注意事項

3 運用上の留意事項

(1) 改正後の規則第八条第一項第六号の「特定保健用食品」の指導及び取扱いについては、「特別用途食品の表示許可について」(昭和四六年衛発第二二二号厚生省公衆衛生局長通知)、「特別用途食品の表示許可について」(昭和四八年衛発第七八一号厚生省公衆衛生局長通知)等既往の通知において示した特別用途食品の指導及び取扱いにかかわらず、別添の「特定保健用食品許可指導及び取扱い要領」によることとしたこと。

(2) 改正後の規則第八条第一項第五号に規定する「強化食品」の指導及び取扱いについては、従来どおり「特別用途食品の表示許可について」(昭和四六年衛発第二二二号厚生省公衆衛生局長通知)によるものであること。

(3) 改正後の規則第八条第一項第六号に規定する「特別用途食品」(特定保健用食品を除く。)の指導及び取扱いは、従来どおり「特別用途食品の表示許可について」(昭和四六年衛発第二二二号厚生省公衆衛生局長通知)及び「特別用途食品の表示許可について」(昭和四八年衛発第七八一号厚生省公衆衛生局長通知)によるものであること。

(4) 改正後の規則第九条第一項第九号に規定する品質保持期限は、特定保健用食品の保健の用途に関与する成分に関する栄養学上の品質の保持が可能な期限をいうものであること。

なお、この場合の「定められた保存の条件」は、表示をする者が当該食品の保存に適切な方法として定めた条件をいうものであること。

4 施行期日

改正後の栄養改善法施行規則は、平成三年九月一日から施行することとしたこと。

5 その他

この省令改正に基づき、次の通知は別表のとおり改正するものであること。

(1) 「特殊栄養食品の表示許可について」(昭和四六年衛発第二二二号厚生省公衆衛生局長通知)

(2) 「栄養改善法施行規則の一部改正について」(昭和四八年衛発第三四九号厚生省公衆衛生局長通知)

(3) 「特別用途食品の表示許可について」(昭和四八年衛発第七八一号厚生省公衆衛生局長通知)

別添・別表 略

〔別添〕

特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領

1 目的

この要領は、特定保健用食品に係る食品衛生法(昭和22年法律第233号)第7条第1項の規定に基づく食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月厚生省告示第370号)第1A第5款の審査並びに栄養改善法(昭和27年法律第248号)第12条第1項の許可及び同法第15条第1項の承認(以下「審査等」という。)に際しての表示、申請手続、審査方法等の取扱いを定めるとともに、特定保健用食品の表示の許可又は承認(以下「許可等」という。)後の取扱い及び監視指導の方法について定めることにより、保健機能食品制度の円滑な運用に資することを目的とする。

2 用語の定義

この要領における用語の定義は、次に定めるところによる。

(1) 特定保健用食品

栄養改善法第12条第1項の許可又は同法第15条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品をいう。

(2) 保健の用途

表示される保健の効果に基づく特定の保健の用途をいう。

(3) 関与成分

特定の保健の目的に資する栄養成分をいう。

(4) 表示

食品の小売り用容器包装に記載された文字、図形等をいう。容器包装を透かして容易に見ることができる内部に記載された文字、図形等及び食品に添付される説明書等に記載された文字、図形等も表示とみなす。

(5) 栄養所要量

平成11年6月に厚生省(当時)が公表した「第六次改定日本人の栄養所要量」をいう。

3 表示

(1) 表示事項

記載については、次の点に留意すること。

ア 商品名

許可等申請書中の商品名どおりに表示すること。

イ 許可証票又は承認証票

栄養改善法施行規則(昭和27年厚生省令第37号)別記様式第3号の2による許可証票又は同別記様式第3号の4による承認証票を表示すること。

ウ 許可等を受けた表示の内容

許可等を受けた表示の内容のとおり表示すること。

その際には、許可等を受けた表示の一部分のみの記載としないこと。

エ 栄養成分量及び熱量

栄養成分量及び熱量の表示は、次の点に留意すること。

(ア) 栄養成分量及び熱量については、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質及び食物繊維の表記をもってこれに代える場合にあっては、糖質及び食物繊維。以下同じ。)、ナトリウム及び関与成分の100g若しくは100ml又は1食分、1包装その他の1単位当たりの含有量を表示すること。

なお、記載順は、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム及び関与成分の順とすること。

(イ) (ア)以外の栄養成分(栄養表示基準(平成8年5月厚生省告示第146号)別表第1に掲げるものに限る。)を表示する場合は、その100g若しくは100ml又は1食分、1包装その他の1単位当たりの含有量をナトリウムの量と関与成分の量の間に表示すること。

(ウ) 栄養成分量及び熱量は、試験検査機関による分析結果等を参考として適切に表示すること。その際、関与成分以外の栄養成分については、原則として一定値で表示すること。

また、関与成分の量については、品質保持期限又は消費期限を通じて含有する値とすること。

オ 原材料の名称

(ア) 製造に使用したすべての原材料(添加物を含む。以下同じ。)を表示すること。

(イ) 添加物の表示は、食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)第5条に定める方法によること。ただし、栄養強化の目的で使用した添加物の名称も記載すること。

(ウ) 栄養強化の目的で使用した添加物以外の添加物を除く原材料の名称は、配合割合の多い順に記載すること。

カ 特定保健用食品である旨

「保健機能食品(特定保健用食品)」と記載すること。

キ 内容量

1包装中の重量又は容量を表示すること。小分け包装されているものにあっては、小分け包装中の重量又は容量及び小分け包装の個数を表示すること。

ク 摂取をする上での注意事項

審査申請に添付した資料及び許可等申請書中の「摂取をする上での注意事項」に記載した内容を表示すること。

ケ 一日当たりの摂取目安量

保健の効果及び過剰摂取障害の防止の観点から審査申請書に添付した資料に記載した食品の一日当たりの摂取目安量(以下「一日摂取目安量」という。)を表示すること。

コ 一日摂取目安量に含まれる当該栄養成分の当該栄養所要量に対する割合

関与成分が栄養所要量の定められている成分である場合、一日摂取目安量に基づき当該食品を摂取したときの関与成分摂取量の当該栄養所要量に対する充足率を百分率又は割合で表示すること。

サ 摂取、調理又は保存の方法に関し、特に注意を必要とするものにあっては、その注意事項

許可等申請書に記載した内容を表示すること。

シ 許可等を受けた者が製造者以外の者であるときは、その許可等を受けた者の営業所所在地及び氏名(法人にあっては、その名称)

(ア) 当該許可等を受けた者の住所の表示は、住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)に基づく住居表示に従って住居番号まで記載すること。

(イ) 申請者が輸入業者である場合にあっては、輸入業者である旨を記載するとともに、申請者の住所及び氏名を記載すること。

ス 品質保持期限又は消費期限、保存の方法、製造所所在地及び製造者の氏名の表示方法については、「食品衛生法に基づく表示について(昭和54年11月8日付環食第299号厚生省環境衛生局長通知)」の「食品衛生法に基づく表示指導要領」等に基づき適切に記載すること。

(2) 保健の用途の表示の範囲

保健の用途の表示は、健康の維持、増進に役立つ、又は適する旨を表現するものであって、例えば、次に掲げるものであることとし、明らかに医薬品と誤認されるおそれのあるものであってはならないこと。

ア 容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨

イ 身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨

ウ 身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨

(3) 表示の取扱い

ア (1)に掲げる表示事項は、次の場合を除き邦文をもって記載すること。英文又はローマ字の記載は認めないこと。

(ア) 「株式会社」を表す「KK」とする場合

(イ) 単位を表す記号、例えばmg、IU等の場合

イ (1)に掲げる表示事項は、一括して表示する等読みやすいように表示すること。

なお、一括して表示するに当たっては、次のように取り扱って差し支えないこと。

(ア) 表示項目名について、次のように簡略に記載すること。

a 「製造所所在地及び製造者氏名」を「製造者」とすること

b 「許可を受けた表示の内容」を「許可表示」とすること

c 「栄養成分量及び熱量」を「成分分析表」とすること

d 「原材料の名称」を「原材料名」とすること

e 「摂取をする上での注意事項」を「摂取上の注意」とすること

f 「摂取、調理又は保存の方法に関し、特に注意を必要とする事項」を「摂取、調理又は保存方法の注意」とすること

g 「許可を受けた者が製造者以外の者であるとき、当該許可を受けた者の営業所所在地及び氏名」を「販売者」又は「許可を受けた者」とすること

(イ) 商品名、特定保健用食品である旨及び許可等の証票の表示を一括表示以外の見やすい箇所に記載すること。

(ウ) 消費期限又は品質保持期限の表示について、一括表示内に「○○に記載」と表示した上で、見やすい箇所に品質保持期限△△等と記載すること。

(エ) 表示する内容がない場合に、表示項目名を含め、記載を省略すること。

ウ 審査等に際して、表示につき条件が示された場合は、これに従うこと。

エ 表示は、審査等において認められた表示の範囲内とすること。

オ 虚偽又は誇大な表示、消費者に誤解を与える表示を行わないこと。

4 審査等の申請手続

(1) 審査申請書及びその添付資料の留意事項

ア 申請書の様式は、特定保健用食品の安全性及び効果の審査の手続(平成13年厚生労働省告示第96号。)の別記様式によること。

イ 審査申請書の記載上の留意事項

申請者の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所の所在地、その名称及び代表者の氏名)を正確に記載すること。

ウ 添付資料の留意事項

別紙「添付資料作成上の留意事項」に基づき、正確に記載すること。

エ 審査申請は、原則として商品名ごとに行うこと。したがって、同一食品でも商品名が異なれば別申請となること。

(2) 許可等申請書及び添付資料の留意事項

ア 許可申請書にあっては別紙様式1、承認申請書にあっては別紙様式2によることとし、その記載に当たっては、次の事項に留意すること。

(ア) 申請者の氏名、住所及び生年月日

申請者の氏名、住所及び生年月日(法人の場合は、その名称、主たる事務所の所在地、代表者の氏名)を正確に記載すること。

(イ) 営業所の名称及び所在地

主たる営業所の名称及び所在地を記載し、併せて製造所の名称及び所在地を付記すること。

(ウ) 商品名

同一食品でも商品名が異なれば別品目として許可申請を行うこと。

(エ) 消費期限又は品質保持期限

定められた方法により保存した場合において品質が急速に劣化しやすい食品にあっては消費期限である旨、それ以外の食品にあっては品質保持期限である旨を明記し、消費期限又は品質保持期限の設定方法についても記載すること。

(オ) 内容量

1包装中の重量又は容量を表示すること。小分け包装されているものにあっては、小分け包装中の重量又は容量及び小分け包装の個数を記載すること。

(カ) 許可等を受けようとする理由及び食品が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由

製品開発の経緯を含め、食品が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由を具体的に記載すること。

(キ) 許可等を受けようとする表示の内容

保健の用途に適する旨の表示を具体的に記載すること。

(ク) 原材料の配合割合

a 製造に使用するすべての原材料と、その配合数量及びその配合数量によって製造される製品の重量を記載すること。

b 配合する原材料の名称は一般名称を用い商品名は用いないこと。

添加物の名称については、食品衛生法施行規則別表第2又は既存添加物名簿(平成8年4月厚生省告示第120号)において記載されている名称により記載すること。なお、栄養強化の目的で使用した添加物についても記載すること。

c 食品衛生法の規定により使用基準が定められている添加物にあっては、基準が遵守されていることを確認するため、その純度等を記載すること。

(ケ) 製造方法

製造方法を具体的に記載し、特に加工工程において関与成分、ビタミン等を添加する時期、添加後の加熱温度その他の製造条件を詳細に記載すること。

(コ) 栄養成分量及び熱量

試験検査機関の分析結果等を基に、当該食品に表示する熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム及び関与する成分の含有量を記載すること。

(サ) 一日当たりの摂取目安量

保健の効果及び過剰摂取障害の防止の観点から申請書に添付した資料に基づき一日摂取目安量を算定して記載すること。

(シ) 摂取をする上での注意事項

過食による過剰摂取障害の発生が知られているもの又はそのおそれがあるものは、審査等申請書に添付した資料に基づき記載すること。

(ス) 摂取、調理又は保存方法に関し、特に注意を必要とするものにあっては、その注意事項

a 摂取及び調理の方法について、特に注意を必要とするものを具体的に記載すること。

b 許可を受けようとする食品の保存の方法に関し、保存上の注意として関与成分に関する栄養学上の品質の保持に必要な保存方法を記載すること。

(セ) その他

a 消費期限又は品質保持期限、製造所所在地、製造者氏名(法人の場合は、その名称)等について、表示方法を記載すること。

b aについて、省略又は略号、記号で表示する場合は、その旨及び当該製造所所在地、製造者の氏名並びにその固有記号を併記すること。

イ 添付資料

許可等申請書に添付する資料については、審査申請において必要な書類を提出することとなることから、特に要しないこと。

(3) 申請時の注意事項

ア 審査等を受けようとする者は、審査申請書(添付資料を含む。以下同じ。)及び承認申請書にあっては厚生労働省医薬局食品保健部企画課新開発食品保健対策室(以下「対策室」という。)に必要事項を記載した申請書を添付資料とともに直接送付又は持参し、許可申請書にあっては主たる営業所の所在地の都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下同じ。)を経由して厚生労働大臣に提出すること。

イ 審査等申請書の提出部数は、審査申請書及び承認申請書にあっては食品の種類毎に正本1部副本1部、許可申請書にあっては正本1部副本2部とすること。

ウ 表示の許可等に係る手数料のうち国庫に納付すべきものについては、栄養改善法施行令(昭和59年政令第138号)第2条第1号に定める額に相当する額の収入印紙を許可等申請書の正本に貼付して納入すること。なお、貼付した収入印紙には押印等を行わないこと。

エ 審査申請書については、許可等申請書の提出を行った後に提出し、許可等申請書の写しを参考として添付すること。

(4) 許可申請書の進達

ア 許可申請書の提出を受けた都道府県知事は、4の(2)に示した留意事項を踏まえて、許可申請書の不備の有無を点検の上、適当と認められるものを別紙様式3により厚生労働大臣に進達すること。

イ 許可申請書の内容に不備がある場合は、理由を伝えて速やかに申請者に返戻すること。

5 製品見本の試験検査

(1) 試験検査の依頼

製品見本の試験検査は、審査等申請書の写しを添付して、申請者が直接、独立行政法人国立健康・栄養研究所(以下「研究所」という。)に持ち込む。

検査依頼の際には、栄養改善法施行令第2条第2号に定める額を研究所に納付するものとする。

具体的な試験検査依頼の方法は、研究所の定める方法に従う。

(2) 検査成績書の提出

研究所が発行した検査成績書については、その原本を対策室長に提出する。

6 審査

(1) 審査の手順

ア 対策室において申請書を受け付け、申請書及び添付資料の確認を行った後、薬事・食品衛生審議会(以下「審議会」という。)において審査を行う。

イ 審査の結果、審議会の了承が得られたものについては、許可等の必要な事務手続を行うものとする。

(2) 標準的事務処理期間

特定保健用食品の保健の用途、安全性等の審査及び表示の許可等に要する標準的事務処理期間は、申請書が受理された日から6か月とする。

ただし、本期間に提出された書類、添付資料等に不備があり、これを申請者が修正するのに要する期間及び審議会における指摘事項に対し申請者が回答するまでの期間は含まないものとする。

7 許可等の要件

次の要件に適合するものについて許可等を行うものであること。

(1) 食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであること。

(2) 食品又は関与成分について、保健の用途の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること。

(3) 食品又は関与成分についての適切な摂取量が医学的、栄養学的に設定できるものであること。

(4) 食品又は関与成分が、添付資料等からみて安全なものであること。

(5) 関与成分について、次の事項が明らかにされていること。ただし、合理的理由がある場合は、この限りでない。

ア 物理学的、化学的及び生物学的性状並びにその試験方法

イ 定性及び定量試験方法

(6) 同種の食品が一般に含有している栄養成分の組成を著しく損なったものでないこと。

(7) まれにしか食されないものでなく、日常的に食される食品であること。

(8) 食品又は関与成分が、昭和46年6月1日付け薬発第476号薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれるものでないこと。

8 許可書及び承認書の交付

(1) 特定保健用食品として許可したものは、別紙様式4の許可書を進達元の都道府県知事へ送付し、当該都道府県知事から申請者に交付する。

(2) 特定保健用食品として承認したものは、別紙様式5の承認書を直接申請者に交付する。

(3) なお、許可書又は承認書は、審査手続を経た後に送付又は交付するものとする。

9 許可後の取扱い

(1) 変更事項の届出等

ア 変更事項の届出

許可等が行われた食品について、次のような変更事項があった場合は、別紙様式6により、許可を受けたものにあっては都道府県知事を経由して、承認を受けたものにあっては直接、対策室に届書を提出すること。

(ア) 個人、法人の同一性が確保されている範囲内での申請者の氏名又は住所(法人にあっては、その名称、主たる事務所の所在地)の変更

定款、その他当該変更が適当であることを明らかにする資料を添付すること。

(イ) 消費期限又は品質保持期限の変更

消費期限又は品質保持期限を延長する場合は、変更後の消費期限又は品質保持期限における安定性試験成績書を添付すること。

(ウ) 許可を受けた者の変更がない場合における製造所所在地又は製造者氏名(法人の場合は、その名称)の変更

変更後の製造委託契約書、製造所の構造設備等品質管理に関する資料を添付すること。

(エ) 製品の同一性を失わず、保健の用途の効果の変化を伴わない範囲における原材料の配合割合、製造方法、栄養成分量(関与成分以外の成分量に限る。)又は熱量の変更

変更の理由、製品の同一性を失わず、保健の用途の効果の変化を伴わない理由及びその科学的な裏付けとなる説明資料、試験検査機関において行った栄養成分量及び熱量の成分分析試験検査成績書を添付すること。

(オ) 一日摂取目安量の変更を伴わない内容量の変更

変更の理由、過剰摂取等の安全性に関する説明資料を添付すること。

(カ) 摂取上の注意事項、摂取、調理、保存の方法の注意事項の追加

過剰摂取等による健康被害の発生のおそれ、その他特に注意喚起すべき事項があることが判明した場合は、その表示事項を適宜追加してよいこと。

この場合、追加の理由及びその根拠となる資料を添付すること。

イ 失効の届出

許可等を行った食品について、次に掲げる事項が生じた場合は、許可書又は承認書を添えて、許可を受けたものにあっては都道府県知事を経由して、承認を受けたものにあっては直接、別紙様式7により対策室に届書を提出すること。

(ア) 許可等を受けた者が死亡したとき又は許可等を受けた法人が解散したとき。

この場合、許可等を受けた者の相続人若しくは相続人に代わって相続財産を管理する者、清算人、若しくは破産管財人又は合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者が届け出ること。

(イ) 許可等を受けた者が当該商品の販売、製造を中止したとき。

ウ 再審査等の申請

次に該当するものは、改めて審査等を受けなければならないこと。

(ア) 商品名を変更しようとするとき。ただし、真にやむを得ない理由があり、特に問題がないと認めたときは、この限りではない。

(イ) 許可等を受けた表示の内容を変更しようとするとき。

(ウ) 製品の同一性が失われる程度に原材料の配合割合又は製造方法を変更しようとするとき。

(エ) 一日に摂取する目安量を変更しようとするとき。

(オ) 関与成分の量を変更しようとするとき。

(2) 安全性等に関する情報収集

特定保健用食品の許可等を受けた者においては、当該食品の安全性、有効性等を確保する観点から、次の事項について留意すること。

ア 許可等後の科学的知見の集積、あるいは製造方法の変更等により、その保健の用途に係る有効性や当該食品の安全性等に疑念が生じる可能性があることから、当該食品の有効性、安全性等に問題が生じていないか、その確認に努めること。

イ 特定保健用食品の販売に伴い申請者に寄せられた、消費者からの健康影響に関する苦情等について、処理経過を含め、記録し、保存するよう努めること。

(3) 商品の表示及び広告

商品の保健の用途に係る表示及び広告については、許可等を受けた表示の範囲内とすることとし、虚偽又は誇大な記載をすることがないようにすること。

10 監視指導

特定保健用食品の監視に当たっては、以下に掲げる事項につき御留意いただきたいこと。

(1) 食品の表示等に関する指導取締りについては、医薬行政と食品保健行政が緊密な連携をとり、その適正化を図ること。

(2) 製品の品質管理を十分に行い、不良品が生じないよう絶えず製造業者自らによる監視ができる体制を整えるよう、製造業者に対して指導するとともに、必要に応じ、製造施設に立ち入り、品質管理に係る試験結果等の記録を確認すること。

(3) 栄養改善法施行規則で定める事項を表示していないとき又は虚偽の表示をしたときは、栄養改善法第14条(同法第15条第2項において準用する場合を含む。)の規定により、当該許可等を取り消すことができることとされているので、このような食品を発見した場合は、対策室に通報すること。

(4) 制度の適切な運用のため、審査等を経ずに特定の保健の目的に資する旨の表示をした食品が販売されていないかどうか監視に努めるとともに、このような食品を発見した場合には、審査等を受けるまでの間当該表示を消去した後販売するように指導する等適切な措置を講ずること。

(5) 表示及び広告については、許可等が行われた表示の範囲内とし、虚偽又は誇大な広告とならないよう指導すること。

(6) また、特定保健用食品の許可等を受けていない食品について、特定の保健の用途に係る広告を行っている場合は、特定保健用食品との誤認を与え、好ましいものではないことから、こうした広告等を行っている業者に対しては、許可等を受けるまでの間は当該広告を中止するよう指導する等適切な措置を講ずること。

(別紙)

添付資料作成上の留意事項

審査申請における添付資料については、以下に留意して作成する。

1 項目別留意事項

(1) 表示見本

表示しようとする内容を記載したものとする。

一括して表示する事項については、別紙として抜き出したものを併せて添付する。

(2) 食品が食生活を改善し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由

製品開発の経緯を含め、当該食品が食生活の改善に寄与し、その摂取により国民の健康の維持増進が図られる理由を具体的に記載する。

(3) 一日当たりの摂取目安量及び摂取をする上での注意事項

添付した資料に基づき記載する。

(4) 食品及び特定の保健の目的に資する栄養成分に係る保健の用途及び一日当たりの摂取目安量を医学的及び栄養学的に明らかにした資料

ア in vitro及び動物を用いたin vivo試験

関与成分のin vitro及び動物を用いたin vivo試験により、関与成分の作用、作用機序、体内動態を明らかにするための資料を添付する。

これらの試験結果は、統計学的に十分な有意差を確認できるものでなければならない。

なお、関与する成分に関し、ヒトを対象とした試験において、その作用、作用機序、体内動態に関する知見が得られている場合には、当該資料の添付により、in vitro及び動物を用いたin vivo試験を省略することができる。

イ ヒトを対象とした試験

原則として、審査申請する食品(以下「申請食品」という。)を用いて実施する。動物試験において保健の用途に係る有効性を確認した後、ヒトを対象とした試験(以下「ヒト試験」という。)を実施し、保健の用途に係る効果及び摂取量を確認する。

ヒト試験は、ヘルシンキ宣言の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、倫理委員会等の承認を得て、医師の管理の下に実施する。

ヒト試験の実施が極めて困難な場合、これに代わる試験の実施が求められること。例えば、疫学データをもって保健の用途に係る有効性を証明する際には、疫学データの高い質が求められる。

(ア) 試験目的と計画

食品の保健の用途に係る有効性及びその摂取量を確認することを目的とすること。

試験は、原則として、設定しようとする1日摂取目安量による長期摂取試験を実施すること。

試験計画を立てる際には、保健の用途に合致した指標、統計学的に十分な有意差を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが重要であること。

(イ) 対象被験者及び被験者数

被験者は、健常人から疾病の境界域の者に至るまでの範囲において、目的とする保健の用途の対象として適切な者であること。

妊婦や小児等は被験者から一般的には除外されるが、目的とする保健の用途、食品の形態等により、これらの者に対する医学的、栄養学的配慮についての検討を行う必要があること。

被験者数は、試験内容や実施方法により必要な客体数が異なるが、統計学的手法によって有意水準の判定が可能な客体数を確保すること。したがって、統計学的手法上、有意水準の判定に不十分な被験者数の場合には、報告例として扱うものとすること。

また、実施した試験における有意差が一過性と考えられる場合には、より精密な評価が要求されるものであること。

(ウ) 試験食

試験食は、原則として、申請する食品を用いること。

ただし、関与成分と当該食品との差異が極めて少ない場合、その他合理的な理由がある場合には、当該食品ではなく関与成分で実施してもよいこと。

(エ) 試験実施方法

試験実施に当たっては、被験者の割り付け方法等に十分配慮し、統計学的に十分な有意差を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが必要であること。

(オ) 保健の用途に係る有効性等の判定方法

保健の用途に係る有効性及び摂取量の確認のための試験結果の判定は、必ず統計学的処理による有意差検定により行うこと。

(5) 食品及び特定の保健の目的に資する栄養成分の安全性に関する資料

ア in vitro及び動物を用いたin vivo試験

安全な摂取量を確認するための基礎資料とすることを目的とする。

食品等としてヒトが摂取してきた経験が十分に存在する物であって、合理的な理由があるものは、in vitro及び動物を用いたin vivo試験の添付を省略することができる。

食品等としてヒトが摂取してきた経験が十分に存在しない物については、「保健機能食品であって、カプセル、錠剤等通常の食品の形態でない食品の成分となる物質の指定及び使用基準改正に関する指針」(平成13年3月27日付け食発第115号)のⅣの3の(6)安全性に関する資料と同等の資料を必要とする。

イ ヒト試験等

ヒト試験により、過剰摂取時における安全性の確認を行う。

また、関与成分又は同種の食品若しくは保健の用途を行おうとする食品におけるアレルギーの発生等の有害情報に関する文献検索を行い、該当するものについて資料として添付する。

(ア) 試験目的と計画等

過剰量を摂取した場合における安全性を確認することを目的とし、原則として、過剰用量におけるヒト試験を実施すること。

当該試験においては、被験者における副次作用の発生の有無を併せて確認すること。

(イ) 対象被験者及び被験者数

被験者は、健常人から疾病の境界域の者に至るまでの範囲において、適切な者を選定すること。

妊婦や小児等は被験者から一般的には除外されるが、目的とする保健の用途、食品の形態等により、これらの者に対する医学的、栄養学的配慮についての検討を行う必要があること。

被験者数は、試験内容や実施方法により必要な客体数が異なるが、統計学的手法によって有意水準の判定が可能な客体数を確保すること。したがって、統計学的手法上、有意水準の判定に不十分な被験者数の場合には、報告例として扱うものとすること。

(ウ) 試験食

試験食は、原則として、申請する食品を用いること。

ただし、関与成分と当該食品との差異が極めて少ない場合、その他合理的な理由がある場合には、当該食品ではなく関与成分で実施してもよいこと。

(エ) 試験実施方法

試験実施に当たっては、被験者の割り付け方法等に十分配慮し、統計学的に十分な有意差の有無を確認するに足りる試験方法と調査客体を設定することが必要であること。

(オ) 安全性の確認方法

安全性の確認のための試験結果の判定は、必ず統計学的処理による有意差検定により行うこと。

併せて、医師による被験者に対する副次作用の発生の有無の確認、生化学的指標の異常変動事例の有無等を確認すること。

(6) 食品及び特定の保健の用途に資する栄養成分の安定性に関する資料

関与成分の物理、化学、生物学的安定性に関する資料、消費期限又は品質保持期限を通じた食品中の関与成分量の経時的な変化を確認した資料を含め、品質保持期限又は消費期限を設定するための資料を添付する。

錠剤、カプセル等の形状食品については、組成、製法、保存条件等により、形状の崩壊、溶解性に変化がみられることから、上記の試験に加えて、崩壊、溶解性の変化に関する試験を行う。

(7) 特定の保健の目的に資する栄養成分の物理学的性状、化学的性状及び生物学的性状並びにその試験方法に関する資料

関与成分の特性を明らかにするために必要な資料を添付する。

(8) 食品中における特定の保健の目的に資する栄養成分の定性及び定量試験の試験検査の成績書並びにその試験検査の方法を記載した資料

食品中における関与成分の定性及び定量試験検査の成績書については、適切な試験検査施設において実施した試験結果例を添付する。試験は、製造日が異なる製品又は別ロットの製品を3検体以上、無作為に抽出したもので行う。

食品中における関与成分の定性及び定量試験検査方法に関する資料については、実際の測定例、測定条件を添付する等可能な限り具体的に記載する。

(9) 栄養成分量及び熱量の試験検査の成績書

試験検査は、研究所若しくは都道府県等が設置する食品保健を所管する試験検査機関又は食品衛生法に基づく指定検査機関により行われたものを添付する。

ア 関与成分に係る試験検査

関与成分に係る試験検査の成績書は、要領本文の5に基づき、研究所で実施したものを提出する。

イ 関与成分以外の栄養成分及び熱量の試験検査

関与成分以外の栄養成分及び熱量の試験検査方法は、特に定めのない限り「栄養表示基準の導入に伴う栄養成分等の分析方法等について」(平成11年4月26日付衛新第13号厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室長通知)によるものとする。

試験は、製造日が異なる製品又は別ロットの製品を3検体以上、無作為に抽出したもので行う。

(10) 品質管理の方法に関する資料

品質管理の方法に関する資料については、製造所の構造設備の概要、製造所における申請食品の製造方法、不良品の流通を防止するための管理体制等の資料を添付する。

申請者が製造者と異なる場合は、当該食品の製造委託契約書を添付する。

複数の製造所で製造される場合には、すべての製造所に関するものを必要とする。

2 添付資料の取扱い

(1) 1の(4)及び(5)の資料は、可能な限り最新の知見に基づいたものとし、医学・栄養学等の学術書、学術雑誌等に掲載された知見を含むものとする。ただし、新聞、一般雑誌、学会発表時に配布される抄録等は含まないものとする。

(2) 1の(4)、(5)及び(6)の資料は、原則として、食品における資料を必要とする。

(3) 添付資料作成のための試験については、試験成績の信頼性を確保するために必要な施設、機器、職員等を有し、かつ適正に運営管理された試験検査施設において実施する。試験成績書には、試験機関及び試験者名を記載し、責任者の捺印がなされる必要がある。

(4) 関与成分及び食品中の関与成分の含有量が既に許可等を受けた食品(以下「既許可食品」という。)と同一であり、当該食品と既許可食品との有効性及び安全性に関し、同等性がある場合には、既許可食品と同一の資料を用いることができる。

(5) 食品の有効性、安全性等を疑わせる資料についても、当該資料の信頼性等にかかわらず提出する。

(6) 資料は簡潔にまとめ、必要に応じて具体的なデータや図表を付して記載する。

(7) 資料は、申請に係る事項が医学的及び栄養学的に公知である場合等合理的な理由がある場合、その理由を付して省略することができる。

(8) 1の(4)、(5)、(6)等で使用した文献等は、各項目別に要約した資料を別添参考1の様式を参考に作成するとともに、添付したすべての文献等の一覧を別添参考2の様式を参考に作成し、添付する。

(9) 個々の文献等については、必要な箇所の概要をまとめたものをそれぞれの文献等の最初に添付する。その際、文献等の引用箇所については、下線を引く等により、わかりやすいように示すこと。

(10) 資料の組み込み順については、別添参考3を参考にする。

3 添付資料の簡素化ができる特例

(1) 製品の同一性があり、保健の用途の効果の変化を伴わない複数の食品について、同一申請者が同時に申請を行う場合、1の(1)、(3)、(8)(試験検査方法を記載した資料を除く。)及び(9)の資料を除き、いずれか1つの申請書に添付することにより、その他の食品への添付を省略して差し支えない。

(2) 既許可食品と食品の形態(種類を含む。)、関与成分、許可を受けた表示の内容、一日摂取目安量及び当該目安量を摂取したときの当該関与成分摂取量が同一である食品を申請しようとする場合、1の(4)、(5)、(6)及び(7)の資料については、その文献等を要約した資料のみの添付で差し支えない。

(3) 許可期限が定められている特定保健用食品について、その期限切れによる継続的な扱いのため、同一の食品を再度申請しようとする場合、1の(4)、(5)、(6)及び(7)の資料については、その文献等を要約した資料のみの添付で差し支えなく、1の(7)の資料については、添付を省略して差し支えない。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3

別紙様式4

別紙様式5

別紙様式6

別紙様式7

(参考1)

(参考2)

(参考3)